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過去に犯罪をして罰せられたことがあり、前科がある場合、「帰化申請はできますか?」「不許可になってしまいますか?」などというご相談を受けることがあります。
結論的には、帰化申請自体はできます。しかし、前科・犯罪歴がある場合には、帰化申請の審査上不利に働くため、許可を得られる可能性は低いと考えていただいたほうがよいです。
本稿では、前科・犯罪歴がある場合の帰化申請について説明します。
1.前科・犯罪歴があると帰化できない?
1-1 帰化の条件とは
帰化申請が許可されるための条件は国籍法第5条に規定されています。
①居住要件:引き続き5年以上日本に住所を有すること。
②能力要件:20歳以上で本国法によって能力を有すること。
③素行要件:素行が善良であること。
④生計要件:自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
⑤国籍喪失要件:国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
⑥思想要件:暴力団関係者等でなく、日本国政府を暴力で破壊することを企てる等の思想を持っていないこと。
⑦日本語能力:(明文の規定はないものの)日本で生活できる十分な日本語能力があること。
1-2 前科・犯罪歴は帰化のどの条件に抵触する?
帰化許可申請が許可されるための要件の一つに、上記の③素行要件があります。
素行要件は、「素行が善良であること」という抽象的な表現で規定されていますが、前科・犯罪歴があることは、多くの場合に素行が善良でないと評価される事実であるため、素行要件が満たされず、帰化申請が不許可になることが多いのです。
2.素行要件の審査項目
素行要件が審査される際の項目としては、下記のものが挙げられます。
【帰化申請の条件~素行要件~】
・前科の有無、内容、犯罪歴
・破産歴
・交通事故、違反の有無、内容
・納税状況
・年金の支払い状況
・民法上の不法行為
・家族の素行
このように、素行要件の審査項目には前科・犯罪歴があるため、前科や犯罪歴がある場合には素行要件の関係で帰化申請が不許可になることが多いです。
3.前科・犯罪歴がある場合と帰化申請をするまでの期間
「前科がある」といっても、その内容は様々です。実刑有罪判決を言い渡され刑務所に服役したという前科もあれば、執行猶予付きの有罪判決を言い渡され刑務所への服役等はしなかったという前科もあります。
前者の実刑有罪判決の場合には許可の可能性は低いですが、刑務所を出所してから10年以上経過してから帰化申請をすれば許可される可能性はあります。
後者の執行猶予付きの有罪判決の場合も不許可の可能性は上がりますが、言い渡された
執行猶予期間の約2倍の期間が経過してから帰化申請をすれば許可される可能性はあります。
4.前科・犯罪歴があるが帰化申請をしたい場合、どうすべき?
前科・犯罪歴があるが帰化申請をする場合には、帰化申請が不許可になるのではないか、とご不安なこともあるでしょう。その場合は
①刑の執行から相当年数が経過した後に申請すること
②帰化申請の際、前科について隠さないこと
に気を付けるべきです。
また、帰化の動機書の文中に、当時のことを反省していること、二度としないと誓うことを書くことも検討するとよいでしょう。
帰化申請に関してのご質問や、帰化申請をするにあたってご心配な点はぜひ行政書士法人Climbにご相談ください。
森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。