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はじめての外国人採用 日本人配偶者等ビザの注意点5つ

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このコラムは、労働力不足解消のため等の理由で外国人採用を初めて検討している企業の担当者の方向けの記事です。そのため、基本的なことを中心に解説していきます。

まず、日本に滞在する外国人にはそれぞれの活動内容にあわせた在留資格(ここではビザと呼びます)が認められています。
今回のコラムでは、採用する外国人のビザの種類が「日本人配偶者等」のケースを想定して、企業の採用・労務の担当者が確認しなければならないことについて、ビザのスペシャリストである行政書士がわかりやすく解説します。

1.日本人配偶者等ビザは、どんな外国人に与えられるビザ?

まず大前提として、日本人配偶者等ビザが与えられるのはどういう外国人なのか、についてお話していきます。

この在留資格は文字通り「日本人と結婚した外国人」に与えられるビザです。もう少し補足すると「日本人との結婚が現に持続している外国人」となります。
ですから、別居・離婚をしたり、もしくは日本人配偶者が死亡するなど、婚姻関係が継続しない状況になった場合には、日本人配偶者等ビザの在留資格には該当しなくなり、別の在留資格に変更することができない限りは基本的に母国に帰らなければならなくなります。
離婚や別居をした場合に日本人配偶者等ビザがどうなってしまうのか?という疑問については日本人配偶者ビザは「別居」しても大丈夫?「離婚」したらどうなる?よくある質問の記事をご覧ください。

また、日本人配偶者「等」ビザですが、この「等」の意味が何かということをご説明したいと思います。
前述の通り、この在留資格は日本人の配偶者である外国人に与えられますが、それ以外に「等」の意味するところとして「日本人の実子もしくは特別養子」があります。
これは日本人の子どもとして生まれた外国籍の人、日本人と*特別養子縁組を行った外国籍の人を意味しています。

採用しようとしている外国人の方の在留資格が「日本人配偶者等」ビザだった場合には、配偶者なのか実子/特別養子なのかを簡単に確認しておくと良いでしょう。
もし配偶者だった場合は、結婚が継続しなくなると在留資格も維持されませんので、採用後もビザが確実に更新されているかを気に掛ける必要があります。 一方、実子/特別養子の場合にはその身分を失うことはありませんので、在留資格として安定していると考えられるからです。

*特別養子縁組
実親との親子関係を断ち切った上で、養子として縁組をし、養親の実子と同じく扱われる養子縁組のことを言います。原則6歳未満で行うこととなっていましたが、法改正により2020年4月から原則15歳未満までと変更になりました(これに対し、実親との親子関係を維持したまま養子縁組を行うのが普通養子縁組です)。

2.日本人配偶者等ビザで認められる活動内容とは?就労はできる?

では実際に、日本人配偶者等ビザを持っている外国人の方には、どのような仕事を担当してもらえるのでしょうか?

▼ 活動内容に制限はある?

日本人配偶者等ビザに活動内容の制限はありません
例えば、留学ビザなら「学校に通って勉強すること」が活動内容となっているため、その他の活動は原則認められませんが、日本人配偶者等ビザについては、そういった制限はないということです。

▼ 就労に制限はある?

日本人配偶者ビザは就労にも制限がありません
一般に言われるワーキングビザは、特定の会社で特定の(入管に許可された)業務内容以外は担当してはいけないことになっています。
例えば、飲食店のマーケティングや広報としてビザ(技術・人文知識・国際業務)を許可された場合、その飲食店の接客や調理の仕事をすることは許されていません。
就労ビザと仕事内容が一致していない場合、就労ビザの認可基準を満たせなくなるだけでなく、不法就労として、外国人本人と雇用主の双方に刑事罰が課されます。

しかし、日本人配偶者ビザについてはそういった就労制限はありません。どのような会社でどのような仕事をすることも可能です。アルバイトや正社員など雇用形態が限定されるようなこともありません。
もしご自身の会社で日本人配偶者ビザをもつ外国人を採用した場合、業務内容について許可を得られるかどうか悩む必要はないので、その点は安心できるでしょう。

