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【特定技能】工業製品製造業分野とは?受け入れ条件・試験・支援のすべて

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1. 特定技能「工業製品製造業」とは?

1.1 特定技能制度の概要

特定技能制度は、2019年に新たにスタートした外国人材向けの在留資格制度です。
日本国内の人手不足が深刻化するなか、一定の技能や日本語能力を持つ外国人が労働市場に参加できるようになりました。

この制度には2つの在留資格があります。

● 特定技能1号
基礎的な技能を持つ外国人を対象とし、最大5年間の就労が可能。家族の帯同は原則できません。
● 特定技能2号
より高度な技能を要する業務に従事できる資格。在留期間の更新が可能で、配偶者や子どもの帯同も認められています。

導入当初は特定技能1号が中心でしたが、制度の運用が進むにつれ、2号への移行制度も整備されつつあります。

日本で「即戦力」として働ける外国人を受け入れることで、業務の効率化や現場の安定化につながる制度として注目されています。

1.2 工業製品製造業分野の定義と対象業種

特定技能制度には14の分野がありますが、そのうち製造業に関連するものが「工業製品製造業分野」として括られています。
この分野では、以下の3業種が対象とされています。

  • 素形材産業(鋳造・鍛造・板金・溶接など)
  • 産業機械製造業(機械組立て、仕上げ、検査など)
  • 電気・電子情報関連産業(電子機器組立て、配線、試験など)

それぞれの業種で、一定の技能と日本語能力が求められます。
現場での作業指示や安全管理の観点から、日本語での意思疎通は特に重視されるポイントです。

この分野は、国内の製造業において慢性的な人材不足が課題となっているため、外国人材の受け入れに積極的な業界の一つです。

日々の生産ラインを支える技能職を中心に、安定的な労働力の確保を目的とした制度運用が進んでいます。

1.3 特定技能1号と2号の違い

特定技能には1号と2号があり、制度の理解を深めるうえでこの違いを明確に把握することが重要です。

区分特定技能1号特定技能2号
対象分野全14分野限られた分野のみ(建設・造船など)
在留期間最長5年更新制限なし
家族帯同原則不可可能(要件あり)
必要な技能水準基礎的熟練レベル
日本語能力N4相当以上特に定めなし(職務に応じて)

現在、「工業製品製造業分野」は特定技能1号のみが認められており、2号への移行は制度化されていません(2025年5月時点)。
ただし、将来的に2号への展開が期待されているため、動向を注視する必要があります。

企業としては、長期的な人材確保を見据えて、特定技能1号人材の受け入れ体制を整えることが大切です。

2. 工業製品製造業分野の業務内容と必要な技能

2.1 主な業務区分と作業内容

工業製品製造業分野における特定技能人材の受け入れ対象業務は、以下の3つの業種に分類されています。

● 素形材産業
鋳造、鍛造、板金、溶接、機械加工など、素材を成形・加工する分野
● 産業機械製造業
機械組立て、仕上げ、塗装、検査など、生産設備や大型機械の製造に関わる作業
● 電気・電子情報関連産業
電気機器や電子製品の組立て、配線、検査、品質管理などの工程を担当

これらの業務はすべて生産現場の中核を担う重要な役割であり、高度なチームワークと精密な作業が求められます。

現場では以下のような具体的な業務が発生します。

  • ● 設計図に基づくパーツの組み立て
  • ● 精密機器のはんだ付けや調整
  • ● 検査装置を使った品質確認
  • ● 作業報告や改善案の提出

技能実習制度とは異なり、実際の戦力として扱われるのが特定技能の特徴です。
そのため、企業側も明確な業務範囲と指導体制を整える必要があります。

2.2 必要とされる技能と資格

特定技能1号の在留資格を取得するためには、「技能評価試験」と「日本語能力試験」の2つをクリアする必要があります。

技能評価試験の内容

分野ごとに用意されており、実技と筆記の両方が含まれます。たとえば、素形材産業では鋳造や溶接の基礎技術を問う内容です。試験の一例は以下のとおりです。

  • ● 素形材分野:材料の取り扱い、作業手順、工具の使い方
  • ● 産業機械分野:組立図の読み方、測定器の扱い、安全確認手順
  • ● 電気電子分野:配線図の理解、半田付け作業、電気安全知識

日本語能力試験(JLPT N4相当以上)

日常的な会話や作業指示が理解できるレベルが求められます。試験は「国際交流基金日本語基礎テスト」や「JLPT(日本語能力試験)」で代替可能です。

現場では安全確認やマニュアル理解が不可欠なため、日本語力も重視されています。

試験に合格することで、受け入れ企業は実務に即した技能を持つ人材を雇用できます。

2.3 試験内容と合格基準

各分野の試験は、原則として出題範囲が公開されており、事前に対策しやすい構成になっています。

分野試験時間合格基準実施頻度
素形材産業約90分65~70%以上年数回(国内・海外)
産業機械製造約90分65~70%以上年数回(国内・海外)
電気電子情報約90分65~70%以上年数回(国内・海外)

