【2026年8月4日公表】永住許可のガイドライン改定案|年収・年金・配偶者特例が厳格化されます
出入国在留管理庁は、2026年8月4日、「永住許可に関するガイドライン」の改定案を公表し、意見募集(パブリックコメント)を実施しました(募集期間:2026年8月4日〜9月4日、既に終了)。
まだ正式な改定ではありませんが、法務大臣も記者会見で改定の方向性を明言しており、2026年10月1日の改定に向けて手続きが進んでいる段階です。この記事では、改定案の内容と、特に注意すべき経過措置について解説します。
改定案の主な内容
▼ 独立生計要件(年収)
現在は「資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」という記載のみですが、改定案では次の考慮要素が明記されます。
世帯年収の額が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準の額に継続して達しているか
【最重要】具体的な金額は、まだ公表されていません
円単位の金額は、改定案の本文・概要のいずれにも記載がありません。「日本人世帯の平均収入」の数値や、世帯人数ごとの金額表は、現時点で公表されていないのが実情です。断定的な金額を示している情報を見かけた場合はご注意ください。
▼ 年金要件(新設)
将来受給できる年金の見込額が、新たな考慮要素として追加されます。
日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その期間、厚生年金に加入していた場合において将来受給可能な年金の見込額に達しているか
※将来の年金見込額が不足する場合は、金融資産で補填できるとされています。
▼ 配偶者特例の厳格化
日本人の配偶者等に関する特例の要件が、次のように変更される見込みです。
現行:婚姻期間3年以上・在留期間1年以上
改定案:婚姻期間5年以上・在留期間3年以上
※この特例は改定案の第3(原則10年在留に関する特例)に置かれており、前倒し適用の対象外です。2027年4月1日以降の申請から適用されます。
▼ 日本語能力(新設)
改定案では、日本語能力が新たな考慮要素として加わります。
日本語能力がB1相当レベル以上であるか(改定案 第2の5(8))
▼ 我が国の制度・ルール等への理解/学齢期の子の就学(新設)
このほか、次の2項目も新たに考慮要素として追加されます。
- ・我が国の制度・ルール等への理解(第2の5(9))
- ・学齢期の子の就学(第2の5(10))
いずれも2027年4月1日以降の申請から適用され、前倒しの対象ではありません。
▼ 「我が国への貢献」ガイドラインの廃止
現行制度にある「我が国への貢献」に関するガイドラインは、改定案では廃止される予定です。
【最重要】適用時期は2段構えです
この改定で最も注意すべきなのが、適用時期の複雑さです。
- ・原則:ガイドライン全体の適用は、2027年4月1日以降の申請から
- ・例外:収入要件(第2の4(2))と「公共の負担とならないこと」(第2の5(7))の2項目のみ、2026年10月1日(改定日)から前倒しで適用されます
しかも、この例外は「改定日から6か月前の日以降の申請であって、かつ、改定日において申請中である案件」にも及びます。
【最重要】2026年4月1日以降に申請した方も対象になりえます
2026年4月1日以降に永住許可申請を行い、2026年10月1日の時点でまだ審査中(結果が出ていない)の場合、新しい収入要件と「公共の負担とならないこと」の2項目で判断される可能性があります。すでに申請を終えて結果を待っている方も、無関係ではありません。
なお、年金要件・日本語能力・配偶者特例などその他の項目は前倒しの対象外で、2027年4月1日以降の申請から適用されます。
法務大臣も2026年8月4日の記者会見で、次のように明言しています。
「ガイドライン全体の運用開始は令和9年4月1日でありますが、収入については、ガイドラインの改定日である令和8年10月1日から適用を開始することとしています。」
今、何をすべきか
- ・すでに永住許可申請中の方:ご自身の申請日が2026年4月1日以降で、10月1日時点で結果が出ていない場合、新しい収入要件が適用される可能性があります
- ・これから申請を検討している方:現行基準での審査を希望する場合、2026年9月30日までに申請し、10月1日より前に許可を得られるかどうかが重要になります(ただし、審査期間は個別の案件により異なります)
- ・具体的な金額はまだ公表されていません。今後の公式発表にご注意ください
※出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」、e-Govパブリック・コメント「永住許可に関するガイドライン改定案に係る意見募集について」(案件番号315000140)、法務大臣閣議後記者会見(令和8年8月4日)
永住許可の基準は複雑に変化しています。
ご自身の状況が新基準の対象になるか、行政書士法人Climbにご相談ください。
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森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。