3. 日本人配偶者等ビザをもつ外国人を雇用する際に気をつけること

▼ 在留カードをを確認する

まずは、面接時に「在留カード」を見せてもらいましょう
確認するのは次の2点です。

1.在留期間
在留期間は、1・3・5年などと年数で表示されています。1年となっている場合は結婚してビザの許可を得てから年数が浅いなどの背景があるでしょう。結婚生活が安定して長期間続いている場合には、3年・5年など長期間のビザの許可がなされます。
2.在留期限
在留期限というのは、その時点で得ているビザの有効期限となりますので、その期限がくる前にビザ更新の手続きをする必要があります。最初の認定と同様、更新時も入管では厳しく審査されますので、無事更新できたかどうか本人に確認を入れると良いでしょう。

よくある困ったケースとして、「夫婦仲が悪くなって別居しており、今は一緒に住んでいないので更新の手続きができない」という場合です。
別居していると原則的にはビザを更新できないので、仮に更新できなかった場合はその外国人労働者を雇い続けることができなくなります日本人配偶者ビザは更新時に注意が必要である点を念頭に置いておく必要があります。

ちなみに、偽造された在留カードでないかどうかを確認できるアプリがこちらの出入国在留管理庁のページでダウンロードできます。
念のため活用しても良いでしょう。

▼ 面接時に学歴も確認しておく

面接時に在留期間や在留期限を確認するとともに、学歴資格(特に日本語能力に関連するもの)も確認しておくと良いでしょう。
もしも日本人配偶者ビザの更新がうまくできない場合に、学歴や資格があると他の在留資格に変更できる可能性があります。

学歴が、本国ならば大学卒以上、日本ならば専門学校・短大・大学卒以上であれば、就労系のビザを取得できる可能性が生まれます。
また、日本の大学を卒業し、かつ日本語能力検定1級(N1:エヌイチと略されることが多いです)に合格している場合も、幅広い業務を担当できる可能性がでてきます。
採用面接の際には、念のために学歴も確認しておくと良いでしょう。

▼ 別居や離婚など身上の変化がないか確認する

こちらは採用が決まり、雇用関係がある程度続いている前提でのお話になります。
一度雇用した従業員は、日本人であれ外国人であれ長く働いてもらいたいものですよね。しかしながら、外国人の方を雇用している場合、雇用し続けられるかどうかはどうしてもビザに左右されてしまいます。
雇用した後にも、前項で述べたようなビザ更新に影響があるような身上の変化がないかを確認しておくと良いでしょう。

▼ 永住申請ができるタイミングも把握しておくとなおよい

日本人配偶者ビザを持っていると、永住申請をする際の要件が緩和されます

通常、永住申請をするためには10年以上日本に滞在していなければなりません(他の条件もあります)。
しかし日本人配偶者ビザを有する外国人の場合は、1年で永住申請をすることができます
ただし、同居して結婚生活を営む「実態を伴った結婚生活が3年以上継続している」こと、その3年のうち「引き続き1年以上日本に滞在していること」が条件となります。

永住申請をして許可を得ると、ビザ更新の必要がなくなり(7年ごとに在留カードの更新は必要)、安定的に日本で暮らせるようになります。
雇用主側からすると、ビザの問題(退去強制で突然社員を失ってしまう、ビザが更新できず不法滞在中も雇用してしまい不法就労助長罪となってしまうなど)を心配する必要がなくなるのはメリットでしょう。

まとめ

日本人配偶者等ビザをもつ外国人を採用する際の注意点をまとめると、以下の5つになります。

  1. 1.日本人の配偶者かそれ以外かを確認しておく
  2. 2.ビザの年数と期限を確認する
  3. 3.ビザの更新が可能かを本人に確認する
  4. 4.ビザの変更に備えて、学歴も確認しておく
  5. 5.永住申請がいつ頃できそうかも確認しておく

従業員のビザのことなら、ビザ専門の行政書士にご相談を

雇用している外国人従業員の方の、日本人配偶者等ビザ更新がうまくいかない更新できないかもしれない、とご心配な場合には、行政書士法人Climbにご相談ください。

行政書士法人Climbでは、過去に日本人配偶者ビザの更新がうまくいかず、他の在留資格に変更できる可能性がないか検討し、無事に許可を得た実績があります。
状況をお聞かせいただき、対応の方向性をお伝えする無料相談をぜひご活用ください。

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■この記事を書いた人■
森山敬代表

森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。

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