目次
1. 経営管理ビザ更新の基本情報
1.1 更新のタイミングと申請期間
経営管理ビザの更新は、在留期限の約3か月前から申請が可能です。期限ギリギリになってから準備を始めると、書類の不備や追加対応で間に合わなくなることもあります。
更新申請の準備は遅くとも2か月前には着手するのが理想的です。
多くの方が、つい日常業務に追われて申請準備が後回しになりがちです。しかし、申請書類の収集・作成には思った以上に時間がかかります。
たとえばこんな失敗が多いです。
- ① 決算書が税理士からまだ上がっていない
- ② 契約書や営業証明の写真が見つからない
- ③ 住民税の納税証明書の発行に時間がかかる
こうしたトラブルを避けるためにも、定期的にビザの期限を確認し、早めの準備を意識することが大切です。
また、更新申請を提出した後に審査が終わっていなくても、「特例期間」として在留が認められるケースがあります。
この間は仮滞在の扱いになり、審査中であっても引き続き日本での生活や事業を続けることができます。
ただし、仮滞在中に海外渡航を行うと、再入国許可が必要になる場合もあるため注意が必要です。
心配なときは、出入国在留管理局へ事前に相談するようにしましょう。
「ギリギリに申請すれば何とかなる」は通用しません。
日頃から必要な書類を整理し、ビザ期限に合わせて計画的に準備することが重要です。
1.2 在留期間の延長とその条件
経営管理ビザの更新では、1年・3年・5年のいずれかの在留期間が付与されます。
はじめての取得時は1年のケースが多いですが、事業が安定していると判断されると、更新時に3年や5年が許可されることもあります。
この在留期間の延長を目指すには、次のようなポイントが重要です。
- ● 事業の継続性があること
- ● 安定した収入と生活基盤があること
- ● 納税などの義務をきちんと果たしていること
特に「事業の実績」と「継続性」が重視されます。
開業後すぐの更新であっても、売上があり、経費や取引先とのやり取りがきちんと記録されていれば、評価につながります。
ただし、次のようなケースでは、延長が認められにくくなる可能性があります。
- ① 帳簿が未整備で営業実態がわからない
- ② 納税証明書に未納の記録がある
- ③ 事務所を短期間で移転していて安定性が疑問視される
逆に、こうした点をきちんと整えておけば、3年・5年の長期在留を狙うことも可能です。
日々の記録と経営の安定性が、長期ビザへの鍵となります。
事業が軌道に乗りはじめたタイミングで、長期ビザの取得を見据えて書類を整えるのがおすすめです。
2. 経営管理ビザの更新に必要な条件
2.1 経営活動が継続して行われていること
経営管理ビザの更新で最も重視されるのが、「現在も実際に事業を継続しているかどうか」です。単に法人が登記されているだけでは不十分で、日々の営業活動が実際に行われていることを証明する必要があります。
具体的には、次のような資料で事業継続を証明します。
- ● 売上や仕入れに関する請求書・領収書
- ● 顧客や取引先との契約書
- ● 従業員の給与明細や雇用契約書
- ● 損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)
ただし、よくある失敗例もあります。
- ① 売上が少ないまま書類だけ整えている
- ② 実体のない契約書で営業実態をごまかしている
- ③ 現金商売で記録が残っていない
これでは「見せかけの事業」と判断されてしまう可能性があります。
たとえ売上が少なくても、取引の継続性や顧客との関係性が分かるように記録を残すことが重要です。
また、赤字決算であっても、次年度の改善見込みや合理的な経営計画を提出することで、更新が認められるケースもあります。
「数字よりも、実態と将来性が伝わるか」が大事です。
2.2 事務所の継続使用
事務所の確保も、ビザ更新の大きな審査ポイントです。法人登記だけでなく、実際にその場所で事業を行っていることが必要です。
以下のような証明書類が求められるケースが多いです。
- ● 現在の賃貸契約書(名義が本人または法人であること)
- ● 事務所の外観・内観写真(看板・備品・レイアウトなどが確認できるもの)
- ● 郵便物や納品書など、継続利用の証明となる書類
ありがちな失敗例は以下の通りです。
- ① レンタルオフィスで実態がわかりづらい
- ② 自宅と兼用で、事業所としての証明が難しい
- ③ 契約書の名義が個人で、法人との関係が不明確
このような場合でも、使用実態がしっかり確認できる工夫があれば更新は可能です。
