「海外在住の外国人を新たに採用することになり、在留資格認定証明書交付申請書をダウンロードしたものの、項目が多く何をどこに書けばいいかがわからない」
このような状況で、作成が止まってしまっているという企業の担当者の方も多いのではないでしょうか。
特に、「招へい理由」の欄は自由記述であるため何を書けばいいのかの判断が難しく、悩んでしまうのも無理はありません。記入内容が審査に影響するのではという不安から、手が止まってしまう方もいるでしょう。
そこで本記事では、「在留資格認定証明書交付申請書の記入例」を紹介します。全項目でNG例とOK例を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
在留資格認定証明書交付申請書とは
在留資格認定証明書交付申請書(COE:Certificate of Eligibility)とは、海外にいる外国人を日本に呼び寄せて特定の在留資格で活動してもらう際に、その活動が在留資格に該当するかどうかを出入国管理庁が事前に審査するための書類です。
以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- ● どんな場面で使う書類か
- ● 申請書のダウンロード先
どんな場面で使う書類か
在留資格認定証明書交付申請書は、主に以下のような在留資格を取得する際に使用します。
- ● 就労系ビザ(技術・人文知識・国際業務・技能・特定技能・経営・管理等)
- ● 家族滞在ビザ(配偶者や子どもを呼び寄せる場合)
- ● 留学ビザ(大学や専門学校に入学する場合)
- ● 特定活動ビザ(インターンシップ等の特別な活動の場合)
共通しているのが、長期滞在のビザである点です。そのため、短期滞在(観光・商用等)の90日以内の滞在では、証明書の発行は必要ありません。
証明書が交付されると、外国人本人が在外公館(大使館・領事館)でビザの発給を受けやすくなるため、取得するメリットは大きいと言えます。
申請書のダウンロード先
申請書は、出入国在留管理庁の公式サイトから無料でダウンロードできます。「在留資格」のページから該当する在留資格の様式を選択してください。
なお、様式は在留資格ごとに異なり、複数ページで構成されています。例えば「技術・人文知識・国際業務」の場合は以下の4枚構成です。
| ページ | 記入者 |
|---|---|
| 1枚目・2枚目(申請人等作成用) | 外国人本人 |
| 3枚目・4枚目(所属機関等作成用) | 受入れ企業 |
様式は定期的に更新されるため、申請のたびに最新版を出入国在留管理庁の公式サイトからダウンロードするようにしましょう。
記入例(各項目の書き方)
在留資格認定証明書交付申請書は、外国人本人しか正確に把握していない情報(学歴・職歴・過去の出入国歴等)を多く含んでいます。そのため、会社側が主導して作成する場合でも、必ず本人からヒアリングし、作成後に本人へ内容を確認してもらうようにしましょう。
可能な限り証明書等の書面を送ってもらい、内容をチェックしたうえで記入してください。
では、どのように記載すればいいのか、以下にわけて詳しく解説します。
- ● 【申請人情報】氏名・国籍・生年月日の書き方
- ● 【在留資格】申請する在留資格の選び方
- ● 【招へい理由】具体的な記入例
- ● 【勤務先・所属機関】の書き方
- ● 【代理人欄】の書き方
【申請人情報】氏名・国籍・生年月日の書き方
- NG例
- 氏名を英語風に「John Smith」と略して記入する
国籍を「アメリカ」と通称で記入する - OK例
- パスポート記載のとおり「SMITH, JOHN MICHAEL」とすべて大文字で記入する
国籍は「アメリカ合衆国」のように正式名称で記入する
申請人情報は、パスポートの記載と一致させる必要があります。生年月日は西暦で正確に記入し、性別は該当する方に丸をつけてください。氏名の表記がパスポートと少しでも異なると、審査で不備を指摘される可能性があるため、必ずパスポートのコピーと照合しながら記入しましょう。
【在留資格】申請する在留資格の選び方
- NG例
- 業務内容を確認せずに「とりあえず技術・人文知識・国際業務」で申請する
- OK例
- 大学で情報工学を専攻し、システムエンジニアとして採用する場合は「技術・人文知識・国際業務」を選択し、専攻と業務内容の関連性を明確にする
