帰化は日本国籍を取得すること、永住は外国籍のまま日本に住み続けられることという点が最大の違いです。帰化の住所条件は国籍法第5条で「引き続き5年以上」と定められていますが、法務局は「10年以上在留していることなど、日本社会に融和していること」も必要と案内しており、在留年数の面では永住(原則10年)と近い目安になっています。この記事では、帰化と永住の違いとそれぞれのメリット・デメリットを比較します(すでに永住者の方が帰化するときの手続き・要件は、下の関連記事で解説しています)。
この記事の結論
- 帰化は日本国籍を取得し、永住は外国籍のまま期限なく日本に住み続けられる点が違います。
- 帰化すると在留資格の手続きは不要になり、国籍・戸籍・参政権の扱いも変わります。
- どちらを選ぶかは、国籍・参政権・在留手続きの違いを比べて決めます。
1.帰化とは
帰化とは、国籍法の規定により外国人が日本の国籍を取得して日本人になることです。
日本国籍に帰化すると、入管法上の外国人の定義からは外れることになります。
日本人として日本で暮らすことになりますので、外国人にあった日本での活動内容の制約もすべて外れることになります。
帰化が許可されると母国の国籍を離脱することになり、一度国籍を離脱するともとの国籍に戻ることは困難となります。
今後は日本に住み続けるという強い意思がある場合に、帰化を申請することになります。
2.永住とは
永住とは、入管法の規定により、外国人が現在の国籍を保持したまま、在留期限が無い状態で日本に住めることです。
他の在留資格では日本滞在中に行うことができる活動内容は細かく規定されており、認められた在留資格以外の活動はできませんが、永住ビザを取得できれば活動の制限はなくなります。
仕事の内容を気にすることなく、自由に仕事ができるようになるのです。
永住は、在留資格(ビザ)の一種です。
永住ビザを取得できれば、在留期限の変更や更新の手続きをする必要はなくなります(ただし、在留カードには有効期間があり、更新が必要です。2026年6月13日までに交付されたカードは交付日から7年、6月14日以降に交付されるカードは交付日後10回目の誕生日まで〈18歳未満の方は5回目の誕生日まで〉です)(出入国在留管理庁「特定在留カード交付申請について」Q4-3)。
永住申請について、詳しくは永住申請(永久居留)のページをお読みください。
3.帰化と永住の具体的な違い
それでは、帰化と永住の具体的な違いについて説明します。
▼ 在留資格に関連する手続きの有無
- 帰化の場合
- 日本国籍を取得するので、在留資格(ビザ)に関する手続きは一切する必要が無くなります。
- 永住の場合
- あくまで外国籍のままなので、外国人登録や、長期出国の際の再入国許可手続等をする必要があります。前述したように、在留カードの有効期間の更新も必要です(2026年6月13日までに交付されたカードは交付の日後7年、6月14日以降に交付されたカードは交付の日後の10回目〈18歳未満の方は5回目〉の誕生日まで)(出入国在留管理庁「特定在留カード交付申請について」Q4-3)。
▼ 国籍に関する違い
- 帰化の場合
- 日本の国籍を持つことになります。日本を出国する際には、日本のパスポートを使用することになります。
- 永住の場合
- 外国籍のままです。日本を出国する際には、母国のパスポートを使用することになります。
▼ 戸籍に関する違い
- 帰化の場合
- 役所に届け出ることで、日本の戸籍を取得することができます。
- 永住の場合
- 日本の戸籍を取得することはできません。
▼ 参政権に関する違い
- 帰化の場合
- 日本人と同様に、国政選挙、地方選挙において選挙権・被選挙権を持つことができます。
- 永住の場合
- 国政選挙について選挙権・被選挙権は認められません。地方選挙については、一部の自治体を除き、参政権は認められていません。
▼ 強制退去処分に関する違い
- 帰化の場合
- 適用されません。
- 永住の場合
- 退去強制事由(入管法第24条)に該当する場合には、適用されて強制的に日本から退去されることがあります。
▼ 住所(在留年数)の要件の違い
- 帰化の場合
- 原則として、帰化の申請をする時まで引き続き5年以上日本に住んでいることが必要で、その住所は正当な在留資格によるものでなければなりません(国籍法第5条、法務省「国籍Q&A」)。あわせて法務局は「10年以上在留していることなど、日本社会に融和していること」が必要と案内しています(東京法務局「帰化について」)。
日本人の配偶者は、引き続き3年以上日本に住所又は居所があり現に日本に住所がある場合、又は婚姻の日から3年を経過し引き続き1年以上日本に住所がある場合に、住所条件が緩和されます(国籍法第7条)。日本国民の子(養子を除く)で日本に住所がある方、縁組の時に本国法で未成年だった日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所がある方、日本の国籍を失った方(日本に帰化した後に失った方を除く)で日本に住所がある方なども、住所条件などが緩和されます(国籍法第8条)。 - 永住の場合
- 原則として引き続き10年以上日本に在留し、そのうち就労資格(「技能実習」「特定技能1号」を除く)又は居住資格で引き続き5年以上在留していることが必要です。日本人・永住者・特別永住者の配偶者は、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること、「定住者」は5年以上継続して在留していること、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けた方は認定後5年以上継続して在留していることなどの特例があります(出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」)。
