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外国人採用担当の悩み「外国人従業員の退職を抑えたい」定着率向上に有効な対策とは?

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外国人を採用・雇用している会社の中では、「外国人を採用してもすぐにやめてしまう」とお悩みの経営者・採用担当者の方が少なくありません。
このコラムでは「外国人社員の退職の原因は何か」から「外国人社員の退職率を抑えるためにどんなことができるのか」を、ビザのプロである行政書士の観点から解説します。

1.外国人はすぐやめる?離職率は?

 近年では外国人を採用する日本企業が増え、2016年には全国で外国人労働者の数が100万人を突破し、2019年10月には165万8,804人(前年比13.6%増)と、大幅に増えています。
しかし、「外国人を採用してもすぐに辞めてしまう」というイメージを持たれている企業は多いかと思われます。産業等により一概には言えませんが、統計上も一般的には外国人は日本人よりも離職率が高いと言えます。

この「外国人の離職率の高さ」の原因と、「外国人の定着率を上げるために企業ができること」として、どのようなことが考えられるかを説明します。

▼ 厚生労働省の調査結果

離職率とは、ある時点で仕事に就いていた労働者のうち、一定の期間のうちにどれくらいの労働者が退職によりその仕事を離れたかを比率として表す指標をいいます。

日本人と外国人の離職率を比較するために、厚生労働省による両者にかかわる調査結果を見てみます。
厚生労働省による「平成30年雇用動向調査結果の概況」から、日本全体の離職率を見ると、「雇用期間の定めなし」の条件で働いている日本人の離職率は、男性は8.6%、女性は12.4%、男女の平均だと10.1%となっています。
なお、同省による日本の新卒者の「就職後3年以内の離職率」の調査によると、平成28年度新卒の就職後3年以内の離職率は大卒で32.0%となっています。

これに対し、同省による外国人の離職率の調査によると、外国人労働者離職率は全産業と全事業者規模で44.5%となっていました(「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)。
同年の日本における離職率は全産業と全事業者規模で16.2%となっていたことから、外国人労働者が退職する率は相対的に高いと言えます。
ただし、外国人が従事する産業の分布には偏りがありますし、正社員の率も同じではないので単純な比較はできません。

外国人が退職する主な理由としては、下記が多いとされています。

  • 給与への不満
  • 職場の人間関係
  • 自分の専門性やスキルを仕事で活かすことができない
  • 労働時間、休日等の労働条件への不満(特に残業や休日出勤)
  • 高度な日本語能力を求められる

2.外国人採用で定着率を上げるポイント

では、一般的に高いといえる外国人の離職率を下げ、定着率を上げるポイントを見ていきます。

▼ 労働条件

労働条件の中でも、給与については同経験・同職種の日本人従業員と同等以上にすることです。
このことは「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザが認められる条件の一つでもあることから当然なのですが、お金を稼ぐことを日本で働く目的にしている外国人も多いことから、給与に不満があることは離職率を上げます。
そのため、不公平感の無い給与を設定し、待遇も同等にすることが定着率の向上に貢献します。

職場の人間関係や仕事のやり方を含む「労働環境の整備」もポイントになります。
外国人の多くは、日本企業によく見られる上司と部下の関係性、先輩と後輩の序列という概念は独特であると感じます。また、新卒一括採用の雇用慣行から生まれる同期入社社員の横のつながりが人間関係の特色としてある企業では、外国人は輪に入りにくいと感じることが多いでしょう。
また、社内のコミュニケーションにも外部とのやり取りにも高度な日本語能力を求められることが多いことも、外国人にとってはハードルが高いでしょう。
加えて、社内の指示や連絡が曖昧である場合には、文化的に明確な指示を期待する多くの外国人にしてみれば、不満に感じることになるでしょう。

このような状況を改善し、離職率を下げるには、下記のような点がポイントになります。

  • 社内コミュニケーションのサポート体制の構築(相談役となる外国人メンターの活用等)
  • 評価基準の明確化、透明化
  • 業務マニュアルの作成
  • 指示、連絡の明確化
  • やさしい日本語による意思疎通

労働環境の整備を行うことは、外国人の定着率の向上に貢献するかと思います。

▼ 文化の違い

外国と一言でいっても、国や地域により様々な文化や考え方があり、その違いは「仕事」の捉え方にも影響します。
例えば、仕事よりも家族を優先する文化・価値観をもつ国民性もあれば、宗教を最優先する国民性もあります。
日本で言えば、仕事をある程度優先し、「会社という組織に貢献することは当然」と捉え、残業や休日出勤もある程度は許容するという考えが根強いと思います。
しかし、家族を優先し家族と一緒に過ごす時間を優先したい価値観を持つ外国人からすると、この日本の考え方は理解しがたく、残業等を半ば強要されることに強く不満を感じます。
「ここは日本なんだから、外国人も日本の価値観・やりかたに従うべき」という考えは、今後の日本の労働市場の現実にそぐわず、今後はグローバルな視点に立って歩み寄り、共存していくことが求められます。

このような文化の違いよる退職を防ぐためには、下記がポイントとなります。

  • 休日出勤をする必要がある場合には、出勤日の調整をする
  • 残業代が出ることをしっかり説明する(そもそも残業代の存在を知らない場合があります)
  • 就業時間外の懇親会等への出席を強制しない

▼ 言語の違い

日本企業では、グローバルな企業であったとしても社内での業務上の連絡に日本語を用いている場合が多いです。
読み・書き・会話のすべての場面で日本語を求められ、仕事の評価に日本語の能力が含まれる場合には、同業務をしている日本人従業員よりも高い評価を得ることは難しいために、仕事のモチベーションは下がってしまいます。

そこで、下記のようなポイントに注意していきましょう。退職を抑える効果が期待できます。

  • 業務で用いる日本語の水準を落とし、やさしい日本語を使うことを心がける
  • 英語を使ったコミュニケーションを取り入れる
  • 社内の外国人従業員に日本語教育を行う

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■この記事を書いた人■
森山敬代表

森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。

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