永住申請の要件が緩和される配偶者ビザの種類
日本に住んでいる外国人の方が永住申請をする場合、日本に引き続き10年以上在留していなければなりません。
永住申請をするには他にも様々な書類を提出する必要がありますが、申請において一番難しいのが10年日本で過ごすというものです。
しかし永住申請には10年という期間の条件を緩和してくれるビザがあります。
それが、配偶者ビザです。
中でも以下の2種類のビザを持っているなら、永住申請の10年原則という条件が緩和されます。
- ● 日本人の配偶者等
- ● 永住者の配偶者等
どちらかを持っている方は、永住申請に活用する際にはぜひ活用してください。
では、それぞれどのようなビザなのか、詳しく見てみましょう。
▼ 日本人の配偶者等
日本人の配偶者等ビザは、以下の方に適用されるビザです。
- ・日本人の配偶者
- ・日本人の子として生まれた者
- ・日本人の特別養子
中でも最もわかりやすいのが、日本人の配偶者でしょう。
これは日本人と婚姻している外国籍配偶者の方を指しています。
ただし、こちらは婚姻の実態があることに加え、法的にも婚姻状態であることが必要となっています。
そのため、婚約者や内縁関係、または離婚・死別している場合は適用外です。
この点には注意しましょう。
2つ目の記載にある「子として生まれた者」とは、簡単にいえば実子です。
実子には嫡出子はもちろん、非嫡出子も含まれます。
ただし注意点として、その外国籍の子どもが産まれた時に、父又は母のどちらかが日本国籍を持っているか、本人の出生時に父が死亡し、かつその父が死亡時に日本国籍を持っていたことが条件となります。
実子だからといって、必ずしも条件に当てはまる訳ではありませんのでご注意ください。
3つ目の「特別養子」は、特別な事情がある場合に家庭裁判所によって認められ、実父母との親族関係が切り離され、日本人と配偶者ビザを持つ人の間に実子と同様の関係が成立している6歳未満の養子を指します。
滅多なことでは該当しないでしょう。
なお、普通養子の場合は認められません。
日本人の配偶者等ビザを持っている方は、そのほとんどが日本人と婚姻関係のある外国籍の方かその子どもです。
もし日本人と離婚した場合は、速やかに別のビザを取得する必要がありますのでご注意ください。
▼ 永住者の配偶者等
永住者の配偶者等ビザは、以下の方に適用されるビザです。
- ・永住者の配偶者
- ・特別永住者の配偶者
- ・永住者及び特別永住者の子どもとして日本で生まれた者
上記のどれかに該当する方が日本で活動するために適用される在留資格を指します。
日本人の配偶者等ビザと同じく仕事の制限や年齢の制限もないため、取得することで活動の幅を大きく広げられるのが特徴です。
外国人の方の場合、例えば最初は永住ビザを持っていなかったが、後で永住ビザを取得し永住者となった方もいるでしょう。
その際、どちらか一方が永住者となったらその配偶者に永住者の配偶者等ビザが適用されます。
しかし注意したいのが子どもです。
永住者の子どもであっても、海外で出生した子に関しては、永住者の配偶者等ではなく「定住者」となります。
すなわち、日本国内で生まれた子なのかどうかで決まります。
具体的な考え方は以下のようになります。
- 永住者
- 永住者の子として日本国内で生まれ、出生後30日以内に在留資格取得許可の手続きをした
- 永住者の配偶者等
- 永住者の子として日本国内で生まれ、出生後30日を超えて在留資格取得許可の手続きをした
- 定住者
- 海外で出生した永住者の子
このように、状況によって扱いが異なるため注意しましょう。
なお、永住者の配偶者等ビザを永住者または特別永住者との結婚によって取得している場合、その永住者もしくは特別永住者の配偶者と離婚・死別した場合は、ビザの更新ができなくなります。
これは日本人の配偶者等ビザと同じですので、そうなった場合はビザの有効期限内に別のビザを取得する手続きを進めるか、母国へ帰るようにしましょう。
詳しくは、外国人が日本で離婚した場合、ビザはどうなる?の記事をお読みください。
日本人の配偶者等から永住申請するメリット
