本稿では、自分で帰化申請する手順や費用、そのメリット・デメリットについてご説明します。
1.帰化申請は自分で出来るのか?
帰化申請の費用を安くするために、自分で書類を集め、自分で申請書等を記入し、専門家に頼らずに自分だけで帰化申請をすることは可能です。実際に、帰化申請のために行くことになる法務局においては、自分で帰化申請をしている方も多くいます。
では、実際に自分で帰化申請をする場合のやり方をはじめ、一般的にどのような流れ・手順になるのか、費用はどのくらい安くなるのかをご紹介します。
1-1 どの法務局で手続きをするか調べる
帰化申請は、「自分の住所地を管轄する国籍事務を扱う法務局」にて手続きをすることになります。
法務局という建物は各所にありますが、その中でも以下を調べる必要があります。
- ① 自分の住所地を管轄する法務局
- ② 国籍事務を扱う法務局
法務局のホームページからも探すことができます。
1-2 法務局に相談予約をする
どの法務局で帰化申請の手続きをすればよいかが分かったら、帰化申請の相談をするために予約をします。
相談は予約制になっているため、事前に連絡をして予約をとり、指定の日時に管轄法務局の窓口に行きましょう。
1-3 予約した日時に法務局で相談し必要書類を教えてもらう
自分の状況を窓口で説明し、帰化の条件を備えているか、帰化申請ができるのであればどのような書類が必要なのかを法務局で教えてもらいます。
ただし、法務局での相談は一度では済まない場合が多いかと思います。帰化申請での必要書類は帰化申請をする方の状況に応じて変わります。
そのため、一度の相談で帰化申請に関する自分の状況を正確に伝え、必要書類のすべてを教えてもらうのはかなり難しいかと思われます。
この時に、帰化許可申請の手引きと申請書も貰えます。
帰化許可申請の手引きには、必要書類の内容や申請書等の書き方について詳しく書かれていますのでよく読んでおきましょう。
1-4 書類を集め、法務局に提出する
法務局で指示された書類を集めたら、再び同じ法務局に窓口に連絡し、相談の予約をします。
集めた身分関係や税金に関する書類等の書類が正しいものかどうかの確認がされます。
また、申請書もこの際に作成しておきます。
この際に、集めた書類や申請書に不足・不備があれば指摘されます。
1-5 申請が受理されるまで、不備があれば対応する
指摘された不足・不備を修正し、申請書類が全て整ったら、再度同じ法務局に窓口に連絡し、予約をします。
法務局に指示された書類にも、申請書にも問題が無ければ帰化申請が受理されます。
まだ申請書類に不足や不備があれば、申請が受理されるまで修正、予約を繰り返すことになります。
ここで注意しなければならないのは、帰化申請書類の中には発行日から3か月以内等の有効期限が設定されている書類もあることです。
そのため、何度も不備の修正をしているとこの有効期限が過ぎてしまい、再び同じ書類を取得しなおさなければならなくなってしまいます。
1-6 面接
帰化申請が受理された1~3か月後に、管轄の法務局から面接の連絡があります。
面接では、帰化申請書類の内容の確認や帰化の動機等を聞かれます。
1-7 審査が終わったら、結果を受け取る
帰化申請が受理されてから10か月~1年程度の審査期間を経て、帰化許可又は不許可の連絡が来ます。
以上が、自分で帰化申請をする場合のやり方、一般的な流れ・手順になります。
2.帰化申請を自分でやる場合の費用は?
それでは、帰化申請を自分でやる場合にかかる費用はどのくらいでしょうか。
「帰化申請の費用を安くおさえるために自分で申請をする」といっても、無料で申請ができるわけではなく、手続きに必要な諸費用はあります。
2-1 自治体で発行してもらう書類
帰化申請をする方の状況により取得する書類は異なりますが、市区役所関係の書類として、以下のような書類を取得することになります。
- ・住民票1通 200円
- ・出生記載事項証明1通 350円
- ・婚姻記載事項証明書1通 350円
- ・市民税納税証明書、所得証明書 500円
2-2 運転関連の書類
日本で運転免許証を持っている方は、「運転記録証明書」を取得する必要があります。
法務局にて払込取扱票をもらえたら、630円と郵送料84円がかかります。
2-3 本国戸籍等の取り寄せ
例えば、韓国籍の特別永住者の方が帰化申請をする場合には、韓国領事館へ行き、下記の書類等を請求します。
- ・基本証明書
- ・自分と両親の婚姻関係証明書
- ・自分と両親の家族関係証明書
- ・入養関係証明書
- ・親養子入養関係証明書
1通あたり280円で請求できます(為替等の関係で手数料は変動します)。
2-4 書類の翻訳
ご自身で翻訳ができれば、0円になります。
翻訳を依頼する場合には、一枚あたり1,500円~3,000円程度が相場としてかかります。
2-5 交通費やコピー代などの雑費
法務局に相談や申請に行く際や、市区役所等に書類を取得する際にかかる交通費、コピー代等の費用もかかります。
3.帰化申請を自分でするメリット、デメリット
3-1 帰化申請を自分でするメリット=費用が安い
全体の費用感として、行政書士に依頼した場合の相場は10万円から25万円程度となっているのに対し、自身で帰化申請をした場合には書類の収集や翻訳料金、交通費等を合わせても大体2万円~3万円程度になるかと思います。
自身で翻訳ができるのであれば更に費用を抑えることができ、帰化申請全体にかかる費用が安くなるかと思います。
3-2 帰化申請を自分でするデメリットとは?
- 【 書類の収集や申請書の記載に不足・不備が生じやすい 】
- 行政書士に依頼する場合と比べて、慣れない行政上の手続きを自分ですることになりますから、スムーズに適切な書類を集めること、不備の無い申請書を作成することは難易度が高いかと思います。
- 【 申請受理までの期間が長くなってしまう 】
- 上記のデメリットに関連し、自分で集めた書類や申請書に不足・不備があることで何度も修正をすることになるとそれだけ申請の受理までに時間がかかることになってしまいます。
費用を安く抑えるために自分で手続きしようと思っても、なかなか書類が整わずに申請受理までの期間が長くなってしまうことで、帰化申請に挫折してしまったというお話も聞きます。
3-3 帰化申請を行政書士に依頼するメリットとは?
法務局での相談の前段階で必要な書類の案内ができ、書類の収集も任せることができます。このことは、自分で足を運んで市区役所や領事館等に行く手間も省くことができ、仕事を休まなければならない等の私生活上の影響も減らすことにも繋がります。
また、スムーズに書類の収集をすることができ、不備の無い申請書を作成できますので、申請受理までの期間を短縮することができます。
帰化申請を自分でするメリットやデメリットを踏まえ、どちらの選択をするのが自分や家族の状況に合っているのかを検討し、選択をするべきです。
「帰化したいけど、自分は申請できるのかな?」「自分は条件を満たしているのかな?」と迷う場合は、ぜひ一度、行政書士法人Climbにご相談ください。