そもそも官報とはなにか
帰化の手続きをしていると良く目にする「官報」。
そもそも官報とは何なのかと疑問を持っている方も多いでしょう。
官報とは、内閣府が発行する政府情報の公的な伝達手段を指します。
簡単に言えば、行政機関からのお知らせです。
官報の歴史は古く、1883年に創刊されています。
現在では行政機関の休日を除き毎日発行されています。
官報の記事は「公文」と「公告」にわけられ、それぞれ役割が違います。
- ● 公文:政府や各府省などが交付する文書
- ● 公告:国や各府省、特殊法人、地方公共団体などからの告知
インターネットで官報のページを開くと、「本紙」「号外」「政府調達公告版・目録」がありますが、帰化は「本紙」の「告示」の項目に記載されています。
書面で確認したい場合は、各都道府県の官報販売所で購入も可能です。
帰化を申請した方が官報に載るということは、自分が日本人になった日、ということでもあります。
また官報には新しい法律の情報から一般の会社の決算公告まで様々な情報が掲載されています。
そのため、イメージとしては国が発行している新聞が一番近いでしょう。
官報を閲覧する方法
帰化すると官報で確認できるのはわかりましたが、どんな方法で閲覧できるのでしょうか。
官報は様々な形で提供されていますが、以下の2つの方法が一般的です。
- ● 官報発行サイト(インターネット)で閲覧する
- ● 国立国会図書館で閲覧する
それぞれ詳しく見てみましょう。
▼ 官報発行サイトで閲覧する
官報はインターネットなら無料で見ることができます。
2025年(令和7年)4月1日の官報電子化にともない、それまでの「インターネット版官報」は官報発行サイトに移行しました。
現在は、この官報発行サイトに掲載された電子データそのものが官報の正本として扱われます。
スマートフォンからも閲覧でき、行政機関の休日を除き毎日午前8時30分に発行されます。
官報発行サイトでは、以下の官報情報を無料で閲覧・ダウンロードできます。
- ● 直近90日間に発行された官報(本紙・号外・政府調達等)のすべて
- ● 90日を経過した官報のうち、プライバシーへの配慮が必要な記事を除いたもの
- ● 平成15年(2003年)7月15日以降の過去の官報(「過去の官報」からアクセス)
官報はPDFファイルで作成されていますが、電子署名が付与されているため改ざんされる可能性はまずありません。
また、使っているパソコン・スマートフォン・タブレットがPDFを読み込めなければ閲覧できないので、Adobe Acrobat ReaderなどPDFを読み込めるソフトを使ってください。
特定の方の氏名から帰化者を探したい場合、まず知っておきたいのは、官報発行サイトには氏名などのキーワードで検索する機能がないという点です。
手順としては、①帰化が許可されたおおよその時期を絞り込む→②その期間の「本紙」を日付ごとに開く→③「官庁報告」欄にある法務省の帰化に関する告示を探す→④PDFビューアの検索機能で氏名を確認する、という流れになります。
告示日が分かっていれば数分で確認できますが、時期が曖昧な場合は1日ずつ当たっていくことになります。
ただし、2025年(令和7年)4月1日の官報電子化以降、帰化に関する告示は「プライバシーへの配慮が必要な記事」として扱われるようになりました。
発行から90日を過ぎると官報発行サイトでは閲覧できなくなるうえ、PDFからのテキスト取得も制限されているため、氏名での文字列検索は思うように機能しません。
国立印刷局の有料サービス「官報情報検索サービス」(月額2,200円・昭和22年5月3日以降が対象)でも、プライバシーに配慮すべき記事はキーワード検索の対象から除外されています。
ご自身の帰化を確認する分には法務局から事前に連絡が来るため困りませんが、第三者を氏名だけで探すことは、現在の官報では事実上難しいとお考えください。
▼ 国立国会図書館で閲覧する
国立国会図書館でも閲覧が可能です。
国立国会図書館では1883年から紙資料として保管されていることに加え、インターネットからの閲覧も可能となっています。
国立国会図書館は東京都と京都府の2ヶ所にしかないため、近くに住んでいなければ少し手間でもあります。
そのため、基本的にはインターネットで見るのが無難です。
また、国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されているのは、明治16年(1883年)7月2日の創刊号から昭和27年(1952年)4月30日までの分です。
それ以降の官報を探す場合は、官報発行サイトか、次にご紹介する官報情報検索サービスを利用することになります。
国立国会図書館内においても官報情報検索サービスが提供されており、それを使えば昭和22年(1947年)5月3日から当日発行分までの官報を検索できます。
こちらは通常は月額2,200円の会員制有料サービスとなっているため、東京本館・関西館の館内端末から無料で使うのがオススメです。
ただし前述のとおり、帰化に関する告示のようなプライバシーに配慮すべき記事は、キーワード検索の対象から除外されている点にはご注意ください。
また都道府県立の公共図書館でも契約・提供しているところがあります。
近くに図書館がある場合は、念のため確認してみるのも良いですよ。
▼ 官報に載せるのは拒否できる?
