永住権の申請をして審査結果を待っている状態で、「申請中」のタイミングで住宅ローンを組めるのかどうかがわからず、家探しを進めていいものか迷っている方も多いのではないでしょうか。
中には、「多くの住宅ローンは永住許可を受けている方を対象としている」という情報を見かけて、審査中の自分はどう扱われるのか不安になっている方もいるかと思います。
住宅ローンに関しては、実は金融機関によって対応がわかれているのが実状です。そのため、永住権がなくても一定の条件を満たせば組める住宅ローンも存在します。
そこで本記事では、「永住権申請中でも住宅ローンを組めるケースと条件」について解説します。「住宅ローンを申し込む際の注意点」や「審査を有利に進めるポイント」にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
外国人の住宅ローン審査と永住権の関係
外国人の方が住宅ローン審査を受ける場合、気になるのが永住権との関係です。両者がどのような関係性にあるのか、まずは以下にわけて詳しく解説します。
- ● 永住者は日本人とほぼ同条件でローンを組める
- ● 永住権なし(申請中を含む)の場合の扱い
永住者は日本人とほぼ同条件でローンを組める
永住許可を持つ外国人は、ほとんどの金融機関で日本人とほぼ同じ条件で住宅ローンの審査を受けられます。審査で見られる項目自体も日本人と変わらず、以下のような情報をもとに総合的に判断される形です。
- ● 年収
- ● 勤続年数
- ● 雇用形態
- ● 信用情報
- ● 健康状態
- ● 物件の担保評価
事実、多くの金融機関が、住宅ローンの利用条件を「日本国籍の人、または永住許可を受けている外国籍の人」としています。
こうした点から、住宅ローンの審査を受ける際は、まず永住者であるかどうかが金融機関選びの幅を大きく左右します。
永住権なし(申請中を含む)の場合の扱い
永住権を持たない、もしくは永住権申請中の外国人の場合、住宅ローンを組める金融機関の選択肢は永住者と比べて大きく減ります。
前述した通り、日本の金融機関の多くは、住宅ローンの申込要件を「日本国籍であること、または永住許可を有すること」としているためです。そのため、該当しない場合は原則として対象外となる金融機関が大半と考えておいてください。
ただし、裏を返せば「永住権がなくても対応している一部の金融機関を見つけられれば、住宅ローンを組める可能性がある」ということでもあります。
永住権がない場合、日本国籍または永住許可を持つ配偶者の連帯保証を求められるケースも一般的であるため、配偶者に相談してみるのも方法の1つです
永住権申請中でも住宅ローンを組めるケースと条件
多くの金融機関において、住宅ローンが永住権を取得している外国人を対象としているのは、前述した通りです。
しかし、永住権申請中でも住宅ローンを組めるケースも存在します。どのようなケースなのか、以下にわけて詳しく見ていきましょう。
- ● 対応している金融機関・住宅ローンの種類
- ● 在留期限・在留資格の種類による影響
- ● フラット35(住宅金融支援機構)の対応
対応している金融機関・住宅ローンの種類
永住権がなくても、一定の条件を満たせば住宅ローンの申し込みに対応している金融機関があります。例えば、以下の金融機関です。
| 対応の傾向 | 金融機関の例 |
|---|---|
| 永住権なしでも申込可(条件付き) | イオン銀行、スルガ銀行、東京スター銀行など |
| 外国人専用ローンを用意 | あすか信用金庫など |
| 外国語対応がある | SMBC信託銀行プレスティア(英語対応)など |
上記のように、金融機関によって条件や対応状況が異なり、常に変わる可能性があるため、最新の取り扱い状況は各金融機関の公式サイトや窓口で直接確認するようにしてください。
なお、一般的な条件として、住宅ローンは「勤続年数2年以上」「前年度年収200万円以上」が目安とされるケースが多く、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)は30~35%以内に収める必要があります。
在留期限・在留資格の種類による影響
在留期限・在留資格の種類は、住宅ローン審査において大きな判断材料になります。
例えば、日本での居住年数が5年未満など短い場合は、申し込み自体ができないケースもあります。在留期間の長さが、金融機関にとっての信頼の証として扱われると考えて良いでしょう。
また、金融機関が懸念しているのは「返済期間中に帰国してしまうのではないか」「生活基盤が安定しているか」という点です。そのため、在留資格の種類(就労系・身分系等)や在留期間の残りの長さが、懸念点の払拭に直結します。
永住権申請中の場合、審査結果次第で今後の在留の見通しが変わる可能性があるため、他の在留資格よりも慎重に審査される傾向があります。より確実性を高めるのであれば、取得してからの方が無難です。
フラット35(住宅金融支援機構)の対応
フラット35(住宅金融支援機構)は、外国人の場合「永住許可を受けている方」または「特別永住者の方」を利用対象者としています。
公式サイトの規定上、これは在留カードまたは特別永住者証明書の提出が求められると考えられるため、「永住許可を受けていること」が条件です。
そのため、永住権の審査結果を待っている「申請中」の段階では、フラット35は利用できません。
永住権を申請中でフラット35を検討している外国人の方は、永住許可が下りてから申し込むことになると認識しておきましょう。
永住権申請中にローンを申し込む際の注意点
永住権申請中の外国人の方が住宅ローンを申し込む際は、意識したい注意点があります。中でも以下の3つは大切です。
- ● 申請中であることを正直に伝えるべき理由
- ● 審査期間中に不許可になった場合のリスク
- ● 永住許可後に有利な条件に借り換えることも選択肢
