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人手不足の解消策として特定技能外国人の受け入れを検討し始めたものの、「うちの会社は条件を満たしているのか」「どんな要件をクリアすれば受け入れられるのか」がわからない方も多いのではないでしょうか。
特定技能の受け入れには、雇用契約の形態・報酬水準・支援体制・業種ごとの協議会加入など複数の条件を満たす必要があります。それも、どれか1つでも欠けると受け入れが認められないため、非常に厳しいと考えがちです。しかし、条件の全体像を正しく把握すれば、中小企業でも特定技能の外国人を受け入れできます。
そこで本記事では、「受入れ機関が満たすべき条件」をチェックリスト形式で紹介します。受け入れるにあたって知っておきたい「欠格事由の詳細」や「支援体制の条件」、「条件を満たしているか不安な場合の対処法」も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
特定技能の「受入れ機関(特定技能所属機関)」とは
特定技能の「受入れ機関(特定技能所属機関)」とは、特定技能外国人を雇用して就労させる企業や個人事業主のことです。受け入れる側を総称しての呼び方と認識しておきましょう。
中でも重要なのは受入れ機関が担っている義務であり、在留資格の申請・支援計画の作成と実施・出入国在留管理庁への定期届出が求められます。単に、外国人を雇用するだけではありません。
もし、3つの義務を怠ると、外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導・改善命令等を受ける可能性がある点は、留意しておいた方が良いでしょう。
受入れ機関になれる企業・なれない企業
一般的に、受入れ機関になれる企業となれない企業には、違いがあるとされています。特に重要なのが、業種や規模よりも「欠格事由に該当しないこと」と「条件を満たす体制があること」です。以下の表を見てみましょう。
| 受入れ可能 | 受入れ不可 |
|---|---|
| 欠格事由に該当しない、直接雇用、日本人と同等以上の報酬、支援体制あり | 5年以内の入管法・労働法違反あり、暴力団関係、保証金の徴収あり、違約金の契約あり |
上の表を見るとわかるように、企業規模(中小・大企業)や設立年数は、受入れ可否の直接的な判断基準ではありません。条件さえ満たせていれば、1名からの受け入れも可能であり、多くの企業が受入れ機関になり得ます。
【チェックリスト】受入れ機関が満たすべき条件
特定技能の外国人を受け入れる際は、まず自社が受入れ機関の条件を満たしているかどうかを確認する必要があります。以下のチェックリストを活用してみてください。
- 【受入れ機関 自社チェックリスト】
- ● 過去5年以内に入管法・労働関係法令の違反がない
- ● 暴力団排除条項に該当しない
- ● 特定技能外国人と雇用契約(フルタイム・直接雇用)を結べる
- ● 日本人と同等以上の報酬を支払える
- ● 社会保険(健康保険・厚生年金)に加入させられる
- ● 支援計画を作成・実施できる(または登録支援機関に委託できる)
- ● 対象分野の協議会に加入する(または加入予定)
- ● 定期届出(年1回)を出せる体制がある
すべてにチェックが入れば、受け入れの基本条件を満たしています。もしチェックが入らない場合は、以下を参考に自社が満たせているかを確認してみてください。
- 1. 欠格事由に該当しないこと
- 2. 特定技能雇用契約の基準を満たすこと
- 3. 報酬・待遇が日本人と同等以上であること
- 4. 支援計画を適切に実施できること
- 5. 各分野の協議会に加入すること(分野別条件)
①欠格事由に該当しないこと
受入れ機関が欠格事由に該当しないかどうかは、受入れ機関になる最重要条件です。
特に、過去5年以内に出入国関係法令や労働関係法令に違反したことがある場合は、申請しても不許可になると考えておきましょう。
欠格事由の詳細は次の見出しで解説しますが、まず自社が「5年以内に行政処分・罰則を受けていないか」という点を確認してください。
②特定技能雇用契約の基準を満たすこと
特定技能雇用契約の基準を満たしているかどうかも重要です。フルタイム・直接雇用が原則(農業・漁業・建設分野は派遣も可)となるため、どのような雇用形態を考えているのかは確認しておきましょう。
また、雇用契約には以下を必ず書くようにしてください。
- ● 従事させる業務の内容
- ● 報酬額
- ● 労働時間
- ● 休日
- ● 有給休暇
