このコラムでは、帰化申請の際に必要とされる「思想条件」について解説します。
「思想条件とは宗教のことでしょうか?」というご質問をよくいただきますが、結論から言うと「思想条件」は宗教のことを意味しません。
では、どのような内容になるでしょうか?どんなことがあると帰化申請の結果に影響するのでしょうか?
行政書士が帰化申請のプロとしてわかりやすくお答えします。
1.帰化申請における思想要件とは?
外国人が日本国籍を取得するために行う帰化許可申請においては、様々な条件があります。
それら帰化申請の条件の一つとして、国籍法第5条1項6号は、思想(憲法遵守)条件として下記の内容を定めています。
- 第5条
- 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
- (中略)
- 6号
- 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
この条文の内容から読み取ることができるように、思想要件の「思想」とは「宗教」を意味するものではなく、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義の原則から成り、日本という国の最高法規である日本国憲法や、その下に成立している日本国政府を暴力で破壊することを内容とする思想を指します。
日本国憲法、日本国政府を破壊することを企て、又は主張したことがないこと、このような主張をする団体を結成したことがないこと、このような団体に加入したことがないこと、が帰化申請の「思想条件」として求められるということです。
典型的には暴力団関係者・反社会勢力関係者・テロリスト等はこの思想条件を満たさず、帰化が許可されることは難しいです。
2.思想要件が問われるのは申請人だけ?家族も影響する?
上記の思想(憲法遵守)要件が影響するのは、帰化申請をする本人だけではありません。
申請人の親や兄弟等に思想条件を満たさない方がいる場合には、それら親族との関係性が総合的に判断され、場合によっては帰化が許可されません。
親族との関係性については、下記のような点から判断がされます。
- 【思想条件が影響する範囲】
- 同居の有無
- 交際の有無
- 同居・交際の期間
このように、思想条件は帰化申請人のこれまでの経歴や思想条件を満たしていない親族等との関係性等を総合的にみて、帰化申請人は、日本国憲法や、その下に成立している日本国政府を暴力で破壊することを内容とする思想を有していないかどうかについて審査するものと考えられます。
「帰化したいけど、自分は申請できるのかな?」「自分は条件を満たしているのかな?」など、心配事や相談がある方は、ぜひ一度行政書士法人Climbにご相談ください。