目次
1. 特定技能「素形材産業」とは?
1.1 素形材産業ってどんな仕事?
素形材産業とは、金属や素材を加工して“モノづくりの土台”を支える仕事なんです。
たとえば、自動車や機械、電子機器などに使われる部品。その元となる材料を形づくるのが「素形材産業」です。
具体的には、以下のような工程があります。
- ● 鋳造(ちゅうぞう):溶かした金属を型に流し込んで形を作る
- ● 鍛造(たんぞう):金属をたたいて強い部品を作る
- ● ダイカスト:高い圧力で金属を型に流して複雑な形を作る
- ● プレス加工:金属板を押しつぶして曲げたり穴を開けたりする
どれも機械や製品の“基礎部分”に関わる作業ばかりで、日本の製造業を根本から支える分野なんですね。
特に最近では、人手不足が深刻になっていて、海外からの人材受け入れがとても重要になってきているんです。
1.2 特定技能制度で働ける職種一覧
特定技能「素形材産業」分野で働けるのは、全部で12の職種です。
以下の表をご覧ください。
職種名 | 作業 |
---|---|
鋳造 | 鋳造作業 |
鍛造 | 鍛造作業 |
ダイカスト | ダイカスト作業 |
機械加工 | 普通旋盤、フライス盤など |
金属プレス加工 | プレス機を使った成形 |
工場板金 | 建物や車体の外装などを金属板で加工 |
めっき | 金属表面をコーティング |
溶接 | 金属同士を熱でつなぐ作業 |
塗装 | 金属表面に塗料を塗る |
機械検査 | 出来上がった製品のチェック |
電子機器組立て | 小型部品の取り付け |
電気機器組立て | 電気製品や配線の組立て |
このように、多くの職種が含まれていて、それぞれに専門的な技術が求められます。
ただし、すべての職種で一律に雇えるわけではなく、企業の業種や作業内容が職種に合っていることが前提です。
1.3 技能実習と特定技能の違い
技能実習と特定技能は似ているようで、目的も働き方も違うんですよ。
ざっくり説明すると、こんな違いがあります。
比較項目 | 技能実習 | 特定技能 |
---|---|---|
主な目的 | 技術の習得(国際貢献) | 人手不足の解消(労働力として) |
雇用形態 | 実習生 | 労働者 |
給与 | 最低賃金が基本 | 日本人と同等の賃金が前提 |
対象職種 | 限られた職種 | より多くの職種で受け入れ可能 |
在留期間 | 最大5年(延長不可) | 最大5年(試験合格で特定技能2号へ) |
技能実習はあくまで「学ぶ」ことが目的でしたが、特定技能は「即戦力」として働いてもらう制度です。
だからこそ、しっかりと試験に合格し、ある程度の日本語も使えるレベルが求められるのが特徴です。
企業としても、教育コストを抑えながら、現場で活躍できる人材を採用しやすくなるというメリットがありますよ。
2. 特定技能「素形材産業」で働くための条件
2.1 試験合格が必要?どんな内容?
特定技能「素形材産業」で働くには、“技能評価試験”の合格が絶対条件です。
素形材産業は、12職種に細かく分かれていて、それぞれに専用の試験があります。
この試験は、日本政府が「即戦力」として働けることを証明するために設けたもので、
技能実習のような「習得目的」とは違い、「実務前提」の試験内容になっています。
たとえば、【機械加工】職種であれば、
- ● 図面を読み取り、手順に沿って加工を行えるか
- ● 旋盤やフライス盤の基本操作ができるか
- ● 安全対策や品質チェックに関する知識があるか
といった実践的な内容が中心になります。
また、受験するには学歴や年齢の制限がないので、技能さえあれば誰でもチャレンジ可能なんです。
試験の種類は大きく2つあります。
試験名 | 内容 | 言語対応 | 実施場所 |
---|---|---|---|
技能評価試験 | 職種別の実技・学科 | 日本語・英語・ベトナム語ほか | 日本・海外両方 |
日本語能力試験/JFT-Basic | 日本語の読解・聴解 | 複数言語のサポートあり | 日本・海外両方 |
なお、技能実習2号を修了した人は、この試験が免除されます。
つまり、実習をしっかり終えた人なら、すぐに特定技能にステップアップできるんですね。
企業側にとっても、試験合格者は「即戦力」として信頼しやすく、受け入れの準備もしやすくなるんです。
2.2 日本語能力の目安とは?
