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特定技能「外食業」とは?試験・手続き・雇用条件を徹底解説

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1. 特定技能制度の概要

1.1 特定技能1号と2号の違い

「特定技能」とは、2019年に始まった在留資格制度で、特に人手不足が深刻な14の産業分野で外国人労働者を受け入れることができる仕組みです。
その中でも「外食業」は、初期段階から受け入れ対象として認められている分野のひとつです。

この制度には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類がありますが、違いを理解することがとても大切です。
以下の表で両者を比較してみましょう。

区分特定技能1号特定技能2号
対象分野14分野(外食業含む)一部分野(外食業も対象に追加)
在留期間最大5年(更新可)更新可能(制限なし)
家族帯同原則不可可能(条件あり)
技能レベル基本的な業務レベル熟練した技能が必要
移行元技能実習2号修了者など特定技能1号からのステップアップ

特定技能1号は「即戦力レベル」での人材受け入れを目的としており、調理や接客など日常的な店舗業務に対応するための制度です。

一方で、特定技能2号は2023年に対象分野が拡大され、「外食業」も含まれるようになりました。
こちらは店長業務やマネジメントなど、より高いスキルや経験が求められます。

よくある失敗と注意点

制度の違いを理解していないと、こんな失敗が起きやすいです。

1. 「1号」で家族を呼べると誤解するケース
○ 実際は家族帯同不可。生活設計にも影響します。
2. 「2号」への移行要件を知らないまま就職するケース
○ 1号から2号へ移行するには、数年の勤務経験や評価が必要です。
3.「特定技能=すぐに働ける」と思い込み、準備不足になるケース
○ 実際は試験や手続きに時間がかかるため、早めの準備が必須です。

具体的なシーンに置き換えると…

たとえば、留学生が卒業後に「特定技能1号」で外食店に就職する場合。
日本語力はまだ不安があっても、接客マニュアルがあれば対応できる業務が中心です。ですが、もし将来的に店長として働きたいなら「特定技能2号」への移行を見据えて経験を積む必要があります。

「将来も日本で働きたい」と考えるなら、制度の仕組みをしっかり理解しておくことが大事なんです。

1.2 外食業分野の位置づけと背景

特定技能制度が導入された背景には、深刻な労働力不足があります。中でも外食業は、長時間労働・低賃金・離職率の高さなどの課題から、日本人労働者の確保が難しく、人手不足が特に顕著な分野です。

飲食店は全国に数十万店あり、24時間営業の店舗も多く、常に人員が求められる業界です。その一方で、正社員や日本人アルバイトだけでは人手が足りず、外国人の戦力化が急務とされてきました。

こうした事情を受けて、2019年に創設された「特定技能1号」では、外食業が初期の受け入れ14分野のひとつとして選ばれました。

さらに2023年には、特定技能2号の対象に外食業が新たに追加され、店舗マネジメントや商品開発など、より高度な業務にも外国人が関われるようになったのです。

外食業の業務と人材ニーズの特徴

外食業には以下のような業務が含まれ、特定技能外国人にも幅広い仕事が求められます。

  • ● 調理補助や食材準備
  • ● 配膳・接客・レジ業務
  • ● 店内清掃や衛生管理
  • ● シフト管理、在庫・売上管理(特定技能2号)

特定技能制度により、単なる補助ではなく「即戦力」としての外国人スタッフが求められているのが特徴です。

よくある勘違いと注意点

1. 「外食業=誰でもすぐ働ける」と思い込む
○ 実際は試験合格や在留資格の取得が必要で、準備に時間がかかります。
2. 「飲食ならどんな業種でも対象」と誤解する
○ 実は風俗営業や配達業務専門などは対象外です。
3. 「アルバイトと同じ感覚で雇用できる」と思う企業が多い
○ 特定技能での雇用には、法令順守や支援体制の構築が義務づけられています。

イメージしやすい具体例

たとえば、地方の飲食チェーン店で、朝から夕方までのスタッフが足りず困っている場合。
特定技能制度を使えば、一定の試験をクリアした外国人スタッフを正社員として安定的に雇用できるようになります。外国人スタッフも、短期のアルバイトではなく、キャリアとしての道が開けるのは大きな魅力ですよね。

