家族滞在ビザとは誰のためのビザ?
家族滞在ビザとは、就労ビザを持って日本で働いている外国人が扶養している配偶者と子どもに与えられる在留資格のことです。
コロナ禍により一時的に人的交流がストップしていましたが、グローバル化などの影響によって日本で働きたいと考えて来日する外国人の方は年々増えています。
そんな外国人の方が家族と一緒に来日する場合、家族が取得しなければならないのが家族滞在ビザとなります。
つまり、家族滞在ビザは就労者が扶養する家族のための就労資格なのです。
家族滞在ビザの長さは個人によって変わり、最長で5年間のビザ期限が与えられます。
注意したいのが、家族滞在ビザは扶養者の在留期間と連動している点です。
そのため扶養者の就労ビザが切れたとして、家族滞在ビザだけ期間更新ということはできません。
更新手続きをしなければ、セットで期間満了となります。
また、家族滞在ビザは家族関係の証明ができれば取得できるため、子どもが養子であったとしても取得可能です。
もちろん家族関係が継続中であることが前提ですので、婚約中であったり事実婚であったりした場合は申請できません。
注意しましょう。
家族滞在ビザの外国人は日本で働ける?
家族滞在ビザを持っている外国人の方で、日本で働きたいと考える方も多くいるでしょう。
しかし、原則として家族滞在ビザは扶養を受けながら生活することが大前提となっているため、就労が認められていません。
扶養者への経済的な依存が、家族滞在ビザの条件だからです。
ですが完全に禁止されているわけでもありません。
- 1.資格外活動の包括許可とは?
- 2.資格外活動の個別許可とは?
- 3.収入や働き先の制限はある?
ここからは家族滞在ビザで就労するために知っておきたい以上3つの項目について詳しく解説します。
1.資格外活動の包括許可とは?
家族滞在ビザを取得している外国人の方は、「資格外活動許可」を申請することで就労が可能になります。
許可には2種類あり、包括許可はそのうちの1つという認識でOKです。
包括許可の場合、就労禁止が緩和され、家族滞在ビザを持っている人が1週間の中で28時間以内の就労か事業を運営する活動が可能となります。
この「事業を運営する活動」とは、以下が当てはまります。
- ● 雇用契約書等により従事しようとする時間が明確である管理者等としての活動
- ● 個人事業主として配達等の依頼を受注し生活に応じた報酬を得る活動で、稼働時間を客観的に確認することができるもの
つまり、稼働時間を客観的に確認できる就労のみを許可されているのが包括許可です。
そのため包括許可を得るのは非常に簡単で、申請書を提出するだけとなります。
ただし全ての仕事に就労できるわけではなく、法令に違反しない仕事なのはもちろん、風俗営業等に関しても禁止されています。
もし働くことができる仕事かどうか不安な場合は、一度入国管理局へ問い合わせてみるのも良いでしょう。
2.資格外活動の個別許可とは?
資格外活動の個別許可は、1週間で28時間以内の業務時間を証明できない活動を指します。
包括許可以外の活動をしたい場合に申請する就労許可です。
個人事業主としての活動もできるため、より自由に就労したい場合には個別許可を取ると良いでしょう。
一方で、個別許可は自由度が高い分、包括許可よりも厳しい条件が設けられています。
- 1.資格外活動許可の要件(一般原則)の各要件に適合していること
- 2.当該活動に従事する期間が、決定されている在留資格に係る在留期間の過半を超えないこと
※活動内容、契約内容からみて、在留目的が実質的に変更されていると判断される場合は、在留資格変更許可の手続きをとることが必要となります。
以上のどちらにも適合すると認められれば、必要な書類を提出後、個別許可を受けることができます。
また上記以外にも、個人事業主として活動する場合も個別許可が必要です。
注意したいのが、新たに法人を設立したり従業員を雇用したりする場合となります。
この場合、事業所を設けて活動するため、家族滞在ビザから「経営・管理」ビザへと変更しなければなりません。
また、収入が大きくなった場合にも経営・管理へ変更する必要が生じる場合もあります。
注意しましょう。
3.就労や働き先の制限はある?