申請中であることを正直に伝えるべき理由
住宅ローンを申し込む際は、永住権が申請中であると、金融機関に対して正直に伝えるようにしてください。
在留資格や在留カードの情報は、住宅ローンの必要書類として提出が求められるため、隠して申し込むのは不可能だと認識しておきましょう。
また、事実と異なる申告をしてしまうと、後から発覚した際に契約解除や一括返済請求といった重大なトラブルに発展するリスクがあります。
金融機関によっては「申請中」という状況を踏まえたうえで、「連帯保証人を立てる」「頭金を多めに用意する」といった代替条件を提案してくれるケースもあるため、正直に状況を伝えたうえで相談するのが大切です。
審査期間中に不許可になった場合のリスク
万が一、住宅ローンの返済期間中に永住権の申請が不許可になった場合、在留資格そのものの扱いによっては帰国を求められる可能性があります。その場合、ローンの返済計画にも影響が及ぶリスクは、住宅ローンを申し込む際に念頭に置いた方が良いでしょう。
ただし、永住権が不許可になったからといって直ちに現在の在留資格が失われるわけではありません。多くの場合、元の在留資格のまま滞在を継続できます。
とはいえ、将来の見通しに不確実性が残るのは事実であるため、住宅ローンを組む際はこのリスクを正しく理解したうえで、無理のない返済計画を立てることが大切です。
住宅ローンに関して過度に不安を感じる必要はありませんが、楽観視せず金融機関やファイナンシャルプランナーに相談しながら判断するのも検討してみてください。
永住許可後に有利な条件に借り換えることも選択肢
永住権申請中の段階では選べる金融機関や金利条件が限られていても、永住許可が下りた後により有利な条件のローンに借り換えるという選択肢もあります。
なぜなら、永住許可を取得すると、フラット35を含む多くの金融機関で日本人とほぼ同条件の審査を受けられるようになるためです。申請中は利用できる金融機関の中で契約し、許可が下りた段階で改めて借り換えを検討するという段階的なアプローチも現実的な選択肢の1つとなります。
ただし、借り換えには手数料や諸費用がかかるため、当初の金利差と借り換えコストを比較したうえで判断するようにしましょう。
住宅ローン審査を有利に進めるポイント
外国人の方が住宅ローン審査をする際、有利に進めるために意識したいポイントがあります。中でも以下の2つは重要なので、詳しく見ていきましょう。
- ● 在留期間が長いほど有利
- ● 継続的な収入・税金の完納を示す書類準備
在留期間が長いほど有利
一般的に、在留期間が長いほど、住宅ローンの審査で有利に働く傾向があります。こうした点から、住宅ローンの申込時には「在留期間が一定年数を経過してから申し込む」ことが、審査を通りやすくする対策の1つとして挙げられているほどです。
外国人の方は、日本での居住実績が長いほど、金融機関側の「帰国リスク」への懸念を軽減できます。
永住権を申請できる時点で、多くの場合すでに一定期間(原則10年以上)日本に在留しているため、永住権申請中の方はこの点で一定の信頼を得やすい立場にあると言えます。
継続的な収入・税金の完納を示す書類準備
継続的な収入と納税・社会保険料の完納状況を示す書類を漏れなく準備することも、審査を有利に進める重要なポイントです。例えば、以下の書類が該当します。
- ● 源泉徴収票または確定申告書(自営業の場合)
- ● 在留カード・特別永住者証明書等の身分証明書
- ● 住民税・国税の納税証明書
- ● 勤続年数を証明する在職証明書
一定以上の勤続年数があり、安定的な収入があることを書類で明確に示すのが大切です。そのうえで、自己資金(頭金)を多めに用意しておけば、金融機関側の不安を解消し、審査に通りやすくなる可能性が高まります。
併せて、契約内容を正確に理解できる日本語力があれば、融資判断の要素としてプラスになるでしょう。
よくある質問
- 配偶者が日本人・永住者の場合はどうなる?
- 配偶者が日本人または永住者である場合、審査上有利に働く可能性があります。永住権を持たない場合、日本国籍または永住許可を持つ配偶者の連帯保証を求められるのが一般的であり、中には配偶者との収入合算(ペアローン等)を利用できる金融機関もあるためです。
住宅ローン審査では世帯全体の収入や信用情報を含めて総合的に判断されるため、配偶者の属性は重要な審査材料の1つとなります。 - 審査中に永住権が許可されたら条件は変わる?
- 住宅ローンの審査期間中に永住権が許可された場合、その時点での在留資格の変更を金融機関に伝えてください。より有利な条件での審査に切り替えられる可能性があります。
すでに契約済みのローンについては直ちに条件が変わるわけではありませんが、前述のとおり許可後に有利な条件のローンへ借り換えるという選択肢を検討できます。そのため、永住許可が下りたタイミングで、改めて金融機関に相談してみるのがおすすめです。
まとめ
外国人の方は、永住権申請中でも住宅ローンを組める可能性はありますが、対応する金融機関は永住者と比べて限られるのが実情です。
例えば、フラット35は永住許可を受けている方が対象であるため、申請中の段階では利用対象外である点は理解しておいた方が良いでしょう。
一方でイオン銀行やスルガ銀行など、永住権がなくても条件付きで審査対応する民間の金融機関も存在するため、在留期間の長さ・継続的な収入・納税状況を示す書類を準備することで、審査を有利に進められる可能性があります。
住宅ローン申請は、大きな借入になります。だからこそ、申請中であることは金融機関に正直に伝え、不許可になった場合のリスクも理解したうえで、無理のない返済計画を立てることが重要です。永住許可後により有利な条件へ借り換えるという選択肢も含めて、長期的な視点で住宅購入の計画を立てていきましょう。
もし、住宅ローンの申請を検討していて、永住権申請中の住宅購入でお困りの場合は、ぜひ下記リンクよりお気軽にご相談ください。