外食業は「人手不足を根本から解決する鍵」として、特定技能制度の中でも重要な分野となっています。

2. 外食業分野で従事可能な業務内容

2.1 飲食物調理の具体例

調理業務は、外食業界の根幹となる仕事です。特定技能「外食業」では、厨房での作業全般が対象になりますが、その中身は想像以上に幅広いです。
主な業務には次のようなものがあります。

  • ● 野菜や肉の下処理(皮むき、カットなど)
  • ● 食材の温度管理と保存
  • ● 炒める・焼く・揚げるなどの調理作業
  • ● 盛り付け、配膳前の品質チェック
  • ● 厨房の衛生管理(まな板の洗浄、冷蔵庫清掃など)

たとえば、ラーメン店で働く場合、スープの仕込みから具材の準備、最終的な盛り付けまで一通り任されることもあります。

よくある失敗例とその対策

1. 包丁や調理器具の使い方に慣れず、作業が遅れる
○ →最初は簡単な下処理から入り、段階的に覚えていけば大丈夫。動画マニュアルの導入も効果的です。
2. 衛生ルール(帽子着用・手洗い)を軽視して注意される
○ →食品衛生の意識は日本では非常に厳格です。衛生講習や張り紙でルールを明確にするのが◎
3. 火加減や時間管理に苦戦して味が安定しない
○ →マニュアルを使って「分数」「温度」単位で記録することでミスが減ります。

「調理の仕事は、単純作業と思われがちですが、安全管理や正確さが求められる責任ある仕事」です。

日常シーンでのイメージ

朝の忙しい時間、モーニングメニューを10分で仕上げないといけない厨房。そんなとき、スピーディーに卵を焼き、パンを温め、サラダを盛りつける…。
この一連の作業を任される立場が、特定技能での調理業務です。

2.2 接客業務の範囲

接客業務は、お客様との直接のやりとりが発生する大切な仕事です。特定技能で認められている接客業務は以下のとおりです。

  • ● 入店時の案内(「いらっしゃいませ!」)
  • ● オーダーの確認(ハンディ端末やタブレット使用も多い)
  • ● 提供業務(料理を運ぶ)
  • ● 会計(現金・カード・QR決済など)
  • ● お客様からの問い合わせ対応(簡単な商品説明など)

よくある失敗例と解決策

1. 日本語の聞き取りが難しく、注文を間違える
○ →定型フレーズを暗記したり、ポイントカード・メニュー表を指差しで対応しましょう
2. 敬語の使い方がうまくできず、印象が悪くなる
○ →最低限の敬語例を練習し、ロールプレイでシミュレーションをしておくと安心です
3. 混雑時に焦って動きが乱れ、トラブルになる
○ →動線や優先順位を事前に理解し、慌てずに対処できるようマニュアルで確認を

「接客はお店の印象を左右する重要なポジション」であり、日本語に自信がなくても、笑顔や身だしなみ、丁寧な態度でカバーできます。

日常シーンでのイメージ

たとえば、カフェで外国人スタッフが「ホットコーヒーをひとつですね」と笑顔で確認してくれると、なんだか気持ちがいいですよね。
語学力よりも、温かい対応が評価される場面がたくさんあります。

2.3 店舗管理に含まれる業務

特定技能2号での活躍を視野に入れると、「店舗管理」業務への対応力が求められてきます。
店舗管理業務とは、以下のような運営業務全般を指します。

  • ● スタッフの勤怠・シフト管理
  • ● 原価計算や発注業務
  • ● 日々の売上・損益の把握
  • ● クレーム対応やマネジメント
  • ● 衛生点検、設備保守など

このレベルになると、単なる労働力ではなく「現場を引っ張るリーダー」としての働き方が必要になります。

よくある失敗例とアドバイス

1. 数字管理に苦手意識があり、発注ミスが続く
○ →チェックリストや自動化ツールを活用すると、業務の精度が上がります
2. スタッフへの指示が曖昧で、現場が混乱する
○ →「5W1H」で明確に伝えるクセをつけましょう
3. クレーム時に自分で対応できず、責任者を呼んでばかりになる
○ →想定問答を準備しておくと、自信を持って対応できます

「店舗管理は、現場で信頼を築いた先に任される重要なポジション」であり、2号資格へのステップアップを目指す人には避けて通れない領域です。

2.4 従事できない業務と注意点

特定技能で働けるのはあくまで「制度で認められた範囲」に限られます。制度を理解せずに業務を任せると、不法就労になりかねません。
以下の業務は明確に禁止されています。