特定技能では「現場で最低限の会話ができるレベルの日本語力」が必要です。
求められている日本語レベルは、以下のいずれかに合格していること。
- ● 日本語能力試験(JLPT)N4以上
- ● 国際交流基金 日本語基礎テスト(JFT-Basic)
N4レベルの目安はこんな感じです。
- ● ゆっくり話せば、日常会話がある程度できる
- ● 職場で使う基本的な指示を理解できる
- ● 簡単な読み書きができる(例:メモ、注意書き、伝票)
特に素形材産業は工場作業が多く、「安全確認」「作業指示」「トラブル対応」などで、最低限の日本語が欠かせません。
たとえば、
- ● 「次のロットを用意して」
- ● 「この部分を点検して」
- ● 「危ないから機械を止めて」
こういった指示が聞き取れないと、事故につながる可能性もあります。
そのため企業側でも、日本語が苦手な方には通訳アプリや現場指導員のサポートを用意しておくケースも多いです。
また、外国人材にとっても、日本語ができるほど働きやすくなり、昇給や昇格のチャンスが広がるんですよ。
2.3 留学生から特定技能へ切り替えるには?
留学生が特定技能「素形材産業」に切り替えるためには、いくつかのステップをしっかり踏む必要があります。
最近とくに多いのが、日本国内の専門学校や大学を卒業した留学生が、就職先として「特定技能」の枠を使いたいというケース。
その際に必要なのが以下の条件です。
- 【切り替えの主な条件】
- 1. 日本国内の教育機関(大学・専門学校など)を卒業していること
- 2. 特定技能評価試験と日本語試験の両方に合格していること
- 3. 受け入れ企業と雇用契約を結んでいること
- 4. 登録支援機関がサポート体制を整えていること(中小企業の場合)
このような条件を満たしたうえで、「在留資格変更許可申請」を出入国在留管理庁に提出します。
在学中に試験に合格しておくのが理想的ですが、卒業後に合格してから切り替えることも可能です。
ただし、切り替えには「期間の空白」が生じやすく、手続きに不安を感じる留学生も少なくありません。
そこで最近では、
- ● 行政書士が個別にサポートしてくれるプラン
- ● 留学ビザからスムーズに切り替えられるコンサルサービス
- ● 企業と留学生をマッチングする支援機関
などを活用するケースも増えてきています。
とくに素形材産業は現場作業が多く、学歴よりも技術力や実践力が重視される分野。
そのため、専門学校出身の留学生にとっては、非常に相性のいいキャリアパスといえるんですよ。
3. 特定技能「素形材産業」のメリットと注意点
3.1 働く人にとってのメリット
特定技能「素形材産業」で働くと、日本で安定した生活を送りながら、手に職をつけることができます。
この制度の大きな魅力は、「実際に働きながら技術を身につけられる」という点です。
働く外国人にとって、これは経済的な自立だけでなく、将来のキャリアにもつながる大きなメリットになります。
例えば――
- ● 日本の最新設備のある工場で学べる
- 素形材産業は自動化や精密加工が進んでいて、高度な技術を現場で学ぶことができます。
母国にはないような先進的な設備に触れられることで、帰国後も高評価につながるケースが多いんです。 - ● キャリアアップの道が開ける
- 特定技能1号で経験を積んだあと、より熟練度が求められる特定技能2号にステップアップすれば、在留期間の制限がなくなり、家族を呼ぶことも可能になります。
長く日本で働きたい、暮らしたいという方にとって、大きな目標になりますよ。 - ● 生活支援や職場環境が整っている場合が多い
- 登録支援機関を通じて、住居探しや生活オリエンテーション、行政手続きのサポートも受けられます。
日本で初めて一人暮らしをする方にとっても、安心できる環境が整っているのです。
こうした環境で技術と経験を積めば、将来は母国で起業したり、現地企業の技術責任者として活躍する人もいます。
3.2 企業にとってのメリット
