帰化申請での面接の位置付け
帰化申請では必ず面接が実施されます。
面接を受ける側としては「書類もちゃんと提出したのにどうして面接が必要なの?」と思われるかもしれません。
まず基本として、何故面接が必要なのかというと、大きくは次の3つの理由が挙げられます。
- ● 提出された書類に書いてあることは全て本当のことかどうか
- ● 書類の内容を申請した外国人本人が理解しているのかどうか
- ● 日本人として認めてもよいだけの日本語能力があるかどうか
これらは帰化申請をする上で非常に重要なポイントとなってくるため、必ず意識しましょう。
特に日本に帰化するのですから、書類に不備がないのはもちろん、その中身まで本人がしっかり理解しているかどうかが問われます。
そのため、面接時間や質問内容は申請者それぞれで異なります。それゆえに、模範的な回答方法というものは存在しません。
面接時間も30分程度で素早く終わることもあれば、2時間以上かかる場合もあります。
ただ、全ての質問が「申請者に関係のあること」が前提になるのは変わりません。
帰化する本人が何も分かっていないのでは、面接を通過できないのはもうお分かりでしょう。
帰化申請の面接で不許可になる場合に考えられる理由と対処法
帰化申請の際の面接で不許可になった場合、どんな理由が考えられるのでしょうか。
個別に質問内容が違うのは先述した通りですが、帰化である以上共通するポイントは存在しています。
不許可になった場合、以下の理由は考えておきましょう。
- 1.日本語能力が低い
- 2.申請書類と面接での応答内容に食い違いがある
- 3.申請時に生じた職業や身分等の変化の未申告
- 4.申請後に生じた法令違反等の不利益事項の未申告
それぞれ詳しく見てみましょう。
1.日本語能力が低い
帰化申請での面接の目的のひとつとして、実際に申請者と会話してその日本語能力を測るという面があります。
実際に面接をしていて「日本語能力が少し低いな」と面接官が感じた場合には、テストが実際される可能性があります。
テストの結果、点数が著しく低いなどの場合、不許可になる可能性が高いでしょう。
また、日本語能力はヒアリングも問われます。
面接官が質問している内容を理解できない場合も、「日本語能力が低い」と判断される可能性が非常に高く、注意が必要です。
普段から最低限のコミュニケーションを取れるように訓練をしておくことをオススメします。
同様に面接官から都合の悪いことを聞かれた際に「言っている日本語がわかりません」と質問から逃げる回答もしてはいけません。
その質問をすれば、即座にヒアリング能力が無いと判断され、申請が不許可になる可能性が高くなります。
面接時は日本語のコミュニケーションをしっかり磨いて臨むようにしましょう。
2.申請書類と面接での応答内容に食い違いがある
面接の際の主な質問内容は、基本的に提出した書類に記載されてあることがほとんどです。
そのため、実際に申請書と書いてある内容と話している内容に差異があれば、虚偽の申告をしているのではないかと疑われ、最悪不許可になる可能性があります。
面接の内容も全て記録されているため、ひとつでも差異があった場合は許可を取るのが難しくなるでしょう。
質問内容も、何故日本人になりたいのか、どれくらい日本に住んでいるのかという基本的な質問から、家族構成やその生年月日、仕事の内容まで多岐に渡ります。
そういった質問の回答と申請書の内容が違わないよう、十分に注意しましょう。
特に、面接官は帰化申請者が提出した申請書を基にして面接を行いますが、それまでに様々な調査やその内容に矛盾点がないかを読み込んでいます。
面接官がそこまで準備して面接に臨んでいるのですから、申請者側としても自分が提出した書類に何を書いたのかを全て理解しておくことが大切です。
3.申請時に生じた職業や身分等の変化の未申告
帰化申請をする際は、必ず職業や身分の申告をしなければいけません。
転職したり身分が変わった場合でも、同様に申告をしなければなりません。
その際は、法務局へ必ず申告するようにしましょう。
さもなければ、面接後に法務省から不許可通知が届いてしまいます。
不許可通知には不許可となった理由も一切書かれていないため、何が原因だったのかわからないということが多々あります。
職業や身分等の変化は、つい見落とししてしまいがちなため注意が必要です。
職業の場合は転職や退職、身分の場合は結婚や離婚が例として挙げられます。
どれも手続き等でバタバタしてしまうため、申請時に申告するのをつい忘れてしまいがちです。
しかし忘れてしまうと、せっかく準備をして面接に挑んだとしても未申告として不許可になってしまう可能性があるため、帰化申請のタイミングで結婚や離婚、転職といった職業・身分の変更がありそうな場合は注意してください。
4.申請後に生じた法令違反等の不利益事項の未申告
帰化申請後に法令違反や不利益事項が起こった場合、未申告だと不許可になる場合があります。
法令違反とは字と通り法令に違反した場合を指し、犯罪などもこれに当てはまります。
車を運転していた場合、飲酒運転やひき逃げといった重度な交通違反も含まれるため、運転をする際は気をつけてハンドルを握りましょう。
他にも租税公課を未納していたり、経営していた会社が破産し破産手続きの開始決定を受けたといった場合にも同様に申告する必要があります。
こうした違反行為や税金の未納、破産といった状態は帰化審査に不利益になるかもしれないと隠してしまいがちです。
しかし、隠したところで結局は面接後にバレてしまうため、それで面接官の心証を悪くするくらいなら正直に申告するようにしましょう。
法務局の担当者は帰化申請の審査内容を知らない
まず大前提として、法務局の担当者は審査内容を知りません。
そのため、例え不許可になったとしても、その理由を法務局で確認することができないのです。
帰化申請者は、何故不許可になったのかを自分で調べて解決する必要があります。
不許可になった理由には様々ありますが、以下の項目は必ず疑いましょう。
- ● 申請時の書類から身分や職業の変更があったのにも関わらず未申告だった
- ● 申請後に法令違反や税金の未納、破産手続きがあったのにも関わらず未申告だった
- ● 提出した申請書に虚偽や事実と乖離する記載があった
- ● 法務局からの追加書類提出依頼に対して対応を行わなかった
先述した内容がほとんどなのがおわかりいただけたかと思います。
これらの中でつい後回しにしてしまいがちなのが、法務局からの追加書類の提出依頼です。
忙しさにかまけて後回しにすると不許可にもなりかねないため、もし依頼が来た場合は即座に書類を準備して提出するようにしましょう。
<対処法> 過去の在留不良を洗い出して帰化申請に臨む
帰化申請をする場合、過去の在留不良を洗い出すようにしましょう。
無いに越したことはありませんが、もし在留不良があった場合は帰化どころではなく在留資格の取り消しすらあり得ます。
在留資格に関しては出入国管理及び難民認定法第二十二条の四にて、取り消しの理由が挙げられています。
例としては、住所への届け出を忘れていたり、転職のため退職をしたがなかなか次の仕事が決まらずに3ヶ月以上経ってしまったという場合などが当てはまります。
これらは帰化申請時はもちろんですが、ビザの更新でも不許可になる可能性が高いため、忘れずに行うようにしてください。
また、在留資格に定められた活動を行わず、他の活動を行っている場合は特に注意が必要です。
帰化申請の面接では必ず現在の職業を聞かれます。
その際に在留資格に定められていない職業の場合、不許可となるでしょう。
面接で嘘をついてはいけません。
もし在留不良があった場合、帰化申請の前に現在の在留状況を必ず整えましょう。
その際、申請した内容を忘れないように動機書のコピーを取っておくと便利ですよ。
準備を万端にしてから帰化申請の面接に臨みましょう。
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