申請する在留資格は、外国人が実際に従事する業務内容と一致している必要があります。在留資格の選択を誤ると、審査で業務内容との整合性が取れず不許可になるリスクがあるため、必ず確認してから記載してください。
なお、専門的・技術的分野の場合は「技術・人文知識・国際業務」、特定技能14分野に該当する現場業務の場合は「特定技能」など、業務内容に応じて最適な在留資格を選択しましょう。
【招へい理由】具体的な記入例
- NG例
- 「人手が足りないため採用したい」
- OK例
- 「当社は海外展開を進めており、英語・中国語での顧客対応と社内資料の翻訳業務を担う人材が必要である。申請人は大学で国際関係学を専攻し、貿易実務の実務経験も有していることから、即戦力として業務を遂行できると判断し採用を決定した」
招へい理由は、審査で特に重視される項目の1つです。そのため、NG例のように、抽象的な記載は不備の原因になります。
以下を参考に、招へい理由を具体的に書くようにしましょう。
| 在留資格 | 例文 |
|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務(エンジニア職) | 「大学で情報工学を専攻し、プログラミング・システム設計の専門知識を有している。自社の新規サービス開発において、専攻分野の知識を直接活かせる人材として採用する」 |
| 技術・人文知識・国際業務(通訳・翻訳職) | 「日本語能力試験N1を取得しており、貿易実務の経験も豊富である。海外取引先との折衝業務において語学力と専門知識の両方を発揮できる人材として招へいする」 |
| 特定技能(介護分野) | 「介護技能評価試験・介護日本語評価試験に合格しており、当施設の人員配置基準を満たすために必要な人材として採用する」 |
| 経営・管理 | 「海外子会社での事業運営経験を有しており、日本法人の設立・経営を担う人材として招へいする」 |
招へい理由を書く際のポイントは、「なぜこの人物でなければならないのか」を専攻・経験・資格と業務内容を結びつけて具体的に説明することです。客観的な視点で見て、納得できる理由を記入するようにしましょう。
【勤務先・所属機関】の書き方
- NG例
- 会社名のみを記入し、事業内容や資本金等の詳細を空欄にする
- OK例
- 名称・所在地・電話番号・設立年月日・資本金・年間売上高・従業員数・事業内容をすべて具体的に記入する
勤務先・所属機関の欄には、受入れ企業の情報を正確に記入します。契約の形態については、技術・人文知識・国際業務の場合は「雇用」に該当するため注意してください。
事実に即して正確に記入しなければならないため、会社の詳細情報は登記事項証明書や決算書と一致させるようにしましょう。
【代理人欄】の書き方
| ケース | 記入内容 |
|---|---|
| 本人が申請する場合 | 記入不要 |
| 会社の担当者が申請取次者として申請する場合 | 担当者の氏名・所属機関・連絡先を記入 |
| 行政書士が取次者として申請する場合 | 行政書士の氏名・登録番号・事務所情報を記入 |
代理人欄は、外国人本人以外が申請を行う場合に記入する欄です。例えば、会社の職員が申請取次者として申請するには、事前に出入国在留管理局への「申請等取次者」の届出が必要になります。
もし、届出をしていない場合は、行政書士に依頼するか、外国人本人(海外にいる場合は難しいため代理人を立てる必要がある)による申請となるため、それぞれに合った方法で記載するようにしましょう。
よくあるミスと対処法
在留資格認定証明書交付申請書を記載していると、以下のようなミスによく遭遇します。どのような点に気を付ければ良いのか、具体的に見ていきましょう。
- ● 英語・ローマ字表記のルール
- ● 書類の有効期限・作成日の注意点
英語・ローマ字表記のルール
氏名のローマ字表記は、パスポートに記載されているとおりに記入することが基本ルールです。そのため、以下の点に注意してください。
- ● 姓(Family Name)と名(Given Name)の順番はパスポートの記載に従う
- ● 大文字・小文字の区別はパスポートに合わせる(一般的にすべて大文字)
- ● ミドルネームがある場合は省略せずそのまま記入する
- ● 会社名・所属機関名も正式な英語表記を使用する(略称は避ける)
