国籍証明とその用途
帰化の許可申請にあたって必要となるのが「国籍証明書」です。
国籍証明書がなければ帰化申請ができないため非常に重要な書類となっています。
しかしこの国籍証明書、世界中で統一されているものでもないため、発行しようと思うと国によって個々の対応をする必要があります。
その中でも今回は、2020年になってから在日大使館が休止状態となった中国のケースを参考に、どのようなケースで取得し、提出するのかを解説します。
▼ 国籍証明書は大使館で取得できる
2022年3月現在、国籍証明書は大使館もしくは領事館で取得が可能です。
近い方を選べばOKですが、関西の場合は大阪の総領事館が良いでしょう。
しかし予約無しで行っても発行してくれない可能性が非常に高いので、必ず事前に連絡して予約を取ってからにしてください。
また後述しますが発行時には必要な書類があります。
必要書類を事前に準備しておくのに加え、発行手数料として現金を用意しておきましょう。
遠方から発行を依頼する場合は、なるべく事前に訪問予定の大使館・領事館に電話にて確認しておくことをオススメします。
発行に関しては場所にもよりますが、即日発行してくれるためその日に書類を持って帰れますよ。
注意点として、国籍証明書を取得する際、代理人が申請し受け取ることはできません。
行政書士が代理で行えないため、必ず本人が取得するようにしましょう。
▼ 戸籍・国籍関係の届出は法務省で
国際証明書を含めた書類が揃ったら、法務局か法務省へ届け出ましょう。
この際、つい勘違いしてしまうのですが、入国管理局ではありません。
入国管理局はビザの管理をしているため、帰化申請となると法務省の管轄となるためです。
申請の際は間違えないようにしてくださいね。
また帰化申請の際には法務局・法務省から呼び出しや確認の電話が入ることがあります。
特に呼び出しの場合、間違えて入国管理局に行かないようにしましょう。
一方で帰化をした後は法務省ではなく本籍の市区町村で手続きが可能となります。
例えばですが、帰化した後に日本国籍であることの証明書を発行しようとした場合、戸籍謄本になります。
法務省に連絡して「帰化したことの証明書」の発行をお願いしたとしても発行・交付ができません。
これは帰化して既に日本人となっているためです。
日本国籍を有することを証明できる公的書面が戸籍謄本となっているので、そういった対応になります。
非常にややこしいですが、覚えておきましょう。
国籍証明書発行の注意点
では、国籍証明書を発行する際にはどのような注意点があるのでしょうか。
国籍証明書は公的な書面ですから、発行時には知っておいた方が良い注意点があります。
特に以下の2点については意識しておきましょう。
- ● 国籍証明書を申請するタイミング
- ● 国籍証明書の発行制限回数
これらを知っておくことで、発行時に失敗することが無くなります。
どちらも非常に重要なことですので、詳しく見ていきましょう。
またこちらも中国の国籍を例に解説していますのでご留意ください。
▼ 国籍証明書を申請するタイミング
中国人の方が日本へ帰化する場合、国籍証明書を申請するタイミングが非常に重要です。
現在では国籍証明書の申請後も中国のパスポートが使えるためそれほど意識する必要はありませんが、以前は違いました。
国籍証明書を申請するのと同時にパスポートにハサミが入れられてしまい、申請以降パスポートの使用ができなくなっていたのです。
そのため日本への帰化が認められる前に中国の国籍を失い、パスポートすら使えないという悲惨な状態になっていました。
そのようなこともあり中国人の方が帰化申請をする際は、国籍証明書以外のすべての書類を整備した上で、帰化の許可がほぼ確実となり法務局から指示があったら国籍証明書を申請する、という手順を取っていました。
先述したように現在は運用方法が変更されているため意識する必要はありませんが、突然運用方法が変更される可能性ももちろんあります。
そのような場合も見据えて、国籍証明書は日本への帰化が見込めるタイミングで申請するのが無難です。
▼国籍証明書の発行制限回数
中国大使館の公式発表では国籍証明書の発行回数に制限はありません。
しかし一部の事務所のホームページや案内には回数制限が記載されている場合があります。
中国大使館が公式で発行回数に制限がないと明言しているため問題ないでしょうが、帰化申請を依頼する事務所によっては回数制限を伝えられるかもしれません。
もし発行回数に制限が設けられていたら、例えば最大3回までとすれば一度不許可になると、あと2回しかチャンスが残っていないとうことになってしまいます。
そのため、帰化申請において国籍証明書を発行する際は、念のため発行制限回数については確認することをオススメします。
発行制限に関してもある日突如として変わる可能性があるため、申請時には確認しておく方が良いでしょう。
国籍証明の必要書類
国籍証明書を発行する際にどのような書類が必要なのでしょうか。
公的な身分証明でもあるため、当然提出しなければいけない書類があります。
その際、成人しているかしていないかで変わってきます。
成人の方の場合、以下の4つの書類が必要です。
- パスポートのコピーおよび原本提示
- 在留カードのコピー(裏表)1枚
- 中華人民共和国駐外使領館公証申請書(本人の証明が必要)
- 証明写真(3cm✕4cm)2枚
これらを準備しましょう。
また、1件あたり15,000円の費用がかかります。
未成年の方の場合、以下の4つの書類が必要です。
- 未成年者のパスポートのコピーおよび原本提示
- 未成年者の出生証明書
- 代理人(父母)のパスポートのコピーおよび原本提示
- その他書類
未成年の場合、4.のその他書類がポイントです。
その他書類と言われてもわかりにくいのですが、以下の書類のどれかでOKとなっています。
- ● 未成年者の父母が離婚している場合: 離婚証および離婚協議書もしくは民事調停書、もしくは判決書と生効書
(日本で離婚した場合: 離婚証明書および関係資料、親権を有することの証明書) - ● 未成年者の父母が死亡している場合: 死亡証明書もしくは死亡届受理証明書
- ● 未成年者の父母が既に日本に帰化している場合: 父母の戸籍謄本
- ● 申請人が日本人の子どもとして認知されている場合: 認知した人の同意書
この中でややこしいのは、父母が離婚している場合です。
この場合、必要な書類が多岐に渡るため、なるべく全て用意するようにしてください。
また、日本で離婚した場合には必要書類が異なってくるため注意が必要です。
未成年の方の場合、費用は1件につき5,000円と少しだけ抑えられています。
これら成年・未成年問わずに1~4の書類を全て準備できれば、国籍証明書の発行が可能となっています。
申請の際は直接出向かなくてはいかないため交通費がかかりますが、別途発行のために費用がかかるため、忘れずに準備してくださいね。
まとめ
国籍証明書は世界中で統一されているわけではないため、国によって異なってきます。
中国の方の場合、大使館の急な活動休止などで発行されなくなったといったトラブルも過去にありました。
現在では領事館・大使館で発行しているため、中国の方はそちらで取得するようにしましょう。
取得する際は事前の連絡が必要なのに加え、書類と費用もかかるため予約の際に確認してください。
国籍証明書の発行は発行制限回数を設けられてはいませんが、帰化を相談する事務所によっては回数が決められているところもあるため、なるべく事前に確認してから相談しましょう。
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