永住ビザに変更するメリット
日本に在住する外国人の多くは、将来的に日本の永住ビザを取得したいと考えているでしょう。
しかし実際に永住ビザを取得した場合、どのようなメリットを得られるのかを正しく認識しておかないと、取得した後に困ることにもなりかねません。
取得するのなら、正しく理解した上で取得したいものですよね。
まず永住ビザを取得した場合、以下の4つのメリットを得られます。
- 1.在留期限に制限がなくなる(在留カードの期限はあります)
- 2.活動内容に制限がなくなる
- 3.各種ローンを組みやすくなる
- 4.配偶者の就労に制限がなくなる(永住者の配偶者等を取得した後)
それぞれ詳しく解説します。
1.在留期限に制限がなくなる
永住ビザを取得することで得られるメリットの中でもっとも代表的なものが、在留期間の更新申請から解放されることです。
在留資格にはそれぞれ在留期間が定められており、その期間を超えて日本に在留するには更新の申請が必要となります。
申請時には大量の書類が必要となるため、手間と感じる方も多いでしょう。
永住ビザを取得すると、そういった手続きからは解放されます。
ただし、在留期間は無制限になりますが、在留カードに関しては7年の有効期限が設けられているため、こちらに関しては更新手続きが必要です。
忘れずに行いましょう。
2.活動内容に制限がなくなる
在留資格にはそれぞれ活動内容が定められているため、その活動を一定期間行っていなければ在留資格を取り消される可能性があります。
例えば、就労系の資格を持っていた場合、就職先を退職してもその在留資格に定められている業務を行える就職先を探さなくてはいけません。
配偶者の在留資格の場合はもっとシビアで、離婚もしくは死別した場合、再婚するか他の在留資格に変更するかしなければ帰国となります。
永住ビザを取得すると、こういった活動の制限がつかないため、仕事内容を気にせずに転職できますし、離婚しても永住ビザを取り消されることもありません。
日本においての活動範囲が大きく広がるでしょう。
3.各種ローンを組めるようになる
永住ビザを持っていると、社会的信用度が向上します。
一般的に、外国籍の方が日本で住宅や車を購入時にローンを組もうとすると、融資を受けるのは容易でありません。
これはビザが数年で更新できるため、いつ日本から出国されるかわからないという不安からくるものです。
そのためローンを審査する場合、永住者以外の外国人は審査対象外となっている場合が多くあります。
永住ビザを取得しているということは、日本で長期間暮らしてきたという証でもあるため信用を得やすく、住宅や車のローンを利用する際にも信用してもらいやすくなるのです。
4.配偶者の就労に制限がなくなる
永住ビザを取得している方の配偶者には、一切の就労制限が付与されなくなります。
例えば高度専門職の場合、「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「興業(演劇等の活動以外の芸能活動)」の4種類の仕事にしか就けません。
永住ビザを取得すると、永住者の配偶者という形になるため、一切の就労制限を受けなくなります。
そのため、起業することも自由に可能です。
高度専門職から永住に変更するための条件
永住ビザを取得するメリットがわかったところで、高度専門職から永住へと変更するためにクリアするべき条件はどのようなものがあるのか解説します。
永住ビザへと変更するには、以下の条件をクリアしましょう。
- 1.素行が善良であること
- 2.独立した生計を営めること
- 3.日本国の利益になること
それぞれ詳しく解説します。
1.素行が善良であること
素行が善良であることとは、日本国の法律を遵守し、日常生活において住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることを指します。
具体的には以下のような行為がNGです。
- ● 日本国の法令に違反し、懲役や禁固、罰金に処せられたことがある
- ● 少年法による保護処分が継続中である
- ● 日常生活もしくは社会生活において、違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行い、素行善良とは認められない場合
これらの中でも特に、懲役や禁固、罰金に処せられた場合は素行が善良であるとは認められません。
しかし仮に前科があった場合でも、その後10年を善良な生活態度で過ごしていれば、永住が許可される可能性があります。
かつて素行が善良でなかったとしても、永遠に永住が許可されないわけではないと覚えておいてくださいね。
2.独立した生計を営めること
独立した生計とは、日本で過ごすにあたって、日常生活において公共の負担にならず、所持している資産や技能から見て将来的にも安定した生活が見込める状態を指します。
公共の負担とは、生活保護に代表される公的扶助のことです。
例えば、申請時点で生活保護を受けているような外国人の場合、永住ビザを取得しても将来にわたって公的負担となる可能性が高いため、対象外とされています。
また、将来的に安定した生活とは、収入が安定的かつ継続的に発生しているかどうかということです。
この場合、必ずしも申請人自身が対象となるわけではなく、配偶者がいる場合は世帯単位で考えられます(家族滞在は除く)。
そのため、申請人自身の収入が安定していなかったとしても、同一世帯の配偶者や親族に収入があれば、生計を営めると判断される可能性があります。
3.日本国の利益になること
日本国の利益になることと聞いても、いまいちピンと来ない方も多いでしょう。
ここで言う利益とは、以下のことを指します。
- (ア)引き続き一定期間以上、日本に在留している
