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ベトナム人のための特定技能ガイド | 試験から在留変更まで徹底解説

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「技能実習が終わったら帰国しなければいけないのか」
「もっと長く日本で働くチャンスはないのだろうか」

こうした悩みを持つベトナム人の方も多いのではないでしょうか。
特定技能という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような在留資格なのか、どのような手続きが必要なのかがわからず、申請できずにいる方も少なくありません。

そこで本記事では、ベトナム人の方に向けて「特定技能を取得するために必要な情報」を紹介します。
制度の基礎知識から試験対策、申請手続きの流れまで解説していますので、ぜひ参考にしてください。

特定技能制度とは?

特定技能制度は、2019年に日本政府が開始した新しい在留資格で、日本の人手不足を解消するために作られました。
この制度では、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が、特定の分野で働けるようになります。

技能実習とは違って転職も可能で、より自由度の高い働き方が認められています。
日本で長期的にキャリアを築くためにも、検討したい制度です。

まずはどのような制度なのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。

  • ● 特定技能1号と2号の違い
  • ● 対象となる分野一覧と特徴

特定技能1号と2号の違い

特定技能には1号と2号の2種類があります。以下の表を見てみましょう。

特定技能1号特定技能2号
在留期間1年、6ヶ月、4ヶ月ごとの更新(通算5年まで)3年、1年、6ヶ月ごとの更新(更新の上限なし)
永住権の取得できない要件を満たせる可能性がある
技能水準相当程度の知識または経験を必要とする技能熟練した技能
外国人支援必須。企業の支援計画の策定実施が義務支援計画の策定実施が不要
家族の帯同不可条件を満たせば可能
日本語能力水準試験ありなし
試験の実施状況国内外で実施中2023年から実施

1号は最長5年間日本で働ける資格で、12の分野が対象です。
家族の帯同は認められていませんが、技能実習からの移行がしやすい点が特徴です。

一方の2号は1号よりも高度な技能が必要で、介護分野以外の分野が対象となっています。
2号を取得すると在留期間の更新に制限がなくなり、家族も日本に呼び寄せられます。
長期的な定住を目指す方は、2号の取得を目指すのがおすすめです。

対象となる分野一覧と特徴

特定技能で働ける分野は、介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野です。
ただし、1号と2号では、以下のように対応していないものがあります。

分野特定技能1号特定技能2号
建設
造船・舶用工業
※溶接区分以外
ビルクリーニング
形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
介護×

介護分野のみ、専門的・技術的分野の在留資格である「介護」があるため、特定技能2号対象になっていません。
併せて、造船・舶用工業分野に関しても、2号では溶接区分が対象外となっているため、気を付けましょう。

ですがそれ以外に関しては、ほとんどの分野で1号・2号ともに共通しています。

試験と合格のポイント

特定技能を取得するには、日本語試験技能評価試験の両方に合格する必要があります。
ただし、特定技能2号の技能評価試験に関しては、日本語能力は要件にありないため受験が不要です。
それまでの試験結果で日本語能力が判断されます。

では、日本語試験にはどのようなものがあるのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。

  • ● JFT-Basic(日本語試験)の内容と対策法
  • ● 技能評価試験の内容と実施スケジュール
  • ● ベトナム国内で受験する方法と注意点

JFT-Basic(日本語試験)の内容と対策法

JFT-Basicは、日本語能力試験(JLPT)のN4レベル相当の試験で、日常生活や職場で必要な日本語力を測ります。
試験時間は約60分で、「文字や語彙」「会話や表現」「聴解」「読解」の4つのセクションから問題が出題されます。
試験はパソコンで受けるため、パソコンの操作に慣れておくようにしましょう。

セクション問題数カテゴリー
文字・語彙12問語の意味、用法、漢字の読み、漢字の意味と用法
会話・表現12問文法、表現
聴解12問社交的なやり取り、店や公共機関でのやり取り、指示・アナウンス
読解12問内容理解、情報検索

