「特定技能外国人を受け入れたいが、登録支援機関の費用がどれくらいかかるのかわからない」
「毎月の支援費用が高額だと、採用計画全体に影響が出てしまうのではないか」
特定技能外国人の受け入れを検討している企業の人事担当者から、このような不安の声をよく聞きます。登録支援機関への委託が必要だとわかっていても、具体的な費用相場や内訳がわからず、予算を組めずにいる方も多いでしょう。
そこで本記事では、「登録支援機関にかかる費用」について解説します。相場から内訳、比較方法、費用を抑えるポイントまで、企業の人事担当者が知っておくべき情報を徹底的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
登録支援機関とは?
登録支援機関とは、特定技能外国人を受け入れる企業に代わって、法律で義務付けられた支援をおこなう専門機関です。日本という不慣れな場所で生活を送るにあたって、職場や日常生活をサポートする役割を担っています。
法律上、特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、外国人が日本で働き生活できるよう10項目の支援を提供する義務があります。しかし、多くの企業には外国語対応できる人材や支援のノウハウがないため、専門機関への委託が可能です。
登録支援機関はそうした専門機関であり、事前ガイダンスから生活オリエンテーション、定期面談、相談対応まで幅広い支援をしてくれます。
登録支援機関の役割と支援内容
登録支援機関の主な役割は、特定技能外国人が日本で働き続けられるよう、生活面と就労面の両方をサポートすることです。
2025年現在、法律では特定技能1号外国人を受け入れる企業に対して、以下に記載する10項目の義務的支援の実施が求められています。
- ● 事前ガイダンス:入国前または在留資格変更前に、労働条件や活動内容などを説明
- ● 出入国時の送迎:空港から住居までの送迎をサポート
- ● 住居確保・生活契約支援:住居探しや賃貸契約、銀行口座開設、携帯電話契約などをサポート
- ● 生活オリエンテーション:日本で生活するうえで欠かせない情報の提供
- ● 公的手続きへの同行:住民登録や税金など公的手続きへの同行およびサポート
- ● 日本語学習の機会提供:日本語教室の情報提供や教材の配布
- ● 相談・苦情への対応:外国人からの相談や苦情への対応および指導
- ● 日本人との交流促進:地域イベントへの参加を促進
- ● 転職支援:やむを得ず離職する場合の転職サポート
- ● 定期面談:外国人と面談して状況を確認し必要に応じて関係行政機関への通報
受入企業は、これらの支援を適切に実施しないと、在留資格の更新が認められなくなる可能性があります。しかし普段の業務と併用して実施するのは難しい面もあるため、登録支援機関が企業に代わって専門的に担当する形です。
また、企業と外国人の間で問題が発生した場合の仲介役もしてくれるため、頼りになる存在といえるでしょう。
委託が必要な企業と自社支援の違い
登録支援機関への委託が必要かどうかは、企業が自社で適切な支援体制を整えられるかによって異なります。
法律上、すべての企業が登録支援機関への委託を義務付けられているわけではありません。
以下のような要件を満たして出入国在留管理庁に申請を提出し、認められれば自社での支援も可能です。
- ● 過去2年以内に外国人労働者の雇用または管理をした実績があること
- ● 過去2年以内に外国人労働者の生活相談等をしたことのある社員の中から、支援責任者や支援担当者を任命していること
- ● 外国人が十分理解できる言語(基本母国語対応)で支援を実施することができる体制を確保していること
- ● 支援状況に関する書類を作成し、雇用契約終了日から1年以上保管すること
- ● 役員または職員から支援責任者と支援担当者を選任すること
- ● 責任者および担当者が、1号特定技能外国人を監督する立場にないこと、かつ一定の欠格事由に該当しないこと
- ● 受入企業が、雇用契約締結前の5年以内および契約締結後に1号特定技能外国人支援計画に基づいた支援を怠ったことがないこと
- ● 責任者または担当者が、外国人およびその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施できる体制を有すること
登録支援機関へ委託するのと比べて費用面は大きく削減できますが、担当者の人件費や通訳費用、緊急時対応の体制整備といったコストが発生します。もし支援が不十分だと判断されれば、外国人の在留資格更新が認められない可能性もあります。
こうした点から、初めて外国人を受け入れる企業や受け入れ人数が少ない企業は、専門性や体制を考慮して登録支援機関への委託を検討した方が良いでしょう。