たとえば、自宅を事業所として使っているなら、事業用のレイアウトが分かる写真や、郵送物などで実態を示すのが有効です。
「実際に使っていること」を伝えるのが大切です。
2.3 安定的な収入・生活基盤
更新審査では、「このまま日本で安定した生活を続けられるか」という視点もチェックされます。経営者本人だけでなく、その扶養家族も含めて生活が成り立つかが重要です。
以下のような資料がよく提出されます。
- ● 給与明細や役員報酬の支払い証明
- ● 銀行口座の残高証明や入出金履歴
- ● 所得税や住民税の納付証明書
- ● 扶養家族がいる場合はその生活費の負担状況
こんな注意点があります。
- ① 生活費の出所が曖昧で説明できない
- ② 役員報酬がゼロで、生活基盤が見えない
- ③ 納税記録に未納や滞納がある
入管は、経営の継続性だけでなく、本人が日本で「ちゃんと生活できているか」も重視します。
とくに扶養する家族がいる場合は、教育費・生活費なども考慮されるので、より丁寧な証明が必要です。
数字だけでなく、生活の実態も可視化することが大切です。
3. 必要書類と提出のポイント
3.1 基本書類の一覧
経営管理ビザの更新申請では、形式的な基本書類をまずそろえる必要があります。これらは申請者全員に共通して求められるもので、抜け漏れがあると即座に審査遅延や不許可の原因になります。
主な基本書類は以下の通りです。
- ● 在留期間更新許可申請書(所定様式)
- ● パスポートの写し(顔写真ページ・出入国履歴ページ)
- ● 在留カードの両面コピー
- ● 住民票(世帯全員・続柄記載あり)
- ● 納税証明書(所得税・住民税)
- ● 源泉徴収票(該当者のみ)
- ● 会社の登記簿謄本・定款
「書類は揃って当たり前」と考え、期限内の発行・最新の状態かどうかも必ずチェックしてください。
ありがちな失敗としては、
- ① 住民票に続柄が記載されていない
- ② パスポートの更新履歴が含まれていない
- ③ 定款の提出が古いバージョンになっている
このような点は見落とされやすいため、提出前に必ず再確認するようにしましょう。
3.2 経営実態を示す資料
基本書類と並んで重要なのが、現在も事業を行っていることを証明する「経営実態の書類」です。
入管が特に注目するのは、「実際に営業しているか」「継続して収益を上げているか」「事業が成立しているか」といった点です。
主な書類は以下の通りです。
- ● 貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)
- ● 直近の確定申告書・法人税申告書の写し
- ● 請求書・領収書・発注書(売上や仕入れの実態)
- ● 顧客・取引先との契約書(継続取引があるか)
- ● 従業員の雇用契約書・給与明細(雇用の証明)
- ● 事務所の賃貸契約書・郵便物・写真
これらの資料は、事業の信頼性や継続性を判断する重要な要素です。
注意すべき点は以下のようなものです。
- ① 帳簿類が税理士任せで、自分では内容を説明できない
- ② 取引の記録が曖昧で金額や内容が一致しない
- ③ 事務所の写真が古く、今の状況を反映していない
これらを避けるために、書類に一貫性を持たせ、説明できる状態にしておくことが大切です。
3.3 書類作成でよくあるミスと注意点
更新申請が通らない理由の多くは、「書類不備」や「記載ミス」にあります。内容に問題がなくても、形式的なミスで不許可になるケースは少なくありません。
代表的なミスには以下があります。
- ① 数字の食い違い(申請書と帳簿の金額が異なる)
- ② 申請書の記入漏れや誤字
- ③ 古い書類や有効期限切れの証明書を提出
また、虚偽の記載や実態と異なる資料を出すと、重大なペナルティにつながることがあります。
たとえば、売上を実際より大きく見せるような資料を出すと、虚偽申請と判断されて更新が不許可になるだけでなく、将来的なビザ取得にも悪影響を及ぼします。
「バレなければ大丈夫」は通用しません。
入管は提出書類の整合性を丁寧にチェックしており、矛盾があるとすぐに疑問を持たれます。
対策としては、
- ● 書類作成前に、数値の整合性を確認する
- ● 記載内容は必ず第三者(行政書士など)にチェックしてもらう
- ● 事実に基づいた資料のみを提出する
正確で一貫性のある書類こそが、更新成功の鍵です。
4. 審査で重視されるポイント
4.1 ビジネスの継続性と成長性
経営管理ビザの更新審査では、単なる事業の「存続」だけでなく、今後も継続して安定した経営が見込めるかどうかが強く意識されます。つまり、事業の将来性が評価の対象になるということです。
