特定監理事業と一般監理事業の違い
技能実習生を受け入れるために大きな役割を担っている監理団体。
その監理団体には2種類の事業内容があります。
事業の種類 | 監理可能範囲 | 最長年数 |
---|---|---|
特定監理事業 | 技能実習1号、2号 | 3年 |
一般監理事業 | 技能実習1号、2号、3号 | 5年 |
以上のように、特定監理事業と一般監理事業は監理する事業が異なります。
もし技能実習3号を監理したいのであれば、一般監理事業の監理団体に依頼しなければなりません。
将来的に技能実習3号まで移行することを検討している場合も同様です。
特定監理事業の監理団体では対応できないため注意しましょう。
一般監理事業は対応できる技能実習の幅からわかるように、特定監理事業よりも難しい許可認定となっています。
許可認定を得るには、特定監理事業よりも厳しい優良基準を満たさなければなりません。
一方で、サービスそのものには違いがないのが特徴です。
例えば、以下の点においては特定監理事業でも一般監理事業でも行ってくれます。
- ● 技能実習生の紹介・受け入れ支援
- ● 技能実習計画の作成サポート
- ● 入国後の講習
- ● その他フォロー
監理団体を選ぶ際は、技能実習の3号を検討しているかどうかで選ぶと良いでしょう。
一般監理事業のメリット
一般監理事業のメリットは、以下の3つになります。
- ● 技能実習3号まで受け入れられる
- ● 最長5年まで技能実習を行える
- ● 実習生の受け入れ人数を拡大できる
これらは特定監理事業では得られないものです。
受け入れ可能な人数枠も3号になると、基本人数枠の6倍となるため、大きく異なります。
できるだけ長く技能実習生を受け入れたいと考えている企業ほど、一般監理事業を選ぶことをオススメします。
また、将来的に技能実習3号の受け入れを検討している場合も同様です。
途中で監理団体を切り替える労力を考えると、最初から一般監理事業にも対応している監理団体を選ぶ方が合理的でしょう。
このように、特定監理事業と一般監理事業は自社が技能実習生をどう受け入れるのかを検討した上で選ぶ必要があります。
優良な監理団体の要件とは
一般監理事業は優良な監理団体に与えられますが、それには要件を満たす必要があります。
要件は点数で決められており、150点満点中6割以上の点数でなければなりません。
令和3年10月までは旧配点である120点満点が選べましたが、現在は選択できないので注意してください。
- ● 実習の実施状況の監督その他の業務を行う体制(50点)
- 監理事業に関与する常勤の役職員と実習監理を行う実習実施者の比率、監理責任者以外の監査に関与する職員の講習受講歴など
- ● 技能等の修得等に係る実績(40点)
- 過去3年間の基礎級、3級、2級程度の技能検定等へ合格率など
- ● 法令違反・問題の発生状況(5点)
- 直近過去3年以内の改善命令の実績、失踪の割合
- ● 相談・支援体制(45点)
- ・他の機関で実習が困難となった実習生の受入に協力する旨の登録を行っていること
- ・他の機関で実習継続が困難となった実習生の受入実績など
- ● 地域社会との共生(10点)
- ・実習実施者に対する日本語学習への支援
- ・実習実施者が行う地域社会との交流を行う機会・日本文化を学ぶ機会の提供への支援
旧配点と違う点は、相談・支援体制が30点も点数配分が増えたことです。
技能実習の継続が困難となった技能実習生を支援しているかどうかが追加されました。
行政が技能実習生の支援体制を監理団体に求めていることがわかります。
また覚えておきたいのが、主務法令によって厳格に定められているという点です。
例えば法令違反・問題の発生状況に関しては、点数は少ないものの違反等があれば大幅に減点されます。
一般監理事業は、これらを主務法令で定められた6割以上の点数を得ることで初めて認定を受けられるのです。
なお、2022年9月30日において、一般監理事業の認定を受けている監理団体は、全国に1,871団体存在します。
優良な実習実施者の要件
監理団体の要件以外に注目したいのが、優良な実習実施者かどうかです。
実習実施者は、技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして、主務法令で定める基準に適合しているかを判断されます。
要は、技能実習生のフォロー体制が万全かどうかを見ているのです。
優良な実習実施者への認定が、特定技能2号から3号への移行で必要な要件となっています。
そのためには監理団体・技能実習生本人だけではなく、受入企業もまた優良でなければなりません。
実施実習生の場合も、150点中、6割以上であれば優良の基準に適合します。
優良な監理団体の要件と同じと考えてOKです。
こちらも令和3年11月以降は新配点へと変更されています。
- ● 技能等の修得等に係る実績(70点)
- 過去3年間の基礎級、3級、2級程度の技能検定等の合格率等
- ● 技能実習を行わせる体制(10点)
- 直近過去3年以内の技能実習指導、生活指導員の講習受講歴
- ● 技能実習生の待遇(10点)
- ・第1号実習生の賃金と最低賃金の比較
- ・技能実習の各段階の賃金の昇給率
- ● 法令違反・問題の発生状況(5点 ※違反等あれば大幅減点)
- ・直近過去3年以内の改善命令の実績、失踪の割合
- ・直近過去3年以内に実習実施者に責めのある失踪の有無
- ● 相談・支援体制(45点)
- ・母国語で相談できる相談員の確保
- ・他の機関で実習継続が困難となった実習生の受入実績等
- ● 地域社会との共生(10点)
- ・実習生に対する日本語学習の支援
- ・地域社会との交流を行う機会・日本文化を学ぶ機会の提供
実施実習生の要件においても、30点の配点を追加されたのは相談・支援体制です。
こちらも監理団体と同じく、技能実習生が引き続き技能実習を行える支援ができているかを求められます。
近年、技能実習生に対する人権侵害行為等が問題となっています。
技能実習制度の適正化を図るため、違反に関しての罰則はもちろん、技能実習生への保護等に関する措置が必要です。
優良要件適合申告書の提出が必要
一般監理団体の要件を満たしていても、自動的になれるわけではありません。
行政に書類を提出して初めて認可されます。
その際に必要となるのが「優良要件適合申告書」です。
受入企業は年に1度、4月~5月末を期限として実習生に関しての以下の書類を外国人技能実習機構へ提出しなければなりません。
- ● 実施体制
- ● 実習生の労働条件
- ● 行方不明者の発生状況
これらの他にも書類を求められる場合があります。
この際、優良な実習実施者として認定されている場合、「優良要件適合申告書」を一緒に送ります。
優良要件適合申告書には、先述した実習実施者の得点をどれだけ満たしているかが細かく書かれています。
配点を記入する項目があるので、基本的に埋めていけば問題ありません。
用紙を提出して認可を受けることで、初めて優良な実施実習者となれるので忘れずに提出しましょう。
また、既に1度提出している受入企業の場合でも提出が必要です。
提出期限も定められているため、忘れないようにしてください。
提出方法は非常に簡単で、以下から好きな方法を取ればOKです。
- ● 外国人技能実習機構の地方事務所・支所の認定化へ持参
- ● 同施設へ郵送 (書留やレターパックプラス ※受け取り時に押印やサインが必要な方法のみ)
郵送でも対応してくれるのですが、押印やサインが必要な方法に限られています。
レターパックの場合、郵便ポストに投函するタイプもあるため注意してくださいね。
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