家族滞在ビザで許可を得た場合、気をつけたいのが就労や働き先の制限です。
原則的に包括許可・個別許可ともに収入面の制限は明確に設けられていませんが、労働時間に制限が設けられています。
1週間で28時間なので、1ヶ月でおおよそ112時間程度の就労しかできません。
自然とパートやアルバイトといった雇用形態に落ち着くでしょう。
そのため収入がある程度で頭打ちとなるのは当然です。
もう1点注意したいのが、禁止されている活動があるという点です。
法令違反だと認められる活動のほか、風俗営業や店舗型性風俗特殊営業、店舗型風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介、無店舗型電話異性紹介営業へも従事できません。
法令に違反したり公共風俗を乱すような仕事はダメですよ、ということです。
家族滞在ビザは扶養者に経済的に依存する原則からはみ出さないように、労働時間に制限がかけられています。
この制限を受けることなく就労したい場合は、家族滞在ビザから就労ビザへと乗り換えなければなりません。
また、家族滞在ビザで包括許可・個別許可を得て働く場合、風俗営業などに従事できないなど就労や働き先の制限がかかることに注意しましょう。
フルタイムで働くためにはビザの変更が必要
前述のように、家族滞在ビザでは包括許可を得たとしても1週間で28時間しか働けないことになっています。
これは1週間毎日働いたとして、1日4時間の勤務となり、到底フルタイムで働いたとは言えません。
フルタイムで働くことを考えた場合、1日8時間で換算すると1週間で40時間という包括許可で得られた時間を大幅に超えることになります。
そのため、家族滞在ビザを持っていてフルタイムで働こうとする場合には、根本から解決する必要があります。
つまり、ビザを変更するのです。
その際、フルタイムで働けるビザとしては主に以下の5つがあります。
- ● 特定活動
- インターンシップや外務官の家事使用人など
- ● 高度専門職
- 一定基準を満たした専門職に従事する人
- ● 技術・人文知識・国際業務
- 主にデスクワーク等に従事する人
- ● 留学
- 長期休暇中にのみ例外として就労が認められる場合がある
- ● 特定技能
- 特定産業分野14分野にて働くことができる
上記の中で、要件さえ満たせるのであれば、最も現実的なのは高度専門職ビザでしょう。
また、「技術・人文知識・国際業務ビザ」は企業で営業職やデスクワークなどに従事する方向けの在留資格のため、比較的変更しやすい可能性があります。
ただし、「技術・人文知識・国際業務」は学歴等の要件が必要ですので、学歴が無い方は試験に合格すれば誰でも変更可能な「特定技能」を目指すのが良いでしょう。
ビザの変更には各種書類提出を求められるため、漏れなく準備しましょう。
家族滞在ビザで1週間に28時間を超えて働いてしまったらどうなる?
家族滞在ビザで就労する時に気になるのが、「もし1週間に28時間を超えて働いてしまったら?」という点です。
就労時間は必ず守らなければならないため、28時間を超えた場合は資格外活動許可に違反したと認識されます。
- ● 3年以下の懲役か禁錮
- ● 300万円の罰金
上記のどちらか、もしくは両方が科せられます。
罰則を受けてしまうと、最悪の場合、在留資格の取消もあり得るでしょう。
また既に罰則を受けていた場合、例えば家族滞在ビザから就労ビザへと切り替えて正社員としてフルタイムで働こうとしていた際にも、内定を取消される可能性も考えられます。
1週間28時間の就労制限を破ってしまったばかりに、思うように働けなくなることも十分に考えられます。
そのため、勤務時間を厳格に守ることを強くオススメします。
まとめ
家族滞在ビザは原則として就労を認めていないため、働きたいと思っても働くことはできません。
働きたいと考えている方は、入国管理局へ申請して「包括許可」か「個別許可」を得る必要があります。
包括許可の場合、1週間で28時間の勤務が認められているため、パートやアルバイトといった雇用形態で就労が可能です。
家族滞在ビザで許可された範囲では1ヶ月に得られる収入はおおよそ10万円ほどのため、扶養者の収入と合わせても生活が厳しい場合は、ビザを切り替えることも視野に入れましょう。
28時間を超えて働こうとすると罰則が科せられてしまうため、フルタイムで働きたい場合はビザを変更することをオススメします。
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