在留資格の申請書を書いていて、「在日親族」という欄で手が止まった方は多いのではないでしょうか。どこまでの親族を書けばよいのか、日本人の家族も書くのか、身元保証人とは何が違うのか——公式の説明が少ないため、迷いやすい項目です。
この記事では、出入国在留管理庁の申請書様式そのものに基づいて、「在日親族」の正確な意味、記載範囲、身元保証人との違いを行政書士が整理します。
「在日親族」とは|入管の申請書にある記載欄の名称
法令に定義規定はなく、申請書の様式上の用語
「在日親族」は、入管法や入管法施行規則の条文に定義が置かれた法律用語ではありません。施行規則の別記様式、つまり申請書そのものに設けられた記載欄の名称です。
正式な欄の見出しは、次のとおりです。
在日親族(父・母・配偶者・子・兄弟姉妹・祖父母・叔(伯)父・叔(伯)母など)及び同居者
「在日」とあるとおり、対象は日本に住んでいる親族です。本国に住む家族は、この欄には書きません。
認定・変更・更新・永住のどの申請書にもある
「在日親族の欄がある在留資格」と考える方がいますが、これは誤解です。在留資格の種類にかかわらず、在留諸申請の申請書には共通してこの欄があります。項目番号だけが様式によって異なります。
| 申請の種類 | 様式 | 項目番号 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書 交付申請 | 別記第六号の三様式 | 21 |
| 在留資格変更許可申請 | 別記第三十号様式 | 16 |
| 在留期間更新許可申請 | 別記第三十号の二様式 | 16 |
| 永住許可申請 | 別記第三十四号様式 | 18 |
技術・人文知識・国際業務でも、家族滞在でも、日本人の配偶者等でも、経営・管理でも、書く欄は同じです。「うちの在留資格には関係ない」ということはありません。
在日親族の欄はどこまで記載する?
様式が例示している範囲は「祖父母・おじ・おば」まで
欄の見出しに列挙されているのは、父・母・配偶者・子・兄弟姉妹・祖父母・叔(伯)父・叔(伯)母です。つまり三親等内の親族がおおむねカバーされる範囲が想定されています。
「親と兄弟だけ書けばよい」と説明されることがありますが、様式は祖父母・おじ・おばまで明示して例示しています。日本に住んでいる祖父母やおじ・おばがいる場合は、記載しておくのが様式に忠実な書き方です。
いとこ・はとこは記載不要
見出しの例示に含まれない、いとこ・はとこ・その配偶者などは、記載する必要はありません。「など」とあるため範囲に幅はありますが、実務上は例示された続柄+同居している人を押さえれば十分です。
日本国籍の親族も記載する
見落としやすいのがこの点です。「在日親族」は外国人の親族に限りません。出入国在留管理庁が公開している永住許可申請書の記載例では、国籍欄が「日本」の配偶者が記載されています(この場合、在留カード番号の欄は空欄になります)。
日本人の配偶者、日本国籍を取得した親、日本国籍の子なども、日本に住んでいれば記載の対象です。
「及び同居者」は親族以外も対象
欄の名称は「在日親族及び同居者」です。親族でなくても、同じ住居に住んでいる人は記載します。ルームシェアの相手、社員寮の同室者、事実婚のパートナーなどが該当します。
この場合も、続柄欄には「同居人」等と記入し、勤務先・通学先と在留カード番号を記載します。
同居していない親族も記載する
欄の名称は「在日親族及び同居者」であり、「在日親族で同居者」ではありません。別居している親族も、日本に住んでいれば記載の対象です。同居しているかどうかは「同居」欄で「有」「無」を書き分けます。
たとえば、大阪に住む兄が申請人と別世帯であっても、日本に住んでいる以上は記載し、同居欄は「無」とします。
短期滞在で来日中の親族は原則として書かない
「在日」は日本に居住していることを指すため、観光や親族訪問の短期滞在で一時的に日本にいるだけの家族は、実務上この欄には記載しないのが通例です。中長期在留者として在留カードの交付を受けている親族が対象と考えると整理しやすいでしょう。
在日親族がいない場合は「該当なし」と書く
日本に親族も同居者もいない場合、空欄のままにせず「該当なし」と記入してください。空欄だと、記入漏れなのか本当にいないのかが審査側に伝わらず、確認の連絡や追加資料の求めにつながることがあります。
記入項目の書き方
記載する項目は、どの様式でも共通して次の8つです。
| 項目 | 記入内容と注意点 |
|---|---|
| 続柄 | 父・母・妻・夫・長男・長女・兄・姉・祖父・同居人など。申請人から見た関係で書きます |
| 氏名 | 在留カードや戸籍の表記に合わせます。通称名ではなく正式名称で |
| 生年月日 | 西暦・和暦は様式の指定に従います |
| 国籍・地域 | 日本国籍の親族は「日本」と記入します |
| 同居 | 「有」「無」で記入。認定証明書交付申請のみ「同居予定の有無」です |
| 勤務先名称・ 通学先名称 | 会社名・学校名を記入。無職・未就学の場合はその旨を記入します |
| 在留カード番号 | 外国籍の親族について記入。日本国籍の方は空欄です |
