在留資格「定住者」(定住者ビザ)とは
在留資格「定住者」とは、他のビザにあてはまらないが、日本おける在留を認める特別な事情があると認められる外国人の方について付与されるビザです。
「定住者」は他のビザにあてはまらない、いわば「その他」のような位置づけのビザであるといえます。
では、「定住者」のビザはどのような方に認められるのでしょうか。
① 法務大臣があらかじめ「定住者」として定めている一定の類型に当てはまる外国人
この場合は、いわゆる告示内定住と言われます。
② 他の在留資格にも、告示内定住にも当てはまらないが、個々の状況を判断し、日本における在留を認める特別な事情があると認められる外国人
この場合は、いわゆる告示外定住と言われます。
上記の①または②に当てはまれば「定住者」のビザを認めてもらうことができます。
ただし、注意が必要なのは、①の場合には在留資格認定証明書交付申請(一般的には、申請時に海外に在住する外国人の方がビザ申請をする方法)の方法をとることができますが、②の場合には原則として在留資格認定証明書交付申請の方法をとることができず、在留資格変更許可申請の方法をとる必要があります。
つまり②の場合には短期滞在等のビザで日本に来日している間や、「日本人の配偶者等」のビザを持っている状態で在留資格変更許可申請の方法をとるのが一般的です(入管法 第7条第1項第2号 参照)。
告示内定住にはどのようなものがあるか
① タイ国内において一時的に庇護されているミャンマー難民であって、国際連合難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要な者と認め、我が国に対してその保護を推薦する者のうち、以下のイ又はロに該当する者(いわゆる難民の「第三国定住」と言われるもの)
イ.日本社会への適応能力がある者であり、生活を営むに足りる職に就くことが見込まれる者 及び その配偶者又は子
ロ.上記のイに該当する者として日本に上陸し、その後引き続き本邦に在留する者の親族であり、親族間で扶助が可能である者
② マレーシア国内において一時滞在しているミャンマー難民であって、国際連合難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要な者と認め、我が国に対してその保護を推薦する者のうち、上記のイに該当する者
③ 日本人の子として出生した者の実子(ただし、上記②と下記⑧に該当する者はあてはまりません)であり、素行が善良である者
具体的には、次のイ~ハにあたる外国人です。
イ.日本人の孫(3世の方)
ロ.日本人の子として出生した元日本人の日本国籍離脱後の実子(2世の方)
※日本人の子として出生した者が日本国籍を有する間に生まれた子は、「日本人の配偶者等」の在留資格(ビザ)にあてはまります。
ハ.元日本人の日本国籍離脱前の実子の実子である孫(3世の方)
④ 日本人の子として出生した者が日本国籍を離脱した後に生まれたその者の実子の実子である孫(3世)であり、素行が善良である者(上記③と下記⑧は除く)
⑤ 次のイ~ハに該当する者
イ.日本人の子として出生した者の配偶者であり、日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者
ロ.1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者
ハ.上記③又は⑤ロにあたり、1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者であって、素行が善良である者
⑥ 次のイ~ニに該当する者
イ.日本人、永住者の在留資格をもって在留する者又は特別永住者の扶養を受けて生活する者の未成年で、かつ、未婚の子
ロ.1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の扶養を受けて生活する者の未成年で、かつ、未婚の子
ハ.③、④、⑤ハに者で1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の扶養を受けて生活する者の未成年で、かつ、未婚の実子であり、素行が善良である者
ニ.日本人、永住者の在留資格を持って在留する者、特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で、日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留する者の扶養を受けて生活する者の未成年で、かつ、未婚の実子
⑦ 以下のイ~ニに当てはまる外国人(①~④、⑥、⑧に該当する者を除く)
イ.日本人の扶養を受けて生活する者の6歳未満の養子
ロ.永住者の在留資格をもって在留する者の扶養を受けて生活する者の6歳未満の養子
ハ.1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の扶養を受けて生活する者の6歳未満の養子
ニ.特別永住者の扶養を受けて生活する者の6歳未満の養子
⑧ 中国に残留する日本人等の配偶者、その子及びその子の配偶者
告示外定住にはどのようなものがあるか
① 法務大臣により難民として認定された者(認定難民)
② 日本人、永住者又は特別永住者である配偶者と離婚後に引き続き本邦に在留を希望する者(いわゆる離婚後定住)
この場合の定住者ビザの申請時には、
・離婚前に一定の婚姻期間があること
・離婚後の日本での生活における生計を営むに足りる資産又は技能があること
・一定程度の日本語能力を有し、日本での通常の社会生活を営むことが困難でないこと
・納税等の公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
が重要なポイントとなります。
③ 日本人、永住者又は特別永住者である配偶者と死別後に引き続き本邦に在留を希望する者
この場合の審査のポイントも、②と場合とほぼ同じになります。
④ 日本人の実子を監護・養育する者
この場合の審査の主なポイントは、
・生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
・日本人の実子の親権者であること
・現に相当期間、その実子を監護、養育していることが認められること
の3点です。
⑤ 日本人、永住者又は特別永住者である配偶者との婚姻が事実上破綻し、引き続き本邦に在留を希望する者
「婚姻が事実上破綻し」ている場合とは、婚姻は継続中であるものの、夫婦双方に婚姻継続の意思がなくなったものの、同居・相互の協力扶助の活動が事実上行われなくなったり、その状態が固定化していると認められ、婚姻関係を修復・維持しうる可能性がなくなった場合をいいます。
⑥「家族滞在」をもって在留する者で、本邦で小学校・中学校・高等学校を卒業後に日本で就職する者
※以上の他にも、個々の状況を勘案し、日本への在留を認める特別な事情が認められるといえる場合には、告示外定住として「定住者」のビザが認められる可能性があります。