1.帰化申請の時になぜ収入が問題になるのか
帰化申請が許可されるための条件の一つとして、生計要件があります。簡単に言うと、収入や保有資産に関する要件です。
生計要件とは、国籍法第5条第1項4号によって、「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること」と規定されています。
つまり、帰化申請の審査の中で「申請人が日本での生活を維持するために十分な資金力を持っているかどうか」を判断する役割を果たします。
この要件が存在するために、帰化申請時には収入が問題になるのです。
2.どれくらいの収入があればよいのか
それでは、帰化申請が認められるためにはどのくらいの収入があればよいのでしょうか。
結論から言えば、「年収〇〇円以上」や「〇〇円以上の収入があれば大丈夫」というような基準は存在しません。
永住申請であれば、最低の年収は300万円で更にその300万円を直近5年以上キープしていることが求められますし、扶養家族の人数によっても求められる年収額が増えます。
※詳しくは⇒永住ビザ申請の条件のページへ
帰化申請の場合、申請人個々の状況に応じて、日本での生活のための十分な資金の額は変わってきます。
そのため、年収200万円台であっても帰化が許可された例は多数あります。
ただ、一般的には年収が300万円程度あれば(300万円を下回っていたとしても)帰化申請が許可される可能性は十分にあります。
そういった意味では、永住申請と比べると求められる年収要件は低いと言えるでしょう。
借金があるなど、不利になり得るケースは?
生計要件の関係で不利になり得る場合として、借金があることや、雇用形態が派遣・契約社員であることが挙げられます。
- ● 借金がある場合
- 借金がある場合、必ず帰化申請が認められないというわけではありません。借金の額や返済状況、収入等の点から、問題なく返済をすることができ、経済的に安定した生活を日本で送っていける状況であることを資料とともに説明できれば、申請は十分認められると思われます。
ただし、収入に見合わない多額の借金がある場合には、帰化申請の許可を得るのは難しくなります。 - ● 雇用形態が派遣・契約社員である場合
- 正社員と派遣・契約社員とでは、雇用継続の安定性という点で正社員の方が有利なのは否めません。収入が少なく、雇用形態が派遣・契約社員という場合には許可を得られない可能性があります。
3.帰化申請時、収入はどのように審査される?
収入については、帰化許可申請の書類の一つである「生計の概要書」に収支を記載することになります。
生計の概要書には収入と支出を記載しますが、記載する収入・支出の情報と添付する給与明細、源泉徴収票、確定申告書、各種納税証明書などの内容と整合性が必要です。
このように、収入に関しては生計の概要書や各種添付書類などから審査されることになります。
「生計の概要書」に記載する収入・支出は、帰化申請をする本人だけでなく、同居者や収支を共にする親族なども合算して計算することになります。
収入の例としては、給与、事業収入、年金、児童手当、養育費などがあります。
一方、支出の例としては、食費、住居費、ローン、水道光熱費、教育費、仕送り、養育費などが挙げられます。
4.まとめ
帰化申請の要件の一つである生計要件を満たすために最も重要なことは、バランスのとれた収入と支出であり、今後日本で生活していくのに十分な資力があるということを説明できることです。
どれだけの収入があれば十分な資力があるといえるかは人により異なり、生計要件を満たすかどうかは個々の事情に即した総合的な判断となります。