合格基準はおおむね6~7割の正答率とされていますが、試験はすべて日本語で実施されるため、日本語理解が鍵となります。

試験対策としては以下のような学習スタイルが効果的です。

  • ● 出題傾向を押さえた過去問題の繰り返し学習
  • ● 試験用語に特化した日本語の語彙強化
  • ● 模擬試験による時間配分の練習

業務経験がない人でも、しっかりと対策すれば十分合格を目指せる内容です。
ただし、資格取得後はすぐに現場に入ることになるため、実務スキルの補強も欠かせません。

3. 工業製品製造業における特定技能人材の受け入れ手続き

3.1 受け入れ企業の要件

特定技能人材を雇用するには、企業側にも厳格な受け入れ条件が課されています。
これは外国人が安心して働ける環境を確保するためのもので、次のような要件があります。

主な受け入れ条件

● 適正な雇用契約の締結
→ 労働時間・報酬・休暇などが日本人と同等であること
● 外国人支援計画の策定・実行
→ 生活支援、日本語教育、相談窓口の設置などが義務付けられています
● 過去に入管法や労働法に違反していないこと
→ 法令違反がある場合は受け入れできません
● 十分な指導体制の整備
→ 現場教育・安全管理体制が整っていること

また、工業製品製造業の現場は専門性が高いため、受け入れる企業側にも実務的な教育・指導力が求められます。

制度を活かすには、ただ人を採用するだけでなく「定着までサポートする姿勢」が欠かせません。

3.2 必要な書類と申請手続き

受け入れにあたっては、出入国在留管理庁に対して在留資格認定の申請を行う必要があります。
申請書類は多岐にわたるため、事前の準備が成否を分けます。

主な必要書類一覧

  1. 1. 在留資格認定証明書交付申請書
  2. 2. 雇用契約書の写し
  3. 3. 技能評価試験・日本語試験の合格証明書
  4. 4. 外国人支援計画書
  5. 5. 登録支援機関との契約書(委託する場合)
  6. 6. 会社の登記事項証明書や納税証明書

手続きの流れ(国内外共通)

  1. 1. 書類の準備
  2. 2. 出入国在留管理局への申請
  3. 3. 審査(通常1〜2ヶ月)
  4. 4. 認定証交付 → 入国手続きへ

書類不備や計画の未整備があると、審査で不許可になるケースもあります。
特に外国人支援計画については形式だけでなく、実効性ある内容が求められます。

3.3 登録支援機関の役割と選び方

特定技能人材を受け入れる際、企業自らが支援計画を実施するか、登録支援機関に委託するかを選ぶことができます。
支援機関を活用する場合、その選定は非常に重要です。

登録支援機関の主な支援内容

  • ● 空港出迎えや住居契約の補助
  • ● 銀行口座・携帯電話の開設支援
  • ● 生活オリエンテーションの実施
  • ● 日本語学習サポート
  • ● 労働トラブルの相談窓口

良い支援機関を選ぶポイント

  • ● 実績が豊富で、製造業の支援経験がある
  • ● 外国語対応(特に母語)に強いスタッフがいる
  • ● 対応が早く、契約内容が明確
  • ● 料金体系が透明で追加費用がない

支援が不十分だと、外国人が生活に困り、結果的に退職やトラブルの原因になりやすくなります。

外国人材が安心して働けるよう、企業と支援機関が連携しながら長期的な視点で受け入れを行うことが大切です。

4. 留学生から特定技能への移行方法

4.1 留学ビザからの変更手続き

日本で学ぶ外国人留学生は、卒業後に特定技能ビザへ変更する道が開かれています。
とくに工業製品製造業分野では、専門学校や大学で技術を学んだ留学生がスムーズに移行できるケースが増えています。

変更に必要な条件

  • ● 卒業したことを証明する書類(卒業証明書や成績証明書)
  • ● 特定技能評価試験と日本語試験の合格証明書
  • ● 雇用契約書(勤務先企業との契約が決まっていること)

変更手続きは出入国在留管理局で行い、通常1~2ヶ月の審査期間が必要です。

「卒業→就職」までのスケジュールがタイトなため、早めに試験合格と企業内定を確保しておくことが重要です。

よくある注意点

  • ● 卒業後すぐに就労ビザを申請しないと「資格外活動」の状態になる
  • ● 書類不備によって審査が長引く
  • ● 支援体制が不十分な企業に内定してしまう

不安な場合は、学校のキャリア支援課や専門の行政書士に相談すると安心です。

4.2 アルバイト経験をどう活かすか

留学生の多くは、在学中にコンビニや飲食店などでアルバイトを経験しています。
しかし、特定技能の分野で求められるのは「実務に直結するスキル」です。

もし、製造業の現場でアルバイトしていた場合は、それが大きな強みになります。
たとえば以下のような経験が評価されやすいです。

  • ● 組立・検査などの工程に携わった経験
  • ● 工具の扱いやマニュアルの理解力
  • ● 職場での日本語によるコミュニケーション力
  • ● チームで作業する中での協調性