官報に名前が載るが嫌な方もいるかもしれませんが、原則拒否できません。
国籍法で法務大臣が帰化を許可すると、必ず官報で告示されます。
官報の目的は広く国民に周知させるためのものですので、拒否すると逆に理由を問われることになるでしょう。
なお2025年(令和7年)4月以降は、帰化に関する告示は発行から90日を過ぎると官報発行サイトでは閲覧できなくなりました。
掲載を拒否することはできませんが、誰でもいつでも見られる状態が続くわけではない、ということです。
ただ、官報に掲載された情報が、会社の人間や家族・知人に知られるのではないかと考えてしまいますよね。
結論から言えば、気にする必要はありません。
何故なら、官報を読むのは限られた人だからです。
一般の方々がわざわざ官報を見るような習慣自体ありません。
もし見るとすれば、信用情報機関や役所の税担当者など特殊な仕事をしている方くらいでしょう。
そのためもし掲載されても自分しか見ない、程度で考えてOKです。
帰化者の身分証明書
帰化者の身分証明書は、官報で公示後に法務局から交付される身分証明書です。
事前に法務局の担当者から帰化許可の連絡がくるため、官報を見るタイミングがなかったとしても帰化の許可がわかるようになっています。
この帰化者の身分証明書ですが、受け取ったら終わりではありません。
むしろ受け取ったらすぐに以下の2つをしましょう。
- ● 在留カードまたは特別永住者証明書を返納する
- ● 帰化届の提出
在留カードまたは特別永住者証明書を持っていた場合、法務大臣に返納しなければいけません。
帰化をして日本人になったのですから当然ですよね。
法務大臣と聞くとどうやって届けるのかと悩むところですが、基本的に入国管理局でOKです。
その際返納方法は2つあります。
- ● 地方入国管理局署に持参する
- ● 送付で返納する
送付で返納する場合は、「在留カード等の返納について」に記載をしてから、下記の返納先に送付してください。
〒135-0064
東京都江東区青海2-7-11
東京港湾合同庁舎9階
東京入国管理局おだいば分室 宛
※封筒の表に「在留カード等返納」と表記。
なお、14日の期限内に返納しないと罰金に処せられる場合があります。
次に帰化届について詳しく見てみましょう。
帰化届
帰化届は、帰化の日から1ヶ月以内に帰化者の身分証明書を添付して提出しなければいけません。
提出先は現在の居住地か新たに定めた本籍地の市区町村役場です。
帰化届の用紙は、市役所などの市区町村役場にあるため、申請前に時間を見つけて取りに行くと良いでしょう。
地域によってはホームページからダウンロードも可能ですので、一度検索してみるのも良いでしょう。
ただ、その際は用紙サイズがA3サイズとなっているため、持っていない場合は役場に行く方が楽です。
注意点として、帰化届には届出人の署名押印欄が設けられています。
提出前に印鑑を作れるのであれば、一緒に押印しておくと良いでしょう。
ついでに印鑑登録をしておくと以降の手続きでも楽になりますよ。
また、配偶者が日本人だった場合、配偶者の署名も必要となります。
その場合、単身者と書面が変わるため間違えないようにしてくださいね。
帰化届を提出するには、他にも以下の書類が必要です。
- ● 帰化者の身分証明書
- ● マイナンバーカードまたは住基カード
マイナンバーまたは住基カードに関しては持っている方のみとなっているので、持っていない方は気にしなくてOKです。
帰化届提出の場合も、1ヶ月の期限内に間に合わなけば過料を科せられる可能性があります。
なるべく早く届け出るようにしましょう。
まとめ
官報とは、日本政府が発行する新聞のようなものです。
新たに定められた法律や一般の会社の会計情報、帰化した人の名前など様々な情報が掲載されています。
官報は直近90日間なら官報発行サイトで誰でも無料で閲覧できるため、直近の情報を知りたいのならインターネットが便利です。
国立国会図書館には創刊号からのアーカイブが保存されており、昭和27年4月までの分はデジタルコレクションでインターネット公開されています。
一方で、2025年4月の電子化以降、帰化に関する告示はプライバシーへの配慮が必要な記事として扱われ、90日を過ぎると閲覧できず、キーワード検索の対象からも外れています。
氏名だけを手がかりに第三者の帰化を調べることは、現在では事実上難しくなっている点は押さえておきましょう。
また、帰化をした際に交付される帰化者の身分証明書は、帰化後の手続きで必要な書類です。
帰化届にも必要となりますが、帰化した日から1ヶ月以内に手続きを終えなければ過料が科せられる可能性があります。
帰化した後も油断せず、なるべく早めに帰化届を提出してくださいね。
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森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。