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難民申請中に配偶者ビザへ変更

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1.難民申請中に他のビザへ変更できる?

まず前提として難民申請中でもその他のビザへ変更申請をすること自体はできます。
勿論、許可が出るかどうかは別の問題です。

問題はビザ申請自体に審査があり、場合によっては(在留状況不良やビザの要件を満たしていない等)不許可になることがある上に、難民申請をしている方はそれ自体がマイナスポイントになることがあるという点です。

▼ 難民申請中での在留状況の影響

上述したように、審査上はマイナス要因になる可能性が高いです。
ですので、その他のビザで在留している方と比べると不許可リスクはどうしても高くなりがちです。
申請をするのであれば、不許可になる可能性もあり、一度帰国する可能性も覚悟しておきましょう。

難民申請中からの変更申請は時期によっても許可率が異なります。
いつなら許可が取りやすいかはその時の事例を調べるしかありませんが、入国管理局の方針で許可率はまるで異なります。

当事務所の調べでは、厳しいときと比較的易しいときで許可率5%以下~80%程度の開きがあります。
もちろん、変更するビザや難民申請する前の在留状況、難民申請をしている期間等でも結果は異なります。

▼ 何の在留資格(ビザ)へ変更するかによる違い

難民申請中の特定活動から変更すること自体が他のビザと比べてハードルが高いのですが、何のビザへ変更するかによる違いは大きいです。

ビザの中では「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「家族滞在」といった身分に基づいたビザが就労ビザと比べると許可が下りやすいです。
これは難民申請中からの変更申請で許可を取るのが難しい時期であっても、比較的許可が下りやすくなっています。

難民申請中の特定活動の方は、就労制限があるものの、就労を許可されている方が多いです。
入国管理局に不許可理由を聞いた際に言われたことの一つが、就労を認めているから変更する理由がないと言ったことです。
難民申請中の特定活動は他の就労ビザと比べて不安定な身分であることは間違いがないので、就労ビザへ変更する理由がないと言うのは少々乱暴な気もしますが、日本の難民申請制度を悪用する外国人が急増したことを考えると仕方ない部分もあるかもしれません。

2.どうすれば許可になるか?

上述したように、そもそも変更が厳しい時期があります。
ですので何をやっても不許可になる可能性は少なからずあります。

そんな中、どの時期でも特に厳しくみられるのが、留学ビザで在留状況が悪かった方です。
出席率が低かったり成績が悪かったりオーバーワークをして留学ビザが更新できない方が難民申請をした場合、そこからの変更はとても厳しいです。
これは入国管理局の留学申請部門の審査が厳しいことに理由があります。
また、就労ビザで不法就労や資格外活動をすることで不許可になってしまった方も厳しいです。
上記の方は、例え難民申請をしていなかったとしても不許可率が高い方々ですので、そもそもの在留状況次第で許可率も変わるでしょう。

難民申請中であること以外に在留状況に問題がない方は、配偶者ビザへの変更は許可率が高いと言えるでしょう。
他のビザからの変更それほど変わらない許可率が見込まれます。
あとは通常の変更申請時に気を付けるべき点を注意することです。

配偶者ビザでのポイントの一つは実体の伴った婚姻がなされているかどうかです。
この実態が伴った婚姻とは、入管の基準で言うと同居の有無です。
同居は配偶者ビザの審査上、かなり重要なポイントと言えるでしょう。
例え仕事の都合での単身赴任であったとしても、一緒に暮らしていないことで不許可になったり、在留期間が短くなったりすることも事例としては存在します。
やはり制度を悪用した偽装結婚等を防ぐためには必要な処置なのでしょう。

また、日本で生計を維持することができることも重要です。
やはりビザを与えたとたんに生活保護を受けてしまっては困ります。
もちろん、やむを得ない事情で生活保護をうけてしまうこともあるでしょうし、状況によっては生きていくために生活保護を受けなければなりません。
しかし生活保護を受ける外国人が増えるのは日本にとっても大きな問題ですので、そういった意味でもしっかりと仕事をしていること又は仕事をする意志が明確であることも重要な要因になりえます。

結論としては、婚姻の信憑性定職に就くことが配偶者ビザへの変更許可率を上げることになります。

3.一度帰国することも可能性として考慮する

配偶者ビザへの変更許可率を上げようとしても、これまでの在留状況次第では限界があります。過去を変えることはできません。
ですので、在留状況次第で日本での変更が許可されず、一度帰国せざるを得ない人も出てきます。
これは通常の就労ビザの人でも帰国の可能性があるので、難民申請中の方は尚更です。

帰国するともう日本に戻ってこられないと思っている外国人の方は多いです。
しかしそんなことはなく、適切に申請すれば戻ってこれる可能性は十分にあります。

日本にいる外国人のビザを変更することは在留資格変更申請と言いますが、海外にいる外国人を新規に呼び寄せる申請を在留資格認定証明書交付申請と言います。
この二つの申請の大きな違いは、変更申請は在留状況が審査のポイントになりますが、認定申請は原則在留状況を審査されません。在留していないので。

とは言え、実務上では以前の在留状況により不交付になることもあるので、前回の在留が審査に全く影響を与えないというわけではないのですが、少なくとも変更と比べるとハードルはぐっと下がります。

ポイントは前回犯してしまった罪(入管法違反は犯罪です)を認め、適切な申請をすることです。
申請書類をきっちり作り上げ、前回の在留でしてしまった罪について反省ともう二度としないことの誓約をすることで、来日できる可能性は上がるでしょう。

4.難民申請自体の許可数

難民申請の数は2010年には1202人だったのに対してピークの2017年には19629人が申請をしています。

許可数は2010年から2020年まで6人~47人と少なく、許可率は1%を下回っています。
増えた要因は、難民申請中に付与される特定活動が実質的に就労制限なく働くことができるので、就労ビザを取得するよりも簡単で使い勝手が良かったからです。
ですので、難民としての理由が無い方の偽装難民申請が横行したのです。

入管としての偽装難民対策で難民申請を厳しく迅速に審査がなされるようになり、また難民申請中に付与される特定活動に就労許可がおりず、ただ在留することしかできない外国人が増えました。
結果2017年に19629人あった難民申請が2020年には3936人まで減りました。
難民申請をするメリットが減ったからでしょう(もちろん新型コロナウィルスの影響もありそうですが)。

まとめ

本当に難民申請をせざるを得ない理由があるのであればしょうがないのですが、やはり虚偽の難民申請はとても多いと推測されます。
難民申請は日本にとっても申請する外国人にとってもデメリットが大きいです。
しかし通常のビザへ変更できる可能性は十分あり、配偶者ビザであれば許可率は尚更高いです。
難民申請は申請をしながら滞在する期間が長いほど審査に悪影響を与えるので、変更申請の余地がある方はできるだけ早めに変更することをお勧めいたします。
もしわからないことがあれば、行政書士法人Climbまでお気軽にお問合せください。


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■この記事を書いた人■
森山敬代表

森山 敬(もりやま たかし)
行政書士法人Climb代表。創業時から国際業務であるビザ申請・帰化申請に特化。外国人のビザ申請件数は年間約1,000件、豊富な経験とノウハウに自信があります。入管業務についての知見をもとに、顧問として企業に対する外国人雇用のアドバイザリー業務も担当。

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