「技能実習と特定技能ビザの違いがよくわからないのだけど…」というご質問をよく頂きます。
このコラムでは、技能実習と特定技能ビザの違いを5つのポイント別に、行政書士がわかりやすく解説します。
外国人を採用し、長く雇用したいとお考えの方にお読み頂きたい記事です。
制度の違いをわかりやすく解説
▼ 特定技能とは
人材不足の状況にある特定の分野において、人手不足の解消を目的にした、2019年からはじまった新しい在留資格(ビザ)です。
ビザ申請をする外国人に一定の技能と日本語能力があることを条件にすることで、企業における即戦力として労働することを期待するものです。
▼ 技能実習とは
これに対して技能実習は、開発途上国出身の外国人に日本の産業技術を習得して、帰国後にこの習得した技術を広めてもらうという国際貢献を目的にした在留資格(ビザ)です。
特定技能はあくまで日本での労働力として活躍してもらうことを目的にしており、技能実習は日本での実習で得た技術や知識を帰国後に広めてもらうという国際貢献を目的にしている点で、両者は違う目的をもった在留資格(ビザ)となっています。
特定技能と技能実習の5つの違い
このような違う目的と持つ在留資格(ビザ)である特定技能と技能実習は、内容も大きく異なります。
具体的には、主に以下の5つの点で違いがあります。
1.就業可能な業種、職種
特定技能と技能実習では、法律上認められた就業可能な業種、職種が違います。
つまり、技能実習では認められている業種・職種が、特定技能では認められていないことがあり、その逆もあります。
2.関与する当事者
技能実習の場合には、外国人である技能実習生と技能実習生を受け入れる企業の他に、管理団体・送出機関・技能実習機構といった多くの団体が関与します。
これに対し特定技能の場合には、関与する当事者は、原則として外国人である特定技能外国人と、彼らを受け入れる企業のみとなります。
ただし、受入れ企業において特定技能外国人に対する支援をする体制が整っていない場合には、第三者機関として登録支援機関が関与する場合もあります。
3.転職ができるか
技能実習は、制度の目的が実習であるために、転職をするということが想定されていません。しかし、技能実習先の企業が倒産をした又は技能実習2号から3号に移行する場合には転籍をすることは認められます。
一方、特定技能は、制度の目的が就労であるため、原則として同じ職種であれば転職することができます。
4.家族と共に日本で住むことができるか
日本で生活をする外国人にとっても、日本で家族と一緒に住むことができるかどうかは重要な点です。日本では、就労目的のビザ又は留学ビザを持つ外国人の家族は、一定の条件を満たせば「家族滞在」というビザで来日、在留して家族で日本に住むことを認めています。
まず、技能実習は就労を目的としたビザでもなく、もちろん留学ビザでもないので、技能実習生の家族が「家族滞在」ビザを得て日本で生活をすることはできません。
特定技能ビザは、就労を目的としたビザではあるのですが、特定技能「1号」のビザを持つ外国人の家族には、原則として「家族滞在」ビザを認めていません。例外的に、元々留学ビザや就労資格をもっており、「家族滞在」ビザを持つ家族と日本で生活をしていた外国人が特定技能1号に変更した場合のその家族には、人道的な配慮から家族滞在と同様のビザを認めています。
また、現時点では対象者は限られますが、特定技能「2号」をもつ外国人の家族は、「家族滞在」ビザを得ることが可能です。
5.受け入れ人数の制限
技能実習の場合には、企業が受け入れることができる技能実習生の数に制限があります。これは、技能実習の制度目的が技能の習得であるために、企業において技術の指導が適切にできる体制を担保するためです。
一方、特定技能の場合には、原則として企業が受け入れることができる特定技能外国人の数に制限はありません。特定技能の制度目的は、人手不足を補う点にあるためです。ただし例外的に、建設業等の業種においては受け入れ人数に制限があります。
まとめ
以上が、特定技能と技能実習の主な違いとなります。
特定技能から技能実習へのビザ変更は想定しにくいですが、技能実習から特定技能ビザへの変更は可能です。
どのようなケースで可能なのか、変更時の注意点やどのような特定措置があるのかについては、こちらの「技能実習から特定技能外国人へ移行するには?移行時の「特例措置」とは?」のページをお読みください。
行政書士法人Climbは特定技能外国人ビザ業務を行っております。
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