「偽装結婚」が「日本人の配偶者等」ビザの申請で問題となる背景
在留資格「日本人の配偶者等」を申請し、入管でその申請内容を審査される際には、いわゆる婚姻の真実性という観点の審査がなされます。
日本人と結婚をした日本人の配偶者である外国人の方は、「日本人の配偶者等」のビザを申請することができる立場にあるのですが、ここでいう「配偶者」とは、形式的には、現に日本人と法律上の婚姻関係にある者を指し、実質的には、同居しお互いに扶助しあう社会通念上の夫婦としての共同生活を営む者を指します。
この形式的側面と実質的側面の両方が必要となります。
また、入管法に規定されている在留資格等不正取得罪(同法第70条第1項第2号の2)では、
偽りその他不正の手段により、上陸の許可等を受けて本邦に上陸し、又は第四章第二節の規定による許可を受けた者
は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定められています。
さらに、偽りその他不正の手段により上陸許可や在留に関する許可を受けたことや、不実の記載のある文書の提出等により許可を受けたことが判明した場合は、在留資格の取消し(入管法第22条の4第1項)の対象となります(出典:出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索)/確認日:2026年10月13日)。
このような「日本人の配偶者等」ビザの審査内容や、入管法の規定にみられる虚偽の申請に対する姿勢から、当然のように「偽装結婚」は「日本人の配偶者等」ビザの申請上、不許可の理由になります。
しかし、「結婚」というものはその「当事者の合意」が大元にあり、合意とは意思の合致でありますので、その真意は外観からは分かりづらいものです。
たとえ出会いから結婚までの期間が1か月であっても、2人の年齢が離れていても、お互いが急速に惹かれあい結婚に至ることは、人間である以上は必ずしも不自然ではありません。
一方、この結婚というものの性質を逆手にとって、偽装結婚をした上で「日本人の配偶者等」ビザの申請をする方が後を断たないのも事実です。
このような状況から、「このビザ申請をしている外国人と配偶者である日本人は、真意に基づいた結婚をしているのか?」という点について、入管は慎重に審査をせざるを得ません。
「偽装結婚」ではないことを入管に納得してもらうための申請上の工夫
上記の内容から、「日本人の配偶者等」ビザの申請をする際には、入管は「偽装結婚」か否かについて審査をするという点はお分かりいただけたと思います。
では、「私たちの結婚は偽装結婚ではない。真意に基づいた結婚である。」ということを入管に納得してもらうためには、どのような工夫ができるでしょうか。
特に、一般的に疑われやすい、付き合いの期間が短いことや、配偶者同士の年齢差が大きい、等の事情がある場合には、気になることかと思います。
以下に3つご紹介します。
工夫① 2人が写った写真をなるべく多く添付する
出入国在留管理庁が公表している「日本人の配偶者等」の提出書類には、「スナップ写真2~3葉」とあります。
しかし、この量以上のものを提出していけないという規定はありません。
この写真の存在で入管にわかってほしいことは、上記の「婚姻の真実性」や「婚姻関係が継続している」という点です。
この点を納得してもらうために、なるべく多く、かつ長期間に渡る2人が写った旅行中やデート中の写真を提出するというのは、とても有用であると言えるでしょう。
この際、写真ごとに「いつ」「どこで」「どんな状況で」撮影した写真なのかの説明が添えてあるとさらに良いと思います。
工夫② 2人のメッセージのやりとりや郵便物の配送記録を添付する
離れた場所に住んでいた期間がある場合、その間の2人のメッセージのやり取りや、郵便物の配送記録等を添付するのも1つの方法です。
これはプライバシーに係わる問題もあるため、メッセージや配送物の内容によっては入管に知られたくないものもあるかもしれません。
しかし、上述の偽装結婚であると一般的に疑われるような事情がある場合には、偽装結婚ではないことを証明する必要があります。
2人だけのメッセージのやりとり等はそのための証拠として印刷して提出しましょう。
2人の親密さが分かるだけでなく、結婚を考えている当事者ならではの会話内容も記録されていることと思います。
交際の実態を示す資料の一つになります。
工夫③ お互いの両親に実際会った際の写真を添付する
通常というのは言い過ぎかもしれませんが、日本人同士が日本で結婚をする場合、結婚の前にお互いの両親に会いに行くことが多いかと思います。
結婚はもちろん当事者同士のものではありますが、お互いの家族を含めたものでもあるという側面も否定はできません。
そのような考えから、結婚する前にお互いの両親に挨拶している模様の写真等を提出すれば、真意に基づく結婚であることを説明する資料の一つになります。
これらの工夫で必ずしも審査が通るというわけではありませんが、自分たちが「真意に基づいた結婚である」ということを入管に納得してもらうために、参考にしてみてくださいね。
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