2019年4月から新しく創設された在留資格「特定技能」のビザを持つ外国人を受け入れる企業様(受入機関)は、自社が受け入れる特定技能外国人に対する支援を登録支援機関にその一部又は全部委託することができます。
この登録支援機関は2021年8月20日時点で6,349件ととても多くの企業及び団体又は個人が登録がしているため、支援委託先の登録支援機関をどのように選べばいいのか分からないという企業様もあるかと思います。
本稿では、登録支援機関の選び方、その際に着目すべきポイントやコツをご案内したいと思います。
登録支援機関の選び方のポイント
▼ポイント1 登録支援機関の協議会加入義務を確認する
まず、選び方の前に、登録支援機関の一覧やリストをどのように入手するかをお伝えします。
出入国在留管理庁が公開している登録支援機関の一覧リストである登録支援機関登録簿から、委託先となる登録支援機関の名称や住所、連絡先、対応言語等を知ることができます。
登録支援機関登録簿は定期的に更新されています。
この一覧リストから、まずは登録支援機関の対応言語や住所から候補を絞ることになるかと思います。
受入れ企業様が着目する点としては、登録支援機関が分野に応じた協議会に加入する義務があるか否か、あるならば加入しているかという点です。
特定技能外国人を受け入れる受入機関は、その業種に応じた協議会に加入する義務があります。
例えば、外食産業の受入機関が特定技能外国人を受け入れる場合には外食産業特定技能協議会に加入する必要があります。ちなみに協議会の加入には建設業分野以外、2021年9月現在、費用はかかりません。
ただこの協議会の加入は割と忘れられてしまいがちなのですが、加入を怠ると在留期限が来た特定技能外国人の更新が不許可になってしまうこともあるので注意が必要です。
そして、登録支援機関も業種によっては該当の協議会に加入する必要があります。
登録支援機関も協議会に加入する必要があるのは、下記の分野です。
- 【登録支援機関も協議会に加入する必要のある分野】
- 宿泊分野
- 外食業分野
- 飲食料品製造業分野
- 航空分野
- 造船・船用工業分野
- 自動車整備業分野
つまり、上記の分野で特定技能外国人を受け入れる受入機関が、その支援を登録支援機関に全部委託することを検討する場合には、自社の分野における協議会に委託先の登録支援機関が加入しているかの確認をしなければなりません。
ただし、大半の特定技能の分野が特定技能外国人を初めて受入れてから4ヵ月以内に協議会に加入する必要があるので、支援の実績はあるものの、まだその分野の特定技能外国人の支援を行ったことがない登録支援機関でしたら協議会に加入していないでしょう。
▼ポイント2 登録支援機関として支援業務を行っているか確認する
次に着目する点としては、委託を検討している登録支援機関が既に実際に支援業務を行っているかという点です。
現時点で登録されている大半の登録支援機関は、実際に支援業務を行っていない又は行ったことがないのが実情です。登録だけしているという登録支援機関がとても多いのです。
支援を委託するのであれば、支援の実績があり、信頼が置ける登録支援機関を選択することが望ましいでしょう。
勿論、支援実績があるからといって適切な支援が行えるとは限りません。
▼ポイント3 支援責任者または支援担当者の外国人を正規雇用として雇っているか確認する
支援責任者とは、登録支援機関の役員または職員であり、支援担当者を監督する者です。
支援担当者は特定技能外国人に対する支援業務を行い、支援責任者は支援担当者の業務を統括管理するという関係にあります。
支援責任者や支援担当者は非常勤やアルバイトでも認められていますが、十分な支援を期待するなら雇用形態を確認しておきましょう。
▼ポイント4 月々の支援委託費がいくらかかるかを確認する
次のポイントとしては、支援を委託した場合の登録支援機関に支払う支援委託費です。
支援委託費の設定内容は登録支援機関によって様々です。
相場としては、特定技能外国人1名あたりの一月の支援委託費は20,000円~30,000円と言われていますが、登録支援機関によって初期費用がかかるケースとかからないケースがあります。
他にも、登録支援機関によっては支援業務によって細かく費用を設定している場合もあります。
大まかには全部で10項目ある法定された支援項目をまとめて月額定額にしている登録支援機関と、10項目の項目毎に費用が設定されている登録支援機関の2パターンです。
支援委託費は雇用する特定技能外国人が増えるほど増加しますので多くの外国人を雇用したい受入機関にとっては大きな負担になります。
しかし、安いからと言うだけで委託先の登録支援機関を決めてしまうのは危険です。
安いが故に、十分な支援を行わない登録支援機関もあるからです。
特定技能制度は分野や地域によっても異なりますが、特定技能外国人の雇用後に協議会等からのチェックが入る可能性があります。
このチェックが入った際に、法定された支援を怠っていた場合には入管法違反となってしまう可能性があります。
実際に、入管申請時と実際に働き始めてからで雇用条件が異なると言うことで、今後の特定技能外国人の受入ができなくなってしまった企業もあります。
また、支援を委託する登録支援機関が十分な支援を行っていないことを知りながら委託を続ける場合には、別途罰則が課される可能性もあります。
目先の費用で決めてしまうと企業の採用計画にも大きな影響が出てしまうので委託先の選定をする際に費用だけで決めてしまうようなことは控えましょう。
▼ポイント5 登録支援機関の所在地を確認する
特定技能外国人に対する支援の中には直接会って行う支援があります。
定期面談も直接会う必要があり、遠隔地にある登録支援機関では出張交通費等がかかることがあります。
また、急を要する事態等に対応できない可能性がある場合、出入国在留管理局よりどうやって支援をしていくかの確認等が来る可能性もあります。
いずれにせよ、適切な支援を期待するのであれば、近場の登録支援機関を活用した方が良いと思われます。
勿論、登録支援機関によっては遠距離の支援に関するスキームを確立しているところもあると思うので、遠距離の登録支援機関に依頼するのであれば具体的にどうやって支援をしていくのかを詳しく聞くのが良いでしょう。
同様に、近場の登録支援機関であっても支援の仕方が確立されていないこともあるので、支援の具体的な流れは事前に良く確認しておくことをお勧めします。
最後に
以上が、登録支援機関のリストの入手方法と選び方、選ぶ際のポイントとなります。
登録支援機関に問い合わせをする際には、上記の点を確認し、会社の実情に合った、納得できる登録支援機関を選択していただければと思います。
行政書士法人Climbでは支援を内製化したいけど社内のリテラシーが足りず難しい受入機関の為の内製化サポートを行っております。
特に複数名の特定技能外国人を雇用する場合には費用面でのメリットも大きいので一度お問い合わせください。
もし、社内の支援体制要件(法的に必要な要件)が整っていない場合には当社で支援を行いながら要件を整える為のサポートも可能です。
行政書士法人Climbは登録支援機関として登録しており、月額22,000円~33,000円で対応しています。
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