監理団体とは?
監理団体とは、技能実習生の監理および受入先企業の監督を担う非営利団体です。
その業務内容は多岐に渡り、現地の技能実習生のサポート業務から始まり、受入企業で適正な実習が行われているの確認する監理業務まで、常に技能実習生と共にあります。
監理団体は、受入企業が技能実習生を違反なく実習しているかを定期的に監理をします。
よくニュースなどで技能実習生の問題が取り上げられた際に登場するのが監理団体で、速やかな対処を求められる団体なのです。
監理団体は以下の2種類に分けられています。
- 一般監理事業
- 技能実習1号~3号の採用が可能
許可の有効期間は5年または7年 - 特定監理事業
- 技能実習1号・2号の採用が可能
許可の有効期間は3年または5年
監理団体はまず特定監理事業から始め、実績を認められると「一般監理団体」や「優良監理団体」と呼ばれるようになります。
以上のように、監理団体では採用できる技能実習生に違いがあるため、自社が採用したい技能実習に合わせて選ぶようにしましょう。
監理団体の変更を検討するポイント
監理団体は一度契約するとずっとそのままというわけではなく、変更することが可能です。
企業によって監理団体を変更したいと思うパターンは様々ありますが、本記事では以下のよくあるケースを紹介します。
- ● 監理費が不当に高額なケース
- ● 業務内容に不満があるケース
- ● 適切な人材を紹介してもらえないケース
- ● サポート内容が薄いケース
それぞれ個別に見ていきましょう。
▼ 監理費が不当に高額なケース
まずは監理費が不当に高額なケースが考えられます。
大前提として、監理団体の費用が安い=良いというわけではありません。
他の業種と同じく、費用が安くて良いものもあれば悪いものがあるのと同じです。
監理費が安いと企業としては費用を抑えられて嬉しいのですが、監理団体が行うべき業務を行わず、技能実習生の失踪が多発するなどの問題が起こっては意味がありませんよね。
そうなると技能実習を続けること自体が困難となってしまいます。
反面、監理費が高いと企業としては負担になりますが、充実したサポートを受けられる可能性は高くなります。
監理費が不当に高いと感じた場合には、その監理団体が金額に見合ったサポートをしてくれているのかどうかを見て判断しましょう。
▼ 業務内容に不備があるケース
業務内容に不備があるケースも考えられます。
監理団体の業務内容は多岐に渡るため、何かしらの不備が起こることは可能性として充分にあります。
技能実習開始のための準備や定期監査はもちろん、技能実習1号の場合は訪問指導も行わなくてはなりません。
技能実習生の保護・支援も重要な業務です。
これらは監理団体が最低限行っていなければならない業務に他なりません。
定期監査や訪問指導には定期的な報告を求められています。
それら最低減の業務すらできてないとなると、その監査団体に任せることはできませんよね。
企業と企業の信頼問題にも繋がるため、もし監理団体の業務内容に不備があると感じた場合は、早急に変更を検討する方が良いでしょう。
▼ 適切な人材を紹介してもらえないケース
適切な技能実習生を紹介してもらえないケースも考えられます。
技能実習生は、現地の送り出し機関を通じて日本語や技術を学び、日本へと入国します。
職業訓練所やオファー型の求人サイトのようなものです。
そういった送り出し機関から、自社が要望する人材を紹介されるかどうかは、その機関次第となっています。
もちろん送り出し機関は現地にあるため、監理団体と送り出し機関との提携方法は各国のルールによって異なります。
1つの監理団体が提携できる機関はいくつまで、と厳格に定めている国があるほどです。
自社の要望に合った人材を紹介してもらえない場合は、現地の送り出し機関に問題があるケースがほとんどです。
その場合は、複数の監理団体に相談し、どんな人材を紹介してもらえるのかを比べてみることをオススメします。
▼ サポート内容が薄いケース
技能実習生へのサポート内容が薄いケースも考えられます。
監理団体にとって技能実習生へのサポートは業務の1つです。
例えばですが、技能実習1号の場合、最初の1年目は毎月の企業訪問が必要となります。
しかし監理に来ないと適切にサポートしていませんよね。
監理団体がサポートする内容は多岐に渡りますが、技能実習がしっかり行われているかや、企業・実習生の双方で困っていないかなどをいち早く発見し、問題の解決に取り組むのが主な仕事です。
