監理団体とは?
監理団体とは、技能実習生を受入、その活動および受入企業へのサポート等を行う非営利団体のことを指します。
仕事内容としては、企業から依頼を受けた後に以下の項目を監査・指導します。
- 受入まで
- 手続きや現地での面接
- 受入後
- 企業が適正な技能実習を行っているか確認
外国人の技能実習生を受け入れたら終わりではなく、受け入れた後も長く支援していく仕事内容となっています。
そのため現地に赴くことも多く、現地の送り出し機関とも連携を取るなどといったことも必要です。
監理事業を行うためには、主務大臣から監理団体の許可を受ける必要があります。
許可には2種類あり、以下のように定められています。
- 特定監理事業
- 技能実習1号、2号
- 一般監理事業
- 技能実習1号、2号、3号
特定と一般では、受け入れ可能な技能実習生が異なります。
注意したいのが、「最初は必ず特定監理事業から始まる」という点です。
実績も何もない監理団体が、いきなり一般監理事業にはなれません。
一般監理事業の許可を得るためには実績はもちろん、高い水準を満たす必要があり、これまでの仕事内容が問われるのです。
それでは、監理団体のメリットにはどのようなものがあるでしょうか。次項で解説します。
監理団体設立のメリット
監理団体を設立しようと考えている方にとって、どのようなメリットがあるのかは知っておきたいところでしょう。
大きなものとしては、以下の3つのメリットが挙げられます。
- ● 技能実習生の適法な雇用・監理
- ● 監理費の軽減
- ● 特定技能の支援も可能
それぞれどういったメリットか詳しく見てみましょう。
▼ 技能実習生の適法な雇用・監理
監理団体を設立するメリットの1つとして、技能実習生の適法な雇用・監理があります。
技能実習生を雇用する際に気をつけなければならないのが、入管法や技能実習法といった法律です。
しかし、普段の仕事の中でそれらの法律を遵守しながら技能実習生を雇用するというのは非常に難しく、日本人と同じ感覚で扱ってしまった結果、違法となったというケースも起こりえます。
監理団体を設立して入管法・技能実習法に精通した人員を配置すれば、自社や組合員となる企業の中で技能実習生の適法な雇用・監理が容易になります。
もし監理団体に委託している状態で法令違反が起こったとしても、改善命令や行政処分の対象は受入企業となるため、スムーズな対応が可能です。
将来的には技能実習生の継続的な雇用も考えられるので、そのメリットは長期的に見て非常に大きいと言えるでしょう。
▼ 監理費の軽減
技能実習生の監理費を軽減できる点も、監理団体を設立すると感じられるメリットの1つです。
通常、受入企業が監理団体へ支援業務を委託する場合、技能実習生1人に対して平均としておおよそ3万円程度の監理費が必要となります。
1人だけならまだいいのですが、これが5人10人と増えていくと監理費だけでもバカになりません。
しかし、自社で監理団体を設立した場合、その監理費を大幅に削減することが可能です。
軽減する方法は様々ですが、例えば組合員から組合費の他に監理費を徴収するといった方法が考えられます。
徴収金額は組合員が増えれば増えるほど1人あたりの金額が減っていくので、組合員を増やす施策と一緒に実施すれば効果も期待できます。
このように、委託時と比較すると、監理費軽減が期待できるのです。
▼ 特定技能への支援も可能
監理団体を設立すると、特定技能への支援も可能となる点もメリットの1つと言えます。
ただし、別途登録支援機関としての登録申請が必要です。
技能実習生と特定技能の違いは以下をご覧ください。
- ● 技能実習生
- 発展途上国出身の外国人の方に現場で実習を通じて技能を取得し、帰国後に技能を活かした仕事をしてもらう(国際貢献が目的)
- ● 特定技能
- 日本企業の人手不足を補う
このように、目的に明確な違いがあります。
かつては技能実習生が実習満了後に日本に在留したいと思っても、手段がないという大きな問題がありました。
それを改善するために特定技能を新設し、適切な手段を踏めば技能実習生からでも条件次第では永住者ビザを取得できるようになったのが今です。
また、技能実習生の監理事業と特定技能の支援業務は共通点も多いため、外部に委託することなく内部で対応することも可能でしょう。
そのため、特定技能への支援事業が行えるメリットは非常に大きいと言えます。
監理団体設立の要件
監理団体は誰でも許可されるわけではありません。
先述したように主務大臣から許可を得る必要があります。
監理団体として許可を得る場合、以下の要件に適合しなければなりません。
- ・営利を目的としない法人であること
- ・事業を適正に行う能力を持っていること
- ・監理事業を健全に遂行できる財産的基礎をもっていること
- ・個人情報を適正に監理するための措置を講じていること
- ・外部役員または外部監査の措置を実施していること
- ・基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次についての契約を締結していること
- ・第3号技能実習を行う場合は、優良要件を満たしていること
- ・監理事業を適正に遂行できる能力を持っていること
注意したいのが、これらの要件を満たしていても、暴力団等の反社会的勢力や不正行為を行ったものは許可の段階で排除される可能性があるという点です。
以上に気をつけて、設立に必要な書類を準備しましょう。
監理団体設立に必要な書類
監理団体を設立するにあたって、必要な書類は非常に多くなっています。
- 1. 監理団体許可関係書類一覧・確認表