▶ 全部委託・一部委託の違いや委託の手順は登録支援機関への支援委託|全部委託・一部委託の範囲と手順で解説しています。
参考 | 出入国在留管理庁 | 特定技能外国人受入れに関する運用要領
登録支援機関にかかる費用の目安
登録支援機関にかかる費用は、支援委託手数料と呼ばれています。
支援委託手数料は支援機関によって料金体系が異なり、以下のようにわかれます。
- ● 月額で設定されている場合
- ● 支援する項目ごとに設定されている場合
それぞれで費用にかかる計算が異なるため、登録支援機関を利用する際は、まずどちらの設定なのかを確認すると良いでしょう。
そのうえで、どのような価格帯になるのか、それぞれにわけて詳しく解説します。
月額費用の相場と主な価格帯
支援委託手数料の額は、登録支援機関や支援の内容、受け入れる人数によって異なります。入管法令上、委託料金に上限はありませんが、委託契約を結ぶ際には料金の額とその内訳を明示する必要があります(出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」)。
具体的な金額は、複数の登録支援機関から内訳付きの見積もりを取って確認しましょう。
支援項目別の料金(ガイダンス・定期面談など)
月額にまとめず、事前ガイダンスや定期的な面談など、支援の項目ごとに料金を設定している登録支援機関もあります。1回ごとに費用が発生する場合は、どこまでの対応が含まれるのかを見積もりで事前に確認しておきましょう。
初期費用・オプション費用の実例
登録支援機関を利用する際、月額費用とは別に初期費用やオプション費用が発生する場合があります。
一般的に、初期費用は契約時や外国人の受け入れ開始時に一度だけかかる費用で、オプション費用は必要に応じて追加で支払う費用です。これらを事前に把握しておかないと、予算計画が狂ってしまう可能性があります。
どのような場合に発生するのか、以下を見てみましょう。
- ● 出入国時の送迎
- ● 住居の確保・生活に必要な契約の支援
- ● 生活オリエンテーション
- ● 日本語学習の機会の提供
- ● 相談・苦情への対応
- ● 同行が必要な支援
金額は依頼先や支援の内容によって異なるため、見積もりで確認してください。なお、在留資格の申請手続きにかかる費用は、支援委託手数料とは別に考える必要があります。詳しくは「登録支援機関は書類作成できない?」をご覧ください。
このように、登録支援機関を利用する際は、月額費用だけでなく初期費用やオプション費用もかかります。総合的な費用を計算したうえで、計画的に利用しましょう。
費用を抑えるポイントと比較方法
登録支援機関の費用を抑えるためには、支援内容と費用のバランスを見極め、複数の機関を比較するようにしましょう。
この際に注意したいのが、単純に安い機関を選べば良いというわけではない点です。支援が不十分だと外国人が定着せず、結果的に採用コストが無駄になってしまいます。一方で、不必要に高額な機関を選ぶ必要はありません。自社に必要な支援レベルを明確にし、それに見合った費用の機関を選べるかが、コストパフォーマンスを最大化するポイントです。
そのためにも知っておきたい以下について、詳しく解説していきます。
- ● 支援内容と費用のバランスを見極める
- ● 複数機関の見積もりを取る際の注意点
- ● 自社支援を選択する際のコスト比較
- ● 安い登録支援機関に委託するリスク
支援内容と費用のバランスを見極める
登録支援機関を選ぶ際は、費用の安さだけでなく、支援の質と内容を総合的に評価するようにしましょう。
以下を参考に、自社がどの程度の支援が必要なのかを見極めてください。
- 【自社に必要な支援レベルの明確化】
- ● 外国人の日本語レベルはどの程度か
- ● 社内に外国語対応できる従業員はいるか
- ● 受け入れは初めてか、実績があるか
- ● 何人受け入れる予定か
- 【月額費用に含まれる支援の範囲確認】
- ● 10項目の義務的支援がすべて含まれているか
- ● 定期面談の頻度(3ヶ月に1回もしくは毎月か)
- ● 相談対応の時間帯(営業時間のみか24時間対応か)
- ● 対応可能な言語の種類
- 【追加料金が発生する条件の確認】
- ● どのような場合に追加料金がかかるか
- ● 緊急対応は別料金か
- ● 通訳の追加派遣は有料か
- ● 想定される年間の追加費用はいくらか
- 【サポート体制の質】
- ● 担当者は専任か兼任か
- ● 緊急時の対応体制は整っているか
- ● 過去の実績や定着率はどうか
- ● 企業への報告は定期的にあるか
上記を整理したうえで、複数の登録支援機関から内訳付きの見積もりを取り、支援の範囲と費用を比較しましょう。費用は、依頼先や受け入れる人数、支援の内容によって異なります。