「現場に慣れている」「すぐに戦力になる」と見なされれば、企業側も採用しやすくなります。

また、アルバイト先からの紹介や推薦があれば、スムーズに内定に繋がるケースもあります。
在学中から興味のある業種で働き、経験を積んでおくのがおすすめです。

4.3 移行時の失敗例と回避方法

留学生が特定技能に移行する際には、いくつかの落とし穴があります。
ここでは、よくある失敗例とその対策を紹介します。

よくある失敗3選

① 申請書類の不備や誤記
→ 書類提出時に記載ミスや必要書類の抜けがあると、審査が遅れる・不許可になることもあります。
② 試験のタイミングを逃す
→ 卒業に間に合うように試験を受けていないと、ビザ切り替えまでの空白期間が発生する可能性があります。
③ 内定企業の支援体制が不十分
→ 日本語指導がなく、生活支援も不十分な企業では、働き始めてすぐに退職というケースも。

回避するためのポイント

  • ● 学生のうちに「試験合格」と「内定確保」を済ませる
  • ● 入国管理局の公式情報を必ずチェックし、書類は専門家にダブルチェックしてもらう
  • ● 支援体制が整った企業を選ぶ(登録支援機関がついているかも確認)

スムーズな移行を実現するには、計画性と情報収集がカギです。

5. 特定技能人材が工業製品製造業で働く際の課題と対策

5.1 よくあるトラブルと原因

特定技能人材を受け入れた後、現場でさまざまなトラブルが発生することがあります。
事前に原因を理解し、対策を講じることが、企業と外国人の双方にとって重要です。

よくあるトラブル3選

① 言語の壁による誤解やミス
→ 作業指示が正しく伝わらず、事故や不良品の原因に。
② 職場文化や上下関係への戸惑い
→ 礼儀や報告の仕方など、日本独自の文化が分かりづらくストレスに。
③ 残業や業務負担への不満
→ 日本人と比べて待遇や評価が不公平と感じることも。

これらのトラブルは、多くが「受け入れ準備の不足」「サポート体制の不備」に起因しています。

「雇ったら終わり」ではなく、「育て、支える姿勢」がないとすぐに退職につながるリスクがあります。

5.2 日本で働くうえでの生活支援

就労だけでなく、生活面の支援も非常に大切です。
慣れない日本での暮らしに不安を抱える特定技能人材は少なくありません。

よくある支援ニーズ

  • ● 住居の手配と契約支援
  • ● 病院、銀行、携帯電話の利用サポート
  • ● 公共交通機関の使い方指導
  • ● ゴミの分別や近所付き合いなど地域ルールの説明

これらの支援が十分でないと、生活にストレスを感じて仕事にも影響が出てしまいます。

また、支援は「最初だけ」で終わらせず、少なくとも数ヶ月〜半年は継続的にフォローすることが望ましいです。

生活の安定があってこそ、長く働き続けてもらえる土台ができます。

5.3 職場定着率を上げるための工夫

特定技能人材の受け入れにおいて、定着率の低さは大きな課題です。
「せっかく採用したのにすぐ辞めてしまう…」という悩みを持つ企業も少なくありません。

定着率を上げる3つの工夫

日本語教育の継続支援
→ オンライン講座や外部講師の導入で、言語の不安を軽減
② メンター制度の導入
→ 年齢が近い社員がサポート役として日常的に相談に乗る仕組み
③ キャリアパスの提示
→ 「この仕事を続けるとどう成長できるか」を可視化することで、モチベーション維持につながる

また、外国人本人の意見や悩みを定期的にヒアリングする仕組みをつくることで、小さな不満を早めに察知し、離職を防げます。

「働きやすさ」「成長できる職場」を実感できる環境こそが、特定技能人材の定着を支える最大の鍵です。

6. まとめ

6.1 工業製品製造業における特定技能活用のポイント

ここまで解説してきたとおり、特定技能制度は深刻な人手不足に直面する工業製品製造業にとって、有力な人材確保手段となっています。
制度を最大限に活用するためには、以下の点が特に重要です。

特定技能活用の3つのポイント

● 業務にマッチした人材の選定
→ 業種ごとの業務内容を明確にし、必要なスキル・試験に合格した人材を採用すること
● 受け入れ体制の整備と支援の充実
→ 雇用契約の適正化、生活支援、日本語教育など、トータルなサポート体制の構築が必要です
● 長期的視点での育成と定着支援
→ 採用後の教育・キャリア設計を含め、継続的に働いてもらえる環境づくりが不可欠です

制度を「採用手段」としてだけでなく、「組織を成長させる戦略の一環」として捉えることで、企業全体の生産性や職場力も向上していきます。

6.2 今後の展望と企業への提言

現在、工業製品製造業分野では特定技能1号の制度が中心ですが、今後は制度の見直しや、特定技能2号への拡大も視野に入っています。

また、外国人材をめぐる環境も変化しており、以下のような動きが予想されます。

  • より高度な技能を持つ人材へのニーズ拡大
  • 支援機関や行政手続きのオンライン化の進展
  • 多文化共生社会に向けた地域・企業の対応強化

企業側はこれらの変化に柔軟に対応しながら、より良い受け入れと育成の仕組みを作っていくことが求められます。

「人材確保」から「人材育成・活躍」へと視点を転換することで、企業としての持続的成長が実現できます。

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