特定技能から永住を目指す場合、最大の注意点は「特定技能1号の在留期間は、永住許可の「就労資格で引き続き5年以上」という要件にカウントされない」ことです。この記事では、1号と2号の違いを踏まえた、特定技能から永住への具体的なルートを解説します。
⚠️ 特定技能の対象分野は現在「19分野」です(2026年9月1日現在)
特定技能の対象分野は制度開始以降くり返し見直されており、この記事の本文には改正前の分野数・分野名が残っている箇所があります。最新の内容は下表をご確認ください。
| 項目 | 現在(2026年9月1日) |
|---|---|
| 特定産業分野の数 | 19分野(このうち物流倉庫・資源循環の2分野は、出入国在留管理庁が「省令等の準備が整い次第受入れが可能」としています。実際に受入れが可能なのは、この2分野を除いた17分野) |
| 特定技能2号の対象 | 11分野(ビルクリーニング・工業製品製造業・建設・造船・舶用工業・自動車整備・航空・宿泊・農業・漁業・飲食料品製造業・外食業。2023年8月に建設・造船・舶用工業の2分野から拡大。出典:出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について」) |
| 製造3分野 | 素形材産業/産業機械製造業/電気・電子情報関連産業は、2022年5月に統合され、2024年3月に「工業製品製造業」へ名称変更 |
| 2024年3月の追加 | 自動車運送業/鉄道/林業/木材産業 |
| 2026年1月23日の閣議決定で追加 | リネンサプライ/物流倉庫/資源循環 |
| 外食業 | 2026年4月13日以降、在留資格認定証明書の交付と特定技能1号への変更は原則停止(受入れ見込数を超える見込みのため。転職などに伴う申請と在留期間の更新は通常どおり) |
※外食業分野は、2026年4月13日から、在留資格認定証明書の交付と、特定技能1号への在留資格の変更が、原則として一時停止されています(すでに外食業分野の特定技能1号で在留している方の転職などに伴う申請や、在留期間の更新は、通常どおり審査されます)(出典:出入国在留管理庁「外食業分野における在留資格認定証明書の交付の一時停止措置について」「外食業分野の審査状況」、確認日:2026年10月22日)。
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針・運用要領」
分野は「出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野等を定める省令」第一条(令和8年4月1日施行の改正後)に定められています。受入れが可能な分野は出入国在留管理庁「分野別情報」をご確認ください。
1.【最重要】特定技能1号は「就労5年」の要件にカウントされない
永住許可の要件には「原則、引き続き10年以上の在留(うち就労資格等で5年以上)」がありますが、特定技能1号としての在留期間は、この「5年」のカウントに含まれません。
一方で、「引き続き10年以上の在留」という総在留年数には、特定技能1号の期間も算入されます(「留学」などと同じ扱いです)。カウントされないのは、あくまで「就労資格で5年以上」という内訳要件の部分です。
特定技能1号は最長5年までの在留資格であり、そもそも制度上、長期的な定着を前提としていないためです。
そのため、特定技能1号のままでは、いくら日本に長く滞在しても永住申請の要件を満たすことができません。
特定技能1号と2号の違い(永住への影響)
2. 特定技能2号への移行で状況が変わる
一方、特定技能2号は在留期間に上限がなく、更新を続ける限り長期滞在が可能で、永住許可の要件におけるカウント対象にもなります。
2023年の制度拡大により、対象分野が広がっており、1号から2号への移行を目指す方が増えています。
特定技能2号への移行には、上位の技能試験の合格や実務経験の証明が必要です。移行準備は、1号の期間が終わる前から計画的に進めることが重要です。詳しくは『特定技能2号の申請方法を解説|1号との違い・必要書類・審査期間まとめ』をご覧ください。
3. 特定技能以外の在留資格と組み合わせるケース
特定技能1号の期間中に、技術・人文知識・国際業務など他の就労資格に変更するケースもあります。
永住許可の「5年」要件は、在留資格の種類を問わず通算できるため、例えば「技能実習」で2年、「特定技能2号」で3年、といった形での通算も可能です。
4. 永住申請に向けた基本要件(共通部分)
- ・原則、引き続き10年以上日本に在留していること(そのうち就労資格等で5年以上、かつ特定技能1号期間は除く)
- ・納税・年金・社会保険料などの公的義務を果たしていること
- ・罰金刑・拘禁刑などの前科がないこと(素行善良要件)
- ・独立した生計を営むに足りる資産または技能があること
5. 申請タイミングと、今知っておくべき手数料改定
永住許可申請の手数料は、2026年10月1日に10,000円から一律200,000円に引き上げられました(2026年8月25日に改正政令が閣議決定)。
詳しくは「永住申請の手数料は200,000円|2026年10月1日の改定内容と減額措置」をご覧ください。
※2026年8月25日に改正政令が閣議決定され(首相官邸「令和8年8月25日(火)定例閣議案件」)、2026年10月1日から施行されました。詳細は出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」をご確認ください。
まとめ
特定技能から永住を目指す場合、1号の在留期間が永住要件にカウントされないという点が最大のポイントです。2号への移行、または他の就労資格への変更など、ご自身の状況に応じたルートを早めに検討することが大切です。
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森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。