複数機関の見積もりを取る際の注意点
登録支援機関を選ぶ際は、最低でも3社から見積もりを取り、比較検討するようにしましょう。それぞれの費用感がわかり、自社に合った登録支援機関を選びやすくなります。
その際、以下の点に着目してください。
- ● 外国人の勤務地(支援機関からの距離)
- ● 登録支援機関が外国人を受け入れた実績の有無
- ● 月額費用の内訳
- ● 初期費用の内訳
- ● 追加料金が発生する条件
- ● 契約期間(最低契約期間はあるか)
- ● 支払いサイクル
- ● 解約時の条件
- ● 総コストでの比較
これらに加え、見積もりだけで判断しないのも大切です。実際に支援機関を訪問し、担当者の対応の質や雰囲気を直接確認すると良いでしょう。
複数の見積もりを丁寧に比較することで、費用とサービス内容のバランスが取れた最適な支援機関を選べるようになります。
自社支援を選択する際のコスト比較
登録支援機関への委託費用を見て、「自社で対応すればコストを抑えられるのでは」と考える方も多いでしょう。
確かに委託費用はかかりませんが、自社支援には見えにくいコストが多数発生します。総合的に比較すると、実は委託した方がコストパフォーマンスが良い場合も少なくありません。
主なコストの項目は次のとおりです。
- 【人件費】
- ● 支援担当者の人件費(専任または兼任)
- ● 複数人を受け入れる場合は、さらに人件費が増加
- 【通訳・翻訳費用】
※社内に多言語対応できる従業員がいない場合 - ● 外部通訳の派遣費用
- ● 書類の翻訳費用
- 【緊急対応体制の整備】
- ● 24時間対応の当番制を組む場合の人件費
- ● 緊急連絡用の携帯電話や通信費
- 【研修・教育費用】
- ● 支援担当者の研修受講費
- ● 法令や制度の最新情報を学ぶための費用
- 【支援ツールや資料の作成】
- ● 多言語の生活ガイドの作成費
- ● オリエンテーション資料の作成費
- 【移動費・交通費】
- ● 定期面談や同行支援のための交通費
これらの点から見ても、自社対応の方が安くなりやすい傾向にあります。ただし、必ずしも安くなるとは限らない点に加え、そもそも自社支援ができる要件を満たしておかなければいけません。
外国人への支援内容は多岐にわたり、中には時間がかかるものや頻繁に対応しなければいけないものまであります。それらすべてに対応するとなると、単なる費用以外のコストが発生します。
自社支援を検討する際は、社内リソースを含めた総合的な観点から登録支援機関との比較検討をするようにしましょう。
安い登録支援機関に委託するリスク
月額費用の安さだけで登録支援機関を選ぶと、次のようなリスクがあります。
- ● 支援ごとに別料金がかかる:月額費用は安くても、送迎・同行・通訳などが都度の追加料金になっており、結果的に総額が高くなるケースがあります
- ● 義務的支援が十分に行われない:費用を抑えるために、定期面談や相談対応などの義務的支援すら満足に実施しない機関もあります。支援が実施されていなければ、責任を問われるのは受入れ機関です
見積もりを比較するときは、月額費用に含まれる支援の範囲と、追加料金が発生する条件を必ず確認しましょう。支援の内容が充実している機関は、外国人の満足度や定着率の向上にもつながります。
登録支援機関選びで失敗しないために
登録支援機関選びで失敗すると、費用面だけでなく、外国人の定着率や企業の評判にも悪影響が出ます。
安さだけで選んだ結果、支援が不十分で外国人が早期離職してしまったり、逆に高額な機関を選んだものの期待したサービスが受けられなかったりするケースも考えられます。
そうした失敗をしないためには、契約前に確認すべきポイントを理解し、契約条件を十分に理解しておくことが重要です。
では、どのようなポイントを意識すれば良いのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- ● 契約前に確認すべきポイント
- ● サポート実績や対応体制のチェック方法
- ● 途中解約や変更時の条件確認
契約前に確認すべきポイント
登録支援機関と契約する前に、以下のポイントを必ず確認しましょう。
- ● 登録状況の確認
- ● 費用の透明性
- ● 支援内容の詳細
- ● 担当者の配置
- ● 契約期間と解約条件
- ● 報告体制
- ● トラブル発生時の対応
- ● 保険・保証
- ● 実績の確認
- ● 契約書の内容
契約後にトラブルが発生しないよう、費用面だけでなく、サービス内容や契約条件についても詳細に目を通しておきましょう。口頭での説明だけでなく、必ず契約書や資料で確認し、不明点があれば納得できるまで質問してください。面倒でも契約前に時間をかけて確認しましょう。
