「日本人の配偶者等」ビザには原則として同居が必要
在留資格「日本人の配偶者等」のビザをもって日本に在留する外国人の方は、原則として結婚相手である日本人と「同居」していることが必要です。
「日本人の配偶者等」のビザは、日本人の配偶者として日本で活動を行う外国人のために認められています。それゆえにビザを認めるためには、夫婦が同居し、互いに協力し、扶助しあって社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実体を伴った生活をしていることが求められます。
では、別居した場合、ビザは取り消しになるのでしょうか?別居してしまったら、一度ビザを認められていても、更新申請は不許可になってしまうのでしょうか?
別居したら不許可・取消の対象に
社会通念上の夫婦の共同生活を営んでいるといえるためには、合理的な理由がない限りは、夫婦で同居して生活していることが求められます。
よって、「日本人の配偶者等」のビザの申請をして許可をされた後に、別居をしなければならない必要もないのに、別居をしている場合には、次回のビザ更新が不許可になったり、ビザの有効期限が残っていても6か月以上別居しているようなときにはビザが取り消される可能性もあります(入管法第22条の4)。
したがって、理由なく日本人の結婚相手と別居をしている「日本人の配偶者等」ビザをお持ちの方は、なるべく早く別居をやめることをおすすめします。同居していた環境に戻ることがビザを守ることにつながります。
やむを得ない事情による別居の場合、配偶者ビザはどうなる?
しかし、夫婦の状況や場合によっては、別居をしなければならないような理由があるケースもあると思います。その「理由」が、別居していることについての合理的な理由に該当する場合には、日本人の結婚相手と別居していてもビザの申請が認められることもあります。
では、どのような場合であれば、この合理的な理由があると言えるのでしょうか。
- 例1 介護による別居
- 同居している地域から離れた地域に故郷がある日本人が、その肉親の介護のために一定期間帰省しており、かつ、「日本人の配偶者等」ビザをもつ外国人が同居している地域で長く正社員として勤務しているために、日本人とともに帰省することができない場合。
- 例2 単身赴任による別居
- 同居していた日本人が、その勤務先の会社から単身赴任の要請を受けたために単身赴任先に一定期間住み、かつ、「日本人の配偶者等」ビザをもつ外国人が同居していた地域で長く正社員として勤務しているために、日本人とともに単身赴任先に移住することができない場合。
- 例3 夫婦関係の悪化による一時的別居
- 夫婦の婚姻関係が冷却化しており、同居・相互扶助の活動が事実上行われなくなっている場合であっても、まだその状態が固定化されておらず、夫婦の婚姻関係が修復・維持しうる可能性がある等、「婚姻関係が実体を失い形骸化しているとまでは認められない段階」である場合。
「合理的な理由がある」や、「合理性が認められる」との法律上の判断は、必要性や相当性等の観点から、その理由が現在の世論や社会背景等の上で、社会を構成する多くの人が納得しうるものか否かという基準でなされることがあります。
この考え方は、今回のテーマである、夫婦が別居している場合の「日本人の配偶者等」ビザにおける合理的理由の有無にもある程度当てはまるまるものであると思われます。
もし、「日本人の配偶者等」ビザをもっている外国人の方が別居をしている場合には、その理由が「合理的なものであるかどうか」を検討してみるといいかもしれません。
しかし、原則は、夫婦が同居していることが「日本人の配偶者等」ビザにとっては大切なのは、はじめに述べた通りです。
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