| 特別永住者 証明書番号 | 特別永住者の親族がいる場合に記入します |
在留カード番号は誤記が起きやすい項目です。記憶で書かず、必ず現物を見て転記してください。
記載欄が足りない場合
申請書の行数には限りがあります。人数が多く書ききれない場合は、同じ項目立てで作成した別紙を添付し、申請書の欄には「別紙のとおり」と記入します。無理に小さな文字で詰め込むより、別紙のほうが確実です。
オンライン申請の場合も入力項目は同じ
在留申請オンラインシステムを利用する場合も、入力する項目は紙の様式と同じです。続柄・氏名・生年月日・国籍・同居の有無・勤務先/通学先・在留カード番号を、家族ごとに入力していきます。
身元保証人との違い
「在日親族」と「身元保証人」はまったく別のものです。混同されがちですが、性質が異なります。
| 在日親族 | 身元保証人 | |
|---|---|---|
| 性質 | 申請書の記載欄 (事実の申告) | 役割を引き受ける人 (書面を提出) |
| 提出書類 | 申請書内で完結 | 身元保証書+ 身分事項を明らかにする書類 |
| 保証 | なし | あり(下記参照) |
申請書には「在日親族」欄と「在日身元保証人」欄が別にある
たとえば永住許可申請書では、項目18が「在日親族及び同居者」、項目19が「在日身元保証人」です。在日親族の欄に名前を書いたからといって、その人が身元保証人になるわけではありません。逆に、身元保証人が親族である必要もありません。
身元保証書は2種類あり、保証内容が違う
出入国在留管理庁が用意している身元保証書は、大きく2種類に分かれます。
| 種類 | 保証する内容 |
|---|---|
| 永住許可申請用 | 本邦に在留中、本邦の法令を遵守し、公的義務を適正に履行するために必要な支援を行うこと |
| 各申請共通 (永住を除く) | 滞在費/帰国旅費/法令の遵守 |
永住用は「滞在費・帰国旅費」の文言がなく、法令遵守と公的義務の履行を支援する内容になっています。名称は同じ「身元保証書」でも中身が違うため、様式の取り違えに注意してください。
身元保証人になるのは誰か
出入国在留管理庁の案内では、申請の種類ごとに次のように示されています。
- 「日本人の配偶者等」への在留資格変更……「身元保証人には、日本に居住する配偶者(日本人)になっていただきます」
- 日本人の配偶者等からの永住許可申請……「身元保証人には、通常、配偶者の方になっていただきます」
身元保証人が負う責任の範囲や、途中で辞めることができるのかについては、永住者の保証人を辞めたい!身元保証人の責任とはで詳しく解説しています。
帰化申請の「親族の概要を記載した書面」との違い
帰化申請にも親族を書く書類がありますが、これは別物です。提出先も範囲も異なります。
| 在日親族(入管) | 親族の概要(帰化) | |
|---|---|---|
| 提出先 | 出入国在留管理庁 | 法務局 |
| 対象 | 日本に住む親族 ・同居者 | 日本在住・外国在住の 両方(用紙を分ける) |
| 範囲 | 父母・配偶者・子・ 兄弟姉妹・祖父母・ おじ・おばなど | 配偶者(元配偶者含む)・親・子・兄弟姉妹・配偶者の父母・内縁の夫(妻)・婚約者。死亡者も記載 |
帰化のほうが範囲が広く、すでに亡くなっている方や婚約者まで記載する点が大きな違いです。帰化申請の書類全体については日本国籍を取得するために必要な書類一覧をご覧ください。
在日親族の記載でよくある失敗
記載漏れ
日本に住む家族を書き忘れると、住民票や課税証明書など他の提出書類との間で食い違いが生じます。とくに永住許可申請では、世帯全員の住民票を提出するため不一致が表面化しやすい項目です。故意でなくても、申請全体の信ぴょう性に影響しかねません。
在留カード番号の誤記
英字と数字の並びを取り違える誤記が多く見られます。家族の在留カードのコピーを手元に置いて転記してください。
家族の納税・年金状況との整合
永住許可申請では、申請人本人だけでなく扶養している家族の公的義務の履行状況も審査対象になります。在日親族欄に記載した家族について、国民健康保険料や年金の未納がないかを事前に確認しておくことが重要です。理由書での説明が必要になる場合は、永住申請に必要な理由書の書き方もあわせてご確認ください。
まとめ
- 「在日親族」は法令用語ではなく、入管の申請書にある記載欄の名称
- 認定・変更・更新・永住のすべての申請書に共通してある欄で、在留資格の種類は関係ない
- 様式が例示する範囲は父母・配偶者・子・兄弟姉妹・祖父母・おじ・おば。いとこ以遠は不要
- 日本国籍の親族も記載する。親族以外の同居人も記載する
- 該当者がいない場合は空欄にせず「該当なし」と記入する
- 身元保証人は別の制度。申請書の欄も別で、身元保証書を提出して役割を引き受ける人を指す
在日親族の欄は単なる事務項目に見えますが、他の提出書類との整合性を通じて審査に影響します。記載に迷われた場合や、家族構成が複雑で判断がつかない場合は、行政書士法人Climbまでお気軽にご相談ください。
※本記事は出入国在留管理庁が公開する申請書様式および記載例、法務局「帰化許可申請のてびき」に基づいて作成しています。