外食業での特定技能ビザの活用-申請要件・試験概要・雇用の注意点を解説

外食業

外食業は、特定技能の在留資格で、介護に次いで2番目に多くの外国人人材の受け入れを予定しています。特定技能は、これまでの外食業で就労ビザが利用できなかった業務にも適用されるため、飲食店での外国人の雇用機会の拡大が見込まれています。

ここでは、外食業で特定技能を利用して外国人の雇用を考えている企業・事業者の方向けに、申請の要件やクリアしなければいけない試験概要についてご説明します。
また、合わせて雇用する側が注意するべきポイントも詳しく解説。特定技能ビザを使って採用を検討する際の参考にしてください。

 

外食産業分野で特定技能の外国人を受け入れる背景と見込み人数

労働人口の減少という問題を抱える現代において、外食分野でも最新技術を利用した省人化・低コスト化の取り組みがはじまっています。
さらに、女性や高齢者など国内人材の採用にも積極的です。

しかしながら、有効求人倍率は「飲食店主・店長」で12.68倍、「飲食物給仕係」で7.16倍と売り手市場で、人材の確保が困難な業界です。
2018年上半期の企業の人手不足を示す欠員率5.4%と全産業水準の2倍以上であり、深刻な人手不足にあるといえます。
このように、企業努力で生産性の向上と国内人材の確保を図ったとしても、以前として人手不足が予想される産業であり、そのために政府は外国人人材の拡大に舵をきりました。

むこう5年で予定される外食業の受け入れ人数は、最大5万3000人です。
外食業では29万人の人手不足が見込まれており、年間0.5%の生産性向上とさらなる国内人材の確保を見越した上での受け入れ人数の設定となっています。

2017年時点の統計で、外食業の外国人労働者数は約14.3万人にのぼります。
その7割近い外国人が、留学や家族滞在といった資格外活動の「アルバイト」として働いています。永住者などの身分に基づく在留資格も2割を占めます。

「技能」や「経営・管理」といった専門的・技術的な在留資格の取得者が1割に満たないことを考えると、今後、特定技能の在留資格が外食業に与える影響は大きいといえるでしょう。

 

特定技能外国人が外食分野で働ける業務の種類と禁止されている仕事

特定技能の在留資格は、一定以上の技能と知識を身に着けた外国人を対象としたもので、産業分野ごとに従事できる業務の範囲が決まっています。
外食業で許可される業務の内容と、適用外の業務について以下にご説明します。

 

特定技能外国人が許可される外食業務の範囲と禁止されている業務

飲食物調理、接客、店舗管理を含む、外食業全般が適用範囲です。
あわせて、原料の調達・受入れ、配送作業といった通常の日本人従業員がしている関連業務に付随的に従事することも、差支えないとされています。

店舗の業態は、飲食店のほかに、持ち帰りや配達飲食サービス業も該当します。

これまで外食業において、ホールスタッフや日本人が従事できる調理の仕事で、就労可能な在留資格を取得することはできませんでした。
特定技能であれば、店舗スタッフでも正社員として外国人を採用できます。

注意したいのは、キャバクラやガールズバーなど接待を伴う飲食業を営む営業所では特定技能外国人の就労は認められていないことです。

風俗営業法で定められている風俗営業1号・2号・3号に該当する「接待飲食等営業」 を営む店舗では、たとえ調理や接客、店舗管理の仕事でも特定技能ビザで外国人を就労させることはできません。

 

飲食店または持ち帰り・配達飲食サービス業(例:食堂、レストラン、喫茶店、ファーストフード店、テイクアウト専門店、仕出し料理店等) 特定技能ビザで許可される業務内容
飲食物調理
接客
店舗管理
仕入れ
配達
特定技能ビザで許可されない例外 風俗営業法の風俗営業1号~3号に該当する「接待飲食等営業」を行う営業所での就労(例、キャバレーやガールズバー)