対策としては、以下の2つの方法が効果的です。

  • ● 過去問題を繰り返し解く
  • ● 日本語の動画やニュースを毎日聞いて耳を慣らす

この他、国際交流基金が提供する無料の学習サイトも活用するのも良いでしょう。

技能評価試験の内容と実施スケジュール

技能評価試験は、選んだ分野によって内容が大きく異なります。
例えば介護分野では、身体介護の知識や技術が問われ、建設分野では安全管理や作業手順の理解が求められます。

試験は年に数回実施されており、日本国内だけでなく、ベトナムを含むアジア各国でも受験可能です。
ただし、実施回数や会場は分野によって異なるため、公式サイトで最新のスケジュールを必ず確認しましょう。

なお、受験料は分野によって異なりますが、概ね5,000円から10,000円程度です。

ベトナム国内で受験する方法と注意点

ベトナムでは、ハノイやホーチミンなどの主要都市で特定技能試験が実施されています。
受験する際は、以下の流れで進めると良いでしょう。

  1. 1. 各分野の試験実施機関のWebサイトで試験日程を確認する
  2. 2. オンラインで申し込む

受験自体は非常に簡単です。
ただし、申し込み時にはパスポートや顔写真が必要になるため、事前に準備しておきましょう。

また、試験会場までの交通手段を事前に確認しておき、試験当日は身分証明書を必ず持参するのは忘れないようにしてください。
事前に準備を万端な状態にしておくことで、安心して試験を迎えられます。

ベトナム人の特定技能動向

ベトナムは特定技能制度において、最も多くの在留者を占める国籍です。
日本企業からの評価も高く、真面目で勤勉な姿勢が評価されています。
以下にわけて最新の動向を見ていきましょう。

  • ● 在留者数と就労分野の傾向
  • ● ベトナム人が選ばれる理由と企業からの評価

在留者数と就労分野の傾向

2025年6月時点で、特定技能で日本に在留するベトナム人は14万人に達しており、全体の44%以上を占めています。
就労分野では、飲食料品製造業、農業、介護、工業製品製造業、建設が特に多いとされています。

地域的には愛知県や大阪府での受け入れが多いのですが、近年は埼玉県や千葉県などの首都圏でも増えています。
この傾向は今後も続くと予想され、多様な選択肢が広がっていると言えるでしょう。

ベトナム人が選ばれる理由と企業からの評価

日本企業がベトナム人を積極的に採用する理由は、まず勉強熱心な国民性で教育水準が高い点が挙げられます。
勤勉で手先が器用な方も多く、向学心・向上心が旺盛で、穏やかながらも芯を持っているのもベトナム人の国民性と言えるでしょう。

そうした点もあり、日本の職場環境に合っていると評価されているのでしょう。
また、技能実習制度を通じて日本での就労経験を持つ方が多いため、日本の職場文化や働き方への理解が深い点も好まれています。

申請と変更手続きの流れ

特定技能を取得するための手続きは、新規に日本へ入国する場合と、すでに日本にいる方が在留資格を変更する場合で異なります。
その中でも、留学生や技能実習生からの変更手続きに焦点を当てて、どのような流れで進めていくのかを解説します。

  • ● 留学生や技能実習生からの変更手続き
  • ● 必要書類と準備のポイント
  • ● 在留資格変更時の注意点とタイミング

留学生や技能実習生からの変更手続き

留学生が特定技能に変更する場合は、まず試験に合格してから、受け入れ企業を見つける必要があります。
アルバイト先で正社員として雇ってもらえるケースもありますが、必ずそうなる保証はないため、自分で動く方が良いでしょう。

一方の技能実習生の場合は、同じ職種であれば試験が免除されるため、比較的スムーズに移行できます。
ただし、技能実習の受け入れ企業と特定技能の雇用企業は必ずしも同じである必要がなく、転職も可能です。

どちらの場合も、在留期限の3ヶ月前から申請できるため、余裕を持って手続きを始めましょう。

必要書類と準備のポイント

特定技能の申請には、以下の書類が必要です。

  • ● 在留資格変更許可申請書
  • ● パスポート
  • ● 在留カード
  • ● 証明写真
  • ● 雇用契約書
  • ● 試験の合格証明書
  • ● 企業の登記事項証明書
  • ● 事業計画書
  • ● DOLAB(海外労働管理局)から発行される推薦者表

