出国命令制度について
出入国在留管理庁では、出国命令制度の広報活動や「在留特別許可に係るガイドライン」の改訂等を通じ、不法滞在で悩んでいる外国人の方が地方入国管理官署に出頭しやすい環境を整備し、自発的な出頭を促すことを目指しています。
在留期間を経過(オーバーステイ)したまま日本で生活している外国人で帰国を希望している方は、収容されることなく、簡易な方法で手続ができる「出国命令制度」を利用して帰国することができます。退去強制手続により帰国した場合、最低5年間は日本に入国することはできませんが、「出国命令制度」で帰国した場合、その期間は1年間と短縮されます。
出国命令制度を利用できる方
次のいずれにも該当する方が利用できます。
- 速やかに日本から出国する意思を持って自ら入国管理官署に出頭したこと
- 在留期間を経過したこと以外の退去強制事由に該当しないこと
- 入国後に窃盗等の所定の罪により懲役又は禁固に処せられていないこと
- 過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
- 速やかに日本から出国することが確実に見込まれること
帰国を希望している外国人の方で、「出国命令制度」の対象に当たらないものの、自ら入国管理官署に出頭した方については、仮放免の許可により、収容することなく手続を進めることが可能です。また、引続き日本国内での生活を希望される方は、まずは入国管理官署に出頭して、日本で生活したい理由等を申し述べる必要があります。
改訂した「在留特別許可に係るガイドライン」には、在留特別許可の許否判断を行うに当たっての積極要素として、日本人と婚姻が成立している場合などのほか、
- 自ら入国管理官署に出頭申告したこと
- 日本の初等・中等教育機関に在学し相当期間日本で生活している実子を監護、および養育していること
- 日本での滞在期間が長期に及び定着性が認められること
などを挙げていますので、このガイドラインをよくお読みください。
また、摘発等により違反が発覚した場合は、原則として収容されることとなりますが、出頭申告した場合には、仮放免の許可により、収容することなく手続を進めることが可能です。
退去強制手続の中で、申出の内容を審査した結果、法務大臣から特別に日本での在留を認められた場合には、不法滞在の状態が解消され、正規在留者として引続き日本で生活することができます。なお、在留特別許可は、積極要素と消極要素を総合的に考慮して許否を決定しますので、結果として許可されない場合には、退去強制令書が発付されることになります。
▼ 特に考慮する積極要素
- 当該外国人が、日本人の子、または特別永住者の子であること。
- 当該外国人が、日本人又は特別永住者との間に出生した実子(嫡出子、または父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって、次のいずれにも該当すること。
- ① 当該実子が未成年かつ未婚であること。
- ② 当該外国人が当該実子の親権を現に有していること。
- ③ 当該外国人が当該実子を現に日本で相当期間同居の上、監護・養育していること。
- 当該外国人が、日本人、または特別永住者と婚姻が法的に成立している場合(退去強制を免れるために婚姻を仮装し、または形式的な婚姻届を提出した場合を除く)であって、次のいずれにも該当すること。
- ① 夫婦として相当期間共同生活をし、相互に協力して扶助していること。
- ② 夫婦の間に子がいるなど、婚姻が安定かつ成熟していること。
- 当該外国人が、日本の初等・中等教育機関(母国語による教育を行っている教育機関を除く)に在学し相当期間日本に在住している実子と同居し、当該実子を監護・養育していること。
- 当該外国人が、難病等により日本での治療を必要としていること、またはこのような治療を要する親族を看護することが必要と認められる者であること。
▼ 特に考慮する消極要素
- 重大犯罪等により刑に処せられたことがあること。
<例>- 凶悪、重大犯罪により実刑に処せられたことがあること。
- 違法薬物及びけん銃等、いわゆる社会悪物品の密輸入・売買により刑に処せられたことがあること。
- 出入国管理行政の根幹にかかわる違反、または反社会性の高い違反をしていること。
<例>- 不法・偽装滞在の助長に関する罪により刑に処せられたことがあること。
- 自ら売春を行い、あるいは他人に売春を行わせる等、日本の社会秩序を著しく乱す行為を行ったことがあること。
- 人身取引等、人権を著しく侵害する行為を行ったことがあること。
▼ その他の消極要素
- 船舶による密航,もしくは偽造旅券等、または在留資格を偽装して不正に入国したこと。
- 過去に退去強制手続を受けたことがあること。
- その他の刑罰法令違反、またはこれに準ずる素行不良が認められること。
- その他在留状況に問題があること