  • ● 接待行為を含む飲食店(キャバクラ、ホストクラブなど)
  • ● 屋台・キッチンカーなどの移動販売(固定店舗での勤務が原則)
  • ● 出前や配達専門の業務(ウーバーイーツ的な働き方)
  • ● 登録型の派遣雇用(常用型は一部可能)

また、対象業務外の業務を頻繁に行っていた場合、在留資格の更新が認められない可能性もあります。

よくある企業側の誤解

1. 配達だけなら簡単だから任せていいと思った
○ →原則不可です。業務内容の記録がチェックされます。
2. 人手が足りないから他店にヘルプに行かせた
○ →店舗単位で在留資格が出ているため、転勤・異動には注意が必要です。
3. 接客と調理をやっているから、簡単な掃除も当然と思った
○ →業務範囲に含まれるが、あくまで本業務の補助範囲にとどめる必要あり。

「制度を守ることが、外国人スタッフにとっても企業にとっても最も安心できる道」です。

3. 在留資格取得の方法

3.1 技能評価試験の概要

特定技能「外食業」で働くには、まず「技能評価試験」に合格する必要があります。
この試験は、実際に業務を行う上で必要な知識や技能を持っているかをチェックするためのものです。
試験は「学科試験」と「実技試験」に分かれています。

学科試験の内容

  • ● 食品衛生や安全管理に関する知識
  • ● 食材の取り扱いや調理手順の理解
  • ● 基本的な接客マナー

実技試験の内容

  • ● 提示されたレシピ通りに調理する力
  • ● 衛生的な作業をするスキル
  • ● 接客のシミュレーションへの対応

どちらも正答率65%以上が合格基準とされており、試験は国内外で実施されています。受験には事前の申し込みが必要で、受験料もかかるため、計画的な準備が欠かせません。

「事前に試験範囲をよく理解して、模擬問題などでしっかり対策することが合格のカギです。」

3.2 日本語能力試験の要件

特定技能で働くには、業務上のコミュニケーションをとるために一定の日本語力が求められます。
基準となるのは以下のいずれかです。

  • ● 日本語能力試験(JLPT)N4以上の合格
  • ● 国際交流基金日本語基礎テストの合格

JLPT N4は「基本的な日本語を理解できる」レベルで、簡単な日常会話や職場でのやり取りに対応できることを目指します。

たとえば、以下のようなやり取りができるとされています。

  • ● 「注文を繰り返す」「メニューの説明をする」
  • ● 「お客様からの簡単な質問に答える」
  • ● 「上司の指示を理解して行動する」

特定技能を目指す外国人にとって、この日本語試験を突破することが最初の大きな壁となることが多いです。
そのため、日本語学校に通いながら対策する人も多く、継続的な学習が重要です。

3.3 技能実習2号からの移行条件

技能実習制度を終えた外国人が、特定技能に移行するケースも増えています。中でも「技能実習2号を良好に修了した人」は、特定技能への移行がしやすくなっています。
外食業ではなくても、食品製造や調理関連の分野で技能実習を行っていた場合、以下の条件を満たすことで試験免除での移行が可能です。

主な条件

  • ● 技能実習2号を3年間、問題なく修了していること
  • ● 対象職種(例:飲食料品製造業など)での実習だったこと
  • ● 実習先と同様の業務内容で働く予定があること

たとえば、ベトナム出身で技能実習を3年間真面目に取り組んだ方が、より良い職場を探して「特定技能 外食業」に移行するケースはよく見られます。

「試験が免除される分、スムーズに在留資格を切り替えられるのがメリット」です。

ただし、実習中に失踪していたり、トラブルがあった場合は対象外となりますので注意が必要です。

4. 受け入れ企業の要件と手続き

4.1 企業が満たすべき条件

特定技能「外食業」の外国人を受け入れるには、雇用側の企業も一定の条件をクリアしていなければなりません。
単に「人手が足りないから雇いたい」という理由だけでは制度を利用できないのです。

企業が満たすべき主な条件は以下の通りです。

  • ● 飲食店営業許可を持っている店舗であること
  • ● 法令に違反していないこと(労働基準法・入管法など)
  • ● 外国人の支援体制を確保していること
  • ● 外食業分野特定技能協議会に加入していること
  • ● 風俗営業に該当しないこと
  • ● 派遣労働者としての雇用でないこと(派遣は禁止)