加えて、保証金の徴収や違約金を定める契約を結んではいけません。支援にかかる費用を外国人本人に負担させないことが契約上の条件となるため、受入れ機関として申請する前に必ず確認しておきましょう。
③報酬・待遇が日本人と同等以上であること
特定技能の外国人の報酬・待遇が、日本人と同等以上であるかどうかも重要です。ここで言う「日本人と同等以上の報酬」とは、同じ職場・同じ職種で働く日本人と比較して同等以上の報酬を支払っているかを意味します。
この際、単に最低賃金以上であれば良いというわけではなく、同職種の日本人従業員と実質的に同等の待遇である点が求められます。基本給だけでなく、手当・賞与・昇給の仕組みも含めて、日本人と差別的な扱いをしていないかを確認しましょう。
④支援計画を適切に実施できること
特定技能1号外国人を受け入れる場合、受入れ機関は10項目の義務的支援を含む「1号特定技能外国人支援計画」を作成・実施する義務があります。
ただし、企業によっては支援計画を完全にこなすのは難しいというところもあるでしょう。そのような場合は、「登録支援機関」に委託すれば条件を満たせます。ランニングコストはかかりますが、自社の負担は大きく減るでしょう。
なお、支援計画の不履行は欠格事由に該当し、5年間の受け入れ停止処分を受ける可能性があります。そのため、受入れ機関の申請において、実施体制の整備は非常に重要な項目です。
⑤各分野の協議会に加入すること(分野別条件)
特定技能の受入れ機関は、受け入れる外国人が従事する分野の協議会への加入が義務付けられています。なお、二人目以降は加入する必要はありません。
また、協議会への加入は、初めて特定技能外国人を受け入れる前に加入しなければいけない点には注意が必要です。在留資格申請時に協議会加入証明書の提出が必要になるため、事前に加入するようにしておきましょう。
なお、分野ごとに加入する協議会は異なります。特定技能の外国人の雇用を考えた際は、まず自社の業種に対応する協議会を事前に確認しておくとスムーズです。
欠格事由の詳細|これに該当すると受け入れ不可
特定技能の受入れ機関として申請しても、欠格事由によって不可とされるケースがあります。特に以下に該当する場合は不可となるため、気を付けてください。
- ● 5年以内に入管法・労働法令違反がある
- ● 暴力団関係者・反社会的勢力
- ● その他の欠格事由一覧
5年以内に入管法・労働法令違反がある
過去5年以内に入管法(出入国管理及び難民認定法)または労働関係法令(労働基準法・最低賃金法・職業安定法等)に違反して処分を受けている場合、受入れ機関として認められません。この「違反」には、行政処分・刑事罰の両方が含まれます。
労働基準監督署から是正勧告を受けただけでは直ちに欠格事由には該当しませんが、送検・罰金刑等を受けた場合は該当する可能性があります。不安がある場合は行政書士に確認した方が良いでしょう。
暴力団関係者・反社会的勢力
役員や実質的な経営者が、暴力団員・暴力団関係者・その他の反社会的勢力に該当する場合は受入れ機関になれません。
申請時には「役員に関する誓約書」の提出が求められ、反社会的勢力に該当しないと誓約する必要があります。
その他の欠格事由一覧
その他の主な欠格事由は、以下のとおりです。
- ● 外国人が保証金を徴収されていることを知りながら雇用契約を締結している
- ● 外国人との間で違約金を定める契約を締結している
- ● 支援費用を直接・間接的に外国人に負担させている
- ● 労災保険の加入手続きを行っていない
- ● 社会保険(健康保険・厚生年金)の加入手続きを怠っている
- ● 禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わった日から5年を経過していない
これらに1つでも該当する場合は、申請が不可となります。申請前に必ず確認しておくようにしましょう。
参考:出入国在留管理庁 | 特定技能外国人受け入れる際のポイント
支援体制の条件|自社支援か登録支援機関への委託か
特定技能の外国人を受け入れるにあたって悩ましいのが、支援体制をどうするかです。自社で支援するのか、登録支援機関に委託するのかで大きく変わります。
どのような点で異なるのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- ● 自社で支援する場合の要件
- ● 登録支援機関に委託する場合
自社で支援する場合の要件
特定技能の外国人を自社で支援する場合、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- ● 過去2年以内に外国人労働者の雇用または管理をした実績があること
