1.日本人にしかなれない職業がある?
社会には様々な職業がありますが、外国人はなることができない職業というものが日本には存在します。
それは、国家公務員・地方公務員、裁判官、検察官、政治家、公証人、裁判員等の公職です。
1953年に内閣法制局が示した見解があります。「公務員に関する当然の法理として、公権力の行使または国家の意思形成への参画にたずさわる公務員になるためには、日本国籍を必要とする」というもので、「当然の法理」と呼ばれています。この当然の法理に基づいて、定型的な職務に従事する一部の官職を除き、日本国籍が必要とされています。
東京都管理職選考事件(最大判平17.1.26)での判旨では、地方公共団体が日本国民である職員に限って管理職に昇任することができるとする措置を講ずることは、合理的な理由に基づく区別とされています。
つまり、原則として外国人は定型的な職務に従事する一部の公務員になることはできるが、公権力の行使又は国家意思の形成への参画に携わる公務員には就任、昇任できず、このような区別は合理的な理由に基づくものであるとされています。
外国人の方であっても、帰化申請をして許可され、日本国籍を取得することができればこういった職業に就くこともできるようになるでしょう。
2.帰化しないと進学できない大学がある?
大学によっては、募集要項に日本国籍を条件とするものがあります。
例として、防衛医科大学が挙げられます。防衛医科大学は国家公務員である軍医を養成する機関であるために、防衛医科大学に入学するということは国家公務員として就職するということを意味するからです。
同様に、防衛大学、海上保安大学校、気象大学校に入学するにも日本国籍が求められます。
なお、司法試験の受験には国籍条項はありませんが、外国人が合格をしたとしても前述のとおり裁判官・検察官になることはできません。
もし、こうした大学への進学を考えているのであれば、前述の職業と同様に帰化申請をして許可され、日本国籍を取得することで問題なく入学できるでしょう。
まとめ
日本には日本国籍を持たないと就任できない職業や入学できない学校があります。
また、日本国籍を明示的な条件にしていない企業であっても、事実上は採用や昇任の際に日本国籍を求める企業は少なくないと言われています。
自分の希望する就職先や入学先が日本国籍を条件としているかどうか、事前に確認することが必要です。
外国人の方であっても、帰化申請を行い日本国籍を取得することができれば、日本社会での進路は広がると言えます。