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登録支援機関の業務を「一部委託」することはできる?

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1.特定技能外国人への支援業務の委託について

▼ 支援業務の全部または一部は、委託することができる?

企業等は雇用している特定技能1号外国人への支援を行われなければなりません(出入国管理及び難民認定法第19条の22第1項)が、支援業務を登録支援機関という第三者に委託することもできます(同法同条第2項)。
登録支援機関とは、特定技能1号の在留資格を持つ外国人に対して、在留中に安定的・円滑な活動を行うことができるようにするための様々な支援を、受入れ機関(企業等)から委託を受けて、受入れ機関に代わって実施する者です。
そして、受入れ機関は、支援業務の実施を登録支援機関に全部委託することもできますし、一定の条件を満たす企業等は委託の範囲を全部委託ではなく一部委託にすることもできます。

▼ 登録支援機関は、委託された支援業務をさらに他の機関に委託することはできる?

登録支援機関は、委託された支援業務の実施をさらに他の機関に委託することはできません。つまり、当然のことですが、支援業務の委託を受けた登録支援機関が支援業務を実施することになります。

2.支援業務にはどのようなものがあるか

▼ 支援業務の内容とは

それでは、特定技能外国人に対してする必要のある支援業務の内容とはどのようなものかをまず解説いたします。
下記の①~⑩となります。

① 事前ガイダンスの提供
特定技能外国人が従事することになる業務内容、労働条件、日本で行うことができる活動等につき、当外国人が理解できる言語で行う必要があります。
② 出入国の際の送迎
特定技能外国人が日本に入国する際には、空港・港から就業場所・日本の住居までの送迎をするする必要があります。
また、特定技能外国人が帰国する際には、空港の保安検査場の前まで同行の上、入場を見届ける必要があります。
③ 住宅確保のサポート
特定技能外国人が居住する賃貸物件につき、情報の提供、必要に応じて住居探しのサポートをする必要があります。
④ 生活オリエンテーションの実施
特定技能外国人が日本で生活するのに困らないために、金融機関・医療機関、社会上のルール等について情報を提供する必要があります。
⑤ 公的手続のサポート

特定技能外国人が日本でする必要がある下記の公的な手続について、必要に応じ同行・補助をする必要があります。

  • ・住居地に関する届出
  • ・所属機関に関する届出
  • ・在留資格に関する手続
  • ・社会保障、税に関する届出 等
⑥ 日本語学習の機会の提供
特定技能外国人が日本語を学ぶための学校等について情報提供をします。また、必要に応じ契約締結の補助も行うことになります。
⑦ 相談・苦情対応
特定技能外国人からの相談や苦情を受け付け、適切に対応する必要があります。
⑧ 日本人との交流促進支援
特定技能外国人が居住する地域の地方公共団体等が主催する行事等について案内します。
⑨ 転職支援
特定技能外国人を受け入れている企業等が経営上の事情で、特定技能雇用契約を解除する場合には、特定技能外国人の転職先を探すサポートをする必要があります。
⑩ 定期面談
3か月に1回以上、特定技能外国人本人及びその監督者と、面談をする必要があります。
この面談の結果、労働契約法令等に違反している事実が発覚した場合には、関係行政機関へ通報することになります。

▼ 全部委託しなければならない場合(一部委託ができない場合)とは?

上述の①~⑩の支援業務につき、特定技能外国人を受け入れる企業等は登録支援機関に全部委託をしなければならない場合があります。
それは、下記のようなケースです

【登録支援機関に全部委託をするべきケース】
  • 直近2年間で就労系の在留資格を有する外国人を受け入れた実績が無い場合
  • ・上述の①~⑩の支援を実施できる体制が社内に無い場合

このように、直近で外国人材を受け入れた実績が無く、支援の体制が整っていない企業が特定技能外国人を受け入れる場合には、登録支援機関に支援の実施を全部委託することになります。

▼ 一部委託する場合に検討しなければならないこととは

上記の場合にあたらず、外国人受け入れの実績もあり、支援責任者・支援担当者の選任、支援の実施体制も整っている企業が特定技能外国人を受け入れる場合には、下記の選択ができます。

  1. ① 支援業務の全部を登録支援機関に委託する
  2. ② 支援業務の一部を登録支援機関に委託する
  3. ③ 自社内で支援業務を実施する

②の一部委託を選択する場合に重要なことは、「登録支援機関への委託の範囲を明確にすること」です。
一部委託の背景としては、支援の体制は整っているものの、支援内容の内、自社内で人手が足りていない部分については登録支援機関に委託をしたいということもあると思われます。

3.まとめ

企業等が特定技能外国人を受け入れる場合、特定技能外国人への支援を登録支援機関に委託する必要があるか否か、委託するとしたら全部委託するか一部委託するかは、受入れ企業の状況により異なります。 受入れ企業の実績や体制、特定技能外国人の受け入れ人数等の事情によっては、支援委託料の関係から登録支援機関に委託をせず、支援を内製化したほうがよい場合も考えられます。
自社が登録支援機関に委託する必要のある会社なのか、委託の範囲はどうするべきなのか等についてお悩みでしたら、登録支援機関の活動やビザ申請に明るい行政書士等の専門家にご相談することをおすすめいたします。

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■この記事を書いた人■
森山敬代表

森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。

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