▼ 生計の要件の違い
- 帰化の場合
- 生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけることが必要です。この条件は生計を一つにする親族単位で判断されるため、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすことになります(法務省「国籍Q&A」)。
- 永住の場合
- 「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」が法律上の要件で、日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることとされています(出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」)。日本人・永住者・特別永住者の配偶者又は子である場合は、この要件に適合することを要しないとされています。
詳しくは【帰化後に本国の親を呼び寄せられるか】をご覧ください。
【2026年】帰化でも「10年以上在留していることなど」が案内されています
帰化の住所条件は、国籍法第5条で「引き続き5年以上日本に住んでいること」と定められており、国籍法は改正されていません。そのうえで東京法務局は、「日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話及び読み書き)を有することや、10年以上在留していることなど、日本社会に融和していることが必要です」と案内しています(東京法務局「帰化について」)。
永住許可も原則として「引き続き10年以上本邦に在留していること」が要件とされているため(出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」)、在留年数の面では帰化と永住の目安は近くなっています。
そのため「居住年数の要件」だけで帰化か永住かを選ぶのではなく、参政権・国籍・戸籍・強制退去リスクの有無など、他の違いを踏まえて検討することがより重要になっています。
詳しくは「帰化とは?7つの条件・必要書類・申請の流れ・費用を解説【2026年最新】」をご覧ください。
帰化と永住の違い 比較表
帰化は難しい?
帰化には、原則として引き続き5年以上日本に住んでいること(法務局の案内では、10年以上在留していることなど)や、生計を一つにする親族単位で生活に困らずに暮らしていけることなどの要件があります。また、帰化の申請は原則として家族単位で行うことが望ましいとされているため、家族それぞれの状況も含めて、要件を一つずつ確認しながら準備を進めることが大切です。
4. 帰化と永住、どちらが良いか?
帰化と永住のどちらがよいかは、申請を希望する方の現在の状況、考え方、今後の予定等によって結論が異なるかと思われます。
永住権を認められれば在留期限が無くなるメリットだけでなく、就労制限も無くなったり、ローン等の融資も受けやすくなるために、日本での生活の自由度や幅が増加するというメリットがあるでしょう。
また、永住権の申請は個人単位ですることもできます。
帰化が許可されれば、就労制限やローンという点のみならず、参政権や日本の公務員としての就職という点でもメリットがあり、日本人と同等に扱われます。
しかし、帰化の申請は永住ビザ申請とは違い、申請は原則として家族単位ですることが望ましいとされています。
上記の帰化と永住の制度の違い、それぞれのメリットやデメリットを踏まえ、どちらの申請をするのが自分や家族に合っているのかを検討し、選択をするべきです。
なお、永住許可申請の手数料は、2026年10月1日に10,000円から一律200,000円に引き上げられました。詳しくは「永住申請の手数料は200,000円|2026年10月1日の改定内容と減額措置」をご覧ください。
※2026年8月25日に改正政令が閣議決定され、2026年10月1日から施行されました。詳細は出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」をご確認ください。
「帰化したいけど、自分は申請できるのかな?」「自分は条件を満たしているのかな?」と迷う場合は、ぜひ一度、行政書士法人Climbにご相談ください。
よくある質問
Q.帰化を申請するには、先に永住許可を受ける必要がありますか?
A.帰化の申請に、永住者であることは求められていません。現在の在留資格だけで判断せず、住所・素行・生計など、帰化の要件を満たしているかを確認することが大切です(出典:法務省「国籍Q&A」、確認日:2026年10月30日)。
Q.帰化の審査では、税金の納付状況も確認されますか?
A.納税状況は、帰化の素行条件を判断する際の確認事項に含まれます。犯罪歴の有無や社会への迷惑の有無なども含めて総合的に判断されるため、在留年数や収入だけでなく、素行の要件を満たしているかも確認しましょう(出典:法務省「国籍Q&A」、確認日:2026年10月30日)。
Q.帰化の必要書類は、誰でも同じですか?
A.帰化の申請に必要な書類は、国籍や身分関係、職業などによって異なります。自分の場合に必要となる書類や手続きは、住所地を管轄する法務局・地方法務局に確認してください(出典:法務省「国籍Q&A」、確認日:2026年10月30日)。
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