「短期滞在」ビザとは、「観光、商用、知人・親族訪問等90日以内の滞在で報酬を得る活動をしない場合」に許可される滞在資格です。
「商用」とは、市場調査、業務連絡、商談、契約調印、輸入機械のアフターサービス等を意味します。その他、親善訪問、スポーツ、保養、競技会やコンテスト等へのアマチュアとしての参加、大学等の受験などを目的として短期滞在ビザが発給されます。
何らかの理由(感染症の流行など)によって、短期滞在ビザの期限までに自国に帰国できない場合等の対応については、こちらの記事⇒「短期滞在ビザとは?新型コロナウイルスによる短期滞在ビザの延長方法など」を参考にしてください。
本コラムでは、「短期滞在ビザから、他の在留資格に変更ができるのか?」ということについてお話していきます。
1. 短期滞在ビザから、滞在中に他の在留資格に変更できる?
観光や親族訪問等を目的として「短期滞在」のビザで日本に滞在している外国人は、原則として他の在留資格(ビザ)への「変更」の申請はできません。
ただし、その変更の申請をすることに「やむを得ない特別の事情」がある場合には、変更の申請が認められることもあります。
これは、「短期滞在」は他のビザと比べて比較的簡単な審査によってビザが発行されていること、申請人の国籍によっては審査を経ないで短期滞在のビザで来日できる場合もあること、長期滞在を予定している外国人の方には入国時に厳格な審査を行っていること等の背景が関係していると思われます。
しかしながら、実際に短期滞在で日本に滞在している間に、「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザに直接の変更申請は認められません。その場合には、上記の「やむを得ない特別の事情」が認められないのです。
それでは、どのような場合に「やむを得ない特別な事情」が認められ、「短期滞在」から他の在留資格への変更申請が認められるのでしょうか?
2. 変更申請が認められるケースとは?
上で説明をした「短期滞在」で日本滞在中における「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザ申請の場合の「やむを得ない特別な事情」としては、すでに『「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザの在留資格認定証明書が交付されていること』が挙げられます。
つまり、「短期滞在」から帰国することなく「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザに変更をしようとする場合には、「短期滞在」ビザで来日中に在留資格認定証明書の交付申請をして、「短期滞在」の在留期限までに在留資格認定証明書の交付を受け、交付を受けた在留資格認定証明書を添付してビザの変更申請をすることができます。
このような方法をとることで、帰国することなく「短期滞在」から他の就労ビザへの変更を実現できます。
それでは、短期滞在で来日中に「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」、「定住者」への変更申請の場合はどうでしょうか。
これらの場合はすべて特別な事情に該当するため、「短期滞在」ビザから「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」という身分系のビザに直接変更することが認められます。上で説明をした就労ビザへの変更と比べ、かなり容易ですね。
このように、身分系のビザと分類される「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」というビザは、就労制限が無いというだけでなく、申請の方法の面からも、他のビザよりも魅力的であるといえます。