サポート実績や対応体制のチェック方法
登録支援機関の質を見極めるには、過去の実績や現在の対応体制を確認しておくのも重要です。
Webサイトに書かれている情報だけでなく、実際に問い合わせたり訪問したりして、対応の質や雰囲気を確認しましょう。
その際、以下のような質問をしてみるのも方法の1つです。
- ● これまでに何人の外国人を支援してきたか
- ● どの国籍の外国人を支援した経験があるか
- ● どの分野(介護、製造業、建設など)での実績があるか
- ● 何年間運営しているか
- ● 支援した外国人のうち、何%が1年以上継続して働いているか
- ● 早期離職率はどの程度か
- ● 離職の主な理由は何か
- ● 可能であれば、実際に利用している企業の紹介を依頼
これらの他、インターネット上の口コミや評判も参考にしましょう。問い合わせへの返答の速さや強引な営業の有無、コミュニケーション能力など、実際に支援してもらわないとわからない部分の情報を得られる可能性があります。
実績と対応体制をしっかり確認し、信頼できる支援機関を選びましょう。
途中解約や変更時の条件確認
契約後に支援機関を変更したくなった場合に備えて、解約条件を事前に確認しておくのも重要です。支援をお願いする中で支援機関のサービスに不満があったり、費用面で見直しが必要になったりした場合、スムーズに解約や変更ができないと長期間にわたって不利な契約に縛られる可能性があります。
そうした事態を避けるためにも、以下について確認しておきましょう。
- ● 最低契約期間
- ● 解約予告期間
- ● 違約金の有無
- ● 返金の有無
- ● 解約手続きの方法
- ● 自動更新の有無
- ● 専属契約の有無
- ● 損害賠償条項
登録支援機関との解約条件が厳しすぎる契約は避け、柔軟に対応できるところを選ぶと、将来的なリスクを軽減できます。
よくある質問(FAQ)
ここからは、登録支援機関の費用について、企業の人事担当者からよく寄せられる質問に回答します。ぜひ参考にしてください。
費用は企業と外国人どちらが払う?
登録支援機関の費用は、原則として受入企業が負担します。特定技能外国人を受け入れる企業には、外国人が働きやすい環境を整備する責任があるためです。そのための支援費用は、基本的に企業が負担すべきものとなっています。
なお、1号特定技能外国人に対する支援(義務的支援)を実施するためにかかった費用を、外国人本人に負担させることは認められていません(出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q76)。企業が負担すべきものと認識しておきましょう。
途中で自社支援に切り替えることは可能?
登録支援機関への委託から自社支援へ切り替えは可能です。ただし、自社支援の要件を満たしている必要があります。別途、出入国在留管理庁への届出も必要になるため、ハードルは高いでしょう。また、登録支援機関との契約内容によっては、解約に制限がある場合もあります。
自社支援の要件を満たしたうえで、総合的なコストとリスクを考慮して判断しましょう。
支援機関の変更時に費用はどうなる?
登録支援機関を変更する場合、現在の支援機関との契約条件と新しい支援機関の契約条件の両方を確認する必要があります。支援機関の変更自体は可能ですが、契約内容によっては解約時の費用負担や、新しい支援機関への初期費用が発生します。
また、支援委託契約を新たに締結、変更または終了した場合、特定技能所属機関(受入れ企業)は、その日から14日以内に出入国在留管理庁へ届出を行う必要があります(出入国在留管理庁「特定技能所属機関による支援委託契約に係る届出」)。支援機関を変更するときは、届出の期限も含めて手続きの段取りを確認しておきましょう。
支援機関の変更には一定の費用がかかると考え、最初の選定時点で様々な観点から判断するようにしましょう。
まとめ
登録支援機関の費用は、依頼先や受け入れる人数、支援の内容によって異なります。委託契約を結ぶ際には料金の額と内訳を明示する必要があるため、見積もりで内訳を確認しましょう。
一方で、単純な費用の安さだけで選ぶと支援が不十分になり、外国人が早期離職してしまうリスクがあります。しかも、高額な機関を選べば必ず質が高いとも限りません。
登録支援機関選びで失敗しないためにも、自社に必要な支援レベルを明確にし、複数の機関の見積もりを比較しながら、費用とサービス内容のバランスが取れた支援機関を選ぶようにしましょう。
なお、費用とサービス内容のバランスを比較される際は、グループ会社である株式会社CTC(https://tokuteiginounavi.com)が専門的にサポートしております。あわせてご確認ください。