この他、多くの書類が求められます。
ベトナム人特有の書類として、DOLAB(海外労働管理局)から発行される推薦者表も必須となります。
書類は全て日本語で準備する必要があり、ベトナム語の書類には翻訳が必要な点も注意しましょう。

全ての書類を揃えるとなると時間がかかるため、早めに必要書類のリストを確認し、取得に時間がかかる書類から順番に準備する方法がおすすめです。

在留資格変更時の注意点とタイミング

在留資格を変更する際の最大の注意点は、タイミングです。
審査には1ヶ月~3ヶ月程度かかるため、現在の在留期限が切れる前に必ず申請を完了させましょう。
目安としては、在留期限の3ヶ月以上前には準備を始める形です。

また、変更が許可されるまでは、現在の在留資格での活動しか認められません
留学生の場合、入管法施行規則第19条によってアルバイトは週28時間以内という制限が続きます。
さらに、変更が不許可になった場合に備えて、帰国の準備や次の選択肢も考えておくと安心です。

ベトナム特有の制度と注意点

ベトナム人が特定技能を取得する際には、他の国籍にはない独自の手続きや注意点があります。
どのようなものなのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。

  • ● 推薦者表とDOLABについて
  • ● 送り出し機関との契約と費用の内訳
  • ● トラブルを避けるための事前確認事項

推薦者表とDOLABについて

推薦者表とは、ベトナム政府の海外労働管理局(DOLAB)が発行する公式書類のことです。
ベトナム人が、特定技能で日本へ渡航する際に必須の書類となります。
この書類がないと、日本での在留資格申請が許可されません。
ベトナムと日本との二国間協定なので、必ず手続きをしましょう。

推薦者表を取得するには、DOLABに申請を行い、審査を受ける必要があります。
申請には、雇用契約書や試験合格証明書などの書類が必要で、発行までに数週間から1ヶ月程度かかります。

なお、オンラインでの申請も可能ですが、手続きの詳細はDOLABの公式サイトや認定送出機関に確認すると確実です。

送り出し機関との契約と費用の内訳

ベトナム人が特定技能で日本へ行く際は、ベトナム政府が認定した送り出し機関の利用が義務付けられています。
日本企業とのマッチングや書類準備のサポート、DOLABへの手続き代行などをしてくれるため、それぞれ得意とする分野で選ぶと良いでしょう。

利用の費用は機関によって異なりますが、最大で約50万円までと定められています。
それ以上の金額にはならないと認識しておいて良いでしょう。

なお、内訳としては、書類作成費用やDOLAB手続き費用、渡航前オリエンテーション費用などが含まれます。
契約前には必ず書面で費用の詳細を確認し、不明瞭な請求項目がないかチェックしておくことをおすすめします。

トラブルを避けるための事前確認事項

送出機関を選ぶ際は、必ずベトナム政府の認定を受けているかを確認しましょう。
認定されていない業者を利用すると、推薦者表が発行されず、最終的に日本へ行けなくなります。

また、契約前には費用の総額と内訳を書面で提示してもらい、追加費用が発生する条件についても明確にしておいてください。
口頭での約束だけでなく必ず契約書を取り交わし、コピーを保管しておくと安心です。

不審な点があれば、DOLABや日本の受け入れ企業に相談すると良いでしょう。

企業が知っておくべき採用ポイント

ここからは、ベトナム人を採用する日本企業の方に向けて、採用のポイントを紹介します。
特に以下の3つは重要なので、意識しておきましょう。

  • ● 文化的な違いと職場での配慮
  • ● 雇用契約と支援体制の整備
  • ● 企業のよくある失敗と成功のコツ

文化的な違いと職場での配慮

ベトナムと日本では、コミュニケーションスタイルや仕事の進め方に違いがあります。
特に、会話に関しては要注意です。
ベトナムでは直接的な表現が好まれる一方、日本では遠回しな表現が多用されるため、誤解が生じやすいでしょう。