入管が注目する代表的なポイントは次の通りです。
- ● 安定した売上と収支のバランス
- ● 顧客・取引先との継続的な関係性
- ● 市場調査に基づいた実現可能なビジネスプラン
- ● 販路拡大や新サービス導入の取り組み
たとえば、ここで失敗しやすいのは以下のようなケースです。
- ① 過去の売上実績に頼り、将来の展望が説明されていない
- ② 更新のたびに事業内容が変わり、継続性が疑われる
- ③ 数字だけを並べて、事業戦略の根拠が示されていない
こうしたミスを防ぐために、更新申請時には「事業計画書」や「今後の展開」に関する補足資料を用意することをおすすめします。
例として、以下のような資料が有効です。
- ● 今後1〜3年の売上予測
- ● 新サービスや商品投入の計画書
- ● 顧客満足度アンケートやマーケット分析
「この先も日本で継続的にビジネスをしていける」ことを、書類で伝えるのが大切です。
4.2 過去の在留状況
ビジネスの実績に加えて、申請者本人の「日本での生活状況」も審査に含まれます。
つまり、「この人は日本で誠実に暮らしているか?」が問われるのです。
入管が見る主なポイントは次のような点です。
- ● 過去の在留期間中に法令違反がないか(例:交通違反、税金未納など)
- ● 定住実績(日本国内での住民登録、転居の頻度)
- ● 日本語能力や地域との関わり(子供の学校、地域活動など)
とくに納税状況は非常に重視されます。
住民税や所得税の納税証明書に未納や滞納があると、審査が不利になることがあるため、必ず事前に確認しておきましょう。
ありがちなミスには、以下のようなものがあります。
- ① 納税証明書が未提出で、税金を払っていない印象を与えてしまう
- ② 過去の在留中に軽微な違反を放置していた
- ③ 居住地の記録にブレがあり、生活実態が不明確
また、短期間で何度も住所変更していたり、賃貸契約を更新していないまま放置していたりすると、「腰を据えて日本に住む意思がない」と見なされることもあります。
「誠実に、日本で生活・経営している姿勢」を伝えることが信頼につながります。
5. 不許可になるケースと対処法
5.1 赤字決算や事業実態がない場合
経営管理ビザの更新では、赤字決算=即不許可というわけではありません。
ですが、事業の継続性が不明確な場合や、営業実態が感じられないと、更新が認められないリスクが高まります。
特に注意すべき事例は以下の通りです。
- ① 赤字が2期以上続いていて改善の見通しが示されていない
- ② 法人は存在するが、実際に営業している証拠がない
- ③ 損益計算書に売上がほとんど計上されていない
このようなケースでも、次のような対策を行えば更新の可能性を高められます。
- ● 将来の改善見込みを記載した「経営改善計画書」を提出する
- ● 売上は少なくても、顧客との契約継続や取引履歴を示す
- ● 副業や副収入がある場合、それを補足資料として提出する
たとえば、貿易業の経営者がコンサルティング業を並行して行っている場合、副業としての収入も生活基盤の一部として評価されます。
赤字よりも「継続して経営を行っている実態」があるかが重視されます。
また、固定費削減や営業戦略の見直しなど、改善努力の痕跡もプラス評価につながります。
5.2 書類不備・虚偽記載
ビザ更新において、最も避けなければならないのが「虚偽記載」や「書類の不備」です。
どんなに経営状況が良くても、提出書類に矛盾や間違いがあると、それだけで不許可となる可能性があります。
よくある失敗例を挙げると以下の通りです。
- ① 書類の数字が他の資料と一致していない
- ② 契約書や領収書の日付や金額が矛盾している
- ③ 実在しない取引先の資料を作ってしまった
これらの行為は、審査官からの信頼を大きく損なう原因になります。
とくに悪質と判断されると、「在留資格取り消し」や「再申請の長期禁止」といった処分を受ける場合もあります。
信頼を得るには「正直さ」と「整合性」が最も重要です。
そのための対策としては、
- ● 書類はすべて第三者(行政書士など)にダブルチェックしてもらう
- ● 数値や日付の一貫性を確認する
- ● 疑わしい情報は削除し、確実に説明できる内容だけを提出する
また、万が一ミスに気づいた場合は、速やかに入管に連絡して修正申請を行うことも可能です。
その際は、理由書や正しい情報を添えて、誠意をもって対応しましょう。
「書類はすべて見られている」という意識で丁寧に準備することが、更新成功のカギです。
6. 行政書士に依頼するメリット
