目次
1. 特定技能「農業分野」とは
1.1 特定技能制度の概要
特定技能制度とは、日本の人手不足を補うために設けられた新しい在留資格の一つです。
2019年に開始され、一定の技能や知識を持つ外国人が、指定された分野で働くことを目的としています。
特定技能制度ができた背景
日本では少子高齢化の影響で深刻な人手不足が続いています。
特に、農業・建設・介護・外食産業などの分野では労働力の確保が大きな課題となっていました。
そこで、即戦力として働ける外国人を受け入れるために、この制度が導入されました。
特定技能制度の2つの区分
区分 | 在留期間 | 対象職種 | 家族の帯同 | 更新可否 |
---|---|---|---|---|
特定技能1号 | 最長5年 | 12分野(農業含む) | 不可 | 可 |
特定技能2号 | 無期限(上限なし) | 建設・造船業+2023年以降は農業を含む複数分野も拡大 | 可能 | 可 |
- ● 特定技能1号
- 一定の技能と日本語能力を持つ外国人が対象。農業分野を含む12の業種で働くことができます。
- ● 特定技能2号
- より高度な技能を持つ外国人が対象で、在留期間に制限がなく家族の帯同も可能です。もともとは建設と造船業が対象でしたが、2023年6月の制度変更により農業分野でも2号への移行が可能になりました。
特定技能ビザの対象分野
特定技能1号は、以下の12分野で認められています。
- 1. 介護
- 2. ビルクリーニング
- 3. 素形材産業
- 4. 産業機械製造業
- 5. 電子・電気機器関連産業
- 6. 建設業
- 7. 造船・舶用工業
- 8. 自動車整備業
- 9. 航空業
- 10. 宿泊業
- 11. 農業
- 12. 漁業
このうち「農業分野」は、日本の食料生産を支える重要な産業である一方、深刻な労働力不足に直面しています。
そのため特定技能1号の対象として認められ、2023年6月以降は2号への移行も可能になり、外国人労働者の受け入れが進められています。
1.2 農業分野における特定技能の位置づけ
農業分野は、日本の特定技能制度において重要な位置を占める分野の一つです。
特に、国内の農業従事者の高齢化と人手不足が深刻化しているため、外国人労働者の受け入れが急務となっています。
農業分野の労働力不足の現状
農林水産省の統計によると、日本の農業従事者の平均年齢は 67歳 を超えており、若年層の就農者が減少しています。
その結果、多くの農家が労働力不足に直面し、事業の縮小や廃業を余儀なくされるケースが増えています。
特に以下のような課題が指摘されています。
- ● 季節労働が中心で、人材確保が難しい
- ● 体力が必要な作業が多く、高齢の労働者には負担が大きい
- ● 都市部への人口流出が進み、農村部の労働力が減少
これらの課題を解決するために、政府は特定技能制度を活用し、外国人労働者の受け入れを推進しています。
農業分野での特定技能外国人の役割
特定技能外国人は、日本の農業分野で以下のような業務に従事できます。
- ● 耕種農業(野菜・果樹・花き栽培)
- ● 畜産農業(酪農・養豚・養鶏など)
具体的には、作物の植え付け、収穫、選別、梱包、家畜の世話、餌やり、搾乳 などの作業を行います。
特定技能外国人の受け入れが進む理由
農業分野で特定技能外国人の受け入れが拡大している主な理由は以下の通りです。
- 1. 慢性的な人手不足の解消
- 2. 労働力の確保により、事業の継続が可能になる
- 3. 農作業の生産性向上と安定した食料供給の実現
特定技能外国人は最長5年間の就労が可能であり、企業や農家にとって貴重な戦力となっています。
2. 農業分野の人手不足の現状
2.1 農業従事者の高齢化と減少
日本の農業は深刻な労働力不足に直面しており、その主な原因の一つが農業従事者の高齢化と若年層の減少です。
この問題は全国的に広がっており、農業の持続可能性に大きな影響を与えています。
農業従事者の平均年齢の推移
農林水産省の調査によると、日本の農業従事者の平均年齢は年々上昇しています。
年 | 農業従事者の平均年齢 |
---|---|
2000年 | 約59歳 |
2010年 | 約65歳 |
2020年 | 約67歳 |