外国人人材が外食産業で特定技能ビザを取得するのに必要な要件

外食業での受け入れは、特定技能1号のみです。学歴や職歴は求められません。
申請時に外国人に求められるのは、以下の3点です。

• 18歳以上であること
• 規定の日本語能力試験を合格していること
• 規定の技能水準試験に合格していること

なお、技能実習2号の修了生は試験免除で特定技能1号に移行できるとしていますが、2019年の現時点で外食業においての技能実習生の受け入れはありません。
2018年11月に技能実習制度に追加された「医療・福祉施設給食製造」の技能実習2号修了生が、将来的に外食業の特定技能1号に移行できる予定です。

 

外食業分野で求められる特定技能1号の日本語能力と技術試験の内容

外食業分野で定められている、特定技能の日本語能力試験と技術水準試験の内容について、詳しくご説明します。

http://cozylaw.com/fu-teki/kihon/004-01.html

https://fuei.jp/fuei_kyoka_introduction/provision

 

認められる日本語試験と必要なレベル

• 国内:「日本語能力試験」N4以上
• 国外:「日本語能力試験」N4以上 または「国際交流基金日本語基礎テスト」

 

外食業技能測定試験とは

外食業における技能水準テストは、「外食業技能測定試験」にて実施されます。
食品衛生に配慮した飲食物の取り扱い、調理及びサービスといった業務に必要な知識・スキルを有しているかを確認するテストです。試験は、学科と実技の2本立てで行われます。

【外食業技能測定試験の内容例】

学科試験 ・衛生管理:食中毒、冷凍庫の温度や交差汚染等の衛星管理、HACCPの考えを取り入れた衛星管理について等
・飲食物調理:食材、下処理、各調理法に関する知識等
・接客全般:接客サービス、食物アレルギー、店舗管理、クレーム対応等
実技試験   ・判断試験:図やイラストを用いて正しい行動を判断する
・計画立案試験:所定の計算式を用いて作業の計画を立てる

<参考:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)>

合計得点の65%以上を合格ラインとし、受験者は「学科主体」「実技主体」のどちらかを選び、傾斜配分が適用されます。

<参考>
一般社団法人日本フードサービス協会のウェブサイトから、日本語およびベトナム語の試験のテキストをダウンロードできます。

 

外食業の日本語試験・技術試験の実施主体・日時・場所

各試験の実施主体や方法などの詳細について、以下の表にまとめました。

試験名 実施主体 方法 回数 場所
日本語能力試験 【国内】独立行政法人国際交流基金 マークシート 年2回実施 各都道府県
【国外】日本国際教育支援協会 1回~2回 現地の実施機関に確認
国際交流基金日本語基礎テスト 独立行政法人国際交流基金 CBT方式  約6回、国外のみ実施 現地の実施機関に確認
外食業技能測定試験 一般社団法人 外国人食品産業技能評価機構 筆記・実技 【国内】年3回

【国外】準備中

 国内は、東京・大阪および地方でも実施予定

技能試験の外食業技能測定試験は、すでに第1回が東京と大阪で4月25日に実施されました。2019年5月中に、合格者が発表される予定です。

 

飲食店や大手レストランで特定技能外国人を雇用する際の5つの注意点

特定技能外国人を雇用するにあたって、受け入れ機関である飲食店やレストランの事業者が守らなければいけない義務があります。
雇用するうえでの5つの注意点について、以下に解説します。

飲食店

雇用する外食産業企業に求められる条件|協議会への加入

まず、特定技能の受け入れ機関に求められる基準をクリアする必要があります。
また、雇用にあたっては、受け入れ機関の義務を果たさなければなりません。
そのうえで、農林水産省の定める食品産業特定技能協議会の構成員になる必要があります。

■特定技能外国人を雇用する受け入れ機関の基準
• 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
• 機関自体が適切であること(5年以内に出入国・労働法令違反がない、1年以内に行方不明者を出していない)
• 外国人を支援する体制がある
• 外国人を支援する計画が適切である