日本人の配偶者等ビザから永住申請をする際、様々なメリットがあります。
これは、「日本に生活基盤を有することが明らかな日本人の配偶者については、その要件を緩和して家族単位での在留の安定化を図ることが相当である」という考えから来ています。
つまり、配偶者が日本人なので外国人よりも申請しやすいということです。
日本人の配偶者等から永住申請をする場合、具体的には以下のように要件が大きく緩和されます。
- ・国益適合要件の緩和
- ・素行善良要件の免除
- ・独立生計要件の免除
- ・身元保証人が配偶者の日本人となる
このように、申請が非常に簡単になります。複数の要件が免除されるのは嬉しいポイントです。
身元保証人に関しても日本人の配偶者がそのままなってくれるため、保証人になってくれる人を探す手間もありません。
なお、日本人の配偶者が保証人になってくれない場合は、国益適合要件を満たしていないと判断され、不許可となる可能性が高くなります。
日本人の配偶者等ビザを持っている外国人の方は「実体をともなった婚姻が3年以上継続かつ引き続き1年以上日本に在留している」だけで、永住申請ができます。
これは、日本人との婚姻から3年以上経過していれば、日本での居住が1年でも良いということです。
しかも日本人の配偶者であればいいため、日本人の配偶者等ビザを持っている必要すらありません。
実子や特別養子の場合もこれに当てはまり、引き続き1年以上日本に在留していれば永住申請が可能です。
ただし普通養子の場合は要件は緩和されず、引き続き10年以上の在留となるのでご注意ください。
いずれにせよ、日本人の配偶者等ビザから永住申請をする場合、大きな要件緩和を受けることには違いありません。
日本人の配偶者等から永住申請する際の必要書類
日本人の配偶者等から永住申請する際、必要となる書類がいくつかあります。
申請の際は、まず以下の書類を集めましょう。
- ・永住許可申請書:1通
- ・写真(縦4cm✕横3cm):1葉
- ・身分関係を証明する資料(戸籍謄本など):1通
- ・申請人を含む家族全員(世帯)の住民票:適宜
- ・申請人または申請人を扶養する者の職業を証明する資料:1通
- ・直近(過去3年分)の申請人及び申請人を扶養する者の所得および納税状況を証明する資料:1通
- ・申請人及び申請人を扶養する者の公的年金(直近2年間)および公的医療保険の保険料(直近2年間)の納付状況を証明する資料:1通
- ・パスポート:提示
- ・在留カード:提示
- ・身元保証書:1通
- ・身元保証人の身分証明書(運転免許証など):提示
- ・了解書
これらの書類が必要です。
他にも日本国へ貢献しているものとして、表彰状や感謝状などがあれば申請時に有利になります。
持っている方は活用しましょう。
なお、納税項目に関しては納付期限内までに支払っていることが求められるため、支払うのを忘れた結果、延滞金を追加して支払った場合は評価されません。
3年間全ての税金支払いにおいて納付期限内に支払っていないと、審査時にマイナスの評価となってしまう可能性が高くなります。
そのため、日々の支払いをしっかりやっておくことが永住申請を通過するポイントです。
また、2021年10月1日より了解書の提出が必要となっています。
了解書は出入国在留管理庁のホームページからいつでもダウンロードできるので、活用しましょう。
まとめ
日本人の配偶者の方が永住申請をすることは比較的易しくなっています。
他のビザと比べても、申請に求められる要件が緩和されているからです。
配偶者が日本人であるというのはかなりの強みで、他の国籍の方ではこうはいきません。
ただし、配偶者等ビザの場合、日本人の配偶者と離婚・死別していたり、婚姻の実体がないと認められません。
現在日本人の配偶者の方がいる外国人の方で、永住も視野に入れている方は一度永住ビザの申請をしてみるのも良いでしょう。
他のビザと比較して必要な要件が緩和されているため、取得しやすくなっていると言えるでしょう。
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