近年、外国人労働者が身近になりました。
令和2年度に厚生労働省が行った調査において、外国人労働者の数は2008年と2020年を比較すると、約3.5倍に増えています。
しかし、外国人が日本国内で働く条件はなかなか細かいものです。
また、無事に就労が叶ったとしても、外国人労働者本人と雇用主側共に厳しい制限を守る必要があります。
今回は数多くある外国人向けビザの中でも、家族滞在ビザで働く外国人の労働者について考えていきます。
家族滞在ビザでの労働に対して、重要な制限に『週28時間ルール』があります。
外国人労働者を雇う経営者や企業の担当者向けに詳細、違反した場合の罰則、そしてその対策をみていきましょう。
外国人が家族滞在ビザで月28時間以上は働けません
結論として家族滞在ビザで資格外活動許可を得た外国人は、週28時間以上の就労はできません。
家族滞在ビザとは、日本国内において就労ビザで働いている外国人の家族(配偶者とその子供)が国内に滞在するためのビザです。
このビザを持っている人は資格外活動許可を得ると、週28時間以内のアルバイトをすることができます。
例外として、外国人留学生の通う教育機関が長期休暇に入っている期間中は、週40時間以内まで働けます。
▼ 働かせすぎると犯罪です
週28時間以上働かせた場合はどうなるのでしょうか?
出入国管理及び難民認定法より、不労就労助長罪に問われます。
雇用主に対して3年以下の懲役または300万円以下の罰金またはその両方が科せられます。
この時責任を問われるのは、働かせ過ぎた店舗責任者や人事責任者のみではありません。
その企業の経営者も罪に問われることになります。
労働者本人の場合、今後のビザ更新が不可能になる可能性があります。
最悪の場合、退去強制処分を受けることになります。
▼ 不法就労助長罪とは?
働くことが認められていない外国人を雇用した事業主や、不法就労をあっせんした者、が処罰対象になります(警視庁ホームページより抜粋)。
この不法就労は大きく分けて3つあります。
- 不法滞在者や被退去強制者が働く場合
- ・オーバーステイや、密入国した者が働く
- ・退去強制されることが決まっている人が働く
- 出入国在留管理庁から働く許可を受けずに働く場合
- ・留学生、難民認定申請中の者が許可を得ないで働く
- ・短期滞在目的で入国した者が働く
- 働く事が認められている外国人がその在留資格で認められた範囲を超えて働く場合
- ・在留資格では認めてられていない内容の労働を行う
- ・留学生が許可された労働時間を超えて働く
上記の3つ目にあるように、外国人本人がその認められた労働時間以上の就労をすることは不法就労にあたります。
▼ 不法就労助長罪にならないための対策は?
就労時間について知識をつけ、管理を徹底することが対策となります。
労働者本人からダブルワークをしていないか、している場合は別の職場での労働時間を報告してもらうようにしましょう。
そのために、最も大切なことは日頃からのコミュニケーションです。
なぜなら、正確な報告が出来る信頼関係の構築には、長期的なコミュニケーションが不可欠だからです。
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▼ 注意したい週28時間の細かいルール
一言に『週28時間』と言っても、さまざまな疑問が浮かぶと思います。
ここでは見落としがちな3つの注意点をご紹介しましょう。
- 1.残業時間も週28時間に含まれます。
- 定時に仕事を始めて定時に上がる。これを徹底させましょう。
- 2.アルバイトの掛け持ちに注意しましょう
- 複数の雇用主の元で働く場合、その全ての就労時間の合計が週28時間以下である必要があります。
例えば、Aというお店で週28時間、Bというお店で週28時間働くと合計週56時間の就労時間になり完全にアウトです。
逆にAというお店で週8時間、Bというお店で週15時間働くと合計週23時間の就労時間となりますので問題ありません。 - 3.小さなお店だからバレない。という考え方は非常に危険です。
- なぜなら、納税額で収入がわかるような仕組みがあるためです。
在留カードをもつ外国の方もマイナンバーが付与されますので、ごまかすことはできません。
▼ オーバーワークはなぜバレる?
出入国在留管理庁はどのようにして就労時間のオーバーを見つけるのでしょうか。
答えは源泉徴収です。
日本で働く外国人も日本人と同様に納税をします。
納税額は収入額から計算されることは、皆さんには既知の事実ですね。
この納税額から、外国人の方がどの程度収入を得ているかがわかるという仕組みです。
出入国在留管理庁には、市町村各役所、税務署、ハローワークから、国内で働く外国人労働者の情報を受け取るシステムがあります。
当然、課税の詳細もしっかり把握しています。
▼週28時間以上働きたい時は?
外国人にもっと働いてほしい場合、家族滞在ビザから別のビザへ変更する必要があります。
以下の3種類の場合、週28時間以上の労働が認められます。
- ● 特定ビザ(特定活動)
- ● 高度専門職ビザ
- ● 留学ビザ(例外的に長期休暇中は週40時間働けます)
雇用主側は、上記のビザへの切り替えを視野に入れるのも対策となります。
各々の申請に必要な書類を揃え、実際にビザが変更されるまで時間がかかります。
余裕を持って対応すると良いでしょう。
まとめ
家族滞在ビザで働く外国人労働者の就労時間『週28時間ルール』について、不法就労助長罪とその対策を見てきました。
少子高齢化が進む中で、経営者にとって外国人労働者の存在は日々大きくなっています。
しっかりとした知識を身につけ、労働者本人と一緒にオーバーワークにならないよう対策をしていきましょう。
なお、外国人の日本国内での就労については、非常に細かい条件があります。
今回ご紹介した事例や対策方法は一例にすぎず、外国人労働者の状況によって個別に異なってきます。
必ずご自身で調べた上で対応してください。
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