中でもよく見られるミスは、パスポートと異なる表記で記入しているケースです。記入後は、念のためパスポートのコピーと照合するダブルチェックをするようにしましょう。
書類の有効期限・作成日の注意点
書類の有効期限・作成日も要注意です。中でも、以下の点には注意してください。
- ● 証明写真:申請前6ヶ月以内に撮影したものである(縦4cm×横3cm・無背景・裏面に氏名記載)
- ● 登記事項証明書・決算書等:発行から3ヶ月以内のものを使用する
- ● 在留資格認定証明書の有効期限:交付から3ヶ月以内に日本に入国する必要がある
在留資格認定証明書は、交付されてから3ヶ月以内に上陸しなければ効力を失います。期間が定められているため、証明書交付後のビザ申請・航空券手配のスケジュールを事前に確認し、有効期限内に入国できるよう計画的に準備を進めるようにしましょう。
在留資格認定証明書が交付されたら
在留資格認定証明書の交付は、外国人が日本で活動できることが認められたことを意味します。ただし、手続きが完了したわけではありません。
証明書はあくまで、「入国審査を有利に進めるための証明書」です。証明書が発行された後に、外国人本人が現地の在外日本公館でビザ(査証)の申請をする必要があります。
証明書には有効期限が定められているため、証明書の交付から入国までの流れを理解したうえで、素早く手続きを完了させるようにしましょう。
在外公館でのビザ申請の流れ
在留資格認定証明書が交付されたら、日本国内から原本を海外にいる外国人本人へ送付します。その後、外国人本人が現地の在外公館(日本大使館・領事館)でビザ(査証)の申請をします。
申請時の在外公館でのビザ申請の主な流れは、以下のとおりです。
- 1. 交付された在留資格認定証明書の原本を外国人本人が受け取る
- 2. 本国にある日本大使館・領事館(申請書に記載した査証申請予定地)でビザ申請をする
- 3. パスポート・証明書原本・ビザ申請書・証明写真等を提出する
- 4. 審査後、ビザが発給される(通常数日~1週間程度)
- 5. ビザ発給後、日本へ入国する
在留資格認定証明書の交付とビザの発給は、別の手続きです。証明書があってもビザの審査で問題が発覚すれば入国できない可能性があるため、双方の手続きが完了するまで気を抜かないようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
- 招へい理由はどのくらいの文字数で書けばいいですか?
- 明確な文字数の指定はありませんが、業務内容・本人の専攻や経験・採用に至った経緯を具体的に説明するには、200~400字程度は必要になります。短すぎると審査で不備を指摘されるリスクがあるため、文字数よりも具体性を持たせて記入してください。
- 申請書の作成は会社が代わりに行ってもいいですか?
- 会社が主導して作成すること自体は問題ありませんが、学歴・職歴・過去の出入国歴など本人しか正確に把握していない情報が多く含まれます。そのため、必ず本人からヒアリングし、作成後に内容を確認してもらってください。
- 過去に短期滞在で来日したことがある場合、何か注意点はありますか?
- 短期滞在(観光等)の在留資格で来日した場合、原則として一旦帰国したうえで在留資格認定証明書の交付を受け、再度入国する形になります。国内での在留資格変更ができないケースがあるため、注意してください。
- 証明書の交付までどれくらいの期間がかかりますか?
- 審査期間は、在留資格の種類や時期、申請内容の複雑さによって異なりますが、標準的な処理期間は1ヶ月~3ヶ月程度とされています。入社予定日から逆算して、余裕を持って申請するようにしましょう。
まとめ
在留資格認定証明書交付申請書を作成する際は、「パスポートの記載と正確に一致させること」「業務内容に対応した在留資格を選ぶこと」「招へい理由を具体的かつ論理的に記入すること」が審査通過の重要なポイントとなります。
特に招へい理由は、「なぜこの人物でなければならないのか」を専攻・経験・資格と業務内容を結びつけて説明するようにしましょう。
証明書が交付された後も、在外公館でのビザ申請という手続きが別途必要となるため、証明書の有効期限(交付から3ヶ月以内の入国)を意識しながら速やかに行動してください。
もし、記入内容や在留資格の選択に不安がある場合は、入管業務に精通した行政書士への相談もおすすめです。