外国人も年金を支払う必要がある
永住ビザを取得しようと考えている外国人の方の疑問の1つに「年金を支払う必要があるの?」というものがあります。
結論からいえば、外国人の方でも支払わなければなりません。
それは永住ビザ以外の就労ビザなどで滞在する外国人の方も含め、全員が対象です。
特にその外国人の方が20歳以上なら、日本人と同様に年金に加入して保険料を納めなくてはなりません。
これは日本人を含めた日本に住む全ての人に適用される義務です。
また、年金は生涯ずっと払いっぱなしというわけではありません。
受給要件さえ満たせば、原則65歳以上で年金を受け取ることができます。
他にも事故や病気で障害を抱えた場合などは、障害年金もしっかりもらえます。
年金を支払うのは義務であるという点は十分に理解しておいてください。
公的年金へ加入していなければ、義務を果たしていないと判断され、永住申請などにおいて不利に働くケースが大いにあります。
他にも未払い期間があれば、将来年金を受け取る際に受給額が少なくなったり、酷い場合は受け取れなかったりといったケースも発生します。
これは日本人も同じなので、外国人の方だから特別そうなっているわけではありません。
公的年金以外にも企業に勤めている方の場合、厚生年金の支払い義務が発生します。
ただ、厚生年金に関しては基本的に給料から天引きされているため、意識せずとも支払われている場合がほとんどでしょう。
厚生年金を支払っていると老後に支払われる金額が増えるので、支払って損になるということはありません。
年金の脱退一時金とは
年金制度には脱退一時金というものが制定されています。
これは、日本国籍を有していない外国人の方が、国民年金・厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった2年以内に請求できる制度です。
支給要件は以下の通りです。
- ● 日本国籍を有していない
- ● 公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でない
- ● 保険料納付済期間等の月数の合計が6月以上ある
(国民年金に加入していても、保険料が未納となっている期間は要件に該当しません) - ● 老後年金の受給資格期間(厚生年金保険加入期間等を合算して10年間)を満たしていない
- ● 障害基礎年金などの年金を受ける権利を有したことがない
- ● 日本国内に住所を有していない
- ● 最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない
(資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していない)
ややこしいのが、保険料納付済期間等の月数の合計です。
月数の合計は、請求日の前日において、請求日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者も含みます)として被保険者期間にかかる次の1~4を合算した月数のことをいいます。
- 1.保険料納付済期間の月数
- 2.保険料4分の1免除期間の月数✕4分の3
- 3.保険料半額免除期間の月数✕2分の1
- 4.保険料4分の3免除期間の月数✕4分の1
自身の納付済期間がどの程度なのかを事前に計算しておくと良いでしょう。
以上のように年金には脱退一時金制度があるため、外国人の方で日本を出国する場合は請求も考えておくことをオススメします。
2019年から加わった必須条件
外国人の方にとって公的年金の支払いは義務ではあるものの、従来は永住ビザの申請において必須要件ではありませんでした。
ところが2019年5月に永住ビザの申請要件の改定が行われ、その中のガイドラインにおいて「公的年金の保険料の納付」が審査事項に加えられました。
さらに同年7月から「公的年金の保険料の納付状況を証明する資料」の提出も義務付けられることになりました。
以上のことから、2019年より永住ビザの申請において年金の支払いは必須要件となっています。
そのため永住ビザを申請する外国人の方は、公的年金や厚生年金の加入状況・年金保険料の支払い状況を確認しなければなりません。
不明な点があれば、すぐに年金事務所に相談した方が良いでしょう。
また、年金はただ加入していれば良いものではなく「加入期間」も問われます。
永住ビザの場合、原則として直近2年分(24ヶ月)の「保険料の納付状況を証明する資料」を提出しなければなりません。(日本人・永住者・特別永住者の実子等と80点以上の高度人材外国人は直近1年分でOK)
このように、永住ビザの申請において年金加入の証明書の提出は必須となったので注意しましょう。
年金を支払っていないと永住者になれない
永住ビザの申請において、年金の支払いが審査事項に加えられたということは、言い換えると年金を支払っていないと永住者になれないことになります。
永住ビザの申請時には公的年金の加入状況を証明する資料を提出しなければならないことからも、その重要性がわかります。
- ●「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)
- ● ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
- ● 国民年金保険料領収書(写し)
厚生年金等か国民年金のどちらに加入しているかによって提出書類は変わりますが、原則上記のどれかを提出しなければなりません。
もし提出ができない場合は、その理由を記載した理由書を提出する必要があります。
このように永住ビザの申請において年金を支払っているかは非常に重要ですが、中には過去に未払いや免除期間がある方もいらっしゃるでしょう。これは日本人・外国人問わず必ずいらっしゃいます。
その場合、理由としては様々なものがあり、単純に支払いを忘れているものもあれば、申請によって免除や納付猶予を受けていたり、学生納付特例制度を利用したりする場合もあります。
日本の年金制度では、過去2年分まではさかのぼって支払うことができるため、もし過去に未納があるならこの制度を利用しましょう。
ただし、後から支払ったといっても未納であった事実は消えません。
永住ビザの申請時に不利に働く可能性もあれば、追加で理由書を求められる可能性もあります。
永住ビザを申請するなら、直近2年間は全て納付期間内に支払っている状態である方が無難でしょう。
ねんきんネットとは
永住者ビザの申請において必要な年金の支払いですが、その支払い状況を確認するための方法として「ねんきんネット」というものがあります。
これはインターネットを通じて年金の情報を簡単に確認できるサービスとなっており、24時間365日いつでも利用できます。
永住ビザを申請する際にはねんきんネットの「各月の年金記録」を印刷して証明書として提出することもできるため、登録しておくと便利です。
利用対象者も幅広く、基礎年金番号を持っている方なら誰でも利用できます。
ねんきんネットに登録する場合、以下の2つの方法のどちらかの方法をとりましょう。
- ● マイナポータルとの連携
- ● ユーザIDの取得
既にマイナンバーカードを取得してマイナポータルを使っている方なら、連携するのが一番簡単です。
マイナンバーカードを持っていない方なら、ねんきんネットのHPから「アクセスキーなし」を選んでアクセスキーを発行してもらうだけで利用できます。
非常に簡単に利用できる上、以下の項目が全て使えます。
- ・年金記録の確認
- ・年金見込額試算
- ・追納等可能月数と金額の確認
- ・電子版「ねんきん定期便」
- ・年金振込通知書等閲覧方式
- ・通知書再交付申請
- ・届書作成方法
永住ビザを申請する際に利用できる項目も多いため、永住者になりたい外国人の方は登録すると良いでしょう。
まとめ
永住ビザ申請に年金加入は必須です。
日本に住んでいるのなら、日本人・外国人問わず年金は支払わなければなりません。
しかし被保険者であった外国人の方が日本から出国して資格を喪失した場合、2年以内ならば脱退一時金を申請できるので、該当する方は必ず申請しておきましょう。
また2019年からは永住ビザ申請において年金の支払い要項は審査の対象となりました。
支払っているかの資料も提出しなければならないため、年金を支払っていないと永住者にはなれません。
ねんきんネットを使えばインターネットで24時間いつでも自分の年金情報が確認できるので、登録しておくと良いでしょう。
永住ビザの取得を考えている方は、ぜひ一度自身の年金情報を確認してみてくださいね。
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