1.帰化申請の時になぜ収入が問題になるのか
帰化申請が許可されるための条件の一つとして、生計要件があります。簡単に言うと、収入や保有資産に関する要件です。
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生計要件とは、国籍法第5条第1項4号によって、「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること」と規定されています。
つまり、帰化申請の審査の中で「申請人が日本での生活を維持するために十分な資金力を持っているかどうか」を判断する役割を果たします。
この要件が存在するために、帰化申請時には収入が問題になるのです。
2.どれくらいの収入があればよいのか
それでは、帰化申請が認められるためにはどのくらいの収入があればよいのでしょうか。
結論から言えば、「年収〇〇円以上」や「〇〇円以上の収入があれば大丈夫」というような基準は存在しません。
なお、永住申請では、2026年10月1日の永住許可ガイドラインの改定で、世帯収入が日本人世帯の平均収入を上回る水準に達しているかが考慮されるようになり、経済要件は厳しくなっています。
※詳しくは⇒永住ビザ申請の条件のページへ
帰化申請の場合、申請人個々の状況に応じて、日本での生活のための十分な資金の額は変わってきます。
そのため、年収が高くなくても、世帯全体の収入や、配偶者など親族の資産・技能によって生計条件を満たす場合があります(法務省「国籍Q&A」)。
年収の金額について、公式の基準はありません。法務省は生計条件を「生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけることが必要です。この条件は生計を一つにする親族単位で判断されますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすこととなります」と説明しています。そのため、本人だけでなく世帯全体の収入・資産・支出や、その生活が安定して続くかを見て、総合的に判断されます。
法務省のQ&Aでは、年収の具体的な金額は示されていません。
出典:法務省「国籍Q&A」(帰化の条件・生計条件)
一方、帰化の生計条件について、法務省のQ&Aでは年収の具体的な金額は示されていません。
借金があるなど、不利になり得るケースは?
生計要件の関係で不利になり得る場合として、借金があることや、雇用形態が派遣・契約社員であることが挙げられます。
- ● 借金がある場合
- 借金がある場合、必ず帰化申請が認められないというわけではありません。借金の額や返済状況、収入等の点から、問題なく返済をすることができ、経済的に安定した生活を日本で送っていける状況であることを資料とともに説明できれば、申請は十分認められると思われます。
ただし、収入に見合わない多額の借金がある場合には、帰化申請の許可を得るのは難しくなります。 - ● 雇用形態が派遣・契約社員である場合
- 正社員と派遣・契約社員とでは、雇用継続の安定性という点で正社員の方が有利なのは否めません。収入が少なく、雇用形態が派遣・契約社員という場合には許可を得られない可能性があります。
3.帰化申請時、収入はどのように審査される?
収入については、帰化許可申請の書類の一つである「生計の概要書」に収支を記載することになります。
生計の概要書には収入と支出を記載しますが、記載する収入・支出の情報と添付する給与明細、源泉徴収票、確定申告書、各種納税証明書などの内容との整合性が必要です。
このように、収入に関しては生計の概要書や各種添付書類などから審査されることになります。
「生計の概要書」に記載する収入・支出は、帰化申請をする本人だけでなく、同居者や収支を共にする親族なども合算して計算することになります。
収入の例としては、給与、事業収入、年金、児童手当、養育費などがあります。
一方、支出の例としては、食費、住居費、ローン、水道光熱費、教育費、仕送り、養育費などが挙げられます。
なお、東京法務局の案内では、住民税は直近5年分、年金などは直近2年分の書類が必要とされています(出典:東京法務局「帰化許可申請書に添付する書類」)。単年度の収入額だけでなく、過去数年分の収入と納付状況の一貫性が確認されるため、転職や独立で収入が変動した時期がある方は特にご注意ください。
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納税・年金の証明書の詳しい内容は、帰化申請の納税・年金の証明をご覧ください。
4.まとめ
帰化申請の要件の一つである生計要件を満たすために最も重要なことは、バランスのとれた収入と支出であり、今後日本で生活していくのに十分な資力があるということを説明できることです。
どれだけの収入があれば十分な資力があるといえるかは人により異なり、生計要件を満たすかどうかは個々の事情に即した総合的な判断となります。
帰化の要件・必要書類・申請の流れは、『帰化申請をする際におさえておくべき基礎知識』で詳しく解説しています。