このデータからもわかるように、農業従事者の高齢化が進んでおり、70歳以上の農業者が全体の50%以上を占める地域もあります。
若年層の就農者が減少している理由
若い世代の農業離れも深刻な問題です。その背景には、以下のような要因が挙げられます。
- ● 収入が不安定で、労働時間が長い
- ● 都市部の雇用機会が増え、地方の農業に魅力を感じにくい
- ● 農地取得のハードルが高く、新規就農が難しい
これにより、農業を継ぐ若者が少なくなり、労働力の確保がますます難しくなっています。
高齢化と人手不足がもたらす影響
農業従事者の高齢化と若年層の減少は、日本の農業にさまざまな問題を引き起こしています。
- 1. 農業の生産性が低下 → 体力的な負担が大きくなり、作業効率が下がる
- 2. 農地の管理が困難に → 耕作放棄地の増加
- 3. 食料自給率の低下 → 国内生産量が減少し、輸入依存が進む
こうした課題を解決するため、政府は特定技能制度を活用して、外国人労働者を農業分野に積極的に受け入れる施策を進めています。
2.2 人手不足がもたらす影響
農業分野の深刻な人手不足は、日本の食料生産や地域経済にさまざまな影響を及ぼしています。
特に、中小規模の農家では担い手が不足し、事業継続が困難になるケースが増えています。
農作業の遅れと生産量の減少
農業は、作物の植え付けや収穫などの作業を適切な時期に行うことが重要です。
しかし、人手が足りないと以下のような問題が発生します。
- ● 収穫が遅れ、作物の品質が低下する
- ● 適切な管理ができず、病害虫被害が増える
- ● 労働時間の増加により、農業従事者の負担がさらに大きくなる
これにより、最終的には生産量の減少につながり、農家の収益にも影響を与えます。
農地の放棄と地域経済への影響
農業従事者の減少に伴い、耕作放棄地の増加が問題となっています。
農林水産省のデータによると、日本全国の耕作放棄地は約42万ヘクタールに達しており、これは埼玉県の面積に匹敵する広さです。
農地が放棄されると、以下のような影響が出ます。
- ● 地域の農業生産が縮小し、食料自給率が低下する
- ● 農業関連の産業(肥料・機械販売、流通業など)にも影響が及ぶ
- ● 過疎化が進み、地域経済の衰退につながる
特に地方では、農業が主要な産業となっている地域が多く、人手不足がそのまま地域経済の悪化につながることが懸念されています。
食料価格の上昇と消費者への影響
農業の人手不足は、生産コストの上昇を引き起こし、それが食料価格の高騰につながる可能性があります。
- ● 人手不足で作業効率が低下し、生産コストが増加する
- ● 供給量が減ることで、野菜や果物の価格が上昇する
- ● 輸入食品への依存度が高まり、食料安全保障の問題が発生する
このように、農業の人手不足は単に農家だけの問題ではなく、消費者にとっても大きな影響を及ぼす重要な課題です。
3. 特定技能「農業分野」の取得要件
3.1 必要な技能試験と日本語能力
特定技能「農業分野」の在留資格を取得するためには、一定の技能試験と日本語能力試験に合格する必要があります。
これにより、外国人労働者が日本の農業現場で即戦力として活躍できるようになります。
特定技能評価試験(農業分野)
特定技能1号を取得するためには、「農業技能測定試験」に合格しなければなりません。
この試験では、農業に関する基本的な知識と実務スキルが問われます。
試験は「耕種農業」と「畜産農業」の2種類に分かれており、それぞれの業務に必要な知識と技能を測定します。
試験名 | 内容 | 主な試験範囲 |
---|---|---|
耕種農業試験 | 作物栽培の技能評価 | 土壌管理、種まき、収穫、梱包など |
畜産農業試験 | 畜産業務の技能評価 | 家畜の飼育管理、餌やり、搾乳など |
試験は日本国内および海外(フィリピン、インドネシア、ベトナムなど)で実施されており、受験者は事前に試験対策を行う必要があります。
必要な日本語能力
農業分野で特定技能1号を取得するには、日本語の基礎的なコミュニケーション能力も求められます。
これを証明するために、以下のいずれかの試験に合格する必要があります。
- 1. 日本語能力試験(JLPT)N4以上
- 2. 特定技能日本語評価試験(JFT-Basic)合格
N4レベルの日本語能力とは?