6.1 最新の審査傾向に対応した申請
経営管理ビザの更新審査は、年々少しずつ変化しています。特に近年では、「経営の安定性」や「社会的信頼性」など、書類だけでは読み取りにくい要素も重視される傾向にあります。
行政書士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
- ● 入管の最新の審査ポイントを把握している
- ● 必要な書類の過不足を的確に判断できる
- ● 説得力のある補足資料を一緒に作成してくれる
たとえば、前年は赤字だったが今年から黒字に転じた場合、その変化の背景や要因を説明する「経営コメント」を添えるだけで審査の印象は大きく変わります。
行政書士は、そうした「数字の裏にある経営の努力」や「今後の成長性」を見せる資料作成が得意です。
また、次のような失敗を未然に防ぐサポートも期待できます。
- ① 申請書の記載ミスや漏れの修正
- ② 帳簿や契約書との数値の整合性チェック
- ③ 税務書類の見せ方に関するアドバイス
「プロの視点」が入るだけで、ビザ更新の成功率はぐんと上がります。
6.2 言語・文化の壁を越えるサポート
外国人事業者にとって、日本のビザ制度は複雑で専門用語も多く、母国語での理解が難しいことがよくあります。
その点、外国人対応に慣れている行政書士は、言語や文化の違いを理解した上で丁寧にサポートしてくれる存在です。
たとえば次のような場面で頼りになります。
- ● ビザ用語や制度の説明を、やさしい日本語や母国語で解説してくれる
- ● 入管とのやり取りを代行してくれる
- ● 面談や審査での質問対応の練習に付き合ってくれる
よくある困りごとには、以下のようなものがあります。
- ① 書類の説明文をどう書けばよいか分からない
- ② 入管の電話対応で内容を理解できない
- ③ 追加提出の指示を誤解してしまった
こうした不安を解消し、ストレスなく申請に集中できる環境を整えてくれるのが行政書士です。
さらに、外国人に特化したサポート体制を持つ事務所では、多言語での対応やLINEでの相談も可能な場合があり、日常的なサポートも受けやすくなっています。
「伝えたいことが正確に伝わる」ことが、審査成功の大きな後押しになります。
7. まとめ:確実な経営管理ビザ更新に向けてできる準備
7.1 継続的な経営と記録が更新成功の鍵
経営管理ビザの更新において、最も大切なのは日頃からの経営の「積み重ね」と「見える化」です。申請時だけ書類を整えるのではなく、普段からきちんと記録を残し、必要な情報を整理しておくことが、更新成功の大きな鍵となります。
とくに意識しておきたいポイントはこちらです。
- ● 帳簿(売上・経費・損益)を月ごとに記録・管理する
- ● 契約書、領収書、請求書などをファイル化して保管する
- ● 事務所の写真や営業風景などを定期的に撮影・保管する
- ● 納税書類や住民票など、定期的に更新・確認しておく
よくある失敗として、
- ① 書類を探すのに時間がかかり、期限直前になってしまう
- ② 営業実態をうまく説明できず、内容が曖昧になる
- ③ 売上の記録が口頭やメモ程度で正式な証明にならない
こうした事態を避けるには、月1回の「記録整理日」や、経営日報をつけるなどの習慣化が効果的です。
「事業の見える化」は、ビザ更新における最大の武器になります。
7.2 専門家と連携し、早めの準備を
経営管理ビザの更新は、毎年または数年ごとに必ずやってくる手続きです。書類作成や審査への対応をスムーズに進めるためにも、早めに準備を始めること、そして専門家と連携することが非常に大事です。
理想的なスケジュール感は以下のようになります。
- ● 在留期限の3か月前:必要書類の洗い出しを開始
- ● 2か月前:決算書や税務書類などを整理
- ● 1.5か月前:行政書士などに相談し、書類の整合性を確認
- ● 1か月前までに申請を提出
行政書士に依頼することで、最新の審査基準に合った資料の整え方や、不安要素への対策までアドバイスを受けられます。
特に、次のような方は早めの相談が安心です。
- ● 日本語での書類作成に不安がある
- ● 赤字や収支のバランスに自信がない
- ● 初めての更新で流れが分からない
「時間があるうちにプロの力を借りておく」ことが、トラブルを防ぐ最大の対策です。
経営管理ビザの更新なら、行政書士法人Climbにお任せください!
赤字や初めての更新でも、豊富な経験をもとに適切な書類準備・審査対策をご提案します。在留期間の延長や経営状況に不安がある方も安心です。
ビザ更新に不安がある方は、Climbの無料相談をご利用ください。