これらは、労働環境の整備と制度の適正な運用を図るための最低限のルールです。

たとえば、過去に労働トラブルを起こして行政指導を受けた企業などは、受け入れが認められないケースもあります。事前の体制づくりが大切ですね。

4.2 支援体制の準備と登録支援機関の活用

特定技能で外国人を受け入れる企業には、就労開始後の生活や業務の支援を行う「支援責任」があります。これを「支援計画」と呼び、実行が義務づけられています。

支援計画に含まれる主な内容

  • ● 空港からの送迎
  • ● 住居確保と生活オリエンテーションの提供
  • ● 日本語学習の機会提供
  • ● 相談窓口の設置
  • ● 定期的な面談と業務のフォローアップ

これらをすべて自社で実施するのは難しいという企業も多いため、「登録支援機関」に支援業務を委託する方法も認められています。

登録支援機関とは、出入国在留管理庁に登録された専門事業者で、外国人の生活支援に関するノウハウを持っています。契約することで、制度に詳しくない企業でも安心して受け入れが進められるのがメリットです。

「支援体制を整えることで、外国人材の定着率もアップします。」

4.3  受け入れまでの手続きの流れ

実際に外国人材を受け入れるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。
書類の準備や手続きが多く、時間もかかるため、スケジュールには余裕を持って進めることが大切です。

手続きの主な流れ

1. 雇用契約の締結
○ 労働条件を明確にした上で、契約書を作成
2. 支援計画の策定
○ 自社実施または登録支援機関と契約
3. 必要書類の準備
○ 雇用契約書、支援計画書、会社概要書など
4. 在留資格認定申請(または変更申請)
○ 地方出入国在留管理局へ申請
5. 審査・許可
○ 通常1~3か月程度(ケースにより異なる)
6. 入国・雇用開始
○ 入国後の生活支援をスタート

書類の不備や誤解釈で不許可になるケースもあるため、行政書士などの専門家と連携する企業も増えています。

たとえば、初めて外国人を雇用する地方の飲食店では、登録支援機関を活用しながら支援計画を立てることで、スムーズに受け入れを進めています。

「事前準備と制度理解が、スムーズな受け入れのカギです。」

5. 特定技能「外食業」での活用事例と今後の展望

5.1 実際の雇用事例紹介

特定技能制度の導入以降、外食業では多くの外国人材が即戦力として活躍しています。
特に、技能実習を経て日本での就労経験がある人や、留学生からの移行者が多いのが特徴です。

たとえば、以下のようなパターンがあります。

  • 日本語学校を卒業後、飲食店でのアルバイト経験があるネパール人留学生が、特定技能試験に合格してフルタイムの社員として採用されたケース
  • ベトナム人技能実習生が、食品製造分野の実習を良好に終え、試験免除で特定技能「外食業」にスムーズに移行したケース
  • 地方の飲食チェーン店で、外国人スタッフを特定技能で受け入れたことで、営業時間短縮を回避できたという店舗経営側の成功事例

「特定技能を活用することで、現場の人手不足を安定的に補い、外国人本人もキャリアアップを目指せるという“両得”の雇用が実現しています。」

このような成功例が増えることで、企業側の制度理解も進み、より多くの雇用が広がりつつあります。

5.2 今後の特定技能制度拡充と受け入れ見込み

2023年に、特定技能「外食業」が新たに特定技能2号の対象分野に加わったことは、大きな制度改革といえます。

これにより、一定年数の経験を積んだ外国人が、より高度な業務(店舗マネジメント・教育担当など)に就くことができるようになりました。また、2号に移行すれば在留期間の制限がなくなり、家族帯同も可能になるため、長期的な雇用が期待されます。

今後の展望として、以下のような点が注目されています。

● 受け入れ人数のさらなる拡大
○ 外食業分野は今後も人手不足が見込まれるため、受け入れ枠の増加が検討されています。
● 試験実施国・回数の拡充
○ 受験チャンスの増加により、より多くの外国人が制度にアクセスできるようになる予定です。
● 企業向けの支援制度の整備
○ 登録支援機関の支援内容が拡充され、地方中小企業でも受け入れやすい環境に整ってきています。

政府も制度の見直しを随時行っており、より実務に即した形で制度が成熟していくと考えられています。

「今後、特定技能『外食業』は“外国人材活用の中核”となる可能性が高く、企業・外国人双方にとってメリットのある制度として成長し続けています。」

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