今回は在留資格『特定技能』を掘り下げると共に、『技能実習』との比較をお伝えいたします。
在留資格『特定技能』
◆ 特定技能とは?
2019年4月より新設された、人手不足が深刻な産業(14分野)を対象に人材を確保することを目的とした在留資格です。
特徴としては、今までの『技術・人文知識・国際業務』といった就労系在留資格では認められなかった、単純労働を含む就労も可能となりました。
特定技能には以下の2種類があります。
- 特定技能1号
- 特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
- 特定技能2号
- 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
◆ 特定技能1号・2号の違い
まず大きな特徴として、特定技能2号は現在「建設業」と「造船・舶用工業」のみ認められています。
全ての分野で認められているものではないという点がポイントです。
次に異なる点として、特定技能1号では在留上限が「5年」と定められているのに対し、特定技能2号では更新する限りその上限がありません。
要件を満たせば永住申請も可能となります。
また特定技能2号では、配偶者と子であれば要件を満たせば本国より日本に呼ぶことが可能です。
これもまた、在留期限の上限が無い事からの配慮であると考えられます。
他にも、求められる技能水準が1号よりも高くなる点が異なります。
特定技能1号であれば、上長や指導のポジションに就く方の指示に従い業務を行えばいいのですが、特定技能2号は他の人間を指導する、工程管理を行う等、ある種管理能力も求められます。
そういう点も両者の異なる点です。
在留資格『技能実習』
国際貢献のために技能移転をおこなうという趣旨の下創設された制度が技能実習制度です。
日本で技能を身に付けた外国人が、母国に技能を持ち帰り発展に寄与することが最終的な目標とされています。
特定技能と技能実習の違い
一番大きな差として挙げられるのは、特定技能は労働力としての意味を持ちますが、技能実習生は労働力ではありません。
これは制度設立の目的から明らかです。
また、人数制限に関しても差があります。
技能実習には受け入れ可能人数がありますが、特定技能には建設分野・介護分野を除き受け入れ人数の制限がありません。
これもやはり労働力としての在留資格か、技能を身に付けるための国際貢献を目的とした在留資格かという点に端を発します。
転職に関しても差があり、特定技能であれば労働者の扱いですので転職が可能です。
しかし、転職できるのは同一の分野に限られています。
一方、技能実習は、そもそも労働力ではないので転職という概念に当てはまりません。
場合によって、転籍は可能です。
技能実習から特定技能への移行
在留資格『技能実習』から『特定技能』へ移行するには2つのルートがあります。
まず一つ目は、技能実習2号を良好に修了する、技能実習3号の場合は、実習計画を満了することです。
その場合、技能実習で学んだ職種の分野で特定技能へ移行する場合には、日本語試験と技能試験が免除されます。
二つ目のルートは、各分野の技能試験及び日本語試験に合格することです。
このルートであれば、技能実習を経ることなく、例えば『留学』などの在留資格からも『特定技能』への変更を行うことが出来ます。
では、技能実習2号を良好に修了した者が、技能実習で学んできた分野とは異なる分野の特定技能資格を得ようとした場合はどうなるのでしょうか。
この場合、日本語試験は技能実習2号を修了しているので免除されますが、分野ごとの技能試験に合格する必要があります。
技能実習2号を修了すると、一定程度の日本語能力があると判断されます。
まとめ
特定技能と技能実習は似たイメージを持たれる方も多いかと思います。
実際はそれぞれの制度の設立背景が異なっており、意味合いも大きく異なります。
特定技能2号はまだまだこれから本格的にスタートしていく制度です。
2021年より試験が開始となる見通しです。
現在はまだ限られた2分野でしか、特定技能2号への道はないですが、時間と共に分野の数が増えていくことが予想されます
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