- 2. 監理団体許可申請書/監理団体許可有効期間更新申請書
- 3. 事業区分変更許可申請書及び許可証書換申請書
- 4. 監理事業計画書
- 5. 申請者の概要書
- 6. 登記事項証明書
- 7. 定款又は寄付行為の写し
- 8. 船員職業安定法第34条第1項の許可証の写し
- 9. 直近2事業年度の貸借対照表の写し
- 10. 直近2事業年度の損益計算書又は収支計算書の写し
- 11. 直近2事業年度の法人税の確定申告書の写し
- 12. 直近2事業年度の法人税の納税証明書
- 13. 預金残高証明書等の現金・預金の額を証する書類
- 14. 監理事業所の土地・建物に係る不動産登記事項証明書
- 15. 監理事業所の不動産賃貸借契約書の写し
- 16. 個人情報の適正監理に関する規程の写し
- 17. 監理団体の組織体系図
- 18. 監理団体の業務の運営に係る規程の写し
- 19. 申請者の誓約書
- 20. 役員の住民票の写し
- 21. 役員の履歴書
- 22. 監理責任者の住民票の写し及び健康保険等の被保険者証の写し
- 23. 監理責任者の履歴書
- 24. 監理責任者講習の受講証明書の写し
- 25. 監理責任者の就任承諾書及び誓約書
- 26. 外部監査人の概要書
- 27. 外部監査人講習の受講証明書の写し
- 28. 外部監査人の就任承諾書及ひ誓約書
- 29. 指定外部役員の就任承諾書及び誓約書
- 30. 外国の送出機関の概要書
- 31. 外国政府発行の外国政府認定送出機関の認定証の写し
- 32. 監理団体と外国の送出機関との団体監理型技能実習の申込みの取次に関する契約書の写し
- 33. 外国の送出機関の登記や登録がされていることを証する書類
- 34. 送出国の技能実習制度関係法令を明らかにする書類
- 35. 外国の送出機関か゛送出国の技能実習制度関係法令に従って技能実習に関する事業を適法に行う能力を有する書類
- 36. 外国の送出機関の誓約書
- 37. 外国の送出機関の推薦状
- 38. 外国の送出機関が徴収する費用明細書
- 39. 技能実習計画作成指導者の履歴書
- 40. 優良要件適合申告書(監理団体)
他にも追加で求められる場合があるため、注意しましょう。
また、基本的には全て片面印刷となっているので、両面印刷は厳禁です。
詳しいことは、監理団体許可申請に係る提出書類一覧・確認表(外国人技能実習機構)をご確認ください。
監理団体設立の流れ
監理団体を設立するまでの流れはどうなっているのでしょうか。
まず覚えておきたいのが、監理団体は書類を集めて申請してもすぐに設立できるものではない、という点です。
監理団体を設立するには、以下のプロセスを辿ります。
- 1.事業協同組合の設立認可申請(県庁):3~4ヶ月
- 2.事業協同組合の設立登記(法務局):0.5~1ヶ月
- 3.監理団体許可申請:5ヶ月
おおよそ10ヶ月程度かかるのがおかわりいただけるかと思います。
実際には、追加の書類や問い合わせなどがあるため、1年を目処に考えておくのが無難でしょう。
それぞれの項目を詳しく見ていきます。
1. 事業協同組合の設立認可申請(県庁)
- 1. メンバー・活動拠点・範囲の決定
- 2. 事業計画の策定
- 3. 申請書類の一式作成
- 4. 中央会(中小企業中央会)との事前調整
- 5. 県庁との事前調整
- 6. 総会・理事会の開催
- 7. 中央会を経由して県庁への申請書の提出
- 8. 認可許可書の交付
2. 事業協同組合の設立登記(法務局)
- 1. 出資金の払込み
- 2. 印鑑の作成
- 3. 設立登記(以後、年度終了ごとに年次報告書の提出義務あり)
3. 監理団体許可申請
- 1. 事前準備
- 2. 申請書類の作成
- 3. 機関(外国人技能実習機構)本部への申請書類の提出
このように、事業組合の設立許可申請が一番大変な工程なのがお分かりいただけると思います。
必要な書類も大変多いため、並行して準備しておくと良いでしょう。
外部監査人とは?
監理事業許可を受けるために必要なのが、「外部監査人」もしくは「特定外部役員」を選任しなければならないことです。
中でも外部監査人に関しては、以下のように定められています。
- 【外部監査人】
- 法人外部から監査する者として、監理団体から選任を受けたものであり、法人・個人のいずれでも外部監査人になることが可能
この時に注意したいのが、監理団体や技能実習受入企業と過去5年以内に関わりがある人は外部監査人になれないという点です。
そのため、監理団体を退社した場合であっても外部監査人にはなれないため、なかなか適任が見つからないといったケースが現状多く見られます。
以上のことから、外部監査人を依頼する場合は自社と全く関係ないところから外部監査人を選任することが最も簡単な方法と言えるでしょうです。
まとめ
技能実習生を受け入れる場合、彼らを監理・支援してくれる非営利団体として「監理団体」があります。
外部の監理団体に委託すると、1人あたり費用がどうしてもかかってしまうため、自社で監理団体を設立する企業が増えてきています。
監理団体を設立すると技能実習生の適法な雇用・監理が可能な他、監理費の軽減や特定技能への支援なども可能です。
しかし監理団体を設立する場合は、おおよそ1年近くかかる上、膨大な数の書類を用意しなければなりません。
手間に見合うメリットは間違いなくあるので、申請の際は時間がかかることを覚悟して動くようにしましょう。
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