経営管理ビザの取得には500万円の資本金が必要?
数ある在留資格の中から経営管理ビザを取得しようと考えている外国人の方は多くいるでしょう。
しかし経営管理ビザの場合、最もネックだったのが資本金500万円です。
誰でも簡単に用意できる金額ではないため、ビザ取得を断念した外国人の方もいたことでしょう。
結論から先に言えば、2022年11月現在において、資本金500万円は必須ではありません。
2015年4月1日から資本金を問われなくなっています。
そのため経営管理ビザを申請・取得する際は、500万円の資本金を用意しなくても大丈夫です。
注意したいのが、条件ありという点。
資本金が500万円に満たない場合、以下の条件を満たしておく必要があります。
- ● 常勤の従業員を2名以上雇用している(パートタイムは不可)
- ● 常勤従業者が日本人もしくは永住者
- ● 労働保険に加入している
また、名目上の従業員も認められていません。
実質的に経営に参画していることが条件です。
以上のことから、500万円以上の資本金という制約は緩和されたものの、500万円未満の場合は別途審査の対象となるものが増えることとなります。
そのため、可能であれば500万円以上の資本金を準備すると良いでしょう。
経営管理ビザの申請で資本金を500万円以上出資する際の注意点
経営管理ビザの取得に必要な資本金500万円。
しかし単に出資といっても注意すべきポイントがあります。
通常の出資と同じように考えてはいけません。
特に以下の2点については注意しましょう。
- ◎ 出所を証明する必要性がある
- ◎ 資本金を振り込むタイミング
それぞれ詳しく解説します。
▼ 出所を証明する必要性がある
資本金500万円の出所は必ず問われます。
そのため申請時には、500万円をどういう経緯で用意したのかを説明しましょう。
500万円以上口座に入っていれば条件は満たせますが、それで終わりではないのです。
経営管理ビザは、申請人本人以外の出資でも申請できます。
例えば、親に借りたり贈与されたりしてもOKです。
大切なのは、どうやって500万円を調達したのか。
在留資格の審査官が知りたいのはその調達方法です。
例えば、以下のパターンが考えられるでしょう。
- ● 自分で貯めた
- ● 親族から借りた
- ● 親族からもらった
これらを口頭ではなく、文書や資料といった書面で証明しなければなりません。
書面は以下のようなもので大丈夫です。
- ● 通帳のコピー
- ● 海外送金記録
- ● 金銭消費貸借契約書
- ● 贈与契約書
- ● 親・親族との関係性を証明する公的書類
- ● 空港での税関への申告書
- ● 贈与契約書
他にも空港から直接持ち込む場合は、合法的に金銭を持ち込んだ申告書が必要となります。
いずれにせよ、500万円は大きな金額なので出所の証明は必ず求められる点には注意しましょう。
▼ 資本金を振り込むタイミング
会社を設立して経営者として経営管理ビザを取得する場合、資本金を発起人の個人口座に振り込む必要があります。
口座は以下のどちらかでOKです。
- ◎ 日本の銀行の日本国内にある本店・支店の口座
- ◎ 海外の銀行の日本国内にある支店の口座
この際に注意したいのが、資本金を振り込むタイミングとなります。
タイミングを誤ると、資本金として認められません。
会社の事業資金なのか単なる振込なのか判断がつかないからですね。
そのため、資本金を振り込む際は、必ず公証役場で定款の認証を受けた後に行ってください。
せっかく経営管理ビザを取得するために振り込んだのに、認められなければ意味がないので注意しましょう。
もし定款の認証を受ける前に振り込んでしまった場合は、一度全部引き落としてください。
定款の証明後、再度資本金として当該口座に預け入れれば大丈夫です。
500万円未満での資本金で経営管理ビザを取得するには
経営管理ビザの取得には資本金が500万円以上必要とされていますが、先述したように500万円未満でも取得できます。
中でも覚えておきたいのが、地方公共団体による企業支援です。
外国人の方でも受けられるため、資本金が500万円未満であったとしても認められる場合があります。
具体的には以下のケースです。