- ● 過去2年以内に外国人労働者の生活相談等をしたことのある社員の中から支援責任者が支援担当者を任命していること
- ● 外国人が十分理解できる言語で支援を実施できる体制を確保していること
- ● 支援状況に関する書類を作成し、雇用契約終了日から1年以上保管すること
- ● 支援責任者または支援担当者が、支援計画の中立な立場で実施ができ、かつ欠格事由に該当しないこと
- ● 5年以内に支援計画に基づく支援を怠っていないこと
これらを満たせない場合は、登録支援機関への委託が現実的な選択肢となります。見るとわかるように、そもそも外国人労働者の受入れ実績がない企業は、ほとんどの場合において自社で支援をするのは難しいでしょう。
登録支援機関に委託する場合
特定技能の外国人の支援を登録支援機関に委託する場合、自社の負担は大きく減ります。以下のような違いがあるため、確認しておきましょう。
| 比較項目 | 自社支援 | 登録支援機関への委託 |
|---|---|---|
| 費用 | 人件費等の内部コスト | 月額3万~5万円程度 / 人 |
| 体制要件 | 要件を満たす必要あり | 要件が免除される |
| 言語対応 | 自社で人員を確保する必要あり | 委託先が対応 |
| 責任の所在 | 自社が全責任を負う | 最終責任は自社に残る |
| 向いている企業 | 複数名を継続して受け入れる予定がある | 複数名を継続して受け入れる予定がある |
ただし、注意したいのが、登録支援機関の約8割が実質的に支援業務をしていないとされている点です。そうした経緯もあり、2027年4月1日より登録支援機関に対して新要件が設けられ、より厳格化されます。
2026年6月現在は、登録支援機関に委託した場合でも最終的な責任は受入れ機関に残りますが、上記のように名ばかりの支援機関も多いため、委託先が適切に支援をしているかどうかは定期的に確認・監督するようにしましょう。
分野別の追加条件(業種ごとの協議会加入義務)
受入れ企業として知っておきたいのが、業種ごとに協議会への加入義務がある点です。中でも以下の分野に関しては注意してください。
- ● 介護分野
- ● 建設分野
- ● 飲食料品製造業・外食業分野
- ● その他分野
介護分野
介護分野の受入れ機関は、「介護分野における特定技能協議会」(厚生労働省が組織)への加入が必要です。2025年4月21日の改正により、訪問介護・訪問入浴介護・夜間対応型訪問介護等の訪問系サービスへの従事も対象となっています。
ただし訪問系サービスへの従事には、外国人の方が以下を満たしていなければなりません。
- ● 介護職員初任者研修を修了している
- ● 施設系サービスでの実務経験1年以上
- ● 日本語能力N4以上
- ● 同行訪問の実施
なお、介護分野は特定技能2号の対象外です。長期就労を希望する場合、在留資格「介護」への移行も検討しましょう。
建設分野
建設分野は他分野と比べて条件が多く、国土交通大臣による受入れ計画の認定と建設技能人材機構(JAC)への加入が必要です。JACとは、建設業者団体が共同で設立した法人を指し、出入国在留管理庁への申請とは別に国土交通省側の手続きが並行して必要になります。
なお、教育体制や管理体制の面で、自社の従業員よりも外国人が多くならないようにしなければいけません。そのため、受入人数枠にも注意が必要です。
飲食料品製造業・外食業分野
飲食料品製造業分野は、「飲食料品製造業分野特定技能協議会」への加入が必要です。
なお外食業分野は、受入上限の5万人を超えると見込まれることから、2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が一時停止されています。そのため、在留資格変更・更新を除き、新規の海外からの受け入れができない状態になっている点には注意しましょう。
参考:農林水産省 | 外食業分野における外国人材の受入れについて
その他分野
現在、特定技能の対象となっているのは16分野です。下記のように、それぞれ協議会が設置されています。
| 分野 | 協議会名 | 所管官庁 |
|---|---|---|
| 介護 | 介護分野特定技能協議会 | 厚生労働省 |
| ビルクリーニング | ビルクリーニング分野特定技能協議会 | 厚生労働省 |
| 工業製品製造業 | 製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会 | 経済産業省 |