- ● 日常的な簡単な会話ができる
- ● 簡単な文章の読み書きができる
- ● 簡単な指示を理解し、作業を進められる
農業現場では、作業指示の理解や安全管理のために、日本語の最低限のスキルが求められます。
そのため、特定技能ビザを取得する前に、一定の日本語学習が必要になります。
試験に合格しなくても特定技能を取得できる場合
以下の条件に該当する場合、特定技能の技能試験や日本語試験を免除されるケースがあります。
- ● 技能実習2号を修了している場合
- ● 過去に特定技能の対象業種での就労経験がある場合
特に、技能実習制度を経て日本で働いていた外国人は、試験なしで特定技能1号に移行することができます。
3.2 在留資格取得の手続き
特定技能「農業分野」の在留資格を取得するためには、いくつかの手続きを経る必要があります。
この手続きは、雇用する企業(農業法人・個人農家など)と、外国人労働者の双方が適切に進める必要があります。
在留資格取得の基本的な流れ
- 1. 特定技能評価試験・日本語試験の合格
- 2. 雇用主(受け入れ企業・農家)との雇用契約の締結
- 3. 支援計画の作成・提出
- 4. 在留資格認定証明書の申請・交付
- 5. ビザ申請・入国
- 6. 就労開始
① 特定技能評価試験・日本語試験の合格
特定技能1号を取得するには、農業技能測定試験と日本語能力試験(JLPT N4以上など)に合格する必要があります。
ただし、技能実習2号を修了している場合は試験免除となります。
② 雇用主(受け入れ企業・農家)との雇用契約の締結
外国人が特定技能で働くためには、受け入れ先となる農家や農業法人と正式な雇用契約を結ぶことが必要です。
- ● 労働条件(給与・勤務時間・休日など)を明確にする
- ● 社会保険や労災保険に加入させる
- ● 外国人が安心して働ける環境を整える
この契約内容が適切でないと、在留資格の申請が却下される可能性があるため、慎重に進める必要があります。
③ 支援計画の作成・提出
特定技能外国人を雇用する企業(農家)は、職場や生活面での支援計画を作成・提出しなければなりません。
支援計画には以下の内容を含める必要があります。
- ● 住居の確保(宿舎の提供や住宅の手配)
- ● 生活オリエンテーション(日本のルールやマナーの説明)
- ● 相談窓口の設置(労働や生活に関するサポート)
この支援計画は、出入国在留管理庁(入管)に提出し、適切に支援を行う体制が整っているか確認されます。
④ 在留資格認定証明書の申請・交付
雇用契約が完了し、支援計画が整ったら、雇用主が「在留資格認定証明書(COE)」 の申請を行います。
これには以下の書類が必要になります。
- ● 在留資格認定証明書交付申請書
- ● 雇用契約書
- ● 特定技能評価試験の合格証明書(技能実習2号修了者は不要)
- ● 日本語能力試験の合格証明書(JLPT N4以上)
- ● 支援計画書
- ● 雇用主の会社情報・財務状況証明
入管による審査の後、問題がなければ在留資格認定証明書が発行されます。
⑤ ビザ申請・入国
在留資格認定証明書を受け取った外国人は、母国の日本大使館または領事館で特定技能ビザの申請を行います。
ビザが発給されると、正式に日本への入国が可能となります。
⑥ 就労開始
日本に入国した外国人は、受け入れ先の農家・農業法人で就労を開始します。
雇用主は、入国後も以下のサポートを提供する必要があります。
- ● 日本での生活に関する指導(交通ルール、ゴミの出し方など)
- ● 職場での研修や作業指導
- ● 健康管理・トラブル対応のサポート
特定技能「農業分野」の在留資格を取得するためには、試験合格からビザ申請、雇用契約、支援計画の作成まで、多くの手続きが必要です。
特に、雇用主側が適切な支援を提供することが、外国人労働者が安心して働くための鍵となります。
4. 特定技能外国人の業務内容
4.1 耕種農業での具体的な作業
耕種農業とは、野菜・果樹・花き(観賞用の植物)などの作物を栽培する農業のことです。
特定技能1号の農業分野では、特定技能外国人がこの耕種農業のさまざまな作業に従事できます。
耕種農業の主な作業内容