■食品産業特定技能協議会とは
農林水産省、関係業界団体、登録支援機関その他関係者で構成される機関のことです。
外国人の受け入れ状況を把握し、不正行為の防止や法令順守に関する通知を担います。
外食業で特定技能外国人を雇用するには、当協議会の構成員になる必要があります。
協議会への加入期限は、企業がはじめて特定技能外国人を受け入れてから4か月以内です。

 

外食業の特定技能は直接雇用のみ可能、派遣は不可

外食業の特定技能外国人の雇用は、直接契約のみ認められています。
派遣形態で特定技能1号外国人を雇用することはできません。

 

雇用契約のポイント:フルタイム&給与水準は日本人と同等以上

雇用契約を結ぶにあたっては、社会保険や労災の取り扱いを日本人と同等にし、外国人という理由で差別的な対応をしていはいけません。
また、特定技能ビザが申請可能なのはフルタイムの雇用のみです。週5日、30時間以上という所定労働時間を満たす必要があります。
さらに、給与水準は同じ業務に従事する日本人と同等以上であることが定められています。
不当に安い給与を設定した場合、在留資格が許可されない可能性がありますので注意してください。

 

特定技能1号外国人の雇用は5年が上限

特定技能1号の在留資格は、通算で最大5年までの滞在しか許可されません。
つまり、外食業がひとりの外国人を特定技能1号で雇用する場合、働いてもらえるのは5年です。
現時点では、外食業において特定技能1号から、滞在の上限がない特定技能2号への移行はありません。
当該外国人は、通算5年の上限の時点で、他の就労可能な在留資格を検討するか、本国へ帰国する必要があります。

 

受け入れ機関が行うべき支援計画とは

特定技能1号外国人を雇用する際は、受け入れ機関は適切な支援計画を作成し実施する必要があります。
求められる支援計画とは、入国前のガイダンス、空港送迎、住居確保のサポート、職務上・生活上必要な情報の提供等が含まれます。
これらの支援計画は、雇用する側の企業が義務として行わなければいけません。

 

飲食業での特定技能ビザ活用のケース例|どんな状況で外国人雇用できるか

最後に、レストランや持ち帰り専門店といった外食の産業で、どのような状況で特定技能ビザを活用して外国人を雇用できるのか。以下に、想定されるケースをご紹介します。

 

専門学校の卒業生をアルバイトからの正社員登用

アルバイトとして働いている「留学」や「家族滞在」の在留資格を持っている外国人を、正社員として雇用する際に特定技能ビザが活用できます。
「留学」「家族滞在」の在留資格で働く際は、資格外活動の許可が必要です。働ける時間が、週28時間以内と制約があります。

これまでは、店舗管理や接客といった業務で就労可能な在留資格を取得し、フルタイムで外国人を雇用することはできませんでした。
特定技能ビザであれば、アルバイトで業務経験を積んだ外国人社員を正社員登用することが可能になります。

 

大手飲食チェーン店での大量採用

特定技能の在留資格は、国内からの採用だけでなく、海外から外国人人材を呼び寄せることもできます。
そのため、一定上の人数を確保したい大手外食チェーン店などでは、人手不足を解消できる手段になり得ます。
ただし、特定技能1号の在留資格は通算で5年までしか日本に滞在できません。
5年という上限を踏まえた増えで、採用計画を立てる必要があります。

まとめ:受け入れ機関の義務を理解し外食業で特定技能外国人を採用する

外食業での特定技能外国人の受け入れ見込み人数は5年で5万3000人。
業界で見込まれる人手不足数が29万人という数字を踏まえると、特定技能外国人の雇用は迅速に動く必要があります。
受け入れ人数に達し、外国人人材分の人手が足りると政府が判断すれば受け入れを停止することが考えられるからです。
また、支援計画の実施や適切な雇用契約は受け入れ機関の義務です。
小規模の飲食業者にとっては、空港送迎や必要な行政手続きといった支援の実施が企業負担になる可能性もあります。
支援計画を委託できる登録支援機関や、ビザサポートを専門にする行政書士と連携することが、スムーズに雇用する大切なポイントです。

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