特定技能外国人の給料・給与水準を知りたいということは、あなたは日本の企業の人事労務担当者もしくは特定技能ビザを取得したい外国人の方でしょう。
ここでは主に、特定技能ビザをもつ外国人を採用したい企業の担当者様向けに、行政書士がわかりやすく解説します。
外国人の方も参考になる内容ですからぜひ読んでみてください。
1.まずは日本人の最低賃金をチェック
結論を簡潔に言ってしまうと、特定技能外国人の給与水準は日本人と同等以上と定められています。「外国人労働者の賃金は安い」というイメージは捨てなければなりません。では「日本人と同等」の意味について詳しく見ていきましょう。
▼ 最低賃金とは
最低賃金とは、最低賃金法に基づく最低賃金制度により、使用者(企業)が労働者に対して支払うことが求められる一定の賃金を言います。具体的な最低賃金の額は地域毎に定められます。
例えば令和8年度(2026年10月改定)では、東京都が一時間あたり1,280円、大阪府が1,231円、愛知県が1,195円というように差異があります。全国加重平均は1,177円です。
最低賃金は毎年10月に改定されます
地域別最低賃金は毎年度見直され、各都道府県ごとに定められた発効日(おおむね10月)から新しい額が適用されます。令和8年度は東京都・大阪府・愛知県がいずれも令和8年10月1日の発効で、他の県では12月にかけて順次発効します。
上記の金額は改定されている可能性があります。実際の給与設定にあたっては、厚生労働省の最新の一覧でご確認ください。
仮に、月給額を使用者と労働者との間で取り決めて合意したとしても、その月給額が最低賃金額以下である場合、その取り決めは法律上無効とされます。
この場合の月給額はその地域における最低賃金と同額の定めをしたものとして扱われることになります。
企業の人事労務部門の担当者は、勤務地の地域の最低賃金を把握しておくことが求められます。最低賃金は更新され続けていますので、情報をキャッチできるようにしておきましょう。
厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」が参考になりますので、チェックしてみてください。
▼ 最低賃金は外国人労働者にも適用されるのか
最低賃金制度は日本における全ての労働者を対象にしているため、日本で働いている外国人労働者にも日本人と同様に最低賃金の定めが適用されます。
- <日本人と同等以上の給与水準>
- 特定技能外国人の場合には、上記の最低賃金のルールに加えて、「同程度の経験を有し、同業務に従事するその会社の日本人従業員と同等かそれ以上の給料を設定しなければならない」というルールがあります。
2.具体的な給与額の考え方とは?
▼ 賃金規定がある場合
特定技能外国人を雇う企業に賃金規定がある場合には、同程度の経験を有し、同業務に従事する日本人従業員がその賃金規定に沿って支払われている給料と同等以上の給料が特定技能外国人の給料として設定される必要があります。
例えば、建設会社に勤める職歴4年の建設作業員である日本人従業員の月給が20万円である場合には、その会社で「特定技能1号」(建設分野)を申請する技能実習2号修了者である外国人の月給は20万円以上である必要があります。
技能実習2号を修了している者は、その実習の分野において4年の職務経験があると見込まれるからです。
▼ 賃金規定がない場合
では、企業に賃金規定が無い場合はどうなるでしょう?
賃金規定がない場合には、同業の企業に勤める類似業務に従事する日本人従業員を比較対象として挙げます。
その日本人従業員と外国人の履歴書、給与明細、標準報酬月額決定通知書、役職の有無、責任の内容、地域の業界水準等を資料として提出して、特定技能ビザを申請する外国人の給料と比較対象となる日本人の給料の差が合理的であることを説明します。
- <賃金規定がない場合のチェック項目>
- ・地域の業界水準
- ・学歴・職歴
- ・給与明細
- ・役職の有無
- ・責任の有無
▼ 日本人従業員がいない場合
ここまでの説明において、「同等の業務に従事する日本人の給与額」が、外国人従業員の給与額の決定時の参考値になることをお伝えしてきました。
しかし、賃金規定もなく、比較対象として挙げられる日本人も在籍していない場合には、どうしたら良いでしょうか?