企業にとっての最大のメリットは、「人手不足の解消」と「現場の安定運営」です。
とくに素形材産業は、以下のような特徴から慢性的な人手不足に悩まされています。
- ● 力仕事や高温環境など、体力が必要な現場が多い
- ● 若手の国内人材が集まりにくい
- ● 技術を継承する中堅社員が減ってきている
そんな中で、特定技能の外国人材は“即戦力”として非常に貴重な存在なんです。 たとえば…
- ● 技能試験に合格した外国人は、基礎技術を理解しているため即現場に入れる
- これにより、OJTの負担を軽減しながら、業務効率を高めることができます。
- ● 5年間の中長期雇用が可能なため、計画的な人材配置ができる
- 繁忙期に合わせた増員や、退職を見越した引き継ぎ体制の構築にも役立ちます。
- ● 多様性のある職場づくりにもつながる
- 文化や価値観の異なる人材が加わることで、組織の柔軟性が高まり、社員全体の意識にも変化が生まれるケースがあります。
さらに、登録支援機関を活用すれば、生活支援などを外部に委託できるため、初めて外国人材を受け入れる企業でも負担が少ない形でスタートできるのも大きなポイントです。
3.3 雇用側が気をつけたいポイント
ただし、特定技能人材の受け入れには「制度理解」と「準備」が不可欠です。
企業にとって大きなメリットがある一方で、制度上のルールや責任がしっかりと定められているため、以下のような点を怠るとトラブルになる可能性もあります。
1. 雇用契約と職種の整合性
雇用契約書には、職種名・作業内容・勤務条件・賃金・労働時間などを正確に記載し、外国人本人にも母国語で十分に説明する必要があります。
職種が制度上の12職種に該当していなかったり、契約外の業務をさせると、在留資格の取り消し対象になることも。
2. 生活支援の計画と実行
企業が支援を直接行うか、登録支援機関に委託するかを決めたうえで、次のような支援を行わなければなりません。
- ● 空港送迎、住居の確保支援
- ● 行政手続きの同行、銀行口座や携帯契約のサポート
- ● 日本での生活マナーや法律の説明
- ● 定期的な相談体制の整備
これらの支援を怠ると、外国人が孤立してしまい、職場定着率の低下や早期離職につながることもあるんです。
3. 在留管理の徹底
在留カードの期限管理、定期的な報告、更新手続きのフォローなど、企業がきちんと在留資格の維持をサポートする責任もあります。
また、労働基準法や安全衛生法といった法律ももちろん適用されるため、外国人だからといって不当な条件を課すことは絶対にできません。
信頼される企業になるには、制度理解と人としての向き合い方が何より大切です。
外国人材を“人手”としてではなく、“仲間”として迎える姿勢が、良い関係を築き、長く活躍してもらえるカギになりますよ。
4. 特定技能「素形材産業」の受け入れ企業が知っておきたい流れとポイント
4.1 受け入れまでの手順を詳しく解説
外国人を特定技能「素形材産業」として雇うには、いくつかのステップを踏まなければなりません。
流れをまとめると、以下のようになります。
- 1. 雇用したい職種が特定技能に該当しているか確認
- 自社の業務が対象12職種に該当するかをチェック。
- 2. 候補者の資格要件を確認
- 技能評価試験と日本語能力試験の合格証明を確認。
- 3. 雇用契約の締結
- 勤務内容・給与・労働時間・福利厚生などを明記し、母国語などで丁寧に説明。
- 4. 支援計画の作成・実施
- 生活や職場でのサポート内容を盛り込んだ「支援計画書」を作成。
自社で行うか、登録支援機関に委託するかを決めます。 - 5. 在留資格変更許可申請
- 出入国在留管理庁に必要書類を提出し、審査結果を待ちます。
- 6. 就労開始
- 在留資格が許可されたら、晴れて採用スタート。
それぞれの段階で用意する書類も多く、制度への理解が必要です。
慣れていない場合は専門家のサポートを受けるのが安心ですよ。
4.2 登録支援機関の役割とは?
