日本人と結婚すると帰化申請が有利になる?
日本でずっと暮らしていきたいと考えている外国人の方の中には、日本人と結婚して日本で家庭を築いている方も多いでしょう。
そんな中で考えるようになるのが、日本への帰化申請です。
日本人と結婚している外国人の方には、永住権を持つ外国人と結婚している方とはまた違った配偶者特例が設けられています。
その中でも帰化許可の要件の緩和は大きく、申請時に有利に働きます。
まず大前提として、帰化を許可するには以下の条件を満たしていなければなりません。
- 1.引き続き5年以上日本に住所を有すること
- 2.20歳以上であること
- 3.素行が善良であること
- 4.自己または生計をひとつにする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること
- 5.国籍を有せず、または日本の国籍の取得によって母国の国籍を失うこと
- 6.日本国憲法を違反せず、暴力行為によってテロなどを起こさないこと
悪いことをせず真面目に暮らしていれば、自然と満たせる内容なのが特徴です。
日本人の配偶者となった場合、これらが若干緩和されるため、帰化申請時において通常申請するより有利になってきます。
帰化申請でどのような条件が緩和される?
日本人の配偶者となるとどのような要件が緩和されるのでしょうか。
まず前提として、帰化申請の要件が緩和されるためには、以下の条件をクリアしている必要があります。
- ● 日本国民の配偶者である外国人
- ● 引き続き3年以上日本に住所または居所を有する
- ● 現に日本に住所を有する
要するに、日本人と結婚していて、日本に住所があり、3年以上日本に住み続けている、ということです。
以上を満たしていると、日本人の配偶者としての特例を受けることができます。
では、どのような要件が緩和されるのか詳しく見ていきましょう。
▼ 居住年数の条件
日本人と結婚している外国人の場合、居住年数の要件が緩和されます。
本来は5年以上住み続けている必要があるところが、3年以上で要件を満たします。
3年以上日本に住み続けている外国人の方の場合、日本人と結婚した時点で帰化の要件が満たされるのです。
日本が好きで暮らしていて、将来的に帰化したいと考えている方にとっては嬉しい緩和なのは間違いありません。
また要件の緩和は他にもあり、「婚姻の日から3年以上が経過し、引き続き3年以上日本に住んでいる」場合も当てはまります。
これは海外で日本人と結婚した方が該当し、結婚して3年が経過した上で、日本で1年以上住んでいればOKです。
ただし注意点として、これらの要件を満たすには同居している必要があります。
もちろん別居していても帰化申請は可能ですが、申請時に別居に関しての正当な理由が必要となります。
もし特別な理由無く別居している場合は、帰化申請できない可能性が高いことを覚えておいてください。
▼ 就労経験の条件
一般的に日本に住む外国人の方が帰化申請を行う場合、就労経験が必要です。
その就労経験の条件は厳しいもので、日本に住んでいる間でなければならず、母国でどれだけ働いていたとしてもカウントされません。
あくまでも引き続き日本に住んでいる期間の中で3年以上の就労経験が必要となります。
さらに、就労経験にはアルバイトが含まれないため、就労系のビザを取得しなければいけません。
しかし、日本人の配偶者となった外国人の方ならば話は別です。
帰化申請時に必要な就労経験の条件そのものが緩和され、経験が全くなくとも帰化できるようになります。
就労経験がなくても帰化できるのか不安な方も、問題なく帰化申請が可能です。
▼ 素行に関する条件
帰化に必要な素行に関しても、日本人の配偶者となると緩和されます。
その場合、2種類の緩和要件が設けられており、日本人の配偶者がどちらに加入しているかで変わります。
- ● 厚生年金に加入している
- ● 国民年金に加入している
以上2つの内、厚生年金に加入している日本人と結婚している外国人の方は、「3号被保険者」に該当するため、申請時に関わってくる年金の問題が無くなります。
一方、国民年金に加入している日本人と結婚している場合は、配偶者である外国人の方にも年金の支払い義務が生じます。
これらは帰化申請時に大きく関わってくるため、帰化を考えている方は配偶者がどちらの年金に加入しているのか必ず調べておきましょう。
もし国民年金に加入していた場合、支払いを怠っていると素行不良として判断され、申請が許可されない可能性が高くなります。注意しましょう。
▼ 生計に関する条件
一般的に外国人の方が帰化申請をしようと思うと、生計に関しては必ず問われます。
年収が300万円以上など明確に定められているうえ、収入面に対しての証左も必要です。
そのため申請時には生計に関する要件に注意が必要ですが、日本人と結婚した外国人の場合は別です。
日本人の配偶者となった外国人の方は、生計面が一切問われず、例え無職であったとしても帰化要件を満たします。
例えばですが、日本人と結婚して専業主婦・主夫になっても帰化申請が可能なわけです。
一方で配偶者が無職ということは、相手の日本人配偶者が生計要件を満たしていなければなりません。
その場合、年収100万といった状態では難しくなるため注意が必要です。
帰化申請時に問われる生計に関する要件を満たすような金額が必要となるため、申請を行う際には十分に注意する必要があります。
帰化申請の必要書類
日本人の配偶者となった外国人の方が帰化する場合、様々な要項が緩和されることはご理解いただけたかと思います。
では、実際に帰化をする場合、どのような書類を準備する必要があるのでしょうか。
まず前提として、帰化の要項が緩和されるからといって、必要な書類までもが緩和されるわけではありません。
むしろ緩和されるに従って必要な書類が増えるくらいです。
そのため帰化を申請する際は必要な書類をしっかり準備して申請してください。
中でも追加で必要な書類をこれから解説します。
▼ 配偶者の戸籍
日本人の配偶者となる帰化申請では、日本人配偶者の戸籍謄本を準備する必要があります。
戸籍謄本とは、戸籍に記載されている人の身分を証明するための書類で、日本独自のものです。
従来ある住民票とは異なっているため、注意してください。
また戸籍謄本は現在住んでいる場所ではなく、本籍地で記載を行います。
そのため本籍が大阪で現在の所在地が東京であった場合、大阪に戸籍謄本の発行を依頼しなければいけません。
そうすると手続き上どうしても1週間から2週間程度がかかってしまうため、戸籍謄本が必要な場合は余裕を持って手続きをするようにしましょう。
ただ、既に本籍を現在の所在地に変更している場合は、住んでいる市町村の役場に行けばすぐに発行が可能です。
近年ではマイナンバーカードを使ってコンビニでも発行ができるようになっているため、時間を取るのが難しい方は利用してみましょう。
その場合、全ての市区町村が対応している訳ではないことをご留意ください。
▼ 戸籍の附票もしくは住民票の除票
戸籍謄本と合わせて必要になるのが、「戸籍の附票」か「住民票の除票」です。
特に日本人との結婚期間がある外国人の方は必須になります。
それぞれどういった書類かというと、
- 戸籍の附票
- 本籍地に紐付いた過去の住居地の記録
- 住民票の除票
- 過去の住所を表す証明書
どちらも過去に住んでいた場所を証明する書類です。
これらの書類は、婚姻期間中の同居歴の確認のために用いられるため、婚姻期間のある方は必要となるわけですね。
ただし、これらの書類は現在のものだけではなく過去に婚姻していた場合はその分まで提出が求められるため、離婚した前配偶者の本拠地を特定しなければいけないなど少し難しい面があります。
該当する方は書類を準備する際にご注意ください。
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