| 建設 | 建設分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 漁船・舶用工業 | 漁船・舶用工業分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 自動車整備 | 自動車整備分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 航空 | 航空分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 宿泊 | 宿泊分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 自動車運送業 | 自動車運送業分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 鉄道 | 鉄道分野特定技能協議会 | 国土交通省 |
| 農業 | 農業特定技能協議会 | 農林水産省 |
| 漁業 | 漁業特定技能協議会 | 農林水産省 |
| 飲食料品製造業・外食業 | 食品産業特定技能協議会 | 農林水産省 |
| 林業 | 林業分野特定技能協議会 | 農林水産省 |
| 木材産業 | 木材分野特定技能協議会 | 農林水産省 |
参考:厚生労働省 | 特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について
なお、協議会によって加入時期や加入方法が異なります。申請の際にミスが起こらないよう、事前に加入方法を確認しておくと良いでしょう。
条件を満たしているか不安な場合の対処法
自社が受入企業の条件を満たしているかどうか不安な場合は、以下のステップで確認作業を進めてみてください。
- 1. 出入国在留管理庁の公式サイトで「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」を確認する
- 2. 自社の業種に対応する分野別運用要領(別冊)を合わせて確認する
- 3. 欠格事由の自社確認を役員・管理職も含めて実施する
- 4. 支援体制を自社で整備できるか、または登録支援機関に委託するかを判断する
- 5. 不明点がある場合は入管業務に精通した行政書士に相談する
特定技能の制度は改正が頻繁に行われているため、過去の情報を参照していると最新の要件と異なる可能性があります。そのため、出入国管理庁から最新の情報を確認するようにしましょう。
参考:出入国在留管理庁 | 特定技能外国人の受入れに関する運用要領
よくある質問(FAQ)
- 中小企業でも受け入れられる?
- 受け入れ可能です。特定技能の受け入れに企業規模の要件はないため、個人事業主でも条件を満たせば受入れ機関になれます。
1名からの受け入れもでき、支援体制については登録支援機関に委託すれば体制整備の要件を満たせます。初めて受け入れを検討する中小企業の方は、まず登録支援機関に依頼してみると良いでしょう。 - 派遣形態での受け入れはできる?
- 原則として、特定技能外国人の雇用は直接雇用(フルタイム)です。ただし、農業分野と漁業分野・建設分野については、季節や地域によって繁忙期と閑散期があるため、例外として派遣が認められています。
農業・漁業以外の分野で派遣形態を検討している場合は受け入れができないため、直接雇用での採用で検討しましょう。 - 条件を満たしていなかった場合はどうなる?
- 条件を満たしていない状態で申請した場合は、不許可となります。また、受け入れ後に条件を満たさなくなった場合は、出入国在留管理庁から指導・改善命令を受ける可能性があります。
悪質なケースでは最大5年間の受け入れ停止処分となり、新規受け入れができません。さらに、届出の不履行だと30万円以下の罰金、虚偽届出には刑事罰が科されます。
既に雇用している特定技能外国人の転籍・転職支援も必要になるため、重いペナルティと言えるでしょう。
まとめ|自社の要件確認は行政書士へ相談を
特定技能の受入れ機関になるためには、「欠格事由に該当しない」「適切な雇用契約を結べる」「日本人と同等以上の報酬を支払える」「支援計画を実施できる」「分野別の協議会に加入する」という5つの条件をすべて満たす必要があります。
企業規模に関わらず条件を満たせば受け入れは可能にはなりますが、条件を満たすのは難しいため、場合によっては登録支援機関への委託も検討すると良いでしょう。
特定技能制度は改正が頻繁に行われているため、最新の要件を確認したうえで準備を進めるのが重要です。自社の条件確認や申請書類の準備に不安がある場合は、入管業務に精通した行政書士への相談も検討してみてください。