このコラムでは、帰化申請の際によくご質問をいただく「生活保護」について、行政書士が帰化申請のプロとしてわかりやすくお答えします。
帰化申請をする本人が生活保護を受けている場合は、本人は生活保護を受けていなくても家族が生活保護を受けている場合など、どのように審査されるのでしょうか?
生活保護とは
生活保護とは、「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度」を言います。
日本国憲法第25条に規定されている理念に基づき制定された生活保護法が根拠となっています。
この生活保護制度は、本来は日本国民が受けることを念頭に規定されていますが、日本に在留している外国人の内の永住者、日本人の配偶者、特別永住者等の外国人についても日本人と同条件で受けることができるものとして通知がされています。
帰化申請で生活保護が問題になる理由
上記の生活保護を受けていることは、帰化申請の条件の上では問題となります。
それは、生活保護を受けていることが、帰化申請が許可されるための条件の一つである「生計要件」に引っかかる場合が多いからです。
「生計要件」とは、自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること
(国籍法第5条1項4号)を言います。
生活保護を受けているということは、自己の資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮しているということなので、生活保護を受けていると通常は生計についての条件を満たさないと判断されてしまうのです。
生活保護を受けても帰化申請できる場合
▼ 本人が生活保護を受けている場合
帰化申請をする本人が生活保護を受けている場合には、生計面の条件を満たしていないことになるため、帰化が許可される可能性はとても低いです。 しかし、生活保護を受けているからといって必ず帰化申請が不許可になるとは言い切れません。
生活保護を受けている方の状況は人それぞれ違うため、総合的に審査をしてみないとわからない点もあるからです。
生計面の条件だけで帰化申請が許可されるかどうかが決まるわけではない、ということです。
生活保護を受けていて条件面で心配、許可される見込みが低いことはわかっているものの、それでも帰化申請をしたいという方は、一度専門家に相談するのもよいかと思います。
▼ 家族が生活保護を受けている場合
では、帰化申請をする本人は生活保護を受けていないものの、家族が生活保護を受けているという場合はどうでしょうか?
このケースでは、生活保護を受けている家族が世帯を同一にしているかどうかで許可の可能性は変わります。
つまり、帰化申請の生計面の条件は申請人の世帯単位で審査がされるということです。
帰化申請の申請人は生活保護を受けていないが、同じ場所で生活をして生活費を共有している家族は生活保護を受けているというような場合には、帰化申請人は生活保護を受けている人と世帯を同じくしていると評価されるために、条件面で不利になります。
そのため、帰化が許可されることはほとんどありません。
一方、生活保護を受けている家族とは一緒に生活しておらず、帰化の申請人は独立して経済的に自立した生活をしているという場合には、生計面の条件を満たし、帰化が許可される可能性があります。
「帰化したいけど、自分は申請できるのかな?」「自分は条件を満たしているのかな?」と迷う場合は、ぜひ一度、行政書士法人Climbにご相談ください。