それが成されていないのであれば、適切なサポートができているとは言えません。
また、技能実習生の病気や事故といった緊急事態にすぐに対応してくれるかどうかという点も重要です。
常時は企業で対応していたとしても、緊急時はやはりプロである監理団体に頼るもの。
こちらも同様にサポート内容が薄いと対応してくれない場合があるため、見極める判断材料にしましょう。
悪質な監理団体を利用するリスク
世の中には数多くの監理団体がありますが、中には悪質な監理団体も存在します。
実際に契約する際、なるべく悪質な監理団体とはかかわりたくないですよね。
もし悪質な監理団体を利用してしまった場合、以下のリスクが考えられます。
- ● 技能実習生の失踪
- ● 技能実習生の犯罪
それぞれどういったリスクか具体的に解説します。
▼ 技能実習生の失踪
コロナ禍によって一度止まりましたが、近年国内における人材不足から、技能実習生を積極的に受け入れる企業が増えています。
しかし技能実習生の数に比例して増えているのが、失踪率です。
技能実習制度において、失踪させないことは大前提と考えられています。
そのため技能実習生が失踪すると、受入企業と受入機関はペナルティを受ける可能性があります。
主なペナルティとしては、以下が妥当でしょう。
- ● 一定期間の研修生・技能実習生の受入禁止
- ● 優良認定要件の原点
受入禁止期間は不正行為の重大性によって変わりますが、1年・3年・5年のどれかです。
もし失踪から行方不明になった場合、一律で3年の新規受入停止となります。
ペナルティ後に新規で受け入れようと考えても、改善策の提出が必要で、かつ「問題拝察の恐れがなく適正な技能実習の実施が見込める」と地方入国管理局に認められない限り再開はできません。
受入再開まで非常に時間がかかる可能性が大きいため、技能実習生が失踪しないように監理団体と共に適切にフォローしましょう。
▼ 技能実習生の犯罪
技能実習生の犯罪も、悪質な監理団体を利用するリスクの1つです。
警視庁の「平成30年における組織犯罪の情勢」によると、技能実習生の刑法犯認員は604人になり、凶悪犯として検挙されたのが11人、その中で殺人を犯したのは6人もいます。
これらは技能実習生の数が増えるほど増加しており、毎年500人以上が検挙されています。
技能実習生が犯罪を犯さないためには、外国人技能実習制度の運用を適切に行い、企業のみならず監理団体でもサポートしていかなければなりません。
しかし、悪質な監理団体はその運用を担うはずであるのにも関わらず、業務を遂行しないため、結果的に犯罪を犯してしまう実習生が後を絶たないのです。
技能実習生も犯罪を犯すつもりで来日したのではありません。
彼らの人権を守るという意味においても、悪質な監理団体はリスクと言えます。
監理団体の変更方法
もし悪質な監理団体だとわかったり、自社に合っていないと判断した場合は、監理団体を変更することが可能です。
監理団体の変更はそれほど難しいものではありません。
以下の流れで行ってください。
- Step1.監理団体変更を自社内で検討する
- Step2.新規監理団体と商談
- Step3.現監理団体に監理団体を変更する旨を伝える
- Step4.現監理団体から必要書類を回収する
- Step5.新規監理団体に必要書類を提出する
- Step6.送り出し機関と新規監理団体が契約する
- Step7.監理団体の変更完了
途中、変更のための審査が必要となりますが、それでもおおよそ3~4ヶ月ほどで完了するでしょう。
もし新年度を機に変えようと考えている場合は、逆算して進めることをオススメします。
まとめ
監理団体は、技能実習生の現地採用からサポートをし、日本に来てからも様々な面で監理する非営利団体です。
技能実習生を全面的にバックアップするため、きめ細やかな対応が求められます。
しかし、中には契約している監理団体の監理費が不当に高額であったり、業務をこなしてくれなかったりといった不満を抱いているケースがあります。
悪質な監理団体となると、技能実習生が失踪したり犯罪に手を染めたりする可能性もあるでしょう。
そうならないためにも、監理団体は慎重に選ぶことをオススメします。
もし監理団体選びで悩んでいる場合は、行政書士法人Climbまでお気軽にご相談ください。
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