帰化申請時に必要な動機書とは?
動機書とは、外国籍の方が日本国籍を取得するにあたり必要な帰化申請時に、申請書とともに提出が義務付けられている書類で、その名のとおり、帰化を希望する方が、帰化申請をする動機(理由)を記載します。
15歳未満の方や特別永住者の韓国人の方は、帰化申請時に申請書とともに法務局にこの動機書を提出することを免除されております。
動機書の記載内容としては、なぜ日本人になりたいのか、これまでの生い立ち、これから日本人になってからは何をしたいのかなどを書きます。
書かなければならない特別な理由は必要ないので、正直に自分の考えを書くようにしましょう。
動機書の書き方
動機書には、こういう書き方なら許可されるとか、こういうことを書いたら許可されないといったことは基本的にありません。
※もちろん、明らかに日本の国益に反することを記載した場合にはその限りではありません。
それよりも、日本人になろうとする者が日本語の能力が著しく不足している方が問題です。
動機書は既定の用紙があります。その規定用紙の7~8割がたを埋めれば大体500字から600字程度になるかと思います。
内容の無いことをだらだらと書き続けるよりは、言いたいことを絞ってポイントが伝わりやすい内容にするように心がけましょう。
日本語での文章作成に不安がある方は、まずは自分の母国語で動機書を作成してみて、それを日本語に翻訳するのも良いかも知れません。
今、インターネット上には様々な帰化の動機書の例文がUPされています。
もちろん、これらの例文を丸写しすれば書くのは簡単です。
しかし、帰化申請の審査官は年間でとても多くの動機書を読みます。その動機書を読めば、それが自分の言葉で書いてあるか、人の動機書を書き写しているのかはわかると思います。
また、仮に申請人がネット上にある例文そのままの人生であれば不自然な点は少ないと思いますが、人の人生はそれぞれ違います。
自分のこれまでの経験や感じたことを軸に書くのが一番です。
例文はあくまでも自身の動機書を書くための参考程度に留めましょう。
【動機書の構成例】
動機書は主に「申請人の生い立ち」、「今現在の状況」「日本での素行面」「家庭環境」「帰化後の展望」等を
1.申請人の生い立ち
どこで生まれたのか、いつから日本に住んでいるか、何故来日したのか、これまでの経歴を記載します。
経歴全てを記載する必要はありません。全て記載すると人によっては経歴だけで動機書の用紙が埋まってしまいます。
ターニングポイントのみ抑えて記載するのが良いでしょう。
2.今現在の状況
どんな仕事を何年しているか、生計は誰が立てているか。
学生であればどんな勉強をしているか、普段どんな生活をしているか。
現在の在留状況を説明します。
3.日本での素行面
素行の良し悪しは帰化の申請自体でかなり大きな要素です。
納税などの各種義務をしっかり履行しており、
交通違反をはじめとする違反行為、違法行為がないのであれば記載すると良いでしょう。
なお、違法行為があった場合には別途反省文や事情説明書等を任意で作成することも重要です。
4.家庭環境
家族構成から、家族の帰化申請することの賛否などを説明します。
まれに家族から帰化を猛反対されているケースがあります。
勿論、成人であれば本人の意思によって帰化をすることができるのですが、やはり家族から賛成されている方が良いと思います。
5.帰化後の展望
日本人になって実現したいことなど、何故日本人になりたいのかという動機に直結する内容が良いでしょう。
この点もかなり重要な点になると考えます。
やはり国籍が変わるということはとても大きなことです。とても気軽にはできません。
日本人になることで申請人が得られるものがあるから帰化をするのだと思います。
そういったことをここで記載します。
動機書記載時の注意点
注意すべき点としては他の書類は基本的にパソコンでの作成が認められていますが、動機書はパソコン等での作成は認められておりません。
全て直筆で黒色の万年筆かボールペンで記載する必要があることと、消えるボールペン等の使用、修正液の修正テープ等の使用、シャーペンや鉛筆での記載は禁止されています。
普段、消えるボールペンを愛用している方は誤って使用してしまうことがとても多いので特に注意してください。
ボールペンを使い、もし書き間違えをしてしまった場合には、新しく書き直すか間違えた箇所に二重線を引いて修正をします。
しかし、帰化申請書類は一生に一度しかやらないであろうとても大事な申請書類です。
法務局の帰化の審査官も人間ですので、修正箇所が多い書類をみたら印象が悪くなることもあるでしょう。
帰化の動機書なんて今後二度と書くことも無いような書類です。
なるべくなら修正をせずに新しく書き直すことをお勧めします。
また、動機書はすべて日本語で書く必要があり、この動機書でも日本語能力をみられますので注意が必要です。
そもそも字を書くのが苦手(下手)な人もいますが、重要なのは上手か下手ではなくどれだけ丁寧に書いているかですので、適当に殴り書きの様な雑な書き方はせず、最大限丁寧に書きましょう。
動機書の提出は15歳未満だと免除されますが、帰化の審査はとても長くかかります。
この審査期間中に15歳になってしまうと法務局から追加で動機書の提出を求められることもあるので、14歳の申請人は動機書を求められることを予め考えておいてください。
また、動機書以外にも履歴書を求められることもあります。
これらの書類を求められながら時間をかけてしまい、提出が遅くなるとその分、帰化申請の結果が出るまでの審査期間が長引くことも予想されます。
動機書を書く際に求められる日本語能力
小学校3年生程度(日本語能力検定N4)くらいの日本語能力、漢字の読書きが必要となります。
当社にご相談のお客様で漢字能力などに自信が無い方に対しては小学校1年生から3年生までの漢字ドリル等を使って勉強することをお勧めしています。
やはり、日本人になりたいのにその程度の漢字も書けない(勉強していなかった)というのは本当に日本人になりたいという気持ちが伝わりません。
単に日本で自由に暮らしたいから帰化したいと思うのは当然だと思います。
もちろん、中国や韓国などの漢字に馴染みのある国の方と比べると漢字のハードルは高いです。
また、日本には漢字以外にも平仮名とカタカナが使われていて、そのすべてを覚えるのもそれぞれを使い分けるのも慣れていないととても難しいです。
しかし、だからこそその日本語の読書きができることで日本での定着性等を理解してもらう一因になることは間違いありません(実際に帰化の要件として求められてしますし)。
日本語能力は動機書以外にも面接時を筆頭に事前相談時や申請時等の様々な場面でチェックされる可能性があります。
一家4人で帰化申請をして、日本語が下手なお父さんだけ不許可になってしまったという事例も聞いたことがあります。
そのようなことが無いように毎日少しずつでも良いので日本語学習をするようにしましょう。
まとめ
動機書はこう書かなければならないという決まりがないものです。
文章を書くのが苦手な人にとっては何を書いてよいのか、書いた内容によって不許可になってしまうんじゃないか、と言った不安があると思います。
しかし動機書には必ず許可になる書き方は無く、その逆はもしかしたらあるかも知れませんが基本的には正直になぜ帰化をしたいのかを記載した内容で問題ないことがほとんどです。
もし、一人で作成するのが不安なのであれば一度専門家にご相談下さい。
あなたと一緒に、あなただけの動機書を作成するお手伝いをいたします。