1.建設技能人材機構への加入義務について
2019年4月からはじまった新たな在留資格「特定技能」ですが、建設分野で特定技能外国人を受入れる際には、他の分野には無い特徴として、JAC(一般社団法人建設技能人材機構)という団体への加入手続があります。
本稿では、誰がこのJACへの加入義務を負うことになるのか、受け入れる際の負担金について説明したいと思います。
▼ 支援業務の全部または一部は、委託することができる?
企業等は雇用している特定技能1号外国人への支援を行われなければなりません(出入国管理及び難民認定法第19条の22第1項)が、支援業務を登録支援機関という第三者に委託することもできます(同法同条第2項)。
登録支援機関とは、特定技能1号の在留資格を持つ外国人に対して、在留中に安定的・円滑な活動を行うことができるようにするための様々な支援を、受入れ機関(企業等)から委託を受けて、受入れ機関に代わって実施する者です。
そして、受入れ機関は支援業務の実施を登録支援機関に全部委託することもできますし、一定の条件を満たす企業等は委託の範囲を全部委託ではなく一部委託にすることもできます。
▼ 加入義務があるのは特定技能外国人の受け入れ企業
建設分野で特定技能外国人を受入れる際にJACへの加入義務があるのは、特定技能外国人が所属することになる受入れ企業です。
JACへの加入は、直接の加入でもよいですし、JACの正会員である加盟団体に加入するという間接的な方法による加入でも認められます。
▼ 登録支援機関は受け入れ企業との契約のみ
特定技能外国人への支援を委託される登録支援機関は、JACに加入する必要はありません。
建設分野の特定技能外国人の受入れ企業からすると、JACへの加入は義務であり、登録支援機関への委託は任意ということになります。
2.特定技能外国人の建設企業での受け入れについて
では、建設業界の企業が受入企業として特定技能外国人を雇い入れるために知っておくべきことを確認していきましょう。
▼ 受け入れ対象職種
建設分野で特定技能外国人を受入れる場合の対象職種は、以下の18種になります。
- ・型枠施工
- ・左官
- ・コンクリート圧送
- ・建設機械施工
- ・屋根ふき
- ・鉄筋施工
- ・内装仕上げ
- ・とび
- ・建築大工
- ・配管
- ・建築板金
- ・保温保冷
- ・トンネル推進工※
- ・土工※
- ・電気通信※
- ・鉄筋継手※
- ・吹付ウレタン断熱※
- ・海洋土木工※
※のついている業種は、受け入れる外国人が該当の建設分野特定技能1号評価試験に合格する必要があります。
▼ 受入負担金について
建設業の企業等は、特定技能外国人を受入れる際にJACに加入する義務があり、受け入れる外国人が「特定技能」の在留資格を取得した後からJACに受入れ負担金を支払うことになります。
負担金の額は外国人の状況によって異なっています。
外国人の状況 | 月額 |
---|---|
①試験免除者(技能実習2号修了者等) | 12,500円 |
②国内試験合格者 | 13,750円 |
③海外試験合格者(JACが行う海外における教育訓練を受けた場合) | 20,000円 |
④海外試験合格者(③以外の場合) | 15,000円 |
建設技能人材機構は、特定技能外国人に対して入国後研修の実施や母国語による相談等の支援をし、受入れ企業に対しては現地機関への求人情報の提供(特定技能外国人のあっせん)や巡回訪問、助言という支援を行います。
なお、この受入れ負担金は、直接又は間接を問わず、雇用する特定技能外国人に負担させてはいけません。
3.まとめ
建設分野で特定技能外国人を受入れる場合の企業は、JACに加入する義務を負い、受け入れる特定技能外国人への支援を外注するのであれば登録支援機関と委託契約を任意で締結します。そして、外国人が特定技能の在留資格を取得したら、受入れ企業は受入れ負担金を義務的に支払うことになり、登録支援機関に委託をしている場合には支援委託料も別途支払うことになります。 登録支援機関の位置づけは他の業種と同じであるものの、特定技能の建設分野にはJACへの加入義務、受入れ負担金という他の業種にはない特徴があることから、注意が必要です。
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