- ◎ 地方公共団体が実施する企業支援事業の対象者として認められている
- ◎ 地方公共団体が所有または指定するインキュベーション施設を事業所として利用している
- ◎ 地方公共団体が事業所に関する経費を申請人に変わって負担している
これらを満たしていれば、支援を受けているものとして判断されます。
ただし最大で年間200万円までの支援なため、申請人本人は最低でも300万円は用意していなければなりません。
また、企業支援が終了した場合、経営管理ビザを更新しようとすると資本金500万円以上は必須の条件となるため注意が必要です。
更に地方公共団体の支援以外にも以下のケースでも500万円を準備する必要はありません。
- ◎ 事業の管理者として経営管理ビザを取得する
- ◎ 2名以上の従業員をフルタイムで雇用する
事業の管理者とは、以下の役職の人を指します。
- ● 役員
- ● 部長
- ● 課長
- ● 支店長
これらは管理者扱いになるため、資本金の金額が問われません。
一方で管理職として3年以上の実務経験が求められます。
同様に、2名以上の従業員をフルタイムで雇用する方法もあります。
日本人もしくは永住者の外国人であれば可能です。
ただし人件費などの諸経費を考えると、あまり現実的な手段ではありません。
経営管理ビザ申請時の出資金の形成過程によっては不許可になる可能性も
経営管理ビザにおいて必須の出資金ですが、その形成過程によっては不許可になる可能性があります。
形成過程とは、どうやって資本金を形成したのかという部分です。
この点を証明しておかないと、せっかく苦労して出資金500万円を準備したのに不許可になることも充分にあり得ます。
- ● マネーロンダリング防止
- ● 見せ金の防止
以上の観点から、出入国在留管理庁で形成過程について必ず審査されます。
そのため経営管理ビザを申請する際は、出資金500万円をどのようにして準備したのかを立証しなければなりません。
その際に利用されるものは、所得証明書が代表的です。
公的な書類があれば証明書となるでしょう。
これらの点から、留学生が出資金500万円を準備した際も注意が必要です。
資格外活動許可を得てアルバイトをしていたとしても、労働時間には上限が定められています。
自分の力だけで500万円を用意するとオーバーワークを疑われ、最悪の場合は入管法違反と判断されるため注意が必要です。
経営管理ビザを許可されない可能性が高いと認識してください。
経営管理ビザの申請で借りたお金を資本金にした場合
資本金の500万円を借りた場合、経営管理ビザは申請できるのでしょうか?
結論から言えば、可能です。
自分で準備せずとも借りたお金で経営管理ビザを取得できます。
この場合、問題となるのが見せ金です。
そのような形で申請しても、基本的に取得はできません。
もし審査で通ったとしても、後で発覚し問題になっているケースが多々あるほどです。
そのため、経営管理ビザ取得のためにお金を借りる場合、以下の3つの点に気をつけましょう。
- ● 実体に即した契約書や借り受けの事実を証明できる
- ● 生活維持が可能な返済計画を立てている
- ● 500万円を貸した人の資金の出所が証明できる
気をつけたいのが、しっかりした返済計画です。
年収と比較して問題ないと考えられる返済計画を組んでいる必要があります。
また、前の項目でも解説したように500万円の資金の形成過程も重要です。
違法な方法で準備したお金ではないことを照明しましょう。
もし500万円をもらった場合は、贈与税が課税されます。
更に理由書も必要となるため、忘れずに準備してください。
まとめ
経営管理ビザを取得するには原則資本金が500万円必要です。
そのため、取得したい方はまずお金をどう集めるかを考えなければいけません。
その際に注意したいのが、500万円の出所です。
マーロンダリングや見せ金防止の観点から、申請時には出所が必ず確認されます。
お金の動きがわかる証明書は必ず準備しておきましょう。
また出資金として500万円を借りることも可能です。
その際は入管法に則って、オーバーワークなど違反しない方法であることを証明してくださいね。
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