また、ベトナム人は家族を非常に大切にする文化があり、家族の事情で急に休みが必要になる場合もあります。
仕事よりも家族を優先し、残業も基本しません。
日本人以上に年長者を尊敬するため、たとえ年上が部下だったとしても、敬う姿勢を忘れないようにしましょう。

雇用契約と支援体制の整備

特定技能外国人を雇用する企業は、法律で定められた支援計画を実施する義務があります。
具体的には、以下のような対応です。

  • ● 住居の確保支援
  • ● 銀行口座開設の補助
  • ● 携帯電話契約の補助
  • ● 生活オリエンテーションの実施
  • ● 日本語学習の機会提供
  • ● 相談・苦情への対応

こうした支援は自社でするか、登録支援機関に委託するかのどちらかになります。
また、雇用契約書は必ず母国語版も用意し、労働条件を明確に説明しなければいけません。
もちろん、給与は日本人と同等以上でなければならず、不当に低い賃金は法律違反となります。

企業のよくある失敗と成功のコツ

企業のよくある失敗として、日本人と同じ対応をすれば問題ないと考える点が挙げられます。日本人とベトナム人は違います。
言葉や文化の壁があるため、より丁寧な説明や確認が必要だと認識しましょう。

例えば、作業手順を口頭で伝えるだけでなく、図や写真を使った説明書を用意するといった形です。
また、定期的な面談を実施し、困りごとがないかも確認していくと良いでしょう。
ベトナム人を複数人雇用している場合は、同士のコミュニティを作り、孤立を防ぐのも効果的です。

先輩のベトナム人従業員がいる場合は、メンター役として新人のサポートを任せるのも良いでしょう。

よくある質問(FAQ)

ここからは、特定技能について多くのベトナム人の方から寄せられる質問にお答えします。
手続きや制度について不安や疑問がある方は、ぜひ参考にしてください。

試験合格後の流れ

試験に合格したら、まず日本で働きたい企業を探します。求人サイトや送出機関、人材紹介会社などを通じて企業とマッチングしていきます。
企業が決まったら雇用契約を結び、在留資格認定証明書の交付申請をしましょう。

証明書が発行されたら、ベトナムの日本大使館でビザを申請します。
ビザが発給されれば、いよいよ日本への渡航が可能です。

全体として試験合格から実際に日本で働き始めるまでには、3ヶ月~6ヶ月程度かかると考えておきましょう。

転職や在留の継続は可能か

特定技能では、同じ分野内であれば転職が可能です。
ただし、転職する際には新しい雇用先との契約書などを出入国在留管理局に届け出る必要があります。
転職先も特定技能外国人を受け入れる要件を満たしていなければいけないため、入念に準備をしておきましょう。

また、在留期間については1年・6ヶ月・4ヶ月ごとに更新が可能で、特定技能1号では通算5年まで滞在できます。
5年を超えて日本に滞在したい場合は、特定技能2号への移行を目指すか、他の在留資格への変更を検討する必要があります。

家族の帯同や永住の可否

特定技能1号では、残念ながら家族を日本に呼び寄せることはできません。
ただし、家族が別の在留資格(留学ビザなど)で日本に来ることは可能です。
また、特定技能2号に移行できれば、配偶者や子どもを「家族滞在」の在留資格で呼び寄せられます。

永住権は特定技能1号だけでは取得が難しいため、特定技能2号に移行した後に一定の条件を満たす必要があります。
原則として10年以上の日本在留が必要にはなりますが、高度人材ポイント制などを活用して、短縮する方法も検討してみましょう。

まとめ

特定技能制度は、ベトナム人が日本で長期的に働き、キャリアを築くための制度です。
技能実習よりも自由度が高く、転職もできます。
将来的には特定技能2号への移行や永住権取得も可能です。

制度を利用するには試験対策や書類準備、DOLABへの手続きなど、様々な工程があります。
一つ一つを確実に進めて、日本での新しいキャリアに挑戦してみましょう。


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