- (イ)刑罰を受けて折らず、公的義務を履行している
- (ウ)最長の在留資格を有している
- (エ)公衆衛生上の観点から有害となる恐れがない
何やら難しく感じられますが、個別に見るとクリアできる項目がほとんどです。
(ア)の場合、高度人材ポイントが70点以上の高度外国人材は「3年以上」、80点以上なら「1年以上」の期間、継続して日本に在留している必要があります。
他の在留資格の場合は、原則「引き続き10年以上」の滞在が必要です。
(イ)の場合、納税義務や公的年金・保険料の支払い義務、入管法で定められた各種届出義務を守っていれば、自然と満たしています。
(ウ)の場合、最長の在周期間である5年の在留期間を与えられていることが条件となっていますが、高度専門職ビザを取得している場合、自然とクリアできているため問題ないでしょう。
(エ)の場合、何かしらの感染症や薬物中毒を発症していない限りクリアできます。
事件を起こさず、真面目に生活していれば自然と満たしている要項ばかりです。
高度専門職から永住に変更する際の書類
高度専門職から永住へ変更する際に必要な書類はどのようなものがあるのでしょうか。
一般的に永住ビザ申請で必要な書類は、在留資格別に違ってきます。
そのため、審査期間もばらつきがあり、標準的にかかる時間はおおよそ4ヶ月程度が必要です。
場合によってはそれ以上かかる可能性もあるため注意しましょう。
まず基本的な書類としては、以下のものが必要です。
- ● 永住許可申請書
- ● 身元保証書(日本語版)/(英語版)
- ● 写真(申請人が16歳以上の場合)
- ● 在留カード ※窓口で提示
- ● パスポート ※窓口で提示
- ● 身分証など(申請取次者が申請を代行する場合)
窓口で提示する書類もいくつかあるため、申請時は忘れずにセットで持参しましょう。
基本的な書類を全て用意したら、高度人材ポイントの点数によって違ってくる書類を準備します。
▼ 高度人材ポイントが70点以上のときの立証書類
高度人材ポイントが70点以上ある場合、「高度専門職」と「その他の在留資格」に分かれます。
■ 高度専門職の場合
まず高度専門職の場合、基本の書類にプラスして以下の書類が必要です。
- ● 理由書(永住許可を必要とする理由を記述したもの)
- ● 申請人を含む家族全員の住民票
- ● 申請人の職業を証明する資料
- ● 過去3年分の申請人や申請人の扶養者の所得と納税状況を証明する資料
- ● 申請人や申請人の扶養者の公的年金、公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
- ● 高度人材ポイント計算表
- ● ポイント計算に関する疎明資料
- ● 申請人の資産を証明する資料
- ● 身元保証書と身元保証人についての資料
- ● 日本への貢献を証明する資料 ※ある場合
上記の書類を集めてくださいね。
■ その他の在留資格の場合
その他の在留資格(申請3年前の時点から高度専門職ポイントが70点以上)の場合、以下の書類が必要です。
- ● 他の在留資格から永住ビザを申請する際に必要な立証書類
- ● 過去3年分の申請人や申請人の扶養者の所得と納税状況を証明する資料
- ● 申請人や申請人の扶養者の公的年金、公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
- ● 高度人材ポイント計算表
- ● ポイント計算に関する疎明資料
これらの書類を集めて申請してください。
▼ 高度人材ポイントが80点以上のときの立証書類
高度人材ポイントが80点以上の場合はどうなるのでしょうか。
■ 高度専門職の場合
在留資格が高度専門職であるなら、以下の書類が必要です。
- ● 理由書(永住許可を必要とする理由について記述したもの)
- ● 申請人を含む家族全員の住民票
- ● 申請人の職業を証明する資料
- ● 過去1年分の申請人や申請人の扶養者の所得と納税状況を証明する資料
- ● 申請人や申請人の扶養者の公的年金、公的医保険の保険料の納付状況を証明する資料
- ● 高度人材ポイント計算表
- ● ポイント計算に関する疎明資料
- ● 申請人の資産を証明する資料
- ● 身元保証書と身元保証人についての資料
- ● 日本への貢献を証明する資料 ※ある場合
これらの書類を集めましょう。
■ その他の在留資格の場合
その他の在留資格(申請1年前の時点から高度専門職ポイントが80点以上)の場合、以下の書類が必要です。
- ● 他の在留資格から永住ビザを申請する際に必要な立証書類
- ● 過去1年分の申請人や申請人の扶養者の所得と納税状況を証明する資料
- ● 申請人や申請人の扶養者の公的年金、公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
- ● 高度人材ポイント計算表
- ● ポイント計算に関する疎明資料
これらの書類を集めてください。
さらに詳しく知りたい方は、出入国管理庁の該当ページをご参照ください。
高度専門職から永住ビザに変更するデメリットはある?
永住ビザを申請する際に気になるのが、「変更した結果、何かデメリットが生じるのか?」というものでしょう。
結論から言うと、デメリットはあります。
高度専門職ビザだけに認められていた優遇措置が受けられなくなります。
具体的には、
- ・親の帯同
- ・家事使用人の帯同
が認められなくなります。
もし、日本に入国する際に家族や使用人を一緒に連れてきていた場合は注意が必要です。
メリットとデメリットを認識した上で、永住ビザの申請を行いましょう。
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