【2026年10月1日改定】永住許可のガイドラインが改定されました|年収・年金・日本語・配偶者特例が変わります
出入国在留管理庁は、2026年10月1日、「永住許可に関するガイドライン」を改定・公表しました(改定案は8月4日に公表され、9月4日まで意見募集が行われました)。
改定後のガイドラインは原則として2027年4月1日以降の申請から適用されますが、収入と「公共の負担とならないこと」の2項目には先行して適用される定めがあります。この記事では、改定の主な内容と、特に注意すべき適用時期について解説します。
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改定の主な内容
▼ 独立生計要件(年収)
改定前は「資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」という記載のみでしたが、改定後のガイドライン(第2の4(2))では次の考慮要素が明記されました。
世帯年収の額が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準の額に継続して達しているか
【最重要】具体的な金額は示されていません
円単位の金額は、改定後のガイドラインにも記載がありません。「日本人世帯の平均収入」の数値や、世帯人数ごとの金額表は、現時点で公表されていないのが実情です。断定的な金額を示している情報を見かけた場合はご注意ください。
世帯年収の計算方法も具体的に示されました。
- ・同じ世帯で住居と家計を共にしている人の年収を合算します
- ・ただし、「家族滞在」など就労を目的としない在留資格の家族が資格外活動で得た収入は、合算の対象になりません
- ・申請者が扶養している親族は、海外に住んでいても世帯人数に加算されます(世帯人数が5人以上の場合は生活費等の増加分を加算)
- ・成人して親の扶養から外れている人の収入は、親の収入を算入せずに判断されます
▼ 年金要件(新設)
将来受給できる年金の見込額が、新たな考慮要素として追加されました(第2の4(3))。
日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その期間、厚生年金に加入していた場合において将来受給可能な年金の見込額に達しているか
※将来の年金見込額が不足する場合は、金融資産で補填できるとされています。
▼ 配偶者特例の厳格化
日本人・永住者・特別永住者の配偶者と実子等に関する特例の要件が、次のように変更されました(第3の1)。
改定前:婚姻期間3年以上・在留期間1年以上(実子等は在留1年以上)
改定後:婚姻期間5年以上・在留期間3年以上(実子等は在留3年以上)
※この特例はガイドラインの第3(原則10年在留に関する特例)に置かれており、前倒し適用の対象外です。2027年4月1日以降の申請から適用されます。
▼ 日本語能力(新設)
改定後のガイドラインでは、日本語能力が新たな考慮要素として加わりました。
日本語能力がB1相当レベル以上であるか(第2の5(8))
「日本語教育の参照枠」のB1相当で、試験名の指定はありません。
※高度人材外国人とその家族、日本の学校で初等・中等教育(小学校・中学校・高校など)を累計6年以上受けた方などは、この要素の対象外とされています
▼ 我が国の制度・ルール等への理解/学齢期の子の就学(新設)
このほか、次の2項目も新たに考慮要素として追加されました。
- ・我が国の制度・ルール等への理解(第2の5(9)):出入国在留管理庁長官が指定する方法で、「生活・就労ガイドブック」の内容を中心に理解度が確認されます
- ・学齢期の子の就学(第2の5(10))
いずれも2027年4月1日以降の申請から適用され、前倒しの対象ではありません。
▼ 在留期間と出国期間の考え方(第2の5(6))
原則として引き続き10年以上(うち就労資格または居住資格で5年以上)在留し、現在の在留資格で最長の在留期間を持っていることが考慮要素です。あわせて、申請時点から過去10年以内に、合理的な理由なく1回で6か月以上、または通算で2年6か月以上日本を離れていた場合は、原則として消極的に評価されることが明記されました(2027年4月1日以降の申請から適用)。
▼ 「我が国への貢献」はガイドライン本体に統合
別建ての「我が国への貢献」に関するガイドラインは廃止されましたが、その内容はガイドライン本体の第3の9(外交・社会・経済・文化等の分野で貢献があると認められる方は、5年以上の在留で特例の対象)と第4(日本政府からの表彰、国際機関での勤務、プライム市場上場企業の役員経験などの具体例。該当すれば原則10年在留の特例に加え、国益要件の総合評価でも積極的に考慮)に統合されました。貢献による特例そのものがなくなったわけではありません。
【最重要】適用時期は2段構えです
この改定で最も注意すべきなのが、適用時期の複雑さです。
- ・原則:ガイドライン全体の適用は、2027年4月1日以降の申請から
- ・例外:収入要件(第2の4(2))と「公共の負担とならないこと」(第2の5(7))の2項目のみ、先行して適用されます
しかも、この例外は「改定日から6か月前の日以降の申請であって、かつ、改定日において申請中である案件」にも及びます。
【最重要】2026年4月1日以降に申請した方も対象になりえます
2026年4月1日以降に永住許可申請を行い、2026年10月1日の時点でまだ審査中(結果が出ていない)の場合、新しい収入要件と「公共の負担とならないこと」の2項目で判断されます。すでに申請を終えて結果を待っている方も、無関係ではありません。
なお、年金要件・日本語能力・配偶者特例などその他の項目は前倒しの対象外で、2027年4月1日以降の申請から適用されます。
一方、2026年10月2日以降の新しい申請にこの2項目が適用されるかどうかは、ガイドライン本文には明記されていません。この点について、法務大臣は2026年8月4日の記者会見で次のように説明しています(運用についての発言で、ガイドライン本文の規定ではありません)。
「ガイドライン全体の運用開始は令和9年4月1日でありますが、収入については、ガイドラインの改定日である令和8年10月1日から適用を開始することとしています。」
今、何をすべきか
- ・すでに永住許可申請中の方:ご自身の申請日が2026年4月1日以降で、10月1日時点で結果が出ていない場合、新しい収入要件が適用されます
- ・これから申請を検討している方:ガイドライン本文に明記はありませんが、大臣会見の説明を踏まえ、新しい収入の基準を満たしていることを前提に準備することをおすすめします。年収に不安がある方は、申請前に専門家へご相談ください
- ・具体的な金額は、改定後のガイドラインにも示されていません。断定的な金額を示す情報にはご注意ください
※出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」、e-Govパブリック・コメント「永住許可に関するガイドライン改定案に係る意見募集について」(案件番号315000140)、法務大臣閣議後記者会見(令和8年8月4日)
永住許可の基準は複雑に変化しています。
ご自身の状況が新基準の対象になるか、行政書士法人Climbにご相談ください。
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森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。