在留資格「日本人の配偶者等」(配偶者ビザ、結婚ビザなどと呼ばれることもあります)を申請し、入管でその申請内容を審査される際には、いわゆる婚姻の真実性という観点の審査がなされます。
この審査で婚姻の真実性を認められない場合には、ビザを申請しても不許可になってしまいます。
この入管における「婚姻の真実性」の審査は、どういう条件に基づいてなされるのでしょうか。行政書士がわかりやすく解説します。
「偽装結婚」が「日本人の配偶者等」ビザの申請で問題となる背景
日本人と結婚をした日本人の配偶者である外国人の方は、「日本人の配偶者等」のビザを申請することができる立場にあります。
ここでいう「配偶者」とは、形式的には、現に日本人と法律上の婚姻関係にある者を指し、実質的には、同居しお互いに扶助しあう社会通念上の夫婦としての共同生活を営む者を指します。
配偶者にはこの形式的側面と実質的側面の両方が必要となります。
この両側面を満たしていない場合、日本人配偶者ビザを申請しても、不許可になってしまいます。
「婚姻の真実性」の審査ポイントはこの2つ!
- ① 結婚の手続きをし、現に日本人と法律上の婚姻関係にある
- ② 同居しお互いに扶助しあう社会通念上の夫婦としての共同生活を営む
偽装結婚の罰則は?
入管法に規定されている在留資格等不正取得罪(同法第70条1項)では、虚偽の内容の申請をし、不正に在留資格(ビザ)を得て日本に上陸又は滞在し続けた方に、3年以下の懲役若しくは禁固若しくは300万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁固若しくは罰金を併科することを予定しています。
偽装結婚で不正にビザを得た場合の罰則
- ① 3年以下の懲役
- ② 3年以下の禁固
- ③ 300万円以下の罰金
- ④ ①~③を併科
在留資格等不正取得罪(同法第70条1項)より
さらに、「偽計を用いて日本に上陸したことが発覚すること」や、「不実を記載した文書を提出した結果、上陸をしたことが発覚すること」という事情があれば、在留資格の取消(入管法第22条の4)をされることもあります。
このような「日本人の配偶者等」ビザの審査内容や、入管法の規定にみられる虚偽の申請に対する姿勢から、当然のように「偽装結婚」は「日本人の配偶者等」ビザの申請上、不許可の理由になります。
結婚の「真実性」を立証するのは難しい
しかし、「結婚」というものはその「当事者の合意」が大元にあり、合意とは意思の合致でありますので、その真意は外観からは分かりづらいものです。
たとえ出会いから結婚までの期間が1か月であっても、2人の年齢が離れていても、お互いが急速に惹かれあい結婚に至ることは、人間である以上は起こり得ることとして考えられます。
一方、この結婚というものの性質を逆手にとって、偽装結婚をした上で「日本人の配偶者等」ビザの申請をする方が後を断たないのも事実です。
このような状況から、「このビザ申請をしている外国人と配偶者である日本人は、真意に基づいた結婚をしているのか?」という点について、入管は慎重に審査をせざるを得ません。
そのため、提出する質問書では結婚に至った経緯や普段の会話、親族関係など詳しく問われます。
また、夫婦間の交流が確認できる資料として、2人で撮ったスナップ写真やSNSの記録を提出させることもあります。
「婚姻の真実性を自分で立証できるか不安」という方は、是非、行政書士法人Climbへご相談下さい。
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