登録支援機関は、特定技能人材の受け入れをサポートしてくれる“頼れる外部パートナー”です。
企業が自力で対応するのが難しい部分を代行してくれるので、初めて受け入れる企業には心強い存在です。
主なサポート内容は以下のとおりです。
- ● 住居探しや銀行口座の開設サポート
- ● 生活オリエンテーションの実施(ごみ出しルールや交通マナーなど)
- ● 母国語による相談体制の確保
- ● 定期的な面談と報告業務の代行
- ● 退職やトラブル時の対応
企業は支援機関と契約し、支援内容を「支援計画書」として作成・提出する必要があります。
ただし、支援を委託しても最終的な責任は企業側にあることは忘れずに。
信頼できる登録支援機関を選ぶことが、受け入れ成功のカギになりますよ。
4.3 行政書士への依頼でスムーズに
複雑な手続きや書類作成は、行政書士に依頼することでスムーズに進みます。
在留資格の変更や申請書類の準備は、細かなルールが多く、慣れていないと手間取ってしまいがち。
とくに初めて外国人を雇用する企業では、制度の理解不足による申請ミスが起こりやすいんです。
行政書士に依頼するメリットはこんなにあります。
- ● 最新の制度に基づいた正確な申請書類の作成
- ● 申請から許可取得までのスケジュール管理
- ● 支援計画の作成や登録支援機関との連携支援
- ● 企業に代わって入管とのやりとりを代行
また、ビザ申請だけでなく、今後の外国人雇用に関する相談にも対応してくれることが多いです。
「書類の準備が大変そう」「制度がややこしい…」と感じたら、専門家の力を借りることで、安心してスタートできますよ。
5. まとめ:特定技能「素形材産業」での人材活用に向けて
5.1 これからの外国人雇用のカギ
特定技能「素形材産業」は、日本の“モノづくり”を支えるために欠かせない人材確保の手段なんです。
高齢化と若手不足が進む製造業では、技術を継承し、現場を維持するために、外国人材の力がますます求められています。
その中でも特定技能制度は、技能実習よりも実務に近く、即戦力人材を長期的に雇用できる仕組みになっています。
ただし、制度の正しい理解と、働く人へのサポート体制が整っていなければ、うまく定着させることはできません。
- ● 企業が制度をきちんと把握すること
- ● 外国人材が安心して働ける環境づくりを行うこと
- ● トラブル時の対応や継続的な支援を続けること
こうした姿勢が、これからの外国人雇用のカギになるんです。
5.2 信頼できるサポートを見つけよう
スムーズな受け入れと長期的な雇用のためには、専門家のサポートを上手に活用するのがポイントです。
特定技能の制度は書類やルールが多く、初めての企業にとっては戸惑うことも多いはず。
そんなときに頼りになるのが、ビザ申請に詳しい行政書士や登録支援機関です。
- ● 制度や申請の流れを丁寧に説明してくれる
- ● 就労ビザの取得をスムーズに進めてくれる
- ● 支援計画や生活面でのアドバイスも受けられる
特に「特定技能」について豊富な実績があるサポート先を選べば、初めてでも安心して外国人材を受け入れられますよ。
これからの人材確保を見据えて、信頼できるパートナー探しから始めてみてはいかがでしょうか。
特定技能「素形材産業」の手続きなら、行政書士法人Climbにお任せください
特定技能「素形材産業」での外国人材の受け入れは、制度の理解や書類準備などで不安も多いもの。
そんなときこそ、経験豊富な専門家に頼ることで、スムーズに、そして確実に進めることができます。
行政書士法人Climbでは、特定技能ビザの取得サポートはもちろん、登録支援機関との連携や雇用企業側の手続き全体をトータルでサポートしています。
「初めてで不安」「どこから始めたらいいかわからない」
そんなお悩みがある方は、ぜひ一度、行政書士法人Climbへご相談ください。
安心して外国人材を受け入れる一歩を、一緒に踏み出しましょう。