その場合は、申請書類に記載の報酬額と、「入管が保有する同地域の参考となる特定技能外国人の報酬額とを比較する」とされています。
- <ポイント>
- 日本人の月給額が参考値として使えない場合、同地域の特定技能外国人の報酬額が参考値となる。
なお、詳細は出入国在留管理庁の特定技能外国人の報酬に関する説明書を参考にしてください。
3.特定技能外国人の給与支給・賞与は?
▼ 給与からの控除について
特定技能外国人の給料から、必要なものを控除できます。源泉徴収・社会保険料・住民税等、日本人従業員が給与から徴収されているものについては、特定技能外国人も同様に給与から控除できます。
- <特定技能外国人の給与から控除されるもの>
- ・健康保険・厚生年金
- ・雇用保険
- ・源泉所得税
- ・住民税(社会人2年目の6月から)
- ・介護保険(40~64歳まで)
ちなみに、企業側が、この「給与天引き」という仕組みについて事前に説明し、外国人従業員の理解を得ておくことは非常に大事です。
説明しておかなかったり、説明してもきちんと同意が得られていないと、「給料が思ったより少ない」「嘘をつかれた」などと、いらぬ不信感を抱かせる原因になってしまいますので注意が必要です。
▼ 手当・賞与(ボーナス)・昇給について
特定技能外国人に対する手当・賞与・昇給の定めについてもすべて、比較となる日本人従業員と同等以上に定める必要があります。
極端な話、「日本人従業員にはない〇〇手当が外国人従業員には支給される」ということは会社の判断としてあり得ますが、「日本人に支給されている手当が、外国人従業員には支給されない」ということはあってはなりません。
常に「日本人と同等か、それ以上」の基準を実現できるように意識することが必要です。
特定技能の要件・必要書類・申請の流れは、『特定技能のビザ申請について』で詳しく解説しています。
よくある質問
Q.雇用契約の途中で最低賃金が改定されたら、給与を上げないといけませんか?
A.最低賃金額に満たない賃金の定めは無効になり、最低賃金と同額を定めたものとみなされるため、発効日以降は改定後の額を下回らないよう賃金を見直す必要があります。厚生労働省の公表では、令和8年度の地域別最低賃金は全国加重平均で1,177円(前年度から56円引上げ)となり、都道府県ごとに令和8年10月1日から12月2日までの間に順次発効する予定です。月給制の場合は、月給を月平均所定労働時間で割って時間額に換算して確認します。(出典:厚生労働省「令和8年度最低賃金額答申」、確認日:2026年11月5日)
Q.「特定技能外国人の報酬に関する説明書」とはどんな書類ですか?
A.出入国在留管理庁が公開している参考様式第1-4号で、在留資格認定証明書交付申請や変更・更新の申請の際に、特定技能外国人の報酬が日本人と同等以上であることを説明するために提出します。同庁の様式一覧ページにWord形式の様式と記載例(複数人をまとめて記載する例を含む)が掲載されています。本文で説明した賃金規定や比較対象となる日本人従業員の報酬は、この説明書で示すことになります。(出典:出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」、確認日:2026年11月5日)
Q.帰国する外国人から「厚生年金の保険料は戻るのか」と聞かれました。
A.日本年金機構の案内では、日本国籍を持たない方が国民年金・厚生年金保険の被保険者資格を失って日本を出国した場合、「脱退一時金」を請求できます。請求は日本を出国した後2年以内に行う必要があり、日本国内に住所を有しないことが確認できる書類などを添えて日本年金機構に提出します。給与から控除する厚生年金保険料について、入社時にこの制度も含めて説明しておくと、控除への理解を得やすくなります。(出典:日本年金機構「脱退一時金の請求手続き」、確認日:2026年11月5日)
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