耕種農業では、作物の栽培から出荷までの幅広い業務があり、特定技能外国人は以下のような作業を担当します。
作業工程 | 具体的な業務内容 |
---|---|
土壌管理 | 土壌管理 土づくり、肥料散布、畝(うね)作り |
種まき・植え付け | 種や苗の植え付け、水やり |
栽培管理 | 追肥、害虫防除、防風・防寒対策 |
収穫 | 作物の収穫、品質選別 |
選別・梱包 | 商品ごとの仕分け、箱詰め |
出荷準備 | 出荷先への仕分け、配送手配 |
季節ごとの主な農作業
耕種農業は、作物によって作業内容が異なりますが、季節によっても仕事の内容が変わります。
季節 | 主な作業内容 |
---|---|
春(3〜5月) | 種まき、苗の植え付け |
夏(6〜8月) | 水やり、害虫防除、収穫 |
秋(9〜11月) | 収穫、出荷、畑の片付け |
冬(12〜2月) | ビニールハウス管理、土づくり |
農作業は天候や気温の影響を強く受けるため、計画的に作業を進めることが重要です。
特定技能外国人は、日本人農業者と協力しながら、作物の品質を維持するための適切な管理を求められます。
特定技能外国人が果たす役割
近年、耕種農業では人手不足が深刻化しており、特定技能外国人が以下のような重要な役割を果たしています。
- 1. 収穫期の労働力確保 → 繁忙期に必要な人材を補う
- 2. 農作業の効率化 → 作業分担により生産性向上
- 3. 新しい栽培技術の習得・活用 → 日本の農業技術を学び、自国の農業発展にも貢献
特に、大規模農家やビニールハウス栽培を行う農業法人では、特定技能外国人の雇用が増えており、安定した生産体制の構築に貢献しています。
耕種農業において、特定技能外国人は作物の栽培・収穫・出荷など、農業の重要な工程を担っています。
日本の農業が持続可能であるためには、外国人労働者の力が不可欠になってきています。
4.2 畜産農業での具体的な作業
畜産農業とは、牛・豚・鶏などの家畜を飼育し、肉や乳製品、卵などを生産する農業のことです。
特定技能1号の農業分野では、特定技能外国人がこの畜産農業のさまざまな作業に従事できます。
畜産農業の主な作業内容
畜産農業では、家畜の飼育管理から出荷までの幅広い業務があり、特定技能外国人は以下のような作業を担当します。
作業工程 | 具体的な業務内容 |
---|---|
給餌・水やり | 家畜の餌やり、水の補給 |
飼育管理 | 体調チェック、清掃、温度管理 |
繁殖管理 | 人工授精、出産サポート |
搾乳(酪農) | 牛の搾乳、乳の品質管理 |
畜舎の清掃・消毒 | 施設の衛生管理、糞尿処理 |
出荷準備 | 出荷前の健康チェック、運搬手配 |
畜産業の種類と特徴
特定技能外国人が働く畜産業には、主に以下の3つの分野があります。
畜産業 | 特徴 |
---|---|
酪農(乳牛) | 牛乳を生産するための牧場管理 |
養豚 | 豚を育て、食肉用に出荷 |
養鶏 | 鶏を飼育し、卵や鶏肉を生産 |
畜産業は365日体制での管理が必要なため、労働力の確保が重要です。
特定技能外国人の活躍により、人手不足の解消が期待されています。
特定技能外国人が果たす役割
近年、畜産農業では高齢化と人手不足が深刻化しており、特定技能外国人が以下のような役割を果たしています。
- 1. 畜舎の衛生管理を徹底し、病気の発生を防ぐ
- 2. 繁忙期の労働力を確保し、生産性を向上させる
- 3. 長期的に働くことで、技術を習得し即戦力となる
特に、大規模な酪農や養豚場では、特定技能外国人の受け入れが進んでおり、安定した家畜の生産に貢献しています。
畜産農業において、特定技能外国人は家畜の世話や衛生管理など、農場運営の重要な業務を担っています。
日本の畜産業の安定的な発展のためには、外国人労働者の活躍が今後ますます重要になっていくでしょう。
5. 受け入れ企業が注意すべきポイント
5.1 農業特定技能協議会への加入
特定技能外国人を受け入れる農業法人や個人農家は、「農業特定技能協議会」への加入が義務付けられています。
この協議会は、適正な雇用環境を整え、特定技能外国人が安心して働けるよう支援する役割を果たします。
農業特定技能協議会とは?
農業特定技能協議会は、特定技能外国人を受け入れる企業や団体が参加する組織で、特定技能制度が適切に運用されるよう監督・指導を行う機関です。
この協議会は、農業分野ごとに設置されており、外国人労働者の雇用状況の確認やトラブル防止などの役割を担っています。
協議会への加入が義務付けられている理由
農業特定技能協議会への加入が義務化されているのは、以下のような理由からです。
- 1. 外国人労働者の適正な雇用管理の確保
- 2. 不適切な雇用や労働環境の悪化を防ぐため
- 3. 受け入れ企業同士の情報共有を促進するため
特定技能外国人を雇用する企業は、協議会に加入しなければならず、未加入のままでは在留資格の申請が認められません。
協議会加入の手続きと必要書類
農業特定技能協議会へ加入するためには、以下の手続きを行う必要があります。
- 1. 協議会の公式サイトまたは担当窓口へ申し込み
- 2. 必要書類の提出
- 3. 審査・承認後、正式加入
主な必要書類
- ● 受け入れ企業(農家)の法人登記簿謄本または事業証明
- ● 特定技能外国人の雇用契約書
- ● 事業内容や従業員数に関する資料
協議会に加入しない場合のリスク
農業特定技能協議会に加入しないと、以下のような問題が発生する可能性があります。
- ● 特定技能外国人の在留資格が認められない
- ● 行政指導や罰則の対象となる可能性がある
- ● 外国人労働者の支援が不十分になり、定着率が下がる
協議会への加入は義務であり、受け入れ企業としての責任を果たすためにも、適切な手続きを行うことが重要です。
農業特定技能協議会への加入は、特定技能外国人を雇用する上で必須の手続きです。
適正な雇用環境を整え、外国人労働者が安心して働けるようにするため、早めに加入手続きを進めることが求められます。
5.2 業務・生活支援の重要性
特定技能外国人が日本の農業現場で長く働くためには、業務面だけでなく生活面での支援も重要です。
適切な支援がないと、外国人労働者が早期に離職したり、日本での生活に適応できなかったりする可能性があります。
業務支援のポイント
農業分野では、特定技能外国人が日本の農業技術や作業フローに適応できるよう、以下のような業務支援が必要です。
- 1. 作業マニュアルの整備
- ○ 言語(母国語・英語・やさしい日本語)での説明資料を用意
- ○ 画像や動画を活用し、視覚的に理解しやすくする
- 2. 作業指導の徹底
- ○ 初めての作業でも丁寧に指導し、安全管理を徹底
- ○ ベテラン従業員が mentor(指導役)としてサポート
- 3. 日本語のサポート
- ○ 作業指示や注意点を簡単な日本語で伝える
- ○ 基本的な日本語の会話トレーニングを実施
業務面での支援が適切に行われると、特定技能外国人がスムーズに業務をこなし、即戦力として活躍しやすくなります。
生活支援のポイント
日本での生活に適応するためには、仕事以外の部分でもサポートが必要です。
受け入れ企業は、以下のような支援を行うことが求められます。
- 1. 住居の確保
- ○ 寮やアパートの手配
- ○ 家具や家電などの生活必需品の準備
- 2. 生活オリエンテーションの実施
- ○ ゴミ出しや公共交通機関の使い方の説明
- ○ 病院の受診方法や緊急時の連絡先の共有
- 3. 相談窓口の設置
- ○ 仕事や生活に関する悩みを相談できる環境を整備
- ○ 母国語で対応できるスタッフや通訳を配置
- 4. 地域との交流支援
- ○ 近隣住民との交流イベントを企画
- ○ 地域のお祭りや行事への参加を促す
支援が不十分な場合のリスク
十分な業務・生活支援がないと、以下のような問題が発生する可能性があります。
- ● 外国人労働者が孤立し、離職率が高まる
- ● 仕事のミスやトラブルが増え、生産性が低下する
- ● 地域住民とのトラブルが発生し、定着が難しくなる
特定技能外国人が安心して働き続けるためには、業務・生活の両面からのサポートが欠かせません。
特定技能外国人が日本で長く働くためには、業務支援と生活支援の両方が重要です。
適切なサポートを提供することで、外国人労働者が職場や地域に定着し、農業の発展にも大きく貢献できるでしょう。
6. 特定技能「農業分野」のまとめ
特定技能「農業分野」は、日本の深刻な人手不足を解決し、農業の持続可能性を高める重要な制度です。
高齢化や若年層の就農離れが進む中、特定技能外国人の活用は、農業の安定経営に大きく貢献しています。
特定技能外国人の受け入れにより、労働力不足の解消、農作業の効率化、生産性向上などのメリットが期待されます。
一方で、適切な雇用管理や生活支援が必要不可欠です。
農業特定技能協議会への加入や、住居・生活オリエンテーションの提供など、受け入れ企業の責任も重要になります。
今後、制度のさらなる拡充や受け入れ環境の整備が進むことで、外国人労働者がより働きやすくなり、日本の農業を支える存在となるでしょう。
特定技能制度を活用し、持続可能な農業経営を目指しましょう。
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特定技能「農業分野」の在留資格取得や外国人労働者の受け入れには、専門的な手続きが必要です。
適切な申請を行うことで、スムーズに外